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私、お嫁になんていきません  作者: 歌○
第四章 〜新米領主編〜
483/1057

483.魔導具による秤の本来の使い方。





 体重計は見えるから気にしてしまうのだろうと思った私は、側から見て分からない様にしてあげた。

 もちろん親切心ですよ。

 でも、やはり気にしたいと言う人向けにと、私の健康管理のためにひと工夫。

 我が家は人数が多いから、当然お風呂場も脱衣所も、本拠地を此方に移した際に広く改築してあり、脱衣所の洗面台も四人分もあったりする。

 その内の一つに固定式の専用の椅子を置いて、そこに座ると正面の鏡の一部に、体重計のメモリが浮かび上がるマジックミラー方式を採用。

 これなら、見た目的には完璧に気にならない。


「「「「「あれは酷いっ!」」」」」

「不意打ち」

「騙された」

「詐欺」

「闇討ちと同じ」

「見たくなかった」

「現実は知りたくないの」


 何故か大ブーイングの嵐。

 あれ〜? おかしいなぁ。

 私、皆んなが気にならないように、一生懸命に頑張ったつもりなんだけど。


主人(マスター)、せめて通達をしておくべきだったかと」

「あっ、忘れてた。あはははっ……、御免なさい。

 お詫びに、甘い物でも御馳走するわ」




 〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・




 お詫びのつもりで、皆んなが好きなケーキを一人一ホールで用意したら、本気で皆んなにお説教をされてしまったので、本日は大人しく自室で作業。

 うん、ちょっと皆んなの顔が怖かった。

 アドルとセレナの結婚式の後、領民同士の結婚式が続いたからね。

 私の名代で出ていた皆んなは、なんだかんだとお祝いのお酒と料理を口にする機会が多かったのもある。

 ああ言う席の料理って栄養価が高いから、どうしても気になる所だったらしい。

 ちょっと反省。

 次は六号サイズではなく、三号サイズにしておこう。


 ちなみに私が領民の結婚式に顔を出していないのは、私が面倒臭がりと言うのもあるけど、一応は貴族的な配慮。

 家臣や屋敷の人間の結婚式なら家族扱いで問題ない。

 でも領民の結婚式に領主である私が直接参加すると、結婚を神に誓うと同時に領主である私に誓う事になってしまうので、新たな夫婦の仲に何か不都合が発生した場合、見届けた私の顔を潰すと言う意味に捉われてしまうらしい。

 なので領主は、名代を立たせてお祝いの品を届けさせるのが慣わし。

 もっとも此処や、故郷のシンフェリアみたいな、領民全員の顔を領主が知っている程の田舎ならともかく、普通の領地では余程の付き合いのある家でない限り、領主が領民の結婚式に名代を遣わすなんて事はないみたいだけどね。

 ともあれ、今は作業と言うか実験。


「用意するのは、【土】属性の魔物として白角兎(ホワイト・ラビット)の魔石と、【風】属性の魔物としてペンペン鳥の魔石と羽根。

 ついでに金羽大鶏(コカトリス)の魔石。

 光石から取り出した輝浮砂に魔法銀(ミスリル)、他にも(アルミ)発条(ばね)など。

 そして、流通している硬貨を全種類と、それに使われているのと同じ素材や、その他の様々な金属のインゴットの山」


 口にしながら、必要な材料を確認。

 だいたい構想と設計図は出来上がっているけど、材料を目で見る事でイメージをより強く固める。

 まずは実験として、白角兎(ホワイト・ラビット)の魔石を二個を手に取り、同時に魔法石に加工しながら二個を同調させておく。

 薄い円盤状に加工した魔法石に魔法陣を焼き付けた後、僅かに間を空けて向かい合わせてアルミ板で固定し、二つの魔法石の間にスロープを作っておく。

 今度はペンペン鳥の魔石を魔法石に加工し、アルミの箱で覆って、その箱の中を魔法的処理をした羽根で覆い、金属の管を真っ直ぐに箱から突き出させて、その管の先端を先ほどのスロープに向く様にして固定。

 白角兎(ホワイト・ラビット)とペンペン鳥で作った魔法石を魔法銀(ミスリル)で接続して完成。

 不恰好だけど、とりあえず実験なので、見た目は気にしない。

 スロープに、金貨を一枚載せて転がす。


 からからから、ことん。


 なにも起きずにスロープを下り切り、その先でバランスを崩し、倒れて止まってしまう。

 今度は鉄を形状変化の魔法で、金貨と同じ大きさの円盤を作って転がしてみる。


 プシュッ!

