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私、お嫁になんていきません  作者: 歌○
第六章 〜オルディーネ編~
742/1070

742.謝罪合戦なんて真似はしたくないんですよね。





 思わず目を前回で見開くような、シャルド様の驚きの告白の後に聞いた詳しい話を要約すると……。

 アグマイヤ様の奥様が私の事が嫌いなあまり、以前から色々と裏で動いたらしく、他人を使って社交界で私の悪評を広めていたりとかだけなら、まだ可愛い物だったのだけど。

 よりにもよって、例の三家を唆して領地戦を仕掛けさせたり、そのための資金提供をしていたりしていたみたい。

 しかもその資金は、私がヴォルフィード家に技術供与した幾つかの事業で得た利益から。


「本当に済まぬ」


 シャルド様だけでなく、ジュシ様もアグマイヤ様も頭を下げられる。

 下げられるのだけど……、ぶっちゃけどうでも良い。

 私にとって領地戦はもう終わった事だし、幾ら唆されようとも、その事を選び実行したのはあの三家の当主達の判断。

 この様子だと、アグマイヤ様の奥様もヴォルフィード家によってそれなりの処罰をされただろうし、ヴォルフィード家そのものが関わっていないのは、この場を開いている事から明らか。

 かと言って、此処までして謝罪するヴォルフィード家の謝罪を受け入れない、と言う選択肢は私にはない。

 幸いな事に人的な被害はなかったに等しいし、なんだかんだとヴォルフィード家には色々と助けられているもの。


「頭をお上げください。

 公爵の位にある方が、私の様な小娘を相手にそこまで深く頭を下げる事など、そうそう在ってはならない事です。

 それに公爵様は我が家に迷惑を掛けた事を気にされておりますが、私こそ公爵家に御迷惑どころか、公爵家の名に泥を塗る様な御迷惑をお掛けした事があります。

 あの時は御子息様(ヴィー)への私の不注意な発言が元で大騒ぎになってしまい、今でも申し訳ないと思っておりますの」


 ヴィーの告白を私が勘違いして返事をして、私の気が変わらないうちに結婚だぁ〜、と大騒ぎになった事があったんですよね。

 あの時は陛下達に泣きついて、なかった事にして貰ったのだけど、だからと言って御迷惑をお掛けした事がなかった事になる訳ではないし、その事でヴォルフィード家に大恥を掻かせた事実はなくならない。


「あの時は、我が家の方にも問題があった。

 今回の事とは根本的に問題の本質が違う」


 まぁ勘違いをした私も悪いけど、ヴィーも勘違いする様な言い方だったし、何よりジュシ様が例によって暴走をして、碌に確認もせずに勝手に話をどんどんと進めていったのが一番の原因だった訳ですからね。

 そもそも私が結婚をする気がないと言うのは、シャルド様も知っていたはずなのに、なんで確認してくれないかなと、当時は思いもした。

 とにかくアレはお互いの勘違いと確認不足から起こった悲劇で、傍から見たら喜劇。


「ですが小公爵様の奥様が、このような事をした要因の一つになっている事は、間違いないと思います」


 あの件を無くす事が出来たのは、完全に私の我が儘なの。

 貴族の面子的に、あそこ迄大きくなった話を取り消す事など出来ない。

 ましてや片方の家が大きく、それを望んでいるのであれば尚更の事。

 普通は本人達が嫌がろうと、家の面子を守るために結婚させてしまう。

 でもそれを私は無理やりに無かった事にした。


『結婚させられるくらいなら、国を出ます』


 私がそう陛下達に言った時は、陛下、顔が引き攣っていたものね。

 そもそも私が叙爵し、上の方々に可愛がって戴いているのは、私をこの国から逃さないため。

 それが全部無駄になるくらいならば、我が儘を聞くくらいはって事で、私の希望が叶っただけ。

 無論、そんな事態になるような迂闊さと隙を見せたとして、陛下達には無茶苦茶にこっぴどく怒られはしたわよ。

 でもね、それってこの世界の貴族の女性からしたら、腹が立つくらい身勝手で我が儘な事なのよ。


『ユゥーリィ、私は幸せよ』


 お義父様が命じる儘に結婚したミレニアお姉様は私にそう言ったし、実際に幸せそうにしている。

 だけどそれって結果論でしかない。

 恋愛をしている夫婦も多いけど、それは結婚してからの恋愛、もしくは結婚前提での恋愛なの。

 親に結婚相手にどうだと紹介されれば、結局は家のため、領民のためだと、心を殺して嫁いでいるのであって、最初から女性側に選択肢はない。

 だから基本的に貴族の女性に恋愛結婚はないと言える。

 陛下は恋愛結婚だとは言ってはいるけど、王家の場合選択肢が多いから、その中から選んでいると言うだけの事。

 ただ、少しでも幸せになるために、その相手を好きになるだけ。

 それなのに私は、その貴族女性の結婚事情をブチ壊す真似をしている。

 一度ならず、二度までもね。


「あの一件で、尚更に面白くないと思っても仕方ないかと」


 無論、本当の意味で自由恋愛をした貴族の女性は、私以外にもいるわよ。

 だけど、その殆どが貴族である事を捨てている。

 なのに私は貴族のままで、しかも新たに爵位を得て家を興してさえいる。

 さぞや目障りで、腹が立っているでしょうね。

 例え私自身の存在を許せたとしても、自分達の子供が私の様な我儘を許されると思ってもらっては困るからだ。

 なんだかんだと言って貴族の婚姻は解りやすく、そして手っ取り早い政略だもの。

 私の自由を許していては、立ち行かなくなる。


「公爵様よりも奥様の方が、この気持ちを理解して戴けると思います」

「そうね、殿方には理解しずらい感情だとは思います。

 だとしても、あの子がした事は許してはならない事。

 ……ねぇ、もう名前では呼んでくれないのかしら?」


 ジュシ様が物悲しげに口にするけど、私が会えて今名前を使わないのは、家同士での重要なお話だから、別にジュシ様をどうこうを思っての事ではない。


「ええ、ですからこの話はこれで御終い。

 それで良いではありませんか。

 私も、奥様の事をジュシ様とお呼びしたいです。

 私にとってジュシ様は、年の離れた、少し困った所のあるお姉様ですから」


 あと、いい加減にこの下らない話を終わらせたいための、ちょっとした取引材料。

 まぁ我ながら子供じみた材料だとは思うけど、ちょっとしたお茶目です。

 心地良く話を終えるためのスパイス。

 話術って、そう言うためのものでしょ。


「分った。

 謝罪を受け入れてくれた事、心より礼を言う。

 これからも、変わらぬ付き合いが出来る事を私も願う。

 それと妻がまた君を困らせたら、その時は遠慮なく言ってくれ。

 私の方で直ぐに対処しよう」






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