表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私、お嫁になんていきません  作者: 歌○
第六章 〜オルディーネ編~
734/1062

734.可愛い子を見守る、近所のお姉さんポジションです。




「ん?」

「どうしたの?」


 王家からFAXではなく手紙が来ていたから、今度はどんな無茶難題が書かれているかと畏怖嫌厭で手紙を見たのだけど、中身はちょっとした連絡程度だった。

 その事に首を傾げていると、エリシィーが何かと聞いてきたので、たいした内容でない事もあって素直に答える。


「ラード王子が暫く授業をお休みしたいって」

「そう、では予定をその様に調整しておくわね」

「お願いね」


 ラード王子とは月に一、二度会って、遊びを交えながら色々と教えていたのだけど、私から都合が付かなくなってお休みしたり延期した事はあったものの、向こうからお休みしたいと言うのは、ラード王子が病気の時以来だから少し心配。

 一応、手紙には健康上の理由ではないと記載されているから、私がその事を心配しない様にと付け足されたんでしょうね。

 ただ、例の領地戦の時に私がお城に乗り込んだ一件以来、暫く登城を控える様に言われており、私が次に登場するのは王家主催の舞踏会の時の予定なので、今更と言えば今更の連絡だと言える。


「プシュケ、王家向けの手紙を書くから用意して」

「畏まりました」


 不精者の私でも、一応は王家には気を配っていますよと見せないといけないので、王家宛用のレターセットが用意してあるので、プシュケにそれを持ってくる様にお願いする。

 私が自分で用意しても良いのだけど、そう言うのも執事の仕事だと煩いから、任せているんだよね。

 肝心の手紙は、私が魔法で王都にある街屋敷経由で送るのだから、全て任せているとは言えないけれど、そこは様式美なので気にしてはいけない。

 プシュケが用意している間に、私は手紙に書く内容を頭の中で整理しておく。

 と言っても中身は大した事ではなく、テンプレの季節柄の挨拶に始まって、近況報告を兼ねたたわいのない話に続いて、本題の次にお会いするまでの間のラード王子への課題。


 所謂宿題です。


 元々どうしようかなと思っていたので、良い機会なので出しておく。

 そうそう、ラード王子の社交の輪は少しずつ広がっている様な話も聞くから、お友達はたくさん出来たかなぁ、と手紙で聞いておくのも良いかもね。

 ラード王子も幼い頃と違って今は精神的にも成長したし、周囲の子供達も成長して、ラード王子がどう言った付き合いを求めているのかを理解し、それに合わせてくれているだろうからね。

 王族の子供の周囲に集まる子供と言うのは、そう言う事が出来る子供が大半。

 でも今のラード王子ならばそんな事で腐らずに、逆に彼らの心の奥底を引き出せるくらいは出来るでしょう。

 それこそラード王子のお爺さま譲りの横暴さと狡賢さで。

 願わくは周囲の子供の中にラード王子と本気の付き合いができる子供が、一人でも多くいてくれる事をね。

 子供の頃の私とエリシィーみたいに。


「ふふっ」

「ユゥーリィ、楽しそうね」

「ん〜、ちょっと楽しい想像をしちゃってね」


 もっとも、男の子同士だと雑な付き合いになるだろうけどね。

 ん〜……、おっと思わず脳裏に降りてきた設定を全力で振り払う。

 幼い王子と幼い友人との友情物語は需要はありそうだけど、私の倫理観が許さないので、問答無用にボツ。

 じゃあ片方を友人ではなく歳の近い護衛騎士なら良いのかって、駄目に決まっているでしょうが。

 子供で書くなら、幼く淡い純愛ものでしょう。

 無論、変な想像が付け入る隙のない、子供らしい創作に決まっている。

 言っておくけど、ちゃんと異性同士の恋愛ね

 おっと、思わぬ神の降臨に思考が逸れたので修正。


《……残念》


 何か変な思考が漏れてきたけど、無視無視。

 暫く大人しかったから安心していたけど、こう言う時に反応しないの。

 別の意味で私が残念よっ!

 ともかく、ラード王子もそろそろ異性が気になるお年頃だろうからね。


「ラード王子の恋人さんは、どんな子になるのかなぁと思って」

「「……、……、……」」


 ごく普通のありふれた疑問に、何故かエリシィーとプシュケにジト目で返されてしまう。

 え? そんな変な疑問だった?

