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私、お嫁になんていきません【1000万PV突破】  作者: 歌○
第四章 〜新米領主編〜
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443.ウェディングドレスって作り直すものじゃ無いのに。





 春の舞踏会による、新製品のお披露目は成功と言える。

 ただ、新製品と言っても、実際に販売に漕ぎ付けれる訳ではなく、あくまでこう言った物をウチで作るから、真似しないでね。

 と言う前世で言う特許の確保みたいなもの。

 そもそも二つの製品にしたって、元々実験的な要素の方が強いため、材料もどうしても少量になってしまうので、新たに材料を調達するには、また一年頑張らなければならない。

 普通の魔糸の方も、職人候補の者が扱いに慣れるためと、魔絹織物用の機織り機の調整と改良のために使うため、今年は販売に回す余裕はないのが残念な所。


「うーん、やっぱりコレって良いわぁ。

 暑くも寒くもないし」

「ある意味魔法の靴下よね」

「日焼けや傷跡も目立ちませんよね」

「毛穴とか見えなくなるのは嬉しいですわね」

「え、えーと、あまり足を出すのは……、でもコレなら隙間から見えるところも隠せますし」


 と言っても、試用品をウチの子達に回す分は確保してあるんですけどね。

 黒と肌色の三組づつだけだけどね。

 魔絹織物はその絹以上の艶や滑らかな肌触りに注目が浴びているけど、元々糸事態に調湿機能があるから、ストッキングにすると第二の肌の様に感じるくせに、魔糸は中空構造のため外気の影響を抑え、更には魔物の吐く糸なだけあってとても頑丈で、布の状態だと平気でナイフくらいは受け止めれる位の耐摩耗・防刃・防衝撃能力がある。

 能力だけを見れば、開拓地であるこの地や、山歩きをする私やジュリには必須に近い服と言えるんですよね。

 そこに魔法石で保護を掛けているから、アンダーウェアではあっても、牛や馬の革のズボンより頑丈だったりする。

 おまけに軽さもあるから、まさに女の戦闘服。

 アドル達の分? そんなのある訳ないじゃない。

 誰が野郎のストッキング姿なんて見たいと言うのか。

 と言う訳で、この場には男性陣がいない女性陣のみの集まりだったりするので、多少のはしたないと思われる格好もありな訳。


「問題は、来年も作れるかよね。

 ユゥーリィ、今年は魔法で強引に作っちゃった訳だし」

「これからも全てを、ユウさんが作る訳にはいきませんからね」


 二人が言う様に今回は魔法で強引に作ったけど、それは完成品を知っているのが前世の知識を持っている私だけと言うのもあるし、目標を立てた方が職人達も方向性が絞れると思ったため。

 でも確かに今回は魔法は使ったけど、技術的には魔法を使わなくても出来る物だし、調整の難しい所は、また専用の魔導具を作って調整を掛けれる様にするつもり。

 現に、それに向けて試行錯誤の試験は始めさせている。


「試作から製品化にするには、意外に時間が掛かる物なのよ。

 そこは皆んなの努力と頑張りを信じるだけよ」


 コラッ、また無茶振りをしているとか言わないの。

 無茶じゃなく、出来ると信じているだけ。

 完成品もあり、理屈や仕組みも分かっているんだから、難しいけど可能性がない訳ではない。

 シンフェリア領に居た頃は、コギットさんと言う熟練の職人に助けられていたけど、実際は試作品が出来たとしても、コストを抑えた上で安定して良い製品を作り出せる様になるには、前世の世界でも難しい事。

 でも、出来ると信じて歩まなければ、決して届く事はない。

 と言う訳で、無茶振りではないので悪しからず。


「それよりも、セレナ、作り直しになっちゃったけど、サイズは本当に前のままで大丈夫なのよね?」

「大丈夫、まだ半月もあるわっ」


 一応は本人の名誉のために聞いてはみたけど、そこは半月しかないと言うべきなんだろうけど、悪あがきと言うべきか諦めが悪いと言うべきか。

 アドルとセレナの挙式を、この春に行う予定ではあるけど、ユールノヴァとの取引と王妃様達との裏取引の関係で、セレナの結婚衣装が作り直しになった。

 ミレニアお姉様の時もそうだったけど、なんで私が関わると、こう言う事になるんだろうかと首を傾げざるを得ない。

 ライラさんの時もギリギリだったから、糸が解れない様に私が魔法で強化したのよね。

 ちなみに今回作り直しになったのは、王妃様が私の家臣であるセレナとアドルの結婚の話を聞いて、御祝いにユールノヴァから献上された魔絹織物を下賜し、それで式を上げなさいと告げられたため。

