表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
10/14

第十話:異空間コンビニと、移動販売への決意

次の日の朝。

宿屋の隣にある空き地は、朝露に濡れて静かだった。


俺――真部 辰雄(たつお)は、昨日レベルが上がったことで手に入れた新しいスキルを試すため、空き地の中央へと歩いた。


(リリアは昨日の疲れでまだ寝てるだろうし……今のうちに試すか)


胸の奥が少しだけ高鳴る。

この世界に来てから、俺のスキルはどれも規格外だった。

今回のスキルも、きっと何かとんでもないことになる。


「よーし……早速、試してみよう!」


俺は手を前に突き出し、声を張った。


《出て来いっ! キャンピングカー!!》


何もない空間に、ドンッ! と衝撃が走る。

白いキャンピングカーが突然現れた。


「よし……出たな」


続けて、昨日から気になっていたスキルを発動する。


《コンビニ付与!!》


パァァァン――

緑色の光が車体を包み込み、内部へと吸い込まれていく。


「おお……やっぱり車だったか!」


俺は後部扉を開け、中へ入った。


その瞬間――


「……広っ!?」


思わず声が漏れた。


外観は普通のキャンピングカーなのに、

内部はまるで別世界だった。


棚、冷蔵庫、レジ、照明。

昨日、街の広場で展開したコンビニと同じだが――


内部空間が外観の数倍以上広い。


まるで異空間に繋がっているような広さだ。


「な、な……んだコレ!?

外より広いってどういうことだよ……!」


俺は棚の間を歩きながら、思わず頭を抱えた。


「移動型コンビニ……しかも異空間仕様……」


胸が高鳴る。

これなら、どこでも店を開けることができる。



◇ ◇ ◇


「……タツオ? 何してるの?」


振り返ると、寝起きのリリアが目をこすりながら立っていた。


「お、おはよう。ちょっとスキルの確認をしてて……」


リリアはキャンピングカーの中を見て、目を丸くした。


「これ……昨日のコンビニが、そのまま車の中に……?

しかも……広すぎない?」


「そうみたいだな。異空間になってるらしい」


リリアはしばらく見回したあと、ぽつりと言った。


「……昨日の広場での販売、すごかったけど……正直、手が追いつかないわ」


俺はハッとした。


「やっぱり大変だったか……