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人形と詐欺師と守護者と―

挿絵(By みてみん)




咲耶のアイアスが死んだ発言に、二人揃って紅茶を吹いた

ライオットと瑠璃は、互いに顔を見合わせた後に立ち上がると

窓から飛び降りてワープポータルへと走り出す。



「あの映像の場所はどこだかわかりますかぁ!?」



瑠璃が走りながらそう聞くと、ライオットは口元に笑みを

浮かべながら先ほどの映像を映していたアイテムを取り出す。



「勿論ですよ、このアイテムは映している場所を指定して

 使うものですからね・・・アクアゲートの外、荒野地域だそうですよ」


「荒野ですね!」



流石に瑠璃のスピードにはついていけないのか、遅れだした

ライオットを置き去りにして瑠璃はワープポータルに入ると

即座にアクアゲートへと転送を開始する。


それを見てやれやれと首を振りながらも後に続こうとした

ライオットは、少し遅れて小走りで駆け寄ってくる咲耶の

姿を見つけて転送をストップする。



「おや、貴女もついてきますか?」



危険かもしれませんよ?と言うライオットに咲耶は

クスリと笑みを浮かべる。



「危険が怖くて瑠璃の傍にはいられないわよ。

 貴方も瑠璃と付き合いが長いならわかるでしょ?」


「ハハハ、確かにその通りです。

 いやはや、貴女とはうまくやっていけそうな気がしますよ」



心底楽しそうに言うライオットに、咲耶はそうねと

一言返してワープポータルへと足を踏み入れる。



「アクアゲートについたらまずは街から出て南に向かいましょう、

 そうすれば大きな山岳が見えてくるのでそこからが荒野地域です」


「えぇ、わかったわ」



咲耶に軽い説明を終えたライオットが操作ウィンドウを開き、

アクアゲートを選択すると二人は光に包まれ、そして転送された。









アクアゲートに転送された咲耶とライオットは、

真っ先に街の出口から飛び出すと荒野地域へと向かう。


街を出て最初の頃はアクアゲートを彩るかのように

綺麗な草木が生い茂っていたフィールドも、先に進むにつれて

だんだんと枯れ果てて荒野へと変わっていく。



「この辺のはずなのですが・・・」



ライオットがそう言って辺りを見渡すが、見えるのは

山と崖と荒れた大地のみで瑠璃の姿もドラゴンの姿も、

セントクルセイドの姿も見当たらなかった。


しばらく辺りを探索していると、どこか遠くからケラケラと

聞き覚えのある笑い声が聞こえてきたので咲耶がそちらへ

向かうとライオットもそれに続く。


すると、崖を一つ超えたところでアイアスが必死に大剣を振るい、

それを軽く避けながら罵声を浴びせる瑠璃の姿が目に入る。



「まさかあの絶対守護者ガードオブガーディアンアイアスともあろうお方が

 ドラゴンに踏まれて死ぬなんて世も末ですかねぇ?

 おまけに私に蘇生させて貰ってどんな気持ちですかぁ?」


「貴様ァアアア!人形の分際で!!」



煽られれば煽られるほど攻撃が単調になるアイアスに対し、

余裕が出てきた瑠璃は咲耶たちの姿を見つけて手を振ってくる。



「二人共遅いですよぉ」


「貴女が速すぎるのよ」


「全くですね」



瑠璃の言葉に呆れるように返した咲耶たちは、

アイアスの真横を掻い潜って駆け寄ってくる瑠璃の

隣に並んでアイアスを見る。


それに対しアイアスは怒りの表情のまま視線を

ライオットに向け、その後咲耶へと向けて驚愕する。



「人形の次は詐欺師もおでましか。

 それに貴様は・・・茶々姫!?いや・・・別人・・・か?」


「失礼ですねぇ咲耶をあんな下女と一緒にしないでくださいよぉ」


「下女・・・貴様、今茶々姫の事を下女と言ったか!?」



今度は言い争いが始まった瑠璃とアイアスを傍目に、

咲耶は色々とライオットから3人の関係や話を聞いていた。



「へぇ・・・あのアイアスって人は茶々姫にベタ惚れなわけね」


「そうなんですよ、ですが茶々姫は瑠璃にお熱ですからねぇ」



おまけにその瑠璃は茶々姫をやたら嫌悪しているんですよと

言うライオットの言葉に、蓬莱町で瑠璃が傷ついた茶々姫を

見下していたのを思い出す。



「なんで瑠璃はそんなに茶々姫が嫌いなのかしら?

