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私、お嫁になんていきません  作者: 歌○
第八章 〜親としては新米だけど頑張ります編〜
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1033.実は蜂蜜も旅のお土産の定番ですよ。





 エステの後は、身体をゆっくり休ませる事が大切。

 血行が良くなっているから、お酒や激しい運動は避けて、リラックスする事で効果をより高める事に繋がるし、継続時間を延ばす事が出来る。

 と言う訳でコッフェルさん。夕食までお酒はお預けです。

 何処かの人外の方も、自分は関係なさそうな顔をされない、此方の別邸に来ているのだから、きちんと人間のフリをして人の決まり事を守ってください。

 これだから人、人外に関係なく、酒屑は困ったものなんですよね。


「年寄りが子犬のような目をしても、少しも可愛くありません!

 夕食酒に今年仕込んだ米酒、その搾りたての生酒を出してあげますから、風味をより楽しむための我慢だと思えば、夕方まで呑まないのも痺れる大人の楽しみ方でしょうが」


 時間停止の収納の魔法があるから、やろうと思えば何時でも絞りたてが手に入るけれど、そこは気にしたら駄目。

 お酒を楽しむスパイスですよ。

 それで引っ込む酒屑もどうかと思うけど。

 という訳で、皆んなで楽しく遊ぶ子供達を見守りながらマタ〜〜リお喋り。

 赤児組はお昼寝しちゃっているし、幼児組も燥ぎすぎたのか瞼が大分怪しい事に。

 七歳のユゥラード君は起きていられそうだけど、一緒にお昼寝しようかと声を掛けたら、お姉様のお叱りが飛んできた。


「七歳の子供とは言え男性と一緒に寝るなどと、周囲に誤解を招くような事を言わないのっ!」


 別に、私、ショタでも何でもないから良いと思うのだけど、貴族の淑女的には例え子供相手でも駄目らしい。

 なにより保護者が許さない事をする訳にはいかないので、大人しく引っ込む。

 そう言えばオルヴァー君とも、ルチアが断固として許してくれなかったなぁ。

 おまけにユリアに報告されて、幾ら身内であっても殿方と必要以上に気を許すべきではありませんっ、て実家で受けた淑女教育的な事を散々言われた。


「それとも、貴女はユゥラードを婿に迎える気があるとでも」

「いえ、それは全力で遠慮致します」


 既に嫁が二人もいるし、いくら可愛い甥っ子だからと言っても、それとこれとは話が別。

 そして、私の言葉に落ち込むユゥラード君の姿に、ちょっと可哀想な事をしてしまったかもと反省。

 でも、そこが可愛いかったりもするのよねぇ〜

 だからそこの女中(メイド)、デヘデヘと涎が出ているけど、本当に変な性癖をもっていないでしょうね?

 ちょっと本気で心配になってきたわよ。


「ユゥラード君、普通のハグしよ〜う。

 お姉ちゃん、ユゥラードの事は普通に好きだからね」


 そんな事よりも、今はユゥラードの心のケアの方が大切。

 うんうん、これで来てくれる辺り、本当に可愛い。

 オデコとホッペに親愛の印として唇を軽く当てて、ユゥラード君のお母様と同じ意味の好きなんだよぉと、嫌っている訳ではないんだよぉと口にしておく。

 あまりやり過ぎると、ユゥラード君が恥ずかしがって嫌がるようになるし、またお姉様からお叱りを受ける事になりかねないので、程々で止めておく。


「そう言えばお姉様、お帰りの際に蜂蜜を少し多めにお分けしようと思うのですが、ラルガード様向けに蜂蜜酒もあった方が良いですか?」


 マリアナちゃんも五歳になったので、そろそろ多めにお土産を持たせても良いかなぁと思ってね。

 蜂蜜って、蜜毒が混ざる事や菌がいる事があるから一歳児未満は与えてはいけないし、三歳くらいまでは量を控えた方が良いのよ。

 勿論、その辺りは解毒魔法で除去済みなんだけど、周囲に大丈夫と思われても危険なので、そこは一応は周りに合わせているの。

 グッドウィル家の方針として、五歳までは控えていると聞いていたので、今までは小さな壺に半分以下と抑えていたのだけど、今回は纏めて渡しちゃっても問題ないかなってね。

 蜂蜜酒も小さな子供にその原料たる蜂蜜を我慢させているのだからって、そちらも量を控えていたの。

 それで今回、お分けする蜂蜜と蜂蜜酒の量はあまりやり過ぎると、他から苦情が来るかもしれないと、前もってエリシィーから忠告を受けていたので、他者に販売する際の価格合計が同じになるように制限を設けた。

