316.最近の講義内容には不満です。なので子供達に癒されに行きます。
とりあえず、古い歴史を持つ一族郎党諸共路頭に迷わせた事については、私の中でそれなりに整理がついたので、数日ぶりに学習院で講義を受ける。
今日は広域社会学と商業事業学なので、私としてはなるべく受けておきたい講義だから、尚更気分が向いたと言うのもある。
ちなみに、ここ二年で他の講義も色々受けたのだけど、私にとってあまり意味のないものだったかな。
芸術学の工芸部門は工芸技術等を学ぶような講義ではなく、各地の工芸品の勉強でしかなかったため、知識としてや商業的には役に立つけど、手に技術を持ちたい人間が受けたいような内容ではなかった。
おまけに技術を身につけたいと言ったら、工房を紹介するから弟子入りしなさいという丸投げの返事が戻ってくる始末。
服飾学も、基本的には貴族向けのドレスとか装飾品の意匠の事ばかりで、一般向けの物はなく、その内容も伝統に則った物にすぎず、……言うなれば古典であって現在では儀式とか、伝統ある奥ゆかしい催し以外には、そのままでは役に立たない内容。
期待していたような、手に技術を身に付けるような物ではなかったけど、視点を変えれば、伝統や格式美を学ぶには大変優秀な講師の先生ではあったんだよね。
当時に世情や背景を想像し、どうしてそうなったかを考えると、それなりに面白かったのだけど、何故か講師の先生に目の敵にされていて、その理由と言うのが伝統を無視した服を世に広めている事が理由みたい。
いえ、私が広めたのではなく、私が関わっている服飾店が貴族の御婦人方に売り込んで、御婦人方が社交界で広めただけで、私ではないですよ。
特に腰を極細に見せるコルセット廃する風潮を作った元凶で、代わりの補正下着を広めた事でそうとう腹に据え兼ねたみたいで、態々講師室に呼びつけては怒鳴りつけてくれた程に熱意溢れる先生。
もうね伝統に凝り固まって、新しい物を受け入れるキャパな完全に無くなっていたんですよね。
うん、適当に流したんだけど、それが余計に気に食わなかったみたいで、講義中は事ある事に質問をぶつけて来たんですよね。
ただ、単位認定を試験ではなくレポートにされたので、どうせ私の視点だけでは不可にされるのが目に見えていたので、色々な方の御助言を戴いて作成して合格間違いないの御言葉を戴いて提出したレポートは、返却の講義の時にボロクソに扱き下ろされて単位は認定できないと言い切られてしまった。
でも、せめて扱き下ろすなら、きちんとレポートを最後まで読んで欲しかったなぁ。
前世の癖で、参考文献や助言を戴いた人達の名前とかが、どの家に所属しているかを込みで記載されている訳ですからね。
『先生、単位を認められないのは分かりましたし、こうしてその結果を発表された以上は取り消せないのは分かりますが、最後の頁を、今一度見て戴けませんか?』
私がレポートを作る上で教えを受けたのは、伝統と格式を持つ古き血筋の家で、伝統ある儀式等を専門に衣装を担当する服飾士の方々。
単位を取れなかったのは残念だけど、本当に服飾の伝統と格式を学ぶには、優秀な先生だっただけに、急遽、学習院を辞められたの残念で仕方がない。
今は、何処で何をやっているか知りませんけどね。
あっ勿論、お力添えをして戴いた方には、私の力不足で単位を取れなかった事に対してお詫びし、レポートに対する先生の論表は伝えましたよ。
御協力をして戴いておきながら、何も報告しないと言う訳にはいきませんからね。
建築学は、まぁ楽しかったかな。
古代建築学から現代建築美学などはね。
ただ肝心の工学的な事はほとんどなく、面白そうな建築形式の模型を作って、重量計算や構造力学的な質問の話を振ったら、単位はくれるから、もう来るなと言われちゃったんですよ、酷い話だと思わない?
仕方ないので、後ろの方で壁の染みと化して、大人しく講義を聞くだけしていましたけど。
生存学。
初日に問答無用で単位はやるから来なくて良い、と言われたのは本気で解せなかった。
ええ、魔物の領域で平気で狩りをしてくる人間には、教える事などないなんて酷い言い草だと思いません?
