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私、お嫁になんていきません  作者: 歌○
第八章 〜親としては新米だけど頑張ります編〜
1039/1072

1039.決闘なんて、唯の見世物じゃないですか。なんで私がしないといけないんです?





 駄目だった。

 何故か陛下が良い機会だと面白がってしまった。

 いや、私、魔導士ですよ、剣での決闘なんてお断りです、と今一度言ったんですよ。


「あの汗だくになって、蛙のようにみっともなく地面にひっくり返る姿を晒す鍛錬は、今も続けているんでだろう?」


 そもそも非力すぎて、魔法なしでは剣を真面に振る事すら出来ないとも。


「流石に身体強化ぐらいは認めさせるさ。

 君は見た目だけ(・・・・・)で言うなら、一応は(・・・)か弱い女性だ。

 それくらい配慮しなければ、騎士として以前に、男としても恥を晒す事になるとか言って、相手に認めさせるさ」


 陛下、先程から少し言葉に棘がないですか?

 そんなに毎年飲み会を開くのを、私に断られた事を根に持っておられるのですか?


「受ける理由が私にありませんが」

「そんな事はないさ。

 少なくとも君を魔法がなければ何も出来ない小娘だ、と馬鹿にする者が減る」

「国が多大な予算を掛けている、宮廷魔導士の存在を否定する考え方かと」

「それも誰かさんのおかげで、最近はすっかりと威厳が落ちてしまってね。

 知っての通り、一度解体して別組織として立て直しを図っている最中だ」

「そうなんですか、少なくとも私には関係ない話しかと」

「間接的に原因になり得る事は多々あるものさ。

 そして経緯はどうあれ、普通は罪悪感(・・・)の一つや二つ持つもの(・・・・)だと思わないかね?」


 勝手に突っ掛かって来て、勝手に自爆しているのに、その事で生じた問題に対して責任を取れと言われても知らんがな。


「その経緯が正しい行いであれば、罪悪感を持つなど寧ろあってはならない事かと。

 例えるならば、不正を働いた者の罪を明らかにし捕まえた事によって、その家族が路頭に迷う事になったとしても、その事を責めては不正を正す者がいなくなってしまいます。

 国はその様な正しき者を守るために、その大いなる力で以て周囲に働きかけるべきかと愚考します」

「うむ、その考えには大いに賛同する。

 だが、世の中正しければ良いという訳でもない。

 今の例をもってしても、不正を働いた者を処罰をするのに、全てを明らかにする必要はない。

 無論責任を取って貰う事には変わらないが、職務を解して引退をさせた後に責任を取って貰う方法も在る。

 そうすれば家が潰れる可能性も少なくなるし、その家には貸しを作る事になる上、使用人達も路頭に迷う事もなくなる。

 穏便に済ます手段があるのに、それを考えずに正義の刃を振るうなど、蛮行と大差はないとは思わないかね?」


 伝家の宝刀を抜いて、散々多くの家を潰してきた人が言って良い台詞なのだろうか?

 私が知っているだけでも、両手の指では数え切れないほどの家が、問答無用で潰されていますよ。

 潰されて当然の事をしているので、自業自得だとは思いますけど。


「陛下の言う良い例が、オルミリアナ侯爵家ですか?

 彼処は断絶ではなく、一応は降爵処分でしたし」


 私が原因と言われてはいるけれど、あの家は色々とやり過ぎていたから、遠からず潰されていた事は間違いないだろう。

 それで、そのオルミリアナ侯爵家は当主が公開処刑で斬首と世間には広まってはいるものの、正式な記録では息子に爵位を譲って引退した後に処刑されている。

 その息子も五日後に爵位を更に息子に譲って引退した後に、多くの血族と共に鉱山送り。

 土地を含めた全ての財産を没収。

 その財産の中には、貸し付け証文や様々な権利、所有する商会なども含まれていたため、現金を含めた資産など一切なく、国家反逆罪を適用されているため、信頼もないので誰も貸し付けてくれる訳もないため、そんな状態では使用人など雇えるどころか、住む家さえ失っているので、関係各所を合わせると、述べ千人以上の人間が職を失う事になった。

 結局、鉱山送りになったオルミリアナ家の縁者は、数年で全員が何らかの不幸な理由で命を落としており、数代前に他家に行った人間以外は、オルミリアナ卿の孫とまだ幼い曾孫だけ。

 その孫も既に家名を変えているため、シンフォニア王国よりも歴史があるとされたオルミリアナ家は、断絶したと言ってもいい。

 これが陛下の言う穏便な手段だと言うのだろうか?

 と思い出すかのように話した後……。


「陛下が先程述べたやり方に、一応は沿ってますよね?」

「……君、性格が悪いと言われた事はないかい?」

「陛下にだけは言われたくありませんっ!」


 ジル様もカイル殿下も肩を振るわせて笑っていないで、何とか言って下さいよとばかりに視線を送ったのだけど、ニッコリと笑みでもって返されてしまった。

 ジル様はともかく、蛙の子は蛙と言う事ですね。

 それならば、もっとボケとツッコミを鍛えてもらいたい。


「まぁ君との言葉遊びはそれくらいにして。

 分かっているだろ、こういう輩は一度、徹底的に痛い目に遭わせないと分からない愚か者だって事は。

 それならば、同じ輩が出ないように見せしめにするのが、君の言う後々面倒な事にならない、効率が良い手段だって事だとね」


 これくらいの高度なボケと突っ込みは、人生における良いスパイスですからね。

 さてさて陛下の言うとおりボケは程々にするとして、真面目な話、正真正銘の馬鹿は何を言っても無駄なんですよね。

 特に思考までも放棄している脳筋馬鹿は、力で全て解決出来ると本気で思っている節があるもの。

 向こうからしたら、私みたいな頭でっかちは口ばかりが達者で、腕力の前には何も出来ない人間だと、きっと思っているんでしょうからね。

 だから決闘なんて馬鹿な事を言っているだと思う。


「否定はしませんが、私ではなく陛下がそう思われているのでは?」

「僕もカイルも、馬鹿を相手にしたくない気持ちでは同じだ」

「だから潰せと?

 私の力を直接見せ付けるのは、なるべく避けていたのでは?」

「君が望んでいないようだったからね、その意思を汲んでいただけだ。

 それに今回は、名目上は【剣】による決闘だ。

 君の本来の力を見せ付ける事にはならんよ」

「今回も汲んで戴いた方が、私としては助かるのですが」

「見かけで人を判断する馬鹿が意外に多いと言う事だよ、頭の痛い事にね」


 見かけが童顔、低身長、発育不良、おまけに色なし(アルビノ)の忌み子ともなれば、偏見に満ちた方から見たら蔑む対象であり、同じ人間と言うよりも白いナニカですからね。

 もしかすると白い毛並みの子犬としてしか、目に映っていないのかもしれない。

 でも、その白い子犬は凄腕の猟師で、子供の頃から実戦に慣れ親しんだ牙を持つ相手だと言うのに。

 そういう意味では私も脳筋側の人間でもあると、なんで分からないのかな?

 それとも認めたくないのかな?

 実戦では現実を見つめれない人間から、真っ先に死んで行くというのに。


「喉元過ぎれば、で終わってしまいそうな気も」

「構わんさ、それでもしばらくは静かになるし、それはそれで危険に対して何も察する事の出来ない愚か者だと見切れる」

「つまり、王家のためと言う事ですね?」

「君が舐められているのが原因なのだが、今回も貸りにしておこう」

「いつか絶対に取り立てますよ」

「構わないさ、どうせ支払うのはカイルになる」


 借金を子供に残すような真似をするのは、親としてどうかと思う。

 カイル殿下が、苦笑を浮かべていますよ。

 貸し借りで言えばお互い様なので、気にしませんけどね。


「それで決闘の条件は?」

「先程も言ったように双方共に身体強化の魔法は有りだ」

「盾の魔法は?」

「万が一の事を考えて認めよう。

 ただし身を守るための物であって、攻撃手段に用いるのは禁止させて貰う」

「剣を振るうのに踏ん張ったり、足場を固定するためによく使うのですが」

「その小柄な身体だからな、剣を振るうために用いる事には認めさせる。

 だが、君が以前にサリュードに対して、四方八方から盾の魔法で殴り放題するような真似は止めてくれたまえ」


 アレは乙女の尊厳の緊急事態なのに、その前に立ち塞がるように申し込んできたので、顔見知りだと言う事もあって無視せずに一応は相手をした結果ですよ。

 少しでも早く女性用休憩所(レストルーム)に向かいたかったのだから、多少やり過ぎたかもしれないと思いはしたけれど、何しろ乙女の危機の前には魔法で袋叩き程度は目を瞑れる事だと思う。

 ちゃんと弾力性を持たせた、球型ブロック魔法を使うぐらいの配慮はしましたしね。


「では、不正を働いていないように見せるために、盾の魔法には僅かに色を付ける事にしますが、魔法の使用に関して監視する者を、其方で御用意して戴けたらと思います」

「分かった、公平な者を付けると王の名に置いて約束しよう。

 決闘方法は、決闘法騎士項目第七に準じたものとする」


 決闘法騎士項目となると見届け人がいる対戦で、第七となると確か代理を立てる事は出来ない上で、命の遣り取りではなく騎士の埃を掛けた三本勝負の内容だったはず。

 ジル様に一応は確認すると、間違いではなかったようだ。

 確認もせずに頷いたら、痛い目を見たなんて事もあるから確認は大切。


「分かりましたが、綺麗な戦いなんて出来ませんから、そこは御了承ください」

「あの鼻水と涎を垂らしている鍛錬を見ているのだ、最初からそんなものは期待しておらん」


 よし、後で王妃様に陛下に女性の扱いに関して愚痴っておこう。

 中身がオジサンでも、一応は花も恥じらう乙女ですよ。

 みっともない顔をしている状態の事を口に出して揶揄うのは、幾ら何でもどうかと思う。

 陛下、有罪(ギルティー)です。







◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

   【双子ちゃん女中(メイド)の、なぜなにコーナー】

         〜 決   闘 〜

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



メアリー「危ないお馬鹿さんを生暖かく見守るメアリーと」

アンネ 「そのお馬鹿さんの処罰を考えて楽しむ妹アンネの」

メ&ア「「なぜなにコ〜〜ナ〜〜〜♪」」

メアリー「さてさて、今日のお題は【決 闘】です。以前に決闘権についてユゥーリィ様がお話ししたと思いますが、決闘は貴人にのみに許された高貴な権利です」

アンネ 「だから、そこらの破落戸が行っている決闘は単なる武力交渉。迷惑この上もない騒ぎ。これだから腕力にモノを言わせるしかない馬鹿な男は嫌い」

メアリー「因みに同じ武力交渉である領地間武力決戦交渉法とは、別の法律で決闘方法を詳細に定めております」

アンネ 「その名も【決闘法】と何の捻りもない名前。ユゥーリィ様なみ、まぁ略称ですけどね」

メアリー「決闘には見届け人が必要で、その決闘も一対一の一人制、三対三の三人制、五対五の五人制があります」

アンネ 「今の説明で想像が付いたと思うけれど、代理人が決闘する事も認められている。但し、代理人に関しても細かな規定があるので注意」

メアリー「決着方法も相手が死亡、もしくは戦闘不能になるまで行われるものもあれば、鍛錬時の仕合ように相手から有効打を取り、三本中二本を先取した者の勝ちとする方法も在ります」

アンネ 「決闘はどうしても譲れない場合の時に行うもののため、基本的には何でもありの仕合なため、死合と言うのが正しい。ところが今回は相手が卑怯にも周囲の者を利用して、剣でのみの決闘になるように仕向けている」

メアリー「決闘法には双方が同意した時のみ、決闘方法を決める事が出来ます。これは本来は死合にならないための条項であり、双方遺恨を残さないために定められたものであって、相手を嵌めるために使うのは本来の意図ではありませんが……、そこは貴族社会ですので、そこまでも含めて貴族の力と言えましょう」

アンネ 「決闘方法は、剣や槍と使う得物を固定する事が多いものの、馬上仕合や弓による的当てと言った決闘方法も含めて決闘法に定められている。変わった決闘方法だと、馬の早駆けなんてものもある」








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