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私、お嫁になんていきません  作者: 歌○
第六章 〜オルディーネ編~
746/1075

746.どんな時でも、可愛い嫁がいるから大丈夫。




「……ぁ」


 いつもより強い蹴りの感覚に、つい声が出てしまう。

 どうやらお腹の子は、今日も元気に育っているようだ。

 その事に、身体の奥底が冷たくなる程に怖くなる時があるけど、大丈夫。

 まだ堪えられる。

 愛する人達との間の子が生まれると思えば、幾らでも耐えられるし、楽しみにも出来る。

 だって、楽しみだねって、元気で生まれて来てねって、嫁二人がお腹の中の子に語り掛けて来てくれるから。

 大きくなった私のお腹を愛おしそうに撫でながら。

 うん、嫁二人の愛があれば私は大丈夫。

 何にだって耐えられる。

 嫁パワーは最強なんですよ。

 エナジードリンクもタウリンも、嫁パワーの前では敵ではない。

 なはは、なんてね。

 でも、こう言うノリは大切。


「……」

「……」


 最近、お気に入りのロッキングチェアに腰掛けながら、手慰みに桜の造花を作っていると、嫁二人の温かい視線を時折感じる。

 何か、ああして大人しくしてくれると嬉しいとか聞こえるけど、そこは私の嫁として諦めて欲しい。

 仕様です。

 矯正不可物件です。

 と言うか、私の部屋で腐談義をするなと言っているのに、この二人は。

 まぁそちらも最早嫁二人の仕様であり、矯正不可なので、偶に注意するだけにしておく。

 そう思って、再び手慰みに戻るのだけど、ふと視線を感じて顔を上げると、じっと此方を見ているジュリと目が合う。

 何か用かと思って声を掛けてみると。


「いえ、特に用がある訳ではないのですけど。

 ふと思ってしまって」

「なにを?」

「何と言うか、ユウさんがそうやって幸せそうな顔で、時折お腹を撫でている姿を見ると」


 うーん、そうかなぁ。

 特に自覚は無いけど、そんな顔をしてお腹を撫でていたかな?

 確かに、お腹の中から蹴られた時に撫でている事もあるかもしれないけど、それ以外となると……、うん、気がついたら自然とお腹に手を当てている事が多くなったかも。


「凄く犯罪臭がして」

「「ぶっ!」」


 まていっ!

 思わず椅子から転げ落ちるところだったじゃない!

 と言うか、なによその感想はっ!


「ジュリ、正座」

「えっ?」

「ジュリさん、正座」

「ぇっ、えっ?」


 エリシィーと二人で、ジュリをお説教。

 言いたい事は分かるけど、ジュリが言ってはいけない台詞だからね。

 そりゃ~、確かに私はチビで童顔で幼児体型で、年相応に見えない自覚はあるけど、一応は成人した大人で、ジュリ達と同い年だからね。

 と言うか、お腹の子供は私達三人の子供だから、ジュリがそれを言っちゃ駄目なのっ!

 まったくもう。

 真面目な話、私は小柄で痩せているけれど、だからと言ってお腹の子供も小柄と言う訳では無いから、自然と膨らみ始めた私のお腹は普通の体型の人よりも大きく目立つようになる。

 勿論、これからもっと大きくなる時だから、大きな服でも誤魔化しが効かなくなってきている。

 おまけに屋敷内は気にしていないので楽な部屋着だし、危ないからと一人ではお風呂にも入らせてくれないので、二人には御風呂でも一緒なので、尚更に私の身体の変化を見られているため、自然と興味が沸くのは分かるわよ。

 でも先程のジュリの発言はアウト。

 完全に有罪確定(ギルティ)


「思っても言っちゃ駄目。

 私も我慢していたんだから」


 こらこらこら、エリシィー、そうじゃないでしょうが。

 私も自分でもそう思うけど、そうじゃないから。

 問題にしているのは、お腹の子の親として、責任の自覚の問題だからね。

 因みに、お腹の子は二人の内の何方かで確定。

 陛下の魔呪具に対する太鼓判とか、国にある親子鑑定の魔呪具ではなく、ゼノお爺様とリオお姉様の魔法による鑑定結果。

 二人の内の何方がと言うのは敢えて聞いていないし、聞く必要もない。

 私達三人の子供、その事実があればそれでいい。

 だと言うのに、親としての自覚の薄い事を言う子がいるから困る。

 まぁそこはジュリだし、と言ってしまえばそうなんだけどね。


「も、もちろん分かっていますわよ。

 ですからちょっと、ポロっと出ただけです。

 そんなに言わなくても良いじゃないでか。

 ただ、ユウさんがこうしてお屋敷で大人しくして下さっているから良いですけど、何時もの様に街に遊びに出歩いていたら、絶対に騒ぎになっていたかと思うと……」

「「……、…あぁ、そうね」」


 私の見た目年齢の子供が妊娠していたら、前世は当然の事としてこの世界でも犯罪を疑われる。

 これがもしも私の地元(シンフェリア)だったら、問答無用で保護されて、事情聴取された後に町を上げて犯人探しをされ、『第○回フルボッコ祭り』が行われる。

 確かにジュリの言うとおり、大騒ぎだわ。

 見た目的に犯罪臭がすると口にしたくなる気持ちも分かる。

 でもタイミングと言う物があるでしょうが。

 前置きもなく、いきなりあんな事を言われたら、私も周囲が驚くわよ。

 流石はジュリね。


「そう言う事を言われると、リズドの街に行きたくなったわ」

「「お願いだから止めて(下さい)」」


 言っておくけど、態々騒ぎを引き起こしたくなったと言う訳ではないからね。

 単にライラさんやマリアナちゃん、ついでにコッフェルさんの顔を久しぶりに見たくなったなと言うだけ。

 妊娠がバレて以来、手紙のやりとりだけで顔を出していないもの。

 顔を出す事で何処からか情報が漏れる可能性もあるし、その事で危険に巻き込む可能性もあるからね。

 スデカーバ元伯爵の子息が、態々私を王城なんて危険な場所で狙ったのは、私が引き籠り体質の上に空間移動の魔法持ちだから、確実に姿を表す催しを選んで、そこにのこのこ姿を現した私を狙っての事。

