↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私、お嫁になんていきません【1000万PV突破】  作者: 歌○
第三章 〜新米当主編〜
318/1138

318.作り過ぎちゃったので、お裾分けでは勿体無いので、販売します。





 この世界には、魔法や魔力を持つ凶悪な獣を魔物と呼び、地を這う魔物を魔獣、天を舞う魔物を魔鳥、そして水に住む魔物ま魔魚、虫型を魔虫などと言うけど、最後の方はあまり一般的では無い。

 そして中には植物の中にも魔力を持つ物はあるけど、総じて微々たる物なので、特に総称たる物はないらしいけど、一部では魔草と呼ばれているとか。

 そして何時ぞや読んだ旅行記に載っていたある草の記述に気になって、調べてみたら魔力を僅かに吸収して維持する性質があった。

 そして、別の古代の医療術の中に、ほんの僅かにだけど治癒魔法を助けてくれる薬草があり、当時はそれを助けにしていたみたいだけど、時代とともに治癒魔法が発達して、そのほんの僅かな助けなど意味をなさなくなり、使われなくなった薬草は、どうやら聖属性を持つ植物だと思われる。

 他にも幾つか触媒になっていたり、効果を維持するための物だったりと様々な薬草などが使われてはいるけど、その二つの薬草がポーションの主材料。

 でも薬草とは言っても、基本的にこの二つは雑草に近い性質なので、ある程度纏めて植えておけば勝手に増えて行くので大変に有り難い。

 むしろ他の触媒等に使う少量使う薬草や薬木の方が、栽培が難しかったりするのだけど、こちらは栽培方法が確立している物ではあるので、知識さえあれば私でもなんとかなったりする。

 詳細はともかくとして、メインの二つの薬草と、その他の多種の薬草とでは全体の差で百倍近く違う。

 それだけ繊細な分量比を見つけ出すのには苦労したけど、結局は何が言いたいかと言うと。


「ユゥーリィ、増やしすぎでは?」

「ゔっ、そんな事は」

「リズドの屋敷の敷地が四つは入りますわよね」

「みっ、三っつぐらいじゃ、ないかなぁ……」


 この二つは常緑多年草でもあるみたいなので、そう変わり映えはしない光景に見えるけど、やっぱりこの季節から夏にかけては大きく育って行く訳で、特に調子に乗って昨年取れた種を撒いたりしたものだから、二人が呆れるぐらいあったりする。

 ええ二種類でそれだけではなく、一種類がそれだけずつある訳なので、二人に呆れられても仕方ないかも。


「もう多く作る必要はないんでしょ?」

「教会や国でも栽培を始めている訳ですよね、こんなに必要かしら?」


 うん、はっきり言って私個人では、商売をするにしてもここまでは必要ない。

 教会に売ってかなり減ったとは言え、在庫も個人分であれば十分と言える程ある。

 仕方ない、せっかく増やしたけど減らそう。

 減らした分は遅蒔きのレンズ豆や小豆とかにすれば良いしね。




 〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・




「と、言う訳で、苗として売れました」


 教会に話を持って行ったら、大変喜ばれましたよぉ〜。

 私から態々買わなくても採って来ればあるとはいえ、群生地は遠いし、私が昨年に既にそれなりに採った後だったので、自然回復を考えてもあまり採取できない状態。

 とにかく主要都市にある教会の管轄地で栽培しようと思うと、時間を掛ければ種を回せても、今はその時間が惜しいらしい。

 移動手段が一般的には徒歩か馬しかない上、運送技術が未熟だから、基本的に苗ではなく、種の状態で運搬だもんね。

 そういった理由から、畑と言う理想の環境で育てたため、大変に増えてしまっている我が家の余剰の薬草の話は、各地への移植用に丁度良かったみたいで、纏まった量があるならばと、国の空間移動持ちの魔法使いに、移植のための空間移動を用いた運搬の要請をしたみたい。

