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私、お嫁になんていきません  作者: 歌○
第六章 〜オルディーネ編~
738/1066

738.私、図太くはないですよ。面倒臭がりなだけです。





「あはははっ、君を馬鹿にしていた連中の顔が青くなってゆく姿は、まさに見ものだったな」


 現在、私は舞踏会場の中二階、王族専用の待機場所兼物見席に連れて来られて、陛下に爆笑され、玩具にされている最中だったりする。

 あの後、何人かの知り合いの高位貴族の方々に玩具にされつつも、色々と尾鰭を付けて暴露されて大変だったのに、例によって陛下が舞踏を申し込みに来て、領地戦の件をネタに私を揶揄ってきたから大変だったのよね。


「陛下、こういうのは本気で勘弁してください」

「なるべく君の要望には応えて来たつもりだが、あそこまでの馬鹿がいるとは僕も予想外だった。

 そうなれば、もはや君の実力を隠しておくなど害悪でしか無い。

 そう言う事で諦めたまえ」


 私は静かに暮らしたいと言うのに、陛下はそんな事は知らんとばかりに言ってくる。

 薄々分かってはいたけど、陛下は私の事を隠しておく事は止めたようだ。

 でも、私が目立ちたく無いと思っているのは、半分以上は私の都合でもあるけど、それ以上に私と同じ魔導士達のため。


 魔導士は人間のなりそこ無い。


 コッフェルさんが私に言った言葉。

 私もそう思う。

 事実はどうあれ、普通の間と魔導士ではあまりにも戦闘能力に差がありすぎる。

 今の関係が保てているのは、殆どの魔導士が魔法の使い方を間違っているだけに過ぎない。

 ジュリを見て分かるように、私がちょっと魔力制御の仕方と魔法の使い方を教えただけで宮廷魔導士、つまり魔法使いの称号も持つ人達を圧倒する力を得てしまっているのがその証拠。

 ジュリほどでは無いとはいえ、私から魔力制御を学んだルチアも魔法使いよりも強いだろうし、ポーニャだって私の家臣になる前となった後では、魔法によって引き起こせる現象が天と地ほども差がある。

 以前は小型工作機械程度だったけど、今はまさに万能大型重機の名に相応しいだけの力を持っている。

 私に至っては、もはや語るまでも無い。


「君が危惧している事は僕も理解している」


 あまりにも危険な存在なのだ。

 勿論、魔力制御を鍛えれば、普通の魔力持ちも今とは隔絶した力を得る事が出来るし、そもそも魔導士は数が少ないため、最終的には魔導士が敗北する事になるだろう。

 でもその後で生まれるのは、修復しようもなくなった差別意識と迫害。


「歴史の紐を解けば、魔導士と人との争いはあった。

 でも君は違うであろう。

 自らの力に酔う事も溺れる事もない。

 この間の暴走など、その証明みたいなものだ」

「偶々です。

 危険を孕んでいる事には違いありません」

「くだらない考えだね。

 危険など何処にでもあるし、誰だって危険と狂気をその身の内に抱えている。

 身近にあったナイフが偶々魔法になった、それだけの事だ」


 陛下の言う事は分かる。

 それもまた真実だ。

 前世で銃を持っている人間は危険。

 じゃあ銃を持っていない人間は危険ではないのか問われたら、そんな事は決してない。

 前世の私のいた国では、銃で死ぬ人間の数よりも、身近な物で殺される人間の数の方がよほど多いのが現実だった。

 

「陛下は私が怖くないのですか?

 私はいつでもこの国を灰燼に帰する事だって出来るんですよ」

「はははっ、自分の力に怯えている子供にかね?」

「むぅっ、見た目はこんなのでも一応は大人です」

「関係ないね、君は僕にとって子供みたいなものだ」


 まぁ陛下はお父様と似た様な年齢ですからね。

 幾つになろうと子供扱いされるのは分からないでもないですけど、正面向かって言われると腹が立つ。


「まぁそんな事はどうでもいいんだよ。

 君が自分をどう思っていようが、国としては関係ない。

 肝心なのは君が国に取って敵なのか、そうでないのかと言うだけだ」

「そこは敵か味方かでは?」

「王なんてものをやっていると、味方なんて言葉ほど虚しく感じるものなんてないさ。

 そして、君は君の生活を守られている内は、僕やカイルの敵になる事はない。

 君は面倒臭がりだからね」


 敵か味方かでいえば、確かに私は陛下達の敵ではないですけど、一応は味方のつもりでいるのに酷いよね。

 ただ、逆に敵になる可能性がないと言う訳ではないので、確かに陛下の言うとおりなのかも。

 私の家族に害意を向けるのであれば、容赦無く敵に回ると言えるもの。

 唯、陛下達に従順に従っているのは、お父様やお母様の教えと言うのもあるけど、それ以上に今の環境をぶち壊して、また一から作るのが面倒臭いだけ。

 今の生活が楽しいから、それを守っているだけでしかない。


「私が面倒臭がり屋だから、と言うのは私を信じる理由としては、説得力に欠けるのでは?」

「そうかね?