 最近顔を出していないな、なんて不確定な場所を私への襲撃場所には選ばないだろうと考えて、敢えて足を遠のけている。

 そう思って口にしただけなのに、嫁二人は本気で止めるんだから、やっぱりタイミングって大切よね。







◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

【 双子ちゃん女中(メイド)の、なぜなにコーナー】

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



メアリー「どうも〜、姉のメアリーと」

アンネ 「妹のアンネです」

メ・ア「「二人揃って、双子ちゃん女中(メイド)で〜す」」

メアリー「と言っても、主人であるユゥーリィ様が勝手に言っているだけですけどね」

アンネ 「そうそう、しかも不思議ちゃん扱いされていますし」

メアリー「御自分の方が余程変わっておられる自覚がないんですかね?」

アンネ 「あの調子では、とてもあるとは思えないけれど」

メアリー「基本的には良い人ではあるんですよ」

アンネ 「人使いは荒いけどね」


メアリー「さて、作者の気分で突然始まったこのコーナですが」

アンネ 「振り回される私達は堪りませんが、この世界の事情をほんの少しだけ説明」

メアリー「今回のお話で出た、子供の妊娠……口にしていて腹が立ちますが、基本的にシンフォニア王国では、未成年に対しての性交渉は違法です」

アンネ 「夜のお店でも、話し相手やお酌の相手くらいは許されていますが、客を取る事は許されていません」

メアリー「とは言っても、こんな世界ですから、実際にはユルユルのダラダラです」

アンネ 「摘発に関しては領主の意向が大きいのが実情ですね。領主の一族自ら若い娘を取っ替え引っ替え浚っているなんて話も聞きます。……族滅すれば良いのに」

メアリー「私達の以前にお仕えしていたルーシャルド侯爵家や、古き血筋の一族と言われる家が直接納めている街などは住民意識も高く、治安を乱す人達への処罰も厳しいです」

アンネ 「ですので、ユゥーリィ様が住んでおられたリズドの街も治安は良い方ですが、全くない訳ではないので自衛は必要。

 私達も子供の頃に浚われて、危うく酷い目に遭いそうになりましたからね」

メアリー「まぁ、ルーシャルド侯爵家に仕える使用人を浚う、なんて真似をした命知らずな無謀な屑は、全員、仲良く畑の肥やしになりましたけど」

アンネ 「私達はついでに浚われただけでしたからね。おっと、これ以上は話せません」


メアリー「基本的に性犯罪に対しての処罰は、現行犯であれば罰金刑とアレをチョンです」

アンネ 「直ぐに教会に行って、お布施を払えば治ってしまうので、お金に余裕のある屑にはあまり意味はない処罰ですけどね」

メアリー「ただ、国の意向もあって、未成年に対しての性犯罪には厳罰が処される事があります」

アンネ 「発覚して犯罪を証明出来ればだけどね、大体それだって、領主次第じゃない」

メアリー「まぁまぁ、アンネの言いたい事も分かるけれど、こう言うのは少しづつしか変えられないものよ。公の場で証明さえ出来れば良い訳だもの」

アンネ 「そうね、自白でも良い訳だものね。ええ、自白させれば良いだけとも言うわね」


メアリー「厳罰と言っても、その辺りも領主の意向次第なので、緩い所は罰金の金額が増える程度」

アンネ 「領主に対する賄賂と被害者に対する口止め料も言うわね。対してユゥーリィ様の実家であるシンフェニア領では、アレをチョンの上に鉱山送りと、処罰の内容には大きく差があります」

メアリー「例えばグラナド侯爵家が治めている街では、三回目の逮捕で住民自由参加型の公開投石刑だったりと過激な所も」

アンネ 「投石刑とは受刑者を柱に縛り付けて、死ぬまで石を投げつける古来から在る処刑方法。しかも簡単は死なせないように頭部を守る兜付きと言う親切仕様」

メアリー「ユールノヴァ侯爵家の所は逮捕で火刑だったはずだけど、大抵は縛り首か斬首で、気の利いた所は餓死刑ね」

アンネ 「それでも子供を性欲の捌け口にするような屑には、恵まれた死に方だわ」


メアリー「そして私達の主人であるユゥーリィ様が決めたオルディーネ領は、悪質な性犯罪者に対しては、なんと」

アンネ 「罰金刑と領外追放」

メアリー「先程の話の後では甘いと思われるかも知れませんが、これもユゥーリィ様のお考えがあってで、実はかなりキツイですよ。

アンネ 「平民だと、実際には財産没収に近い金額」

メアリー「オルディーネは陸の孤島なので、お金がないと船には乗れません。なので、領外追放は歩いて領の外に行く事になりますが」

アンネ 「海以外は魔物の領域に囲まれている。ふっ、獣には獣に相応しい最期を送れそうだわ」






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