第八話:中央区でコンビニ始めた件。
三日後の朝。
「タツオ、届いたわよ!」
リリアが機嫌良さそうに笑った。
「ビルバーグさんから?」
「そう、これが──『商売許可証』よ!」
A4サイズくらいの立派な紙に書かれた文字を読み終えたオレは、頷いた。
「これでこの町でコンビニを出せるぞ!」
「良かったわね♪」
「おう……リリアは覚えることが増えるな!」
「……え?」
「ほら、コンビニの仕事を手伝ってもらわないと手が回らないし、それに──雇う金は……ない!」
「エェーッ!!」
◇ ◇ ◇
中央広場には朝が早いこともあってか人の数は少なかった。
「見られない内に……」
《コンビニ展開!!》
貸し出された範囲のサイズに外観を合わせた。
ボォォォォン!!
煙が立ち込めたかのように自然とコンビニを設置。
「前回見せてもらったよりも一回りくらい小さい感じがするわね?」
「この力は対象を範囲指定すればトイレくらいのサイズだって出せるよ」
(夜中にトイレに行った後で思い付いて実践してみたんだよね……トイレ型コンビニ)
実際、トイレの中にコンビニという発想がぶっ飛んではいたけど、検証としては大成功だった。
狭い空間であっても中に入れば異空間として処理されちゃうらしい。
しかも……基本のコンビニの広さを再現してくれるからどんなに狭くても平気というのも不思議な話だ。
「そんな、狭いサイズのコンビニが出せるの?」
「おう、試してみたから間違いないぞ!」
リリアは深く考え込むような仕草を見せた。
「どんな場所でも店舗が出せるのってかなり強みだと思うわよ?」
「言われてみれば……確かに!」
◇ ◇ ◇
スタッフルームにリリアを案内した俺はコンビニの制服を手渡した。
「この仕事はこれを着てから接客するんだ」
黒と白のラインに胸元には『Tマート』のロゴが刻まれていた。
「コレ……着なきゃダメ?」
「もちろん!一体感は大事だとオレは思う」
「そうかな……」
(そんなキラキラした目で見ないで……)
「せっかくだし、コンビニに入るのを躊躇うお客様に向けて外で番宣お願いできる?」
「当たり前よ!私に任せなさいな♪」
立て看板には『コンビニオープン』の文字をデカデカと書いたのを持たせることにした。
「ほら、インパクトは大事だろ?」
(似合ってるな……むしろメイド服にしたい)
「そうだけども……」
(恥ずかしいんですけど!?)
ついついジッと見つめてしまった。
「あのさ……見過ぎなんだけど!!」
「ああ……ゴメン、ゴメン!」
「仕事手伝ってあげるからご褒美に甘くて美味しい物を食べさせて!」
「了解!」
リリアはニコッと笑うとコンビニの外に出た。
すると、十数分後には彼女の呼び込みのお陰で行列ができるほど人が集まって来たのだった。




