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私、お嫁になんていきません【1000万PV突破】  作者: 歌○
第三章 〜新米当主編〜
304/1131

304.大型の田植え機にだって、余裕で勝てますよ。





「はい、これが最後の一本♪」


 これが言いたくて、一度にやらず態々残していた苗を力場(フィールド)魔法で田んぼの柔らかい泥の中にしっかりと植え込む。

 今日は秘密の研究所で田植え作業。

 これをやらないと、美味しいお米が食べれなくなるんですよね。

 去年のが山ほど残っているけど、美味しいお米にして行くためには、どんどん作って良い種籾を選定してゆく必要があるし、作り続けないと田んぼの土は良くなって行かない。


「なぁ、やっぱりユゥーリィとジュリさんだけで良かったんじゃねえか?」

「わざわざオレ達が泥の中に入る必要性って」

「多分こっちが本来の姿なんだろうけど」

「ユゥーリィの作業を見ていると、馬鹿馬鹿しくなっちゃうよね」


 いえいえ、一反ぐらいは頑張ってくださいよ。

 私とジュリでその十倍以上をやっているわけですから。

 それに比べてエリシィーは、黙々と続けていますよ。

 ……不条理なのは今更だから気にしていないって。

 何気に冷たいですけど、作業分担を決めた以上は、エリシィーの作業を取ると怒られるので、敢えて手は出さないようにする。

 その代わり、皆んなが作業を終えて、すぐに手や足を洗えるように準備をし、布巾や飲み物を準備。

 見た感じ、今日植える分は、あと四半刻ほどで終わりそう。




「ぷはぁ〜、生き返る」

「腰が痛くなるけど、この光景を見るとやった感があるよな」

「ほぼユゥーリィ一人でだけどね」

「ユゥーリィが三十、ジュリさんが一、私達五人で一って感じだけどね」


 実際は私の方がもっと多いけど、そこは突っ込みませんよ、皆んなでやり遂げたと言う事が大事であって、誰がどれだけやったかなんて、どうでも良い事だからね。

 とりあえず、今植えた稲が実った後で、去年の御米が余っているようなら、飼料にするなり、米粉にして団子や白玉にして甘味屋で使っても良いしね。

 甘味屋と言えば、今年は田んぼを増やした分だけ餅米を増やしたから、お餅を使ったメニューもレギュラー化できると良いなぁとか考えている。


「田んぼに空や山が写って綺麗ね。空の上にいるみたい」

「うん、私もそう思う。エリシィーって、結構詩人だよね」

「ユゥーリィの方がこういうの好きでしょ」

「詩集は読まないけど、こういう風景は好きよ。

 自然の芸術って感じでね、その景色中にいると思うと、またそれが心地良いのよね」

「やっぱりユゥーリィの方が詩人だと思う」


 ジュリもこういう景色見ながら、静かに本を読むのも良いかもって、うん、そうだよね。

 でもこういう長閑な風景を見ながら、変な妄想を膨らませて本を読むのはどうかと思うよ。

 ……暗号だらけの研究書や、書類ばかり読んでいる私に言われたくないって。

 いえいえ、こういう景色を見ながらなら、旅行譚とか植物関係の本を読むぐらいの分別はあるつもりです。

 あと、一部の本の事でエリシィーと話に花を咲かせているのは知っているけど、セレナとラキアとプシュケを巻き込まないように、三人とも本気で困っていたからね。

 無理な腐教・もとい布教はしない事。

 エリシィーも聞こえない振りをしない。


「「ぶぅ〜、ぶぅ〜」」


 書いといてなんだけど、とても二人のその手の会話には混ざる気にはなれない。

 別の作者の会話になったとしても、何故か私の作品と比較されるので、もうね聞いていられない。

 作者殺すに包丁は要らない。

 ただ目の前で朗読するなり、評論合戦するなりすれば良いだけの事。

 ええ、書いている分には楽しいけど、聞かされるのは拷問です

 そう言う訳で、私の部屋でその手の会話は禁止にしてある。


「四人とも、この後の繁殖槽のお世話はお願いね。

 私は増設作業の方をやるから」

「だいぶ増えたもんな」

「今年どころか、これからも増え続ける訳だし」

「どう見ても手狭になるわよね」

