ミッション11 学舎からの脱出とその後!?
ヒーローが運営する小学校に潜入した、悪の組織アンビリバブルの女幹部と戦闘員達!
彼女達が悪の組織としての活動中に、何処からともなく現れた女教師ヒーロー、ウィップティーチャー!
女幹部ディーアルナは戦闘員達と共にヒーローに挑むも、その変幻自在に振るわれる鞭によって窮地に落とされ、最後には校舎がヒーローの鞭攻撃に耐えきれずに倒壊してしまった!
ディーアルナ達は崩れ落ちてくる瓦礫に成す術なく潰されてしまうのか!?
おお、ディーアルナよ!死んでしまうとは情けない!
お待たせしました!
次回からは新番組『地獄からの使者、冥土ちゃん』が始まるよ~!
「・・・し、死ぬかと思った」
「「「イ、イイ~ッ!」」」(た、助かった~!)
・・・・・・なんて事が起きる訳もなく、なんとか生還したディーアルナ達。
服は所々が破れて埃にまみれてこそいたが、大きな怪我もなく、五体満足で脱出出来た事に、ディーアルナ達は心の底からホッとしていた。
あの絶体絶命のピンチをどのようにして切り抜けたのかと言うと、それは戦闘員達のアドバイスのおかげであった。
校舎が崩壊を始めて瓦礫が崩れ落ちて来た時、戦闘員達から助言を受けてコスチュームに内蔵されていたバリア発生装置を起動。
軍服に取り付けられていたアーマー部分の上半分が開くようにしてズレた後に、そこからエネルギーが放出され、自身の周囲を覆う壁のように展開され、それによって落ちてくる瓦礫を防ぐ事が出来たのである。
戦闘員達も同じ装備を持っていたらしく、彼らもバリアを展開して難を逃れていたようであった。
その後、大量の瓦礫の山で埋もれてしまった学校の敷地内からなんとか脱出を果たし、現在のように秘密基地への帰路へと付いているのであった。
「イイッ、イーイイイー?イーイー?」(そう言えば、あの女教師ヒーローってどうなったんだろう?彼女も瓦礫の下敷きになったよな?)
「イー。イイー、イーッ。」(無事だったみたいだぞ。瓦礫の中から鞭を振り回して這い出て来るのを、俺は見た。)
「イイー。イイイー、イッイー。」(僕も見たよ。・・・全身血塗れになって瓦礫の山を這いずっている姿は、まるで日本ホラーに出てくる貞子の様だったよ。)
二号の問いに答える一号と三号。
二人は怖いものを見たと言いたげに体をビクつかせていた。
戦闘員達の先頭を歩いていた俺は、彼らの話を聞いて、敵対するヒーローであるとはいえ人死にが出なくて良かったとつい思ってしまい、ホッと一安心するのであった。
「ただいま~・・・」
「む?帰ってきたか。お帰り皆の衆。それで、首尾はどうであった?・・・・・・というか、何でそんなにボロボロなの・・・?」
転送装置を使って秘密基地に帰還した俺達を、お土産を期待してはしゃぐ子供のような様子で出迎えたブレーバー。
ウキウキワクワクとした雰囲気を纏っている彼を見て、平常運転というか、これが本当に悪の組織のボスなのかと、毎度の如くついつい首を傾げてしまう。
一連の騒動でかなり疲れていた俺は、今はとりあえずサラッとだけ伝えて、後から報告書を出すことに決めた。
流石に今の自身の疲労度を考えると、ブレーバーのノリに合わせる気力など最早なかったからだ。
「えー、それじゃあ報告させて頂きますが、調査の結果は噂通りでした。」
「ほうほう!それで・・・?」
「・・・・・・いや、噂異常だったと言えましたね、あれは。なにせ、校舎全体の内部構造がスカスカで何時倒壊してもおかしくない程の欠陥建築ぶりでしたから。」
「・・・・・・え?」
「しかも、調査の最中にヒーローが現れて、遭遇戦的な戦闘を行う事になりました。」
「・・・・・・えええ?」
「更には、ヒーローの攻撃に校舎が耐えきれずに倒壊。もろともに瓦礫の雨霰を被ることになり、その後瓦礫の山と化した鉄拳小学校からなんとか脱出して帰還しました。」
「・・・えええぇぇっ!?ちょっ!?ほ、本当に何があったの!?なんでただの潜入調査が、どうしてそんなスペクタクルな展開にぃっ!?」
「報告書は後程出しますので、今は休ませて下さい。」
「待ってぇ!本当に待って、ディーアルナさん!もうちょっと詳しい話をーーーーーー」
「嫌です無理ですご免なさい。・・・・・・休ませないと言うのならその仮面剥ぎ取るぞコラァ・・・!!」
「そこまで嫌なの!?というかやめて!仮面を剥ぎ取ろうとしないで!?お願いだからやめっ、ああぁぁあああっ!?」
後日談。
件の倒壊した小学校についてだが、事態を知った鉄拳校長がすぐに急行したそうで、学校がなくなってしまったことに悲しみと怨嗟の悲鳴を上げたらしい。
そして「よくもワシの学校を・・・!?」と怒りの雄叫びを上げながら犯人探しに乗り出したそうな。
鉄拳校長は事態を把握する為にすぐさま調査に乗り出したそうなのだが、その過程で自身が運営していた学校が欠陥建築であったことを知ったらしく、建設を担当した業者に対し裁判沙汰を起こしたそうだ。
警察も捜査に乗り出して調査を行った所、欠陥建築になった原因が当時の建設担当者にあったことが発覚。
遊ぶ金欲しさに鉄拳校長が出した建設費用を横領していたらしく、足りない建築材をモースアルファ―01で補ったのだと自白し、逮捕された。
その担当者が所属していた建設会社はこの事態に対してすぐさま鉄拳校長に謝罪し、慰謝料等を払おうとしたそうなのだが、鉄拳校長の「それよりも、今度はしっかりとした学校を作ってほしい」という一言により、社費による自己負担での学校建設を始め、それを慰謝料替わりとしたそうだ。
鉄拳校長自身も、学校関係者及び子供達の親御さんにも謝罪と事情説明を行い、頭を下げて回ったのだという。
その事と鉄拳校長への厚い信頼もあってか、学校が運営再開をした際は登校する子供の数が減ることはなかったらしく、鉄拳校長を含めた教師一同はホッと胸を撫で下ろしたという。
ウィップティーチャーについてだが、鉄拳校長が小学校に到着した際に傷ついた彼女を発見し、すぐに病院に運んだという。
命に別状はないが全治半年の意識不明の重体で、しばらくの間は教師業もヒーロー業も出来ない状態だそうな。
寝言で「私の可愛い生徒達が待っている・・・!」と呟いていたそうだが、彼女がショタコンであること知る者達には別の意味に聞こえてしまってもおかしくはないだろう。
幸いなのはそれを聞いていたのが事情を知らない看護師だけであったという所だろうか。
もっとも、一体何が彼女にとっての幸いになるのかは、当人にしか分からないだろうが。