 ポーションを利用したいのは国も一緒ですから、利害一致はしているので主要都市を軸にして、今後は各地で栽培を広げてゆく予定らしい。


「ユゥーリィが凄いホクホク顔をしている」

「あれってあれだよな、商売が美味しすぎて堪らないって顔だよな」

「だよねぇ。一体幾ら吹っ掛けてきたんだか」

「少しは回して欲しいよね。移送用の箱に入れるの手伝ったんだから」


 そこの四人組、人を業突く張りみたいな言い方は止めてください。

 だいたい回すも何も、私の収入がそのままアドル達の給与になっている訳ですから、問題はないでしょうが。


「真面目な話、金板貨二枚(にせんまん)だったわよ」

「あれ? 思ったほどでは」

「いや、でも結構な金額だよな」

「私達が稼ごうと思ったら、どれだけ掛かるかだよね」

「ユゥーリィの話聞いていると、金銭感覚が麻痺しそう」


 まぁ初期取引を思えば、かなり安い金額だけど、あれはレシピの公開分も含まれているからね。

 それに使ってしまう分もあるから仕方ないけど、数年待てば移植分は確保できると分かっている物でもあるから、前回よりも買取金額が下がって当然。


「雑草が金板貨二枚に化けたと思ったら、そりゃあホクホク顔にもなるわよ。

 移植作業は王都の教会に持って行くだけだったから、作業としては半日程だった訳だしね」


 やっぱ悪どいとか言うな。

 向こうが提示してきた額が高すぎたから、これでも半額以下にしたんだからね。

 本音を言えば寄贈でも良かったのだけど、教会とはあくまでビジネスライクでありたい。

 甘い顔ばかりしていたら、教会に利用されかねないからね。

 もっとも、リズドの街の分だけは寄贈したけど、それはそれ、活動拠点ですし、この街にはお世話になっている人達も使っていますから、甘くもなります。

 あと冗談じゃなく、何か欲しい物があれば買ってあげるわよ。

 ……言ってみただけで、お小遣いには不自由していないと。


「真面目な話、仕事中は自分の財布とは別に、職務に必要な非常時用のお金と、護衛先での待機中の飲食代まで貰っているからな」

「飯代も、宿代も、服代すら掛からないから、本気で金使わないし」

「武具も揃えてもらっているから、お小遣い以外は貯蓄に廻せるもんね」

「ユゥーリィ見ていると、華やかな贅沢って、あまり憧れなくなるよね。

 今が地味に見える贅沢で、華やかになると堅苦しくなるだけって学んだし」


 何か一部でディスられている気がするけど、貯蓄できているならなにより。

 子供の銀板貨(じゅうまん)と、大人の銀板貨(じゅうまん)では、価値が違うからね。

 四人がもっと成長していって、誰かと結ばれて子供を授かれば、それなりにお金は掛かるだろうし、子供の養育費や教育費を考えたら、今、四人がしている貯蓄なんて、あっと言う間になくなっちゃうと思う。

 今回得たお金だって税金分を取られたら、警備の方達の分も含めて、ウチの子達の数か月分のお給料分にしかならないからね。

 現時点で(・・・・)貴重な薬草を、あの面積分の面倒を見てきたと思えば、これぐらいが妥当だと思う金額でもあるから、側から見たらそれほど変な金額ではないんだよね、これが。

 まぁ、目立つ雑草だけ抜いて、ほぼ放置ではあったけど、それもその前に畑の土を魔法で天地返しなどをして、徹底的に耕してあったからこそ。

 手作業でやったら、かなりの重労働には違いないので、教会が提示した金額もそれほど高額と言うものでもない。

 まぁそこはそこ、ビジネスライクではあっても、教会の真面な方達には尊敬もしているし感謝もしているので、余剰している薬草の処分という事で儲けをあまり考えなかっただけ。

 シンフェリア領のあの腹黒神父ですら、エリシィーに救いの手を差し伸べなかった事に対しては思う所もあるけど、ある意味教会らしいと言えば教会らしいし、それ以外ではエリシィー達母子には誠実だったともエリシィーは言っていたので、ある意味、腹黒で裏工作が趣味の変な老人だっただけと今は思える。

 エリシィーの件を、許せるかどうかは別の話としてね。




 〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・




「ん~~♪」


 入浴後のまた~~~りタイム。

 居間で、帳面に向かって鼻歌気分でペンを動かして行く。

 書いているのは衣装なので、半分お絵描きとも言えるけど、実際に着てくれる相手がいると思うと、楽しい訳です。


「ユゥーリィ御機嫌だけど、なに書いてるの?」

「さっきから人をチラチラ見られて気になるんだけど」


 その、対象のセレナとラキアの二人が、私の視線に気が付いて声を掛けて来るけど、イキナリ帳面を除き込まないあたりは、流石に礼儀があるよね。


「別に~、二人の夏の制服を、そろそろ考えておこうと思ってね」


 専用の帳面にしてあるので、特に見せて拙い物はないので、二人に帳面を広げて見せてあげる。

 本人達が着たいと思える服の方が良いしね。

 ついでに男組二人の分も見せるけど、ハッキリ言って彼等に選択権は無い。

 私じゃなくて、目の前の二人の意見によってだけど。


「うわぁ、これ良いわね」

「ここの所がね」

「あっ、でもこっちの足出しはちょっと……、私、ユゥーリィと違って足太いから」

「レースは良いけど、イザと言う時に何かに引っかかるから、目の細かい物にしてほしいかな。それでいて可愛らしくね」


 意匠図の元は前世のゲームやアニメの服なのだけど、流石に十年以上前の記憶なので参考にしているのは全体のイメージだけで、細部は最初から起こし直しなのだけど、この世界の既存の服に捉われない感覚は大きいみたい。

