第七話:ビルバーグさんと交渉する件。
「ニャンだって……」
メイドさんは、思わず猫語が出るくらい驚いていた。
「落ち着いて……ニャーレ」
「これが……落ち着いていられますか!!」
(私ったらあまりの驚きでつい、猫語が出てしまっていたニャ……)
「ニャーレさんと言うんですか?」
俺は、ようやくメイドさんの名前を覚えた。
「そう……なんだけど……ニンゲン……私の心臓を止める気なの?」
「いえいえ、とんでもない……」
(あれ?ニャンって言わなくなった……可愛かったのになぁ……)
「そ、それで……ビルバーグ邸に何のご用?」
(私を差し置いて結婚報告……イイ度胸ニャ……)
「私たちは、ビルバーグさんにこの町でしばらくの間だけ店を出させて欲しいと頼みに来たのよ」
「お店……夫婦でお店……羨ましいわね!」
「羨ましいんだ……」
(ニャーレさんって実は、結婚願望強めか!?)
「羨まし……くなんかないニャッ!!」
(クッ……負けた気がするニャァ)
「ねぇ、ニャーレ。早くお会いしたいんだけど……」
(この話題を変えなくては……恥ずかしい過ぎる)
「旦那様なら二階の書斎にいるわよ。
案内するから二人とも着いてきなさい!」
◇ ◇ ◇
二階の書斎へと移動した。
トントン。
「どうぞ、入ってくれ!」
部屋に入ると中には、きちんと整理された難しそうな本がズラリと並んでいた。
「やぁ、リリアちゃんじゃないか、久しぶり!」
「ビルバーグさん、お久しぶりです!」
俺は彼の姿に驚いた……というより、少し怖さを感じていたのだ。
「クマ……」
「ワハハハッ!クマは怖いかな?」
最初は怖さを感じていた。
でも、彼のモフモフした毛並みとテリーベアのような雰囲気にスッカリ癒されていた。
「可愛い……失礼!男の人に可愛いは無いですよね」
「いやいや、構わんよ!」
ビルバーグは話を進めた。
「所で君たちは、私になにか用事があって来たのだろう?」
「実は、この町で商売がしたいのです!」
リリアは素直に打ち明けた。
「商売だと?リリアちゃんは……冒険者じゃなかったか?」
「ハイ……なので、こちらのタツオが商売を始めようと考えてて……ダメですか?」
「君とは古い付き合いだからな。
リリアに協力させてもらうぞ!」
それから出店場所を探したり、出店費用を売上金から差し引くことなどを話あった。
「リリア、君だから信じて後払いを許可するが……
本当に大丈夫なのか?」
「ええ、任せてください!私も彼の商品を見た時は本気で驚きました」
「リリアがそこまで言うんだから間違いはないのだろう……よし、わかった!」
話が一通り済んで、オープンは三日後になった。
◇ ◇ ◇
「それにしても……俺のスキルはバレたらダメなんじゃなかったっけ?」
「確かにバレたらマズイけど……この町の人達は安心してイイと思うわよ!」
「町の人は安心かもしれないけど……旅人や行商人にバレたら厄介じゃないか?」
「多少のリスクはあるわ……でも、お金を稼ぐにはこの町が一番よ!」
こうしてリリアの後押しもあり、俺はこの町で商売を始めることになった。