 からんっ。かららら………。


 鉄製の円盤は白角兎(ホワイト・ラビット)製の魔法石を通り過ぎ、ペンペン鳥製の魔法石が収めた箱から飛び出た管の前で、横に勢いよく飛び、机の上に音を立てて転がって止まる。

 もう一度別の金貨を流してみる。


 からからから、ことん。


 今度は何も起きずにスロープを下り切り、その先でバランスを崩し倒れて止まってしまう。

 転がり床に落ちると面倒なので、スロープの先に転がり防止に布を敷いた箱を置いておく。

 今度は、金貨と同じ大きさで、五パーセントだけ少ない金と、その分だけの鉛を混ぜた円盤を作ってスロープを転がしてみると。


 プシュッ!


 空気の音と共に、再び円盤が横に吹き飛ばされる。

 幾つかの硬貨に見立てた円盤を混ぜながら、数十枚を金貨と共にスロープに流して動作確認。


「全部、正確に振り分けられるわね」


 作っているのは、硬貨の選別機。

 土属性のある魔石をベースにした魔法石で、硬貨の大きさと重量、そして成分量を測定して、風属性を持った魔導具で、規定値の範囲に収まらない物を風で吹き飛ばす。

 発生する風は魔導具の寿命を最優先にしているため、ごく弱い物ではあるけど、吐出口を狭める事で勢いを増幅させているので、偽装された硬貨を弾き出す分には十分な威力がある。

 先日体重計探しで、プシュケと一緒に地下の隠し金庫室の前に行った時に思ったのだけど、この世界では前世ほど文明が発達していないため、金貨などの硬貨の確認は見た目と重さと勘によるもの。

 国や両外商などは、流石に専門の人間がいるけど、普通の貴族の家では、執事が硬貨の確認をするのが普通で、硬貨確認用の執事を雇っている家もあるぐらい。

 商家であれば番頭や、信頼のある血族の人間の仕事だったりするけど、基本的に手作業。


 私は地中探査の魔法の応用で、手にする事なく成分から比重まで手に取るように分かるけど、魔導士が貴重なこの世界では、その手の魔法の使い手は少ないだろうし、とてもじゃないけど需要に対して使い手の数が足りない。

 なにより人間の感覚なんて、幾ら精密な感覚の持ち主でも、疲れればズレが生じてしまう。

 天秤で確認する事も多いけど、その重りが何時の間にか入れ替えられていたなんて事件は、前世の世界でも昔あったみたいだし、当然この世界でもそう言う事はあり得るはず。


「でも、これだけなら、人の手で出来るんですよね」


 前世で、ワンワン名探偵のアニメで、偽物通貨の事件の物語で、銀行の人達がもの凄い勢いで選別していたのを見た事があるし、似た様な光景を港街にある両外商でも見ているんですよね。

 そうなると、人件費の安いこの世界で効果な魔導具を使う意味がない訳で。

 セバスやプシュケも、執事の嗜みとして一瞬で見分けれるみたいだし。


 そこで、小さいペンペン鳥の魔石を、選別用の魔法石の様に四つに分けて、その内の二つを同調させ魔法石化。焼き込む魔法陣は先程とは別の物。

 輝浮砂を形を整えて圧縮成形、細長い輝石を幾つも作り出し、(アルミ)に嵌め込んで、魔法銀(ミスリル)の糸を接続し更に別に作った金羽大鶏(コカトリス)の魔石を分けて作った小さな魔法石と繋ぎ、拳ぐらいの小さな箱にする。

 箱をもう一つ作ってから、ペンペン鳥の魔石で作った魔法石と繋いで、スロープの先に接続。


 ころころころ。

 ころころころ。

 ころころころ。


 スロープに金板貨を転がして行く度に、箱に嵌め込まれた輝石が灯る数が増えたり消えたりして、形作ってゆく。

 輝石の配置はこの世界の数字を表し、数字の形状によって奇跡が灯る。

 前世で言う所の七セグメントLEDと同じ働きをするけど、これは十八セグメントだけどね。


 ころころころ。

 ころころころ。

 ころころころ。


 九を超えた所で、ゼロに戻り隣の箱に一を表す形で灯る。

 要はカウンターです。

 ペンペン鳥の魔石で作った魔法石が硬貨が通過を確認するセンサーに反応して、金羽大鶏(コカトリス)の魔石で作った魔法石が数を計算し、数字を灯す箱を制御する半導体の役割を果たす。


「安定度はあるみたいね。

 後はこれを整理してユニット化して、多機能化か。

 こっちは、本格的に設計しないといけないかな。

 複数の硬貨に対応させたいし、一枚一枚流すのも面倒だから、ジャラジャラと放り込める方にした方が楽だからね。

 まぁボチボチやるかな」


 我が家の金庫も、銅貨から白金貨まで含めて、既に百万枚を軽〜〜く超えている訳ですから、その管理を少しでも楽にしてあげたい訳です。

 と言う訳で、目指せ、硬貨の自動選別機&カウンター。






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