ミッション14 女幹部VS飼育員さん・・・!?
・・・・・・ピーッ、ピーッ、ガチャッ!
(―――もしもし、こちら二号。応答せよ)
(―――こちら三号、生きてるよぉ~・・・・・・)
(―――こ、こちら一号、なんとか無事だぞ。・・・・・・顔面がへこんで前が見えないけど)
(―――早く治せよ一号)
(―――ちょっと待ってくれ、結構深くまで減り込んじまってて・・・・・・よっ・・・このっ・・・・・・キュッポン!)
(―――元に戻ったの?一号)
(―――おう、何とかな。しかし、サイボーグと化した俺達が普通の人間に負けるとは思わなかったなぁ)
(―――だな。予想外と言うか、予想できるかあんなもん)
(―――見た感じでは改造人間とかじゃないみたいだったけど、それでもあれは異常だと思うんだけど。まさかバリアを素手で砕くなんてどういう筋力をしているんだろう、あの山田って人)
(―――考えるな。考えたら何かが終わるぞ。・・・それはともかく、そろそろ視覚機能も回復するだろうから状況確認の為に有効にしておけよ。せめてディーアルナ様の安否だけでも確認しないと)
(―――そうだな。俺達全員がやられてしまったから、残るはディーアルナ様だけになっちまったもんな)
(―――さすがにあの人?の相手を一人でさせるのはまずいもんね)
(―――ああ、俺達を一撃で倒した相手だからな。ウチに入ったばかりのディーアルナ様では色々と荷が重すぎる。何とか機能を回復して復帰するぞ!)
((―――応!))
・・・・・・ピッ、ピッ、ピッ、自己修復機能により五十%まで修復完了。各種五感機能が有効可能になりました。
(―――あ、治ったみたいだね)
(―――よし。それじゃあ視覚機能をオンにするぞ!)
・・・・・・視覚機能有効化設定を確認しました。これより視覚情報を取得します。
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
仲間である戦闘員達が倒された後、俺は突如現れた筋骨隆々角刈り頭の飼育員と睨み合いを続けていた。
注意深く目の前に立つ男を観察する。
鍛え抜かれた筋肉の身体。重心もしっかりと安定しているので何かしらの格闘技を経験している可能性も考えられる。
その強靭な肉体から繰り出される一撃は相当なものであることは、これまでの戦闘員達との戦闘から理解していた。
なにより、こちらを睨みつける赤く光る鋭い眼光がとても恐ろしく感じられる。気の弱い者ならば、その目を向けられただけで即気絶してしまえる程だ。
「・・・・・・・・・」
飼育員の動きに警戒しつつ、チラリと辺りを見回す。
その視線の先には飼育員によって戦闘不能にされ、地面の上に倒れ伏した戦闘員達の姿があった。
ピクリとも動かない様子を見るに、おそらく気絶しているのだろう。その彼等を回収して逃げようとも考えたが、目の前の男がそれを阻む。
向こうもこちらの一挙一動を観察し、不審な動きをしようものなら即座に潰そうというのが、その身体から醸し出されている雰囲気から察せられた。
「・・・・・・イ、イイー・・・」(・・・・・・う、ううん・・・)
その時、最初に撃墜されて地面に転がされていた戦闘員二号が目を覚ましたのか、頭を左右に振りながら上半身を起こした。
「ッ!にげ―――!」
「―――フゥンッ!!」
「―――くっ!?」
その事に気付いた俺が声を掛けようとした瞬間、それを隙と見たのか、恐るべき速さで飼育員が接近し、拳を振り被ってきた。
「―――はぁっ!!」
「―――ムッ!?」
迫り来る拳の一撃を紙一重で回避し、反撃の蹴りを放つ。
だがこちらの反撃を予想していたのか、飼育員が殴りかかってきた方とは逆の手で蹴りの一撃を防ぐ。
「―――えぇいっ!」
「―――ムンッ!フゥンッ!」
続けて後ろ回し蹴りを繰り出すもそれすら防がれ、今度はこちらの番だと言わんばかりに俺が着地する瞬間を狙って拳を繰り出してきた。
「―――ヒュッ!ふぅっ、せぇりゃぁっ!!」
「―――ッ!?」
その攻撃を着地してすぐに身を屈めることで回避し、攻撃後の伸びきった腕を掴んで一本背負い染みた投げ技を掛け、飼育員を空中へと投げ飛ばす。
「はっ!・・・よっと!オリャアッ!!」
「―――ッ!?」
投げ飛ばした飼育員を追いかけるように飛び上がり、その胴体に腕を回してしっかりと固定。クルンッと一回転しつつプロレス技のパイルドライバーの要領でドカンッ!と地面に叩き付けた。
「―――ッ!!―――ムゥン!」
「嘘・・・!?わあっ!?」
