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私、お嫁になんていきません  作者: 歌○
第八章 〜親としては新米だけど頑張ります編〜
1030/1059

1030.ほぼ強制的にゆったりとした休日を、……楽しむ事すら出来ないとは。





 ゆったりと研究三昧と思ったら無理だった。

 いえ、お姉様は例によって言葉で煙に巻いたのよ。

 でもね……。


「お客様にゆったりして戴くのであれば、ユゥーリィ様、お客様に我が家の専門の教育を受けた使用人による、エステサロンを体験して戴いては如何でしょうか。

 男性のお客様も、現在、男性用エステサロンの展開を控えて準備段階ではありますが、数々の施術結果の下で十分な効果がある事は既に証明されております。

 ユゥーリィ様には、女性のお客様の話し相手になって戴きながらも、ゆったりと過ごす事で先日のお疲れを癒やされる事を、差し出がましいとは思いますが御提案致します。

 またユゥーリィ様が家族同然の扱いを望まれるお客様ともなれば、ユゥーリィ様の体調の具合による事情を汲んで戴けるのであれば、他愛のない会話はユゥーリィ様のお心を癒やす事に繋がりますし、前もってお客様に事情をお話ししお断りをしておけば、途中で眠くなったとしても失礼に当たらないと愚考いたします。

 その場合も、お客様との会話は施術を行っている者が引き継ぎますので、お客様に退屈をさせる事はないとお約束を致しましょう。

 お客様とてユゥーリィ様がゆったりしているのを目にすれば、ユゥーリィ様がお疲れになられていないかと心配するお気持ちも晴れるのではないでしょうか。

 ですのでユゥーリィ様がお客様を放置した儘になるのでは? と心苦しく思う必要はないかと」


 と外行き言葉で、嫁の一人であるエリシィーの手によって、あえなく目論見は崩壊。

 エステサロン【朝霧の滴】モルゲンニブル・ドロップは、王都で予約で順番が埋まっているほど有名になっている。

 それを体験出来ると、女性陣はエリシィーの案に賛同。

 男性陣もまた敷地と建物を確保しただけの段階ではあるものの、男性用の美容には興味を示す……と言うか、旦那様が少しでも格好良くならばと、ほぼ命令に等しい奥様方のお願いでもって参加が決定。

 なんと、この手の事には一番嫌がりそうなコッフェルさんまで、ライラさんの娘であるマリアナちゃんに言われて渋々ながらも参加を決める。


『今より、格好良くなったお爺ちゃんを見てみたいのぉ〜』


 これが決め手になったかどうかは、コッフェルさんの名誉のために伏せておく。

 そのマリアナちゃんを始めとする子供達には流石に早いし、幼い身体には現状の設備では向かないため、他の使用人達が面倒を見る事が決まってしまった。

 私は子供達の様子を見守ってから後で行くと伝え、癒やし成分が体中から出ているのではないかと疑われる子供達を見て癒やされる事に。

 だってねぇ、このまま行くと使用人に信頼されていないのではと、お姉様にお叱りを受けそうだもの。

 ならば、その前の心の栄養補給は大切な事。

 で、その心の癒やしと言うべき子供達はと言うと……。


「ぇ〜と、ぇ〜と」


 我が家の使用人達は、元々貴族の血縁者が多いからか美人が多いので、ユゥラード君は大勢の美人に囲まれてちょっとテレテレ状態。

 ある意味その姿が可愛いので、玩具を手に入れ……もとい、可愛いお客様をもてなそうと一部の女中(メイド)達に気合いが入っている。

 男の使用人もいるのに声を掛けて連れて来ない辺り、絶対に邪魔をされたくないからだろうね。

 ん〜……尊い、と口にしながら涎を垂らしている女中(メイド)がいるから、後で変な性癖がないか調査させておこう。

 気のせいだと信じてはいるけれど、子供の性被害って、女の子に限ったことではないし、加害者が男性とは限らないので、無害だと分かればそれは確認が取れたと思えば良いだけのこと。

 そしてグリアラちゃんことリアちゃんと、マリアナちゃんことマリアちゃんの女の子二人はまだ幼いし、普通に綺麗なお姉さん達に囲まれて遊んでくれるならと、嬉しそうに燥いでいる。