 君が国に敵対しないと言うだけで十分な理由だが、その理由としては間違ってはいまい。

 そもそも君を馬鹿にする連中を君が放っておくのも、それが主な理由であろう?」


 まぁ間違ってはいない。

 だって、いちいち相手をしているのも面倒臭いもの。

 領地戦が良い例よ。

 実際に戦っている時間の何千倍の時間を、準備や後処理に費やさられた事か。

 もしかすると、万倍の時間を取られているかも。

 どちらにしろ、その場の感情で相手をしても面倒臭い事になるだけだから、相手にしないだけ。

 私を下に見て馬鹿にして気が済むなら、勝手にどうぞと言うだけの事よ。


「まったく『面倒臭い』そんな理由で破滅させられずに済んでいるのだから、彼等はいい加減にその事実に気がつくべきだと思ったのさ。

 君に喧嘩を売る事が如何に愚かで、破滅に向かう事かってね。

 何よりいい加減に君のために馬鹿を相手にするのが、僕も面倒臭くなって来た。

 だってそうだろう、自分が敵うか敵わないかも見極めずに、己が欲望のまま、又はくだらない自分勝手な自尊心のために君に喧嘩を売り、その後始末をさせられるのだからな。

 君を散々馬鹿どもを炙り出す餌として利用しておいて、何を今更言っているのかと自分でも分かってはいるんだが、流石に疲れて来た」

「ぇぇ……と、その、お手数をおかけします」


 うん、やっぱり陛下も面倒臭かったんだと思うと同時に、ちょっと申し訳ないとも思ってしまう。

 あらためて思い出してみれば、かなり多かったもの。

 こんなので、この国大丈夫?と思えるくらい。

 まぁだからこそ陛下はその膿を出そうと、私を餌にしたんだろうけど、陛下にとっても予想以上に多かったみたい。


「はっきり言おう。

 僕から見たら君よりも、ああ言った自尊心ばかりが肥大した馬鹿が沢山いる方がよほど怖い。

 分かりにくい分、尚更に性質(たち)が悪い。

 それに比べたら君はどうだ。

 ちゃんと自分の事を理解した上で、自分を律して……いや、色々と自覚のない暴走娘だったな」


 ちょっと待ていっ!

 そこでなんで突然人を落とすのっ!?

 誰が暴走娘ですかっ!

 いえ、多少は自覚はあるけど、陛下に貶されるほどではないはず!


「まぁまぁ、君が言いたい事も分かるが、僕が言いたい事も分かるであろう?

 とにかく君は色々と此方の予測外の事を引き起こすが、基本的に手を出さない限りは無害だ。

 寧ろ放っておいた方が我が国に利益を齎してくれる。

 対して奴等は、我が国を蝕んでいるだけだ。

 そんな奴等を僕が放っておくのは、そんな奴等でもいないと人手が足りずに、民がもっと悲惨目に逢うからでしかない」

「つまりこれ以上貴族を減らされると、国の運営に支障が出るから、私に餌の振りは止めて、逆に威嚇する側に回ってほしいと?

 そっちの方が面倒臭いんですけど」


 はい怒られました。

 流石に新興貴族で見た目が子供の私に、そこまでさせる訳がなく、大人を舐めるなと。


「君に手間を取らせる気はない。

 か弱い振りを止めてくれれば良いだけだ」

「あのう、私、十分にか弱いと思いません?」

「……寝言は寝て言いたまえ」

「が〜〜〜んっ!

 陛下にか弱さを否定されましたっ!」


 生まれついての病弱設定が全否定ですよっ!






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― 新着の感想 ―
[一言] こういうお話好きー! 私は基本、小説の創造神に作者が居て→世界設定があり→その世界にキャラがあり→物語がある…っと考えるタイプなので…文書や設定含め合う合わないはあるけど。 作者が決めた設…
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