だがその攻撃は有効打にはならなかった。飼育員が直前に両手を地面に突くことで完全に叩きつけられるのを防いだからだ。
さらにはその体勢のまま両足を動かして俺の頭を挟むと、捩じるように身体を回転させて俺の身体を空中へと投げ飛ばした。
「―――オォッ!」
次いで、ズンッ!という踏み込み音が響く。
投げ飛ばされた俺を追い掛けるように、咆哮と共に飼育員が地面が罅割れる程の脚力でもって跳び上がってきたのだ。
「―――フンフンフンフンッ!!」
「―――負、けるかぁっ!!」
まるで分身でもしているのかと思える程の高速連続パンチを繰り出す飼育員。
それに対抗するように俺も高速かつ連続で両の拳を前に出す。
「―――ムゥォォオオオオッ!オォッ!!」
「―――はぁぁあああああっ!はぁっ!!」
時にぶつけ合い、時に打ち落とし、時に逸らして、相手に有効打を与えようと落下しつつ互いに拳を振るい続ける。
そうして、地面が近づいてきた瞬間に互いに渾身の一撃を繰り出し、激突さえ、その反動によって俺と飼育員の身体は弾かれるように吹き飛んだ。
「・・・・・・アンタ、中々やるな・・・!」
「―――ニィッ!」
地面に着地して再び拳を構える俺と飼育員。
その口元はどちらも好戦的で獰猛な笑みが浮かべられていた。
激闘の嵐はまだまだ始まったばかりであった。
「―――イッ、イイッ・・・!?」(―――えっ、何アレ・・・!?)
「イッ・・・・・・イイイーッ!?」(バカな・・・・・・あの化け物と打ち合っているだとぉ!?)
「イー・・・!イイッ、イイー!イイイッ、イーイイーッ!?」(スゲェ・・・!俺達が敵わなかった相手に互角の勝負をしているぞ!怪人化した事で強化されているとはいえ、ディーアルナ様のスペックってどれ程なんだ!?)
自己修復機能によってある程度回復した後、すぐに戦線復帰してディーアルナの援護を行おうとした戦闘員達だったが・・・・・・しかしそれは、目の前で繰り広げられたディーアルナと飼育員との戦闘を目にしたことで呆然とし、動きを止めてしまっていた。
「イー、イイー・・・!イイッ、イイイー・・・!」(とんでもねぇな、あの人・・・!サイボーグである俺達を一撃で沈めた奴相手に、あそこまで闘り合えるなんて・・・!)
「イッ、イーイイーイー。イイイーイー?」(でも、確か怪人化した後の肉体スペックは僕達よりも多少上程度だった筈だよ。僕達を瞬殺した相手にあんなに戦えるなんておかしくない?)
「イイーイー、イッイイーイー・・・・・・イイイー。イーイーイイー・・・!」(おそらくそのスペックに加えて、本人の才能があったから今の状況となっていると考えられるが・・・・・・それについて考えるのは後にしよう。今は早く体を治して脱出する方法を考えなければ・・・!)
「・・・・・・イイッ!イーイー!」(・・・・・・あ、見て!あの二人がまた動き出したよ!)
「「―――イイッ!?」」(―――何っ!?)
戦闘員一号と二号がディーアルナの戦闘能力について話をしていると、そこで三号が二人に声を掛けた。
反射的にディーアルナと飼育員が相対する戦場へと目を向ける二人。
その視線の先には、互いに拳を構えていた男女が今にもぶつかろうとしていたところであった。
※ここからは実況風なノリで話を進めます。なお実況者は戦闘員達となる為、スムーズに実況出来るように一時的に彼等のセリフを直訳します。
『ディーアルナ様が飼育員に向かって飛び掛かったぁ!そのまま飛び蹴りを繰り出したよ!』
『だが、飼育員の方もそんな見え見えの攻撃なんか食らうかと軽々と回避しやがったぞ!そして今度はこちらの番とばかりに拳を振り被った!』
『危な・・・おお、すげぇ!?着地した瞬間にそのまま走り抜けて回避した!・・・そしてそのままアイツの背後に回り込んで組み付いて、ジャーマンスープレックス!?』
『嘘だろ!?体重差がどれだけあると思っているんだよ!筋力とかが怪人化で強化されているといってもバランスの問題で難しいだろう!?持ち上げた段階で崩れ落ちるぞ!』
『まあでも、これで後頭部を打ち付けたから気絶は確実・・・・・・じゃなかったぁ!?足を振り回してディーアルナ様を蹴り飛ばしたぁ!完璧に決まったと思ったのに・・・!』
『足を半回転させた勢いを利用してすぐに起き上がって走り出した!そのままディーアルナ様の首元目掛けてラリアットを食らわせたぁ!』
『いや、あれは似ているがラリアットじゃない。アックスボンバーって技だ。しかしディーアルナ様も上手いな。当たる直前に両腕を壁にして直撃を防いだぞ!』