言語学。
講師不足で、読み書き出来る先生はいても、会話を出来る先生がいないので、基本的に翻訳してそれを先生が添削するだけの、実につまらない授業だったので、なら同じ翻訳するなら研究用に溜め込んである外国の本の翻訳をしていたら怒られた。
隣国のガイア語以外は判らないから、他言語を翻訳したのを持ってこられても困るって。
でもガイア語って隣国だけあって、手持ちの外国の書物で一番持っている言語の本だったりする訳で、既に読み慣れているため、辞書がほぼいらない言語ですよ。
その後、辞書片手でも、読み書き出来る言語を聞かれたので答えたら、単位はあげるから此処に来るだけ時間の無駄だと、追い出されましたよ。
まったく、解せません。
そんな事などがあって、今年は受ける講義が本当に少ないんですよね。
軍学系や剣術系や馬術の講義や実技なんて受けても仕方ないし、今受けている講義の系列も、今期で終わってしまう
しかも商業事業学なんて、海外との貿易の講義の合間に、王都にある某店舗を実例にして、妙に私に質問を当てるんだよね。
自分の店の事だから、答えれない訳ないと言うのに、……ほかの受講者には有意義かもしれないけど、私にとってあまり有意義な講義では無いので、困ったものです。
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【甘味茶屋、花の蜜】
そんな訳で空いている時間を使って、エリシィーと甘味のお店で子供達と一緒にお菓子作り。
今日はみたらし団子と、白玉を使ったお汁粉。
本当は、餅米から作った寒晒し粉を使うのだけど、餅米はお店で何時も出せるほどは無いので米粉で代用。
お汁粉なのは私的に善哉はお餅、お汁粉は白玉という思い込みがあるため、どうせこの世界では正解を知る者はいないから、言い切った者勝ちと言う事で、私は言い切っちゃいます。
「ユゥーリィ様、こんな感じで良いですか?」
「そうそう大きさは均一で、真ん中を窪ませた感じで、よく出来ているわね」
「えへへ♪」
この店の子達は店長を除けば、下は七歳から上は十三歳くらいの子達ばかり。
これより大きな子達は、なんとかその日暮の仕事にありつけたりしているし、これより小さな子達は親と一緒か、生き残れずに自然と消えてしまっていただけ。
こう言う子達は、貧民街で小さなグループを作って協力しあいながら、なんとか生きているのだけど、そこでは弱肉強食で、助かるグループもあれば助からないグループもあり、この子達は何方かと言うと、【誇り】が邪魔をして助からないグループの子達。
こう言ってはなんだけど、ああ言う極貧の環境で力強く生き残る達は、他人を蹴落とし、騙してでも生き残ろうとする意志の強い子達。
でも、今、この子達がこうして笑っていられるのは、その【誇り】があったからこそだと私は思う。
例え、それが私に拾われた偶然があってこそだとしてもね。
「後は茹でて水で冷やしたら、トレーに乗せて保管しても良いし、最初から器に入れておいても良いわ。
みたらし用の団子は、丸いままで冷やした後に串を打って、同じように保管ね」
みたらし団子は遠火でじっくりと焼き、白玉はみたらしのタレと共に、お汁粉を作っていたエリシィー達のグループの物と合体。
「白玉を作る時は水じゃなくてミルクで作っても良いし、水の代わりに燻製にする前の豆腐や豆乳と混ぜて作っても風味が変わって面白いわよ。
あと団子のタレの代わりに、餡子を乗せても美味しいから、皆んなお店に出せるように研究してみてね」
「「「「は〜〜い」」」」
小豆やレンズ豆は、今のところ輸入に頼っていて、何方かと言うと客寄せ用の赤字商品ではあるけど、今年はなんとか栽培が上手くいかないかなぁと思っていたりする。
植える時期とかは、海外の書物になんとか載っていたし、今年、上手くいかなかったら、何処かの農家と契約をする事を考えても良い。
「あと何度も言うけど、怪我や病気の時は、遠慮なく店長に言いなさい。
病気のまま仕事をされる方が迷惑だし、それくらいの事で貴方達を見捨てたりはしないから安心なさい」
今、このお店が繁盛しているのは、間違いなくこの子達の頑張りがあってこそ。