 女の子なら全体的に好きだと思っていたのだけれど」


「(理由は知っているんですがねぇ・・・黙っておきましょう)」



可愛らしく首を傾げる咲耶にライオットは心当たりがあるようだが、

あえてそれを口に出さずふと遥か地平の彼方へと目を向ける。



「おや?」



そこで何かを見つけたライオットは、未だに茶々姫の事を

考えている咲耶の肩を叩いてアイアスに聞こえないように囁く。



「どうやら向こうでドラゴンの相手をしていたセントクルセイドが

 全滅したようです、私たちで獲物を頂いてしまいましょう」


「え?でも私たちだけで勝てるかしら・・・」



不安そうな表情をする咲耶に、ライオットは大丈夫ですよと

胸を張ってドラゴンへと向かって走り出す。


咲耶は瑠璃とアイアスに視線を向けてどうしようかと

少し悩んだが、まだ言い争いが長くなりそうだったので

とりあえずライオットについて行くことにするのだった。









「意外と簡単に倒せるものなのね」


「そうでしょう?」



咲耶とライオットがドラゴン退治に向かって約30分。


動きの素早いドラゴンに対し、攻撃を受けて返す重装甲スタイル故に

苦戦を強いられていたセントクルセイドのメンバーとは違い、

ライオットの指示通りにドラゴンの攻撃をいなして隙をついた

咲耶は思いのほか楽にそのHPを削り切ることができた。


二人が見事にドラゴンを退治して戻ってくると、

未だに言い争いを続けていた瑠璃とアイアスは

そこでようやく二人がいなくなっていた事に気づく。



「おやぁ?二人ともどこにいってたんですかぁ?」


「少しトカゲと戯れに、ですよ」



瑠璃の問いに答えながらライオットはドラゴンから

ドロップしたドラゴンのうろこを見せると、

瑠璃はおぉ!と目を輝かせてうろこに飛びつく。



「これは竜系統のモンスターを倒したときに低確率で

 手に入るうろこじゃないですかぁ」



これは咲耶の龍牙を強化したりもできるんですよぉと

うろこを手に小躍りしていると、真後ろからアイアスが

瑠璃に向かって大剣を振り下ろす。


だがそれをひょいと避けた瑠璃はうろこを咲耶に

投げ渡してから白百合を構えながらアイアスに言う。



「まだいたんですかぁ?

 お目当てのボスモンスターもいなくなった事ですし

 こちらは3人です、さっさと帰ったほうが身のためですよぉ」


「貴様らが我々の獲物を横取りしたせいだろう!」



挑発混じりの瑠璃にアイアスは咲耶が手にしている

うろこを指差し怒声を発するアイアス。


それを聞いた咲耶は少し思案した後にアイアスへと向かって

歩き出し、そしてうろこをアイアスに向かってどうぞと差し出した。



「ごめんなさい。

 もう誰もドラゴンと戦っている人がいなかったものだから

 ボスモンスターを放置するのも危険かと思って」


「む・・・それは確かにそうだが・・・」



それに対してアイアスは少し焦り気味の様子で

咲耶が差し出したドラゴンのうろこを受け取るが、

瑠璃は気に入らないようすで咲耶に詰め寄る。



「なんで渡しちゃうんですかぁ?

 それがあれば龍牙だって龍鱗セットの装備だって

 強化してレア度を1つあげられるんですよぉ」


「だって、あのボスと初めに戦ってたのは彼らでしょ?」



咲耶がそう諭すが、未だ納得のいかない様子の瑠璃。


そんな瑠璃の頭を撫でながら咲耶は瑠璃と目線を合わせ、

とても柔らかく優しい口調で話す。



「それにレア度があがったら龍牙じゃなくて別の武器に

 なっちゃうでしょう?

 私は瑠璃に貰ったこの龍牙のままの方が好きよ」


「さ、咲耶がそこまで言うなら仕方ないですねぇ」



照れ隠しなのか瑠璃はアイアスをビシッと指差し、

咲耶の慈悲に感謝するんですね!と言い張って

アクアゲートに向かって走り出す。


そんな瑠璃を見てくすりと笑った咲耶は、アイアスに

一礼してその後を追う。


そして残されたライオットは、咲耶から受け取った

うろこを見たまま惚けているアイアスに気づき、

口元に笑みを浮かべる。



「おやおや、茶々姫に好意を寄せるお方ともあろう者が

 大嫌いな人形の想い人に見惚れてしまうとは、

 少々節操が無さすぎるのではありませんか?」



見え見えの挑発に乗るまいとライオットに背を向ける

アイアスだが、そこにライオットから追い打ちが入る。



「おまけに私のようなクズにここまで言われても

 しっぽを巻いて逃げるとは、ギルドマスターの名が

 泣きますよ」



部下もこんな人がギルドマスターだなんて可哀想ですねぇと

続けるライオットに、アイアスは怒りを通り越して無表情で

ライオットに向き直る。



「貴様、そこまで言うのだから覚悟はできているのだろうな?」



うろこをアイテムウィンドウにしまったアイアスが

大剣と盾を構え、ライオットにそう言うとライオットは

ニヤリと笑みを浮かべる。



「いいえ、覚悟なんて出来ていませんよ、それでは失礼」



そう言い残してぼわんと煙のように消えるライオット。

恐らく転移系のアイテムか何かを道手品のように見せて

使用したのだろう。


この後、ライオットの予想では募りに募った怒りにより

暴走するアイアスが見られることを期待していたのだが、

残されたアイアスはもう一度アイテムウィンドウを開き

ドラゴンのうろこを見ながらボソっと呟く。



「咲耶・・・か、なぜ彼女の様な者が奴らと共に行動している・・・?」



そこでふと咲耶という名前を以前にもどこかで聞いた事を

思い出し、アイアスは少し考えて完全に思い出す。



「そういえば茶々姫が咲耶と瑠璃様がどうのこうのと

 言っていたな・・・この後一度訪ねてみるとするか」



そう決めたアイアスは、とりあえず愛しの茶々姫への

贈り物を用意するために、プレイヤーが開いている

アクアゲートのバザーへと向かうのだった。








キャラクターイラストと各話上部にタイトルロゴを追加しました。

絵師;かえる

今回も遅くなって申し訳ない・・・仕事やめたいやめれない!お金がなくなる!

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