『でも勢いが強すぎて結局地面に叩きつけられちゃったよ!?・・・ああ!腕を振り抜いた飼育員が後ろに宙返りで飛んで、ボディプレスの体勢に入ったぁ!ディーアルナ様が潰されちゃうぅ!?』
『大丈夫だ!寸前で横に転がって回避した!・・・って、あのボディプレス凄いな!?直撃食らったコンクリの地面に罅が入ったぞ!?どんだけ威力があったんだよ・・・!!』
『しかも、技を放った本人は地面にぶつかったのに痛がる様子なく平然と起き上がって来たぞ!本物のター〇ネーターか・・・!?』
『今度はディーアルナ様が攻撃に出たぞ!起き上がろうとしている飼育員に向かって前回し蹴りを放ったぁ!』
『でも、腕でガードされて防がれ・・・・・・ガードした腕に足先を引っ掛けて自分の体を逆に引っ張って、そのまま顔面に向かって膝蹴りを食らわせたぁ!?上手いっ!今の一撃で飼育員が仰け反ったよ!』
『そしてそのまま、体勢が崩れた飼育員の土手っ腹に連続攻撃を繰り出したぁ!目で追えないほどの連続パンチ!しかも地面に叩きつけられながらだから逃げることもできない。これは決まっただろう!』
『・・・・・・ッ!?いや待て!あの野郎、まだ沈んじゃいないぞ!』
『うぇぇっ!?攻撃していたディーアルナ様の腕を掴んで振り回して地面に叩き付け始めたぁ!?ああ!しかもそのまま起き上がって建物の壁とか植えてある木とかにぶつけながら引き摺り始めた!?』
『うぉぉいっ!?あれ、ヤバくないか!?いくらコスチュームの保護バリアで守られているとはいえ、衝撃までは防げないぞ!それに地面とか壁とかが陥没する程の勢いと威力がある攻撃を受け続けていたら、すぐにバリアが剥ぎ取られるぞ!』
『そ、そんなことは分かって・・・・・・って、ヤバい!今度は大岩に叩き付け・・・られなかったぁ!?嘘ォ・・・!?』
『叩きつけられる直前に、腕に組みついて空振りさせた!?しかも空振って体勢が崩れた飼育員の顔面と胴体に拳と蹴りの連続攻撃を叩き込み始めたぞ!どんだけタフなんだよ、あの人ォ!?』
『だが、この攻撃でアイツが膝を付いたよ!あと一息・・・!頑張れぇ!ディーアルナ様・・・・・・うぇええええ!?』
『マジかよ・・・!?あの男、攻撃を受けている最中にディーアルナ様の両足を掴んで、ブンブンと振り回し始めたぞ!?本当にどんだけ頑丈なんだよ、アイツはっ・・・!』
『自身を軸にして回転を始めて・・・・・・ッ!?まさか、ジャイアントスイングなのか・・・!回転速度が異常なほど早すぎて、最早小さな竜巻にしか見えないんだが・・・!?』
『ああ!今度はディーアルナ様を天高く飛ばして、それを追いかけるように跳んだ!?』
『追い打ちの連続攻撃・・・!ディーアルナ様も防ごうとしているけど、何発かクリーンヒットを貰っているぞ!』
『うげっ!?両手を組んで・・・スレッジハンマー!?ドゴンッ!なんて音が響く程って、どれ程の威力だよ・・・!』
『叩き落とされたディーアルナ様が勢いよく池に着水したぞ!』
『あの人って、泳げたっけ・・・!?早く助けに行かないと・・・・・・げっ!?』
『近くの建物の壁を蹴って勢いをつけたドロップキック!?ここまでやって、さらに追撃を・・・!?』
『池の水が着弾の衝撃で吹き飛んだぁ!?・・・・・・えっ、なにあの威力?アイツ本当に人間なの・・・?』
『それよりディーアルナ様は・・・!?ディーアルナ様は無事・・・・・・だったぁ!?両腕を交差してドロップキックを受け止めてるぅ!?』
『マジか・・・!?』
『池の水全てが吹き飛ぶ程の蹴りを受け止めるとは!?・・・・・・むっ!腕に力を込めて、受け止めた飼育員の足を弾いて吹き飛ばしたぞ!』
『そんでもってすぐに後を追いかけて拳のラッシュ!!飼育員の方も地面に着地してすぐに同じく拳のラッシュを繰り出してきた!?』
『拳と拳のぶつかり合い・・・!まるで、ジョ◯ョのオ〇無〇ラッシュを見ているようだ・・・!?』
『戦況は全くの互角・・・!勝負の決着はどちらかが先に隙を見せるか、それとも体力が切れるかで決まるだろうな・・・!』
『おお・・・!ディーアルナ様が押して・・・・・・いや、ダメだ!すぐに押し戻された・・・!?』
『完全に実力が拮抗していて、中々決着が着かな・・・・・・うん?なにこの音・・・?』
『どうした、三号?』
『いや、なんか遠くから、ヒュイイイッ!っていう音が聞こえて・・・・・・』
『・・・・・・それってあれじゃないのか?今丁度あの二人の頭上に落ちて来てるやつ』
『・・・あ、本当だ。なんか黒くて細長い物が落ちてき―――』
―――チュドオオオオオオオオンッッッ!!!