 遊ぶための玩具は沢山あるからね。


「お人形さんで遊ぶ」

「私もヌイグルミさんで遊ぶ」


 六歳のリアちゃんと五歳のマリアちゃんは既に仲良し状態。

 幼い子供って直ぐに仲良くなれるよね。

 その光景は微笑ましくはあるけれど、封建社会においては子供の世界でも貴族と平民という問題が出てしまう


『平民の子供風情が、馴れ馴れしく私に話し掛けないで下さいませんこと。

 どうしても私と話をしたいのであれば、跪いて許しを請いなさい』


 ちょっと大げさだけど、こんな感じにね。

 でも流石にこの年齢だと、大抵の子供はお互いあまり気にしていないし、何かあったとしても、そこは面倒を見ている使用人が上手く誘導するだろうと信じている。

 そんな大人の心配を余所に、二人の女児はそれぞれの手にしたヌイグルミは、擬人化した兎さんとリスさん達。

 きっと、ヌイグルミを使ったママゴトでも始めるのだろうね。

 因みに二人が手にしたヌイグルミは、スカルチニア公爵家と提携したヌイグルミ事業の中で、新たに私と公爵夫人達が手を合わせて監修して始めた【カルバニア・ファミリー・シリーズ】と、ちょっとスカルチニア公爵家の名前をもじったシリーズ名ではあるものの、それだけスカルチニア公爵家にとっても自信のあるシリーズなのよ。

 シリーズの中には、様々な擬人化された動物はあるけれど、小物も含めて統一した印象を与える意匠と高品質な作りによって、ヌイグルミ事業の中でも急速に売り上げを伸ばしている。

 そんなヌイグルミを手にしながら、可愛く尊い姿を見せる女児達から少し離れた場所では、我が家の子供達三人は零歳児と一歳児なので、寝むたい子は寝るなり、起きていたい子は起きているなり、他の子供達と同じ部屋で纏めて見守り状態。

 騒がしいかもしれないけれど、それも子供達の健やかな成長には大切な事。


「ふん、ふん、ふん」


 おっと、最近補助なしで歩けるようになりだしたユルギア君が、綺麗なお姉さんであるリアちゃんとマリアちゃんの方に向けて突進。

 ヨタヨタとではあるけれど、幼いユルギア君からしたらまさしく突進と言える速さで以て女の子の下へ向かう姿は……、うん、ギモルの血を感じるわ〜。

 ギモルって、一時期は女の子に声を掛けまくっていたからね。

 何処かの虎柄水着の某鬼娘の旦那さんほど節操なしではなかったと言っても、全部最終的には振られはしたものの、短いながらも付き合っていた女性の数は両手両足の指で数えても足りないぐらい。

 女性に声を掛けた数で言えば、その数倍は確実にあるはずだから、十分に節操なしと言えるかも。

 それに対して、まだ壁や机などの補助無しでは歩く事も覚束ないクレアちゃんは、歩いて追い掛けるのは諦めて、ビーストモードを発動!

 手足と身体全てを使った高速ハイハイにて、綺麗なお姉さん達に突進するお兄ちゃんを猛追。


「だぁ〜♡

「ぅぁっ!!」


 お〜と、ユルギア君なりに一生懸命愛想を振るっていた所を、クレアちゃんが追い付いて渾身のタックル! と言う名の抱きつき攻撃。

 まだ幼いユルギア君はそのまま転倒するも、重心が低い事もあってゴロリンと。

 そこへクレアちゃんが覆い被さり、なんと組み伏せたぁぁ!

