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私、お嫁になんていきません  作者: 歌○
第六章 〜オルディーネ編~
744/1073

744.私、十九歳になりました。





 結局、ヴォルフィード家からの御招待だったけど、お話をしただけでお暇する事にした。

 今回の話のまま続けても、お互いが気まずいだけだろうしね。

 本来貴族的な礼儀としては、食事をする事で蟠りを無くしたと演じてみせるものだけれど、疲れるだけの食事は遠慮したい。

 お腹の子供の事があるから、外での食事には周囲の人間が殊更気にしているのよね。

 特にこう言う遺恨が残り得る可能性のあった問題の後だけに、尚更に気が張り詰めているのが分かる。

 かと言って、ヴォルフィード家の面子を一方的に潰すのも気が引けるので、私の方から屋敷に御招待をしておいたわ。

 王家主催の春の舞踏会の後、私の方が落ち着いた頃に別邸のお披露目会を行うのだけど、その後で本邸の方にヴィー夫妻も含めてどうぞとね。

 知っての通り、本邸は高位のお客様を御迎えするには色々と不足しているけれど、それで構わなければと、前もって了解をして貰う事が条件。


「ああ、喜んで招待を受けさせて戴こう」

「温泉っ、あの温泉に入れるのっ!?」

「ジュシ、お前な……」


 暴走気味のジュシ様は放っておいて、その頃には水の魔法石と共に、魔物の繁殖の事も公表される予定なので、本邸を含んだ研究所の機密性は薄れる。

 それでも誰でも呼べる土地ではない事には変わらないので、逆に言えば信頼がおける人間しか呼ばれる事のない隠れ家的な存在。

 まぁ……何処かの誰かさん(へいか)達は悪だくみの相談をするために使っていたりしますけどね。




 〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・




「ぐぅ……」

「うぬぬ……」

「……はぁ」

「……ふぅ」


 不景気な顔で頭を寄せ合っているのは、我が家の使用人達。

 何を頭を悩ませているかと言うと、くだらない事なんだけど、私の立場でそれを言っては問題があるので、気が付かないふりをしている。

 どんな問題かって?

 それは勿論、淑女教育や当主教育が増やされる可能性がある、と言う重大な問題。


「今年こそやれると思いましたのに」

「仕方ない事だとは言え」

「準備が無駄になりましたな」

「彼方であれば、と思っていましたのに」


 うっとおしい。

 せめて私に聞こえない所でやれと言いたいけど、敢えて私の前でやる事に意味があるから、此処で突っ込んだら負け。

 彼等が何を言っているかと言うと、私の誕生日の話なんですよね。

 平民だとあまり習慣が無いけど、それなりの身分になると誕生会を開いて社交をするのが、貴族社会の常識。

 でも、私はずっと身内だけでやっていたのよ。

 身内にだけに祝って貰えれば十分だもの。

 だけど使用人達としては、是非とも多くのお客さんを呼んで、私の誕生日を祝って貰いたいと思っているわけ。

 それでリズドの屋敷の方を使って、私に内緒にして予定していたらしいのだけど、夏に私の妊娠が発覚した時点で、その計画はオジャン。

 とっくに終わっている事なんだけど、それでも私にこれ見よがしに相談しているのは、来年こそはと私から言質を取るためなのよ。

 彼等の立場からしたら、私が要らないと言っているのに、どうしてもヤレとは言えないからね。


「……お嬢様の誕生会」

「……主人(マスター)を祝って貰いたいです」

「「……私達の出番が」」

「「……調理の腕を振る舞う機会が」」


 ああやって、ボソッて呟いてくるのよ。

 じゃあ、ジュリ達の時にならやっても良いわよと言ったら、当主である私の時にやらないのに、家臣や使用人の誕生会を大々的にやれる訳がないと言ってくるしまつ。

 貴方達、妊婦にストレスを掛けて楽しいのかと言いたいけど、それでキレたら、それこそ私の負けだからね。


「ユウさん、いい加減に認めてあげたらどうです?」

「お客様の相手をするのが面倒よ、ジュリはドルク様とかヴァルト様とかのお相手をしたいと思う?」

「それはなるべくご遠慮願いたいですけど、身も蓋も無い理由ですわね。

 ですが、流石にそれは枯れすぎでは?」

「枯れていても良いの。

 誕生日を祝って貰うのに、お客様の相手で疲れ果てるなんて、寧ろ罰だと思わない?」


 身の丈にあった物で十分なの。

 小さくても温かい誕生日でね。

 貴族なんて好きでやっている訳では無いから、貴族の立場を求められる時以外では、貴族でいたくないわ。


「ん~、じゃあユゥーリィ」

「エリシィーもなの?」

「お腹の子の時も、誕生会はやらないでいるつもり?」

「……、……」


 そ、それは……拙いかも。

 私は一代で成り上がったから社交をしなくても然程問題ないけど、私の子供の代になれば、多少なりとも社交をしなければならなくなる。

 誕生日会は、(えにし)の輪を広げて更に繋げるためでもあるからね。

 そんでもって当主である私がやらないのに、当主の家族のをやれる訳ない。

 う゛ぅ゛……、やりたくない、でも子供のはやってあげたい。


「……来年から、小さい催し程度ならば、誕生会を許すわ」


 断腸の思いで、許可する事にする。

 仕方ないとは言え、今から気分が重くなる。

 だから、こっちは落ち込んでいるのにそこの使用人軍団、大喜びで騒がないのっ!

 来年っ、来年の話だからねっ!

 あと、小規模だって事を忘れちゃ駄目よっ!

 だぁ~~~っ! そこで今から来年に向けて、早速手配をしなければとか言わないのっ!

 恐ろしい規模でやらないかと心配になるでしょうがっ!

 こらっ、話しを聞きなさいっ!

 言質を取ったからとか、言葉が怖いわよっ!







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