ならば、私は雇用主として、この子達が安心して働けるようにするのがお仕事。
とりあえず、治癒魔法を込めたポーションを十本ほど常駐しておくかな。
切り傷や火傷だけでなく、滑って転んで打撲した時にも使ってもいいようにね。
ちなみにこのポーション、一本あたり銀貨六枚、筒を返すと次のポーションは銀貨五枚になる割引になる仕組みで、買取にすると良からぬ事を考える人がいると言う仕組みになったようだ。
現状では原料となる幾つかの薬草の栽培が間に合わないため、私から買い取った物か、採取に頼る事になるため採算割れするみたいだけど、足りないのはどれも多年草で比較的簡単な栽培出来る物ばかり。
なので、現在教会の空いてる敷地に種を植えたり、他所から採取してきた物を植えてみたりと大忙しいらしい。
とにかく原料を安定供給させるためには、元となる物を増やさないといけないですからね。
そして栽培は教会だけでなく、国も栽培を始めているとかいないとか。
教会とどう言う取引をしたかは知らないけど、納品先は王宮と言う事で教会から魔導具の追加依頼があったんですよね。
追加依頼の無茶振り条件である、戦災級の魔物の魔石は向こう持ちの上、値段はそのままなのにね。
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【甘味屋、男が甘いものを食べて何が悪いっ】
「貴方達、飾り付け上手くなったわねぇ」
「当たり前です。
見ていて涎が出そうな見た目にしないと」
「男だって見た目が綺麗で可愛い物を食べたいですよ、きっと」
「迫力は欲しいですけど、やっぱり、見た目な華やかさは大切です」
「かと言って、可愛すぎるのは、引いちゃいますからね」
女の子組と違って、男の子組は逞しく育っているみたい。
もうね、この店に出すお菓子に対する独自の美学を持っちゃってますし、飾り付けなんて、私の腕なんて軽く通り越しちゃっていますよ。
ただ、発想そのものは硬いみたいで、既に知っている物の捏ね直し。
それだけにそのお菓子に関しての技術は上がっていくのだけど、それでやっていけるほど御菓子業界は甘くない。……甘いお菓子でもね。
とにかく、此方のお店でも米粉を使ったお菓子を数種を一緒に作る。
「それにしても貴方達、味見でも満足いくか全部食べたりしている割には、全員太ってないわね。良い事だけど」
「無論です。
食事も大切だと言われていますから、食事は抜かさずにきちんと運動をしています」
「ユゥーリィ様も、エリシィー様も、醜く太った豚は嫌いと仰ってましたしね」
「ええ、絶対に太るなんて真似はできません」
いえ……、そこまでは言っていないから。
甘い物の試食し過ぎで体を壊さないか心配しているだけで、太らない程度の試食にしなさいねと言った程度ですよ。
なので豚さんは何処から出てきたのよと言いたいけど、そこは黙っておく。
健康に気をつかっているのなら、態々水を差すまでも無い事だもの。
「早朝鍛錬」
「夕食前の鍛錬」
「入浴前に、教わった全身運動の舞踏」
「おかげさまで生地を練るのも楽になりました」
「小麦や砂糖の袋も楽に持てるようにも」
「そ、そう、頑張っているのね、とても偉いわ」
うん、この子達、すっかりと細マッチョになっちゃって。
あんまし筋肉着け過ぎると今度は身長が伸びなくなるから、程々にするように店長に言っておかないと。
あと、全員、そろそろ服を作り直しね。
成長期と膨れた筋肉で、服が小さくなってきちゃってるわ。
「試食が済んだら、全員採寸ね。
サイズ測ってあげるから、並びなさい」
喜んでくれるのは良いけど、そんなに服がキツかったのかな?
……えっ? ええ、もちろん私が測るつもりだけど。
何故かお祭り騒ぎになる男の子達、まぁ男の子だし、なんでもお祭り騒ぎにしたがるのも仕方ないわよね。
……エリシィーは測らないのかって、言わなくても手伝ってくれると思うわよ。
私の言葉に何故か、ピシッと私かエリシィーに別れる子達と、私かエリシィーの何方にしようかと迷って、並び終えている男の子達に睨まれる子達。
うん、中身が男の私でも、謎行動すぎるわ。