 名目でしかないのだけど、王妃様の公的な言葉なので、セレナに拒否権はない。

 そして私からしても、減量失敗して当日服が着れませんでした、と王妃様に謝罪する訳にもいかない。


「セレナ、明日、お店に王妃様から戴いた生地を持ってゆくから、一緒に行って採寸のし直しね。

 やる気は買いたいけど、王妃様のお心遣いを無駄にする訳にはいかないわ」

「ゔっ……、確かに」


 脂肪と違って筋肉は絞りにくいから、これ以上セレナに無理をさせたくはない。

 実際、最近のセレナは豆腐と果物と水だけの毎日だから、何処の減量中のボクサーだと言いたくなる程だもの。

 あと、王妃様からすると、ウチの教会での結婚式を是非とも見学したいと言うのが本音らしい。

 冬に視察に来た時は、教会に施したイルミネーションや仕掛けは、まだ一部加工中だった事もあって、ごく一部のみを見本で作動させただけで、結婚式や年に一度の大ミサでは、厳かに、かつ華やかな演出が出来ると説明して終わらせてしまった。

 王妃様としては凄く気になっているらしく、今回、魔絹織物を下賜された時もしっかりと念を押されたので、招待しない訳にはいかないのだけど、対外的に良いのかと思ってしまう。

 まぁ公式ではなく、お忍びでと言う事なのだろうけど、それでも王族が子爵家、しかも家臣の結婚式に顔を出すって言うのは、どう考えても異常だと思うのは、私の考えすぎなのだろうか?

 あっ、そうそう、肝心な事を言うのを忘れていた。


「言い忘れていたけど、セレナ」

「ん? な〜に?」

「二人の結婚式だけどね、お客様が来られるからしっかり対応しておくのよ」

「……お父様達に気を遣わなくても良いと言ったと思うんだけど」


 地元で式を挙げる訳じゃないし、この地の特殊性を考えたら招待すべきではないと以前にアドル達い言われていたし、先方に手紙で確認したけど、式を挙げて落ち着いたら顔を出す様に伝えてくれれば良いと返事を返して下さっていたので、そのつもりの予定。

 でも、今のセレナの言い方だと、もしかすると他にも理由があるのかな?

 家を出て私の家臣になった以上、他の家でもある実家にベッタリする訳にはいかないと言ってはいたけど、親子ってそう言うものじゃない気もする。

 うん、家を飛び出た私が言うのもなんだけどね。


「そうじゃなくて、国王夫妻が「待ってっ!」ね……」


 うん、気持ちは分かる。

 でも、待ってと言っても、現実は変わらないのよ。

 ああ、耳を手で塞いでも一緒だからね。

 こらこら、他の皆んなも、一緒になって耳を塞がないのっ!

 だいたい、言わなかったら言わなかったで勘弁してくれと怒るくせに、言おうとしたら聞こえない振りをしようとするのって、どうなのよっ。

 まぁ私は自分勝手な人間だから、言っちゃうけどね。


「国王夫妻と王太子夫妻、そして第三王女のフィニシア様。

 付き添い兼護衛にコンフォート侯爵夫妻とガスチーニ侯爵夫妻が、そして元宮廷魔導士としてコッフェルさんが来賓として来られる予定だから、くれぐれも粗相がない様に宜しくね」

「「「「「なんでっ!?」」」」」


 うん、何でだろうね。

 どう考えてもおかしいよね。

 町工場の社員の結婚式に、親会社の更に親会社で、大きな企業の会長や役員が、出席する様なものだもんね。

 私に文句を言われても知りません。

 決めたのは向こうであって、これでも必死になって抑えたんですよ。

 本来は、此処にヴォルフィード公爵夫妻も入っていたけど、私がおもいっきり拒絶した。

 表向きの理由としては、何処かの王妹様が、化粧品関係で何度も規約違反を犯しているため、この地の秘密を漏らしかねないと危惧したからと言う事にしてある。

 まぁ実際、化粧品と違って、国の機密が関わっている以上、馬鹿な事はしないと信じているけど、王妹様の夫であるルーシャルド様も、己が妻の約束破りには頭が痛いと思っていたらしく、特に何も言わず了承してくれた。