『―――ウボァァアアアアッ!?』
眩い閃光が迸り、肌が焼けるような熱風が吹き荒れる。
それが何であるか知っている者であれば、爆発光と爆風であるという事が分かっただろう。
未だ満足に体を動かせなかった戦闘員達は、突如引き起こされたそれによって吹き飛ばされ、地面をゴロゴロと転がっていた。
「イィィイイイイッ!?・・・イッ、イイイッ!?」(ギャァァアアアアッ!?・・・ちょっ!ば、爆発したっ!?)
「イ、イイー・・・!?イーイーイイ―!・・・・・・イッ、イイイーイーイイー!?イイイ・・・・・・」(な、なんて威力・・・!?地面が結構な深さで抉れてやがる!・・・・・・って、そういえば爆心地にいた筈のディーアルナ様はどうなった!?全然姿が見えないんだが・・・・・・)
戦闘員一号が先程の爆発が起こった場所に視線を向けると、そこには深さ数m程の大きな穴が出来ていた。
だが、そこにあるのは爆発によって出来たであろう大穴だけ。先程までその場所で戦っていたディーアルナと飼育員の姿はどこにもなかった。
「イ、イイッ、イイイー・・・!?イッ、イイ―――」(ま、まさか、さっきの爆発で粉微塵に・・・!?ディ、ディーアル―――)
「―――呼んだか?」
「―――イィィィイイイイイッ・・・!?イーイイッ!?イイッ?イイイッ!?」(―――ナ様ァァァアアアアアッ・・・!?ビックリしたぁ!?え、あれ?何時の間に後ろに!?)
悲惨な結末を想像して思わず叫びだそうとした戦闘員三号であったが、突如後ろから聞こえて来た声に驚いて振り向く。
その視線の先には、煤や埃などを付けていたものの、大きな怪我などない五体満足なディーアルナの姿があった。
「ああ、うん。殴り合っている最中に、何かが上から落ちてくることに気付いて、爆発が起こる直前にアイツを蹴って、その反動を利用してあの場所から離れたんだよ。
・・・ただ、あの飼育員も同じことを考えていたらしくてな?結果的には互いの足の裏を蹴り合う形で予想以上に吹っ飛んじゃって、さっきまではあの草むらの影にいたんだ」
先程まで自分がいた場所を指さすディーアルナ。
その指をさした所からさらに向こう側には、丁度草むらから出てこようとする飼育員の姿が見えた。
「イ、イイッ。イッ、イイイッ・・・・・・」(そ、そうなんだ。まあ、無事でよかったけど・・・・・・)
「イイイーイーイイ―・・・・・・イイイ―?」(ディーアルナ様の無事が確認できたところで・・・・・・さっきの爆発は一体なんだったんだ?)
「イイイッ。イイーイーイイッ、イイイッ。イッ、イイーイーイー・・・・・・」(おそらく何者かの攻撃だと思われるぞ。あの形状で独特の音を発して爆発するとなると、種類はかなり限定される。多分だが、小型のロケットミサイルの類だと思うが・・・・・・)
「―――その通り!」
先程の爆発について首を傾げる戦闘員一号に自身の考察を語ろうとした二号であったが、突如自分達の後方から響いてきた声に驚いて振り向く。
そこには太陽の光を背にした一つの影が存在していた。
「イイイッ」(後ろから声が・・・・・・!?)
「え?あのずんぐりむっくりとした緑色の体色の四足歩行をする姿って、もしかして・・・?」
現れたそのシルエットにどこか見覚えがあったディーアルナが「そんなまさか・・・?」と思わず瞠目する。
「フハハハハハッ!そう吾輩の名は―――」
高笑いを上げながら突如ディーアルナ達の前に現れた謎の影!
それは敵か味方か・・・!はたまた新たな勢力の登場か・・・!!
その正体は―――待て、次回!!
「―――って、コラァ!何を終わらせようとしているのだ!まだ吾輩が名乗ろうとしている最中だぞ!?」
・・・・・・・・・・・・待て、次回!!
「だから話を次回に持ち越そうとするなぁ!!・・・え、本気なの!?ちょっ、待たんかぁ!」