 実際には唯の伏せ寝状態ではあるけれど、クレアちゃん的には組み伏せたと思っているはずだと思う。

 クレアちゃん、お兄ちゃん大好きっ子なのよね。

 気のせいだと思いたいけれど、これまたある意味ラキアの血を感じるのは気のせいだと思いたい。


「きゃっは、きゃっは♡」


 そして我が娘サクラは騒ぎが起きている方に顔を向けて燥いでいるけど、まだ視力がそこまで発達していないため、遠くはボヤけてあまり見えないはずだから、何故燥いでいるかは不明。

 まぁそこは赤ん坊だからと思っておく。

 理由などなくても、笑ったり泣いたりするのが赤ん坊というもの。

 赤ん坊なりの理由はあっての事ではあるんだろうけど、理解出来なければないのも同じ。


「一緒に遊びたいの?」

「じゃないかなぁ?」


 そして、まだ幼いながらも、二人よりも遥かにお姉さんであるリアちゃんとマリアちゃんは、より幼い二人に一緒に遊ぼうと提案。

 幼いながらも嫌がらないなんて、優しさが溢れているよね。

 まぁ実際には二人にとっては、新たな玩具が向こうから飛び込んで来たようなものなのだろうけれど、そこは捻くれた目で見ずに温かな目で見守るべし。


「じゃあ、ユルギア君は、これを持って私の旦那様役で」

「うぅ〜〜〜っ」


 リアちゃんの言葉に、言葉もまだ碌に分からないだろうクレアちゃんが猛抗議。


「は、クレアちゃんとしては嫌なのね。

 じゃあクレアちゃんがユルギア君の奥さん役で」

「ぃぁぁっ」


 今度はユルギア君が不満そうな声を出すものの、何も無かったかのようにリアちゃんが話を続け。


「私がユルギア君の美人なお姉さん役ね。

 弟夫婦に優しい、小姑役だよぉ〜」


 自分で美人なお姉さん役と言う辺り、マセているというか微笑ましいというか。

 弟夫婦に優しいとか、設定が妙に細かな感があるような気がするものの、じゃあ、リアちゃんはその夫役かなぁと思っていたのだけど……。


「じゃあ私は突然訪問した、謎の若くて可愛い美女ね」


 ん? 何かおかしな配役な気がするのだけど……まぁ、子供の考える事だしね。


「では、一向に奥さんと別れて結婚してくれない事に業を煮やして、とうとうユルギア君の家に押し掛けた所で、ユルギア君の姉である私が間に入った所から」

「因みに、ユルギア君は浮気をしていただけでなく、実の姉にも手を出していた設定だよ。

 ところで手を出すって、どう言う意味なのかな?

 リアちゃん知ってる?」

「ううん、知らない。

 私も業を煮やすって分からないけど、マリアちゃん知ってる?」


 すと〜〜〜〜〜〜っぷっ!

 様子を温かな目で見守っていた私を含めた周囲の人間によって、その場で題材の変更及び問題のない題材に変更を提案され、また変な流れにならないように使用人の一人が、子供達の中に参戦。

 大人気ないと思うかもしれないけど……。


「じゃあ、お姉さんがさっきの役ね」

「臨場感を持ってお願い」

「お嬢様方、もっと普通のにしましょう!

 気持ちは分かりますが!」


 こういう事を平気で口にし出したので、随時誘導する役と言う重大な任務に就いて貰うのは寧ろ当然だとは思う。

 と言うか、気持ちが分かるの?

 私、そう言うドロドロ系は、例えママゴトでも普通に嫌なんだけど。

 この場は常識ある(?)大人に任せて、私は当初の予定通りエステをしているお姉様達がいる部屋へ移動。

 専用の施術台に俯せになって、気持ち良さそうに施術を受けているお姉様方に、先程あった事を話題に挙げる。


「「……、……」」

「あらあら、女の子は成長が早いわね」


 ミレニアお姉様とライラさんは、顔を下に向けて沈黙。

 元々俯せ状態ではあったけれど、頭が痛そうにしている事は間違いないだろう

 ラフェルさんは完全に他人事状態なのは、マイヤーソン家は現在使用人を除いた女性はラフェルさんとラフェルさんのお義母様、そして長男の嫁だけしかおらず、幼い女の子の面倒を見る事はなかったので、それも仕方がない。


「……あのクソ女が来た時の影響ね」

「……うちも、旦那が姉と仲が良いから、偶に親戚筋から揶揄われていたのが影響したのかも」


 お姉様、クソ女って、言葉遣いが少々悪くありませんか?

 何が在ったかは分かりませんけど。








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