 我が家の蜂蜜酒って、使っている蜂蜜が紅皇蜂(クレムゾン・ビー)と言う事を差し引いても美味しいと人気で、更に香草や香辛料や果実を加えた物や、蒸留をして寝かせた物など、種類が豊富。

 当然全種類を数本ずつなどと選んだ日には、蜂蜜単体の量は激減する事になる。

 他の方々にもお土産は渡すつもりなので、その辺りの事情をお話しして各家の事情に合わせて用意するって訳。


「蜂蜜七で蜂蜜酒三の割合になるようにお願い。

 蜂蜜酒の種類は、何も混ぜない基本が五で、同じ物で造った蒸留酒を二、他はお任せするわ」


 お姉様、お義兄様が随分と不満な顔をされていますが宜しいので? と視線を送ると、お姉様、お義兄様に向けてニッコリと笑顔を向けると、すごすごと顔を横に向けるお義兄様の様子に、この辺りの交渉にお義兄様には権限がないようです。

 まぁぶっちゃけ私にとってお義兄様は、お姉様のオマケですからね。

 妻の親族との交渉に口を出すほど、空気が読めない訳ではないでしょう。

 マイヤーソン子爵夫妻は、ラフェルさんが口を開くよりも先に、ハインリッヒ卿が……。


「女性から甘い物を取り上げるほど、私は無慈悲で恥知らずな男ではないよ。

 ただ、ほんの少しだけ君との素敵な夜を過ごすための友としてあれば、それで私は構わないさ。

 愛しい君との星を眺めるながら過ごす夜は、どれだけ過ごそうと飽きる事はなく、何時も新しい君を発見させられる」


 と、一見権利を放棄しているように見せながらも、その実しっかりとお酒の確保をお願いしている辺り、ラフェルさんからすると可愛らしく写るんだろうね。

 クスクス笑っているもの。

 なのでラフェルさんも、お姉様と同じで比率で構わないって。

 ただ、此方はスパイス系多めの要望だった。


「私の所はお酒八で、種類もそこまで拘っていないし分からないから、全部普通のでお願いします」


 夫婦揃ってお酒好きなライラさんの所は、ほぼ全部をお酒にする勢い。

 申し訳ないけれどライラさんの所は平民って事で、貴族であるお姉様とラフェルさんの所と差を付ける必要があるため、設定価格が十分の一と少なめなのもある。

 ただ、ライラさんはお酒も好きだけど甘い物も好きなのに、お酒が多めの理由は、何だかんだとこの中で一番顔を合わせる事が多いため、蜂蜜に関してはちょこちょこと差し入れしてあるからなんですよね。

 マリアナちゃんに関しては、一歳過ぎたあたりからはごく少量で、三歳から普通に蜂蜜を使ったお菓子や料理を口にしているので、蜂蜜って保管さえきちんとしておけばそうそう腐らないから、量が在っても困らないだろうってね。


「魔法で浄化を施してありますから大丈夫だとは思いますが、小さなお子さんがいる家にお裾分けする際には注意してくださいね」


 貴族って色々面倒だから、紅皇蜂(クレムゾン・ビー)の蜂蜜ともなれば、ちょっとした取引の材料になったり、下賜する事も多いので注意が必要なのよね。

 という訳で、小分け用の小瓶は要りますかとお聞きしておく。


【一歳児未満の子供に与えるのは厳禁】


 と書かれた張り紙が蓋に張られた小瓶ですけどね。

 瓶自体には可愛く意匠された蜂の浮き彫りが入っているので、間違える事も無いと思う。

 在庫の蜂蜜が沢山在るので、ちょっと外国向けに販売している容器の流用品だったりする。

 いやぁ〜、これがまた僅かな量なのに凄い金額で売れるんですよね。

 山歩きの時に採ってきた物だから、蜂蜜本体の元手なんて無料(ただ)のような物で、ちょっと豪華に作った容器の方が遥かにお金が掛かっているくらい。

 でも販売するとなると価値は逆転し、蜂蜜本体の価格の前には容器など無料(ただ)も当然だってさ。


「大きさは三種類在って、それぞれ─────」


 お土産なので無料(ただ)で渡しも良いのだけど、これまた面倒な貴族のお約束があって、旅先からのお土産をお裾分けしたり下賜したりする場合、少しでもお金を掛けた方が相手に有り難みがあるからなのよ。