 何方にしろ、異世界なのでリアルコスプレをしようとネタバレの心配はないし、変更も自由と言えば自由。

 実際、今、私やジュリやエリシィーが着ているのも、前世の東●プロのキャラが着ていた服を模した物だったりするし。


「おーい、もう選択権が無いのは諦めたけど、あんまり派手なのは止めてくれよ」

「自分の主より派手な服を着ている護衛だって偶に嫌味言われるし、尾行する時とかにも困る」

「いざとなったら私の盾になるのがお仕事なんだから、派手で目立ってもらわないと。

 それに何のために外套がリバーシブルになっていたり、アンダーが目立たない色にしてあると思っているのよ」


 実際に肉の盾なんて真似をさせる気はないけど、そう言わないと納得してくれないし、護衛と言う仕事の内容を考えれば、的外れな事ではない。

 本音は、四人とも折角タイプの違う美男子に美少女なんだから、是非とも似合う格好をして貰いたいし、隠れ蓑として私より目立ってほしい。

 私なんて、何か白いのがいるで十分なのにね。

 だと言うのに、何故か私が好んで着たいような服は、皆んなして却下される訳で。


『貴族以前に庶民の服としても地味ですわ』

『ユゥーリィには、私達が自慢できるような服を着て欲しい』

『お嬢様には、もっと貴族の当主らしきお姿である事を望みます』

主人(マスター)は、もっと自分を魅せるべきかと、折角素材が良いのに勿体無い』

『俺が言うのもなんだけど、年頃の女の子の選ぶ服じゃないと思うぞ』

『ユゥーリィが着るならどんな服も似合うと思うぞ、だけど流石にそれはなぁ』

『街娘まんまと言うか』

『田舎の農村の娘だよね』


 汚れても目立たない、木や枝に引っかかり難いように装飾は極力廃して、実用性を求めた作業服の何が悪いと言うのか。

 あとラキア、私、まんま田舎の人間だから、それ何の皮肉にもなっていないから。

 と言う訳で、私の服は皆を納得させる細かな意匠にしつつ、配色などで目立たないような工夫を入れている。

 もうね、毎回毎回、特にジュリとエリシィーを納得させるのに苦労します。

 そうでないと、二人とも折角似合う可愛い服を着ないと言うんですよね。

 皆んなの格好良い姿や可愛い姿の前には、中身がオジサンの羞恥心なんて物は棚の上に保管ですよ。

 ええ、二人の可愛い姿も視れるなら、おそろいのメイド服だって着ますよ。

 まぁその後は……その……まあ、……そう言う事で。




 〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・

【服飾店】



「では、このような感じで作らせて戴きます」


 顔馴染みの服飾師に、厳選に厳選を重ねて採用になった意匠図を渡して、制作をお願いするのだけど、幾ら私が頑張ろうと、そこは所詮は素人の意匠図なので、それなりに修正が入ってしまう。

 流石に初期で意匠図から逸脱するような物にはならないのだけど、何故か地味に見えそうで、それなりに華やかな気品がある衣装になちゃってるんですよね。

 あの意匠図から、毎回よくもあそこ迄、洗練しつつも華やかな意匠の物に直す事が出来るものだと感心する。

 まさに匠の技だよね。

 もう巧み過ぎて文句が言えないし、意匠の勉強にもなるので黙って受け入れてはいるけど、一応は毎回遠回しに、なるべく地味方向にと私の意図を伝えても、向こうもやんわりと遠回しに、いい加減に諦めて受け入れろみたいな事を言ってくるんですよね。

 その事で文句を言おうものなら、私の保護者枠であるラフェルさんとライラさんが介入してくるので、無駄な抵抗はしない。


「布地の方は、いつも通りで?」

「試してみたい物が入っているなら構いませんけど、儀礼に則った範囲でお願いします」


 当主である私はともかく、従者や執事や護衛には、それぞれ仕える家の爵位に応じた布地を使う事が貴族社会的に望まれるみたい。

 要は、服の布地の値段に差異をつけて、どの程度の爵位の家の者かを、よく見れば判別出来るようにするためらしい。

 この辺りは古い貴族社会の儀礼なのだけど、ウチみたいな新興貴族があまり逸脱した真似をするのも宜しく無いと思うので、服飾の講義で学んだ通りそこは則っているし、そう言った儀礼の大切さは本当に勉強になったんだよね、あの服飾の講義の講師の先生。

 ただ、この古い風習には抜け道があって、服の装飾とかは適用されないので、余裕のある家は細かなところで差別化を図っているし、あまり雁字搦めにしてしまうと、他の家の者との見分けが付かなくなってしまう。

 抜け道の存在は、そんな事態を避けるためだったりする。


「あと、此方も、此方の素材で、こっそりとお願いします」


 その言葉で、私の女中(メイド)服の時と同様に、お遊びの服だと理解はしてくれた様で、何も聞かずに受け取ってくれる。

 用途や使用もメモ書きしているので、態々これ以上の事を説明する必要ない。

 ええ、濡れても透けない服とかね。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。