 あと、一応は決着がついたと言ってもね、ヴィーとの婚約騒動があった以上は、必要以上に家同士が仲良くなって見せるのもね。

 ヴィーの奥さんであるレティシア様は現在妊娠中なため、変な心配は掛けたくはない。

 それと言うのも、王妹であるジェシ様が、未だ私を身内にする事を諦めていないみたいなのがそもそもの拒絶の原因で、私としてはちょっと身の危険を感じる訳です。

 私、お嫁になんていきませんし、婿も取りません。

 と言うか、嫁が既にいます。

 ジュリとエリシィーと言う、二人もの可愛い嫁がね。


「当家としての歓待は何時も通りの簡略的な物で良いそうだから、式の当事者である二人は色々と頑張ってね」


 大丈夫、基本的に式に来て下さった事に対して、お礼の言葉を述べるだけで良いだけで、あとは何時も通りだからね。

 寧ろ、陛下達に関わるのは、式と送り迎えの時だけで、後は関わらなくて良い訳だから、何時もより楽だと考えれば気が楽だと思うよ。

 私も結婚式前後の二人に、仕事をさせる程の鬼じゃないから、本当に挨拶だけだよ。

 あまりにも死んだ様な遠い目をするセレナを、そう言って必死に慰める。

 だってね、拒否権のない押し付けをされる気持ち、よ〜〜く、分かるもん。


 世間一般的には、王族が祝ってくださる事は非常に有難い話なのだと思う。

 けど、当事者である私達からしたら、迷惑以外の何者でもなかったりする。

 それに、国王夫妻が結婚式に来るって言う事は、ある意味、国王夫妻が二人の結婚の見届け人になると言う事になる。

 結婚式を挙げる人間の前で考える事ではないけど、それって離婚も不仲になるのも許されないって事なんだよね。

 前世ではとんでもない横暴な話なんだけど、今世の貴族の考え方をすると、それが当然な考え方だったりする。

 実態はともかくとして、大国の王と言うのは現人神(あらひとがみ)に等しいため、文字通り神前の誓いになってしまう訳です。

 なので、王族が結婚式に祝福に来て戴いても、当人達にとってリスクのみがあって、メリットがないと言うのが本当のところなんだよね。

 だって、上手くいく夫婦って言うのは、王族の祝福が有ろうが無かろうが関係ない訳ですからね。

 おまけに、王族に粗相をしようものなら、不敬罪で即死刑って言うのがある世界ですから。


 陛下達は、根は優しい方達でそう言う事はそうそうないと言っても、それは個人でいられる時の事で、王族としていた場合は当然ながら怖い方。

 陛下に死刑を申し渡された人間など、両手両足の指では数え切れない程いるらしいし、直接手を下された方もいると聞いている。

 魔物が生態系の頂点であるこの世界では、優しいだけの王など、何の役にも立たないのが実情。

 以前に国の西端部での紛争を終わらせた陛下は、間違いなく剣を振るえる王。

 荘園持ちとは言え、法衣の子爵家の令嬢でしかなかったセレナが、遠い目をしながら怯えるのも分かる話。


「……ユゥーリィの阿呆、……馬鹿ぁ」


 なので、これくらいはしょうがない。


「……ちんちくりんの、……ぺったんこ」


 腹は立つけど、私の悪口くらいで収まるならね。

 あ〜、よしよし、頑張ろうねぇ。


「……断れってのぉ」

「セレナ、陛下を相手に断れる?」

「……無…理……うぅぅ、でもでも……」


 公的な参加ではないから、セレナが心配する様な事はないけど、そこは王族の威厳があるし、子供の頃からそう教えられてきている訳ですからね、無理も無いと思う。

 流石に周りがセレナを嗜めに掛かるけど、あまり効果がなかったみたい。


「……分かるけど、……この、くそビッチ」


 よし、セレナ、とことん話し合おうか。

 いくら友人でも、その言葉は聞き流せない。

 うん、どうしたの〜、いきなり固まっちゃて?

 私、何処かの権力者と違って、ちゃんと話し合いますよ。

 男相手ならともかく、女の子相手に暴力は私が嫌ですからね。

 ノー、ヴァイオレンス。イエス、ピース。




 うん、話し合いは大切。

 分かってくれるって、素晴らしいよね。




 〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・




ポーニャ「ユゥーリィさんの全力の【威圧】って、暴力では?」

ルチア「そうですか?

    反抗的な態度を見せた領兵との話し合いでは、私はよく使いますよ」






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― 新着の感想 ―
[一言]この人たちの言ってる全力って無意識的に出た中での一番強いやつってことですよね
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