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私、お嫁になんていきません  作者: 歌○
第八章 〜親としては新米だけど頑張ります編〜
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1038.今更、武闘会の結果に文句を言われてもねぇ。引退したのなら黙っていて下さいませんか?





 飲み会のために毎年送迎する話しは冗談だったようだ。

 断ったら、アッサリと笑いながら認めたからね。

 でも受けてくれたら儲けものであった事は間違いないだろう。

 ただね、そうなるための事情は分からないでもないので、一応は此方から提案はする。

 何故かって、そうしておかないと、何だかんだと理由を付けて我が家に集まろうとしかねないからよ。

 我が家だと山奥の田舎なだけあって、本気で気兼ねなく呑む事が出来るからね。


「数年に一度なら構いません」


 おそらくこう言い出す事すら予想していただろうから、陛下達にいいように使われている気はするものの、妥協点としてはそんな所だと思う。

 毎年ならともかく、数年に一度なら私が逆恨みされる恐れは少なくなると言うのが理由だ。

 国や王家にとって、国境沿いにある貴族に対しては気を使う相手だし、その中でも辺境伯ともなれば意思疎通を図るのは勿論の事、関係を築いておく事は大切。

 これが毎年だと逆に億劫になるし、信用はしていない、だから見張っている、と悪く捉えられかねない。

 一応は真面目に考えての事ですよ。

 同じ辺境伯でも、私だけ毎月のように顔を出して報告する義務を課せられていますけどね!

 でも面倒だからと言う理由で判断したら、もっと面倒な事態になりかねませんから、そこは気を付けています。


「それから、また厄介な人間が動いているから気を付けたまえ。

 君、この間の王都での君の家の催しの際に、相手の面子を潰したそうじゃないか」


 今度はカイル殿下の言葉に何の事か分からなかったけれど、武闘大会の件だと言われて思い出す。


『優勝を他国の人間に奪われるなど、貴方には愛国心という物がないのかね。

 まさか、子供じみた夢みたいな考えをしている間に、我が国の宝を奪われたとかですかな?

 あぁ、見た目からしてそうだったな、失礼した』


 こんな事を言って来た年輩の男性がいたんですよね。

 何方かというと、向こうが喧嘩を売っているような口調だけど、この程度で喧嘩を買っていては社交界なんて参加していられない。

 普通にスルー案件ですよ。

 組合せの操作ぐらいはするけれど、子供じみた夢だなんて評した勝敗の不正なんて、態々面倒な事をする理由がない。

 あと何時から個人の所有物が国の宝に認定されたんですかね。

 そんな報告は一度も聞いた事がないんですが。


『卿にとって色々と御心配が尽きないようですが、私にとっては手慰みで作った玩具を商品にしただけの大会に過ぎませんので、それを国の威信を賭けたと言われましてもね。

 知っての通り、辺境にある田舎で行った、歴史も何もないお祭りでの催しですので』


 という訳で、普通にスルーです。

 田舎の祭りに目鯨を立ててどうするのってね。


『これだから社交の大切さをしない子供は困る。

 陛下が態々参加者を呼び出し、叱責した話しを知らないのかね?

 それこそ、例えどうしようもない田舎であっても、国の威信を背負うべきだという御意志ではないか。

 そんな事さえ分からぬとは、早々に婿でも取って引退すべきだと私は思うがね。

 やはり女性は子供を産んで、屋敷の奥で引っ込んでいるのが一番の幸せですぞ』


 取り敢えず、人の誕生日会で難癖を付けてくる馬鹿を連れてきた家は、次回から招待はしないと決めたけれど、取り敢えず迷惑な方は早々に退場して戴きたく。


『それは王族の方々の時間を取らせた結果、私に態々参加希望者の送迎を依頼する事になったのに、何も成果を持ち帰る事が出来なかったからではないでしょうか。

 大会の後に何度か陛下とお会いしましたが、特に何も言われませんでしたので、それが陛下の御意志であられるかと。

 本日はありがたくも王族の方も参加されておりますので、そのような話しはこの場でするのは少々無粋ではありませんか?

 聞きようによっては、王族の方への批判と取られてしまいますので、お気を付けた方が宜しいと思いますよ』


 私が愛国心が無いのではなく、陛下の期待に応えられなかった方が悪いのだし、それを態々こんな所で口にする方が、陛下の判断に口を挟む事になる上、恥を晒す事になるから引っ込んでいろと、迂遠に言ったのだけどね……、この手の馬鹿には意味がなかったようで。


『国の威信が掛かった話しに、無粋も何も無いわっ。

 聞いているぞ、我が国の者が本戦途中で決勝に残った者に勝ちを譲って棄権した事を。

 それが貴様の配下の者だと調べは付いている

 何故そんな事を態々させる。

 それこそ大会を運営する貴公の不正ではないか!