「時折、知らない子が混ざっているから、外からも獲って来ているみたいだしね」


 今迄は研究や試作用にしか使っていないから多く感じていただけで、本格的に生産が始まったら、まだまだ数を増やして行かないといけない。

 それに最初は私とジュリと二人だけだったから、今の小さめの繁殖槽だったけど、人手が増えたから安心して大きくできると言うのも、繁殖槽の拡張工事を決めた理由の一つ。

 将来的な事を考えると、きちんと区分けして病気対策や効率を考えた施設に作り直す事を視野にしておいた方がいいかな。

 この一年で、大雑把ではあるけど生態は分かってきたから、それに応じた繁殖槽に作り直した方が良いだろうし。


「そう言う訳で、エリシィーはラキアと畑の方をお願い。

 側で作業をしていると、あの子達、気が立つだろうから、終わるまで近づいちゃ駄目よ」

「ん、分かった」


 繁殖している魔物達は、エリシィーにも慣れていると言っても、それは普通の状態の時。

 近くで大きな物が動く作業をしていたら、興奮気味になる子がいないとは限らないし、そうなると私やアドル達と違って普通の子であるエリシィーには、安全第一でいて欲しい。




 〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・




「ぁぁぁ……、これ何度やっても気持ち良いよね」

「セレナ、そろそろ変わりなさいよ」

「ん〜、もう少し」


 本日の作業を終え、時間的にはかなり早いけど、温泉でまったりタイム。

 去年から人気がありすぎて取り合いになっているのが、増設した細かな泡と水流が出る坐湯コーナー。

 王宮のお風呂を作った時に納めた魔導具のお風呂施設の一つであり、此処にあるのは練習で作った物なんだけど、そろそろ増設する事も考えるかな。

 でもその前に男湯の方が先だよね、彼方には、まだないから。


「男湯にも作ったら、此方を増設するから喧嘩しないの」

「此方が先ですわ」

「そうよね」

「此方は五人で一つ」

「知らなければ遅れても問題ない」


 ……アドル達を含めても三対四。

 ごめん、男湯の分はもう少し遅くなりそう。

 それはさておき……、うん、やっぱり胸とお尻以外は成長していない。


「ジュリ〜、最近、胸以外は太ったとか言わないね」

「言い方っ」

「でも本当の事だし、じゃあ、腰回りは成長していないね」

「胸が太ると言うのは、訂正してくださらないんですのね」


 そこはそこ、悔しいので訂正したくありません。

 ええ、十四歳を過ぎても、ちっとも目覚めませんよ、私の約束された勝利の胸(エクスカリバー)は。

 その内に寝過ぎてミイラになっちゃいますよ。 ……ミイラになる程ないけどね。

 とにかく現在のランキングはこんな感じ


 お姉様 > ジュリ > エリシィー > プシュケ > セレナ > ラキア >> 私。

 

 今のお姉様とお母様は、ほぼ同じ位なので、私にも十分に希望はあるはずなんですけどね。


「ごめんね。

 でも真面目な話、食事の量が減ったと言う訳でもないし、むしろ増えているから、どうしたのかなって思って」

「それは、その……、前ほど間食しなくなったからだと思いますわ。

 前は、なんと言うか、食べると安心していたところがありましたし」


 つまりストレス性の過食だった訳か。

 でも、間食が無くなったと言う事は、ジュリを悩ましていた事が無くなったと言うことかな?

 ジュリのストレスの原因……、多分私関係なんだろうと思うけど。

 魔物の領域連れて行ったり、魔法の鍛錬が厳しかったりと自覚は一応あるからね。


 ぎゅう〜っ。

「い゛っ」


 いきなり水面下で脇腹を抓られて小さく悲鳴を上げる。

 つねった犯人であるエリシィーについ抗議の目を向けるのだけど。


「愛されてるわね、ユゥーリィ」


 そう何故か意味不明な言葉を残して、また離れてゆくのだけど、とりあえず分かるのはエリシィーが不機嫌になっている事と、私が抓られ損だって事。

 うん、誰か説明してください。

 私、何も悪くないよね?





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