 要らない物を押し付けたのではなく、貴方のために心を込めて用意した物とする事が大切らしい。

 そこで【心を込めて】=【お金を掛けて】と言う所が、実に見栄っ張りな貴族らしいと言える所。

 あと、これが一番の理由なんだけど、お裾分けや下賜用の小瓶はそれぞれの家の事情って事になるのよ。

 お土産なら貴族間の贈り物で済むし、我が家とグッドウィル子爵家は縁戚、マイヤーソン子爵家とは最初に私を援助してくださった恩家と、関係が深いため多少豪華であっても問題のないの。

 でも先程も言ったけれど、その贈ったお土産をどう扱うかは各家の判断になるから、お裾分けや下賜用にって小瓶まで用意するのは内政干渉に当たってしまうのよ、面倒くさい事に。

 両家とも痛くもない腹を探られたくはないだろうから、たいした金額でもない物なら、金で済ませてしまいましょうと言う、貴族的な考えの下での配慮となる。

 なのでミレニアお姉様も、ラフェルさんもそれなりの数を購入して行く。

 貴族にとって付き合いって大切なのよ。

 平民のライラさんには関係ない話だけど、ライラさんの商売相手が貴族な事もあってか小さい方を少し購入して行く。


「お客さんにお茶を出す時に、ゆうちゃんに貰った蜂蜜を入れて出す時があるんだけど、こういう瓶で入れた状態でお客さんの前でお茶に入れた方が喜ばれると思ってね。

 見た目も可愛いしね」


 実にライラさんらしい可愛らしい発想だわ。

 こう言う事って貴族側がやると嫌味と捉えれる事があるけれど、平民であるライラさんがやる分には、出来うる限りのおもてなしをしていると、大抵は好意的に受け取ってもらえるからね。

 お姉様とラフェルさんがライラさんの話に、その手が在ったかと言う顔をしつつも微妙な表情になられたのは、おそらくは悪い風に捉える相手の事を思いだしての事だろう。


「お姉様、別にお姉様の気持ちを汲み取る事もせず、場の空気を乱すような方を相手に、美味しい蜂蜜を見せる必要はない(・・・・・・・・)のでは?」


 視覚によって美味しさを楽しむ事は、私は大切だと思っている。

 目の前でお肉を焼いてみたりとか、作る工程が見える屋台はそこが楽しい部分もあるし、それを貴族の考え方だからと言って、問答無用に排除する必要はないと思う。

 それを楽しめる人がいる中では、楽しめば良いってだけの事。

 そもそも紅皇蜂(クレムゾン・ビー)の蜂蜜って、見た目から他の普通の蜂蜜とは違うから、その違いを楽しまなくてどうするのかって思うのよね。

 味も大きく違うと言っても、やはり蜂蜜は蜂蜜。

 面倒な相手に態々紅皇蜂(クレムゾン・ビー)の蜂蜜を使った紅茶を振る舞う必要はないし、例え本当に紅皇蜂(クレムゾン・ビー)の蜂蜜を入れたのかと疑われても、お姉様もラフェルさんも紅皇蜂(クレムゾン・ビー)の蜂蜜を手に入れるだけの伝手を持っているのだから、むしろ逆に態々嘘を吐く必要があるのか? と言う話になり、もしも相手の言を信じられたとしても……。


 そうされるだけの理由があるのでは?


 と思われるでしょうね。

 残念ながら社交界、それも婦人達の間では、事件の背景を想像して楽しむ方が好まれるんですよね。

 それが、ある事ない事の噂が立つ原因だったりもするので、性質(たち)が悪い事には違いないですけど。

 そして流石は私のようななんちゃって令嬢と違って、お姉様もラフェルさんもしっかりと私の言葉の意味を読み取って良い笑顔をされている。

 お茶席を楽しむ方法が増えたと、素直に喜んでいるのだろうね。

 まぁ、実際にそんな意地悪をするかしないかは別の問題。

 そういう考え方も在ると思えば、意外に気が楽になるものなのよ。

 私の場合、そう言う人達のために気を使う事自体が時間の無駄だし、心の無駄遣いでしかないと思っているので、基本スルーですけどね。






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