 確かに王族ともなれば普通は政略結婚だろうけど、陛下やカイル殿下は変な相手ではない限り自由恋愛だって言っていたから、それほど変な疑問じゃないと思う。

 陛下の事だから、どう言う相手を選ぶかも王太子にするかの選考基準にしているんだと思うけど、逆に言うならばその選考基準を満たしていれば、好きな相手を選べると言う事だもの。

 最も選ぶのは相手となる令嬢も同じ事なんだけどね。

 少なくともカエルや蛇を投げつけたり、スカートめくりをして相手を泣かせて遊ぶ様な相手は、令嬢も選びたくないでしょうしね。

 まぁ子供の頃の事と、一笑に付してくれる相手である事が前提条件かな。

 これもラード王子の自業自得なので、汚名を返上して名誉を挽回できる様に頑張ってもらわないと大変だ。


「ユゥーリィ、そう言う事を書いてあげたらどう?」

「そうね、良いかもね。

 彼女さんは出来ましたかぁ〜ってね」


 中身がオジサンなので、そう言うオジサン発言も気にせず書いちゃいます。

 これが女の子相手にだったらセクハラだけど、相手は男の子だから問題なし。

 もっとも、相手が女の子だったとしても今の私は女の子だから、同姓同士だと当然の様に出る会話なので、どちらにしろ問題のない話。


「……、子供相手に容赦ないですね」


 何かプシュケが言っていたけど、何か言ったかと聞いてみても、お分かりにならなければ関係ありませんと、呆れた様な冷たい返事が返ってくるだけ。

 ついでに揶揄い半分に、婚約式と結婚式には全力で演出(おうえん)しに行くよ〜と書いておこう。

 その時は冗談ではなく本気ではあるけど、今の段階では唯の揶揄い話。

 何かムキになっているラード王子が簡単に脳裏に浮かび、再び自然と笑みが浮かぶ。

 気分は近所のお姉さんと言うより、お節介な小母さんかも。




「へぇ〜、三の村はもう完成するんだ」


 サクッとラード王子へのお手紙を終えて、書類仕事に移ったのだけど、気になる報告書の内容に、つい声を出してしまう。

 入殖時に色々と準備をしてからは手出し禁止令が出たため、後は任せて放っておいた儘だったから心配はしていたのだけど、あと三軒分の家を建てたら三の村への移住は完了すると言う内容の報告。

 前の二つの村と違って入植者数が少ないとは言え、よく村人だけで短期間で頑張ったものだと感心する。


「ユゥーリィ、そろそろ名前」

「うん、まぁ、一応は決めてあるよ」


 今回は珍しく決めてあるけど、今まで延ばし延ばしで仮称を使っていたのだからあまり強くは言えない。


「三の村、オケアン」

「ふ〜ん、普通ね、良かったわ」

「そうですね、良かったです」


 何でそんな警戒するのか分からないのだけど、あまり普通普通言われると逆に凝った名前を付けたくなる。

 この名前だって一応は意味があるんだよ。

 この世界の言葉ではないけど、オケアンは海を表す言葉。

 海から来た彼等が、その故郷を忘れない様にと言う願いを込めての名前なんだよ。

 まぁ、山奥なので海の欠片もないけどね。

 その代わり人工湖を作っておいたので、養殖を頑張ってほしいと思っている。

 もっとも、この人工湖の事もあって、尚更に手出し禁止を言い渡されたんだけど。


「お祝いのお酒と料理を手配しておいて」

「先方から秋祭りの御馳走で十分だったと、お断りの話が来ていますが」

「はぁ……、何を言っているんだか。

 オケアン村の人達はそれで良いかもしれないけど、ペルシーク村とウサーヂバ村から人を出してもらっているんだから、労わないと駄目でしょうが。

 村の仕事をしながらだから、大変だったはずよ。

 新しく来た人達は申し訳なさに遠慮をしているんでしょうけど、お手伝いしてくれた人達にお礼をすべきよ。

 エリシィー、海の食材も渡すから、オケアン村の人達に作らせて振る舞わせなさい。

 これは領主命令だと言ってね」


 何かをして貰ったら、お礼を言うのは当然の事。

 難民だからそんな余裕がないのは分かるけど、そこは私の領民になるんだから領主である私を頼りなさいって言うの。

 今回はあまり顔を出さなかったけど、その代わり建材も道具や生活物資も出しているのだから、食材やお酒が多少増えたくらい今更よ。

 三つの村の住民は魔物の繁殖をはじめとして、様々な秘密にも関わる事もあって、私の領民と言うより家人(けにん)に近い立場になるため、少しくらい贔屓にしても問題はない。

 それに恐縮していると言うのであれば、一生懸命働いて村を豊かにしてから返してくれれば良いだけ。

 無茶を言う気はないわ。


「私も何か作って持って行こうかな」






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