 あの者達がいなければ、孫が優勝していたのは間違いないのだ!』


 もうね、唯の馬鹿親ならぬ馬鹿爺だったようで、恥だの誇りだの関係なし。

 だから思わず言っちゃったんですよ。


『本戦で棄権した者と言いますと……、確かに我が家の者ですが、元々年齢で引退した年輩の方で、大会を途中で棄権したのも体力の限界を感じての事だと聞いています。

 そもそも、彼等は自らを年寄りだと日々口にしています。

 そんな年寄りに負けた事を理由に責められましても、矛先を向ける相手が違うと思いますが』


 負けた方が悪いってね。

 ぶっちゃけ、準決勝まで大会の内容を見ていないから、そんな細かな事まで、一々私が関与している訳がないでしょうが、事後報告で聞いただけだと言いたい。

 いや一応はそれでも配慮したんですよ。

 陛下から送迎を頼まれた国の騎士の方々が、本戦二回戦までで全員が敗退しているから、目の前の人物の息子さんもその中の一人である事は間違いない。。

 その二回戦も突破出来ない方が優勝していたはずなど、大言壮語どころか臍でお茶が沸かせる誇大妄想だとまでは、流石に口にしなかったもの。

 勿論配慮したのは、馬鹿爺ではなく他の方々に対して。


『お、お父様、何をっ!』

『おまえか、引っ込んでおれ、家の事に女が出る幕ではない』

『引っ込むのはお父様よっ! いいからっ来るっ!』

『父が大変な失礼な事を申しまして、本当に申し訳ありませぬ』


 そこで流石に迷惑な子供のような大人を連れて来た親族が、事態に気が付いて引き摺るように連れて行ったけれど、当分はあの家ともお付き合いは控える事は最早決定事項。

 あの家を紹介した方には申し訳ないけれど、こればかりは仕方がない。

 それにしても、娘の嫁いだ家に迷惑を掛けるだなんて何を考えているのやら、しかも内容からして、難癖を付けたいがために娘を騙して催しに参加した事はほぼ間違いなし。

 だいたいね、誕生会でその主役を貶めるって、社交界でなくても凄く恥ずべき行為だし、その主役が爵位を持った当主ともなれば、数代に渡ってギクシャクした関係になる案件なんですよね。

 面倒なので、関わって来ない限りは一々気にしませんけど。

 でカイル殿下曰く、その馬鹿爺が恥を掻かされ、喧嘩を売られたと息巻いているらしい。


「……殿下、事情くらいお耳に入っているのでしょう?

 それなのにそう仰られます?」

「既に現場を離れ、爵位も子供の譲っているとは言え、短い間ながらも元第五騎士団の団長を務め、更に短い間ながらも元老院にも在籍していた相手だ。

 昔の柵もあって、耳を貸さなければならない者も多い」


 そっか〜あのお爺さん、現当主ではなかったのは、せめてもの幸いだと言えるわね。

 馬鹿馬鹿しいから、相手の事なんで調べていなかったけれど、多分、エリシィー辺りが調べるように指示を出してあるだろうから、あとで報告書に目を通しておこうかな。

 それにしても……。


「短いながらって、ほぼ名誉のためだけの人事ですよね?」

「短いながらも、立派に責任ある重職を果たしただ。

 気持ちは分かるが、言葉には気を付けたまえ」


 否定しない段階で同じだと思うんだけど、王侯貴族って、そう言うの大切にするからね。

 大抵こう言うのって、面倒な人間に名誉を与える代わりに、早々に現場から引き剥がすための口実なのよね。

 それを本気で名誉だと思っているあたりが滑稽と言うか、そういう人間だから追いやられたと言うべきか。


「因みにお聞きしますが、相手の方はどう動かれているのですか?」

「……呆れる事に決闘だと息巻いているらしい。

 剣でのな」

「……あのう、私、魔導士ですよ、本職は魔導具師ですけど。

 そんな相手に剣で決闘を申し込もうって、何を考えているんですかね」

「一応は本職は領主と言う事にしておきたまえ。

 そんな人物だから【短いながらも】だったのだよ。

 大方、剣での決闘に持ち込んで魔法さえ封じれば、力でねじ伏て痛い目を見させれば、女など言う事を聞かせられる、とでも考えているのだろうな」


 お、大人げねぇ……。

 いい歳した年寄りが、何を考えているのか。

 と言うか、普通に考え方が人として最低だと思うんだけど。


「それでも一時期には剣聖候補になったぐらい剛の者なのだよ。

 剣の腕だけ(・・・)は尊敬を集めている」


 つまり脳筋馬鹿って事なのね。

 あの世代だと、ドルク様が剣聖の称号を戴いているから、もしかすると顔見知りかも。

 後でお話を聞きに尋ねに行ってみようかな。


「剣聖を目指して騎士団の仕事に力を入れるため、当主の座も早々にまだ真面な(・・・)息子に譲ったが、周囲からそう誘導された結果だとも噂がある」


 剣術馬鹿だから当主なんて任せられないけれど、強いから文句が言えないので、一族で煽て上げて当主の座を自ら放棄するように仕向けた結果、貴族としての自覚も責任感も身に付かずに徒に歳ばかりをくった、我が儘迷惑な老人が出来上がったという訳ね。

 うん、面倒だから無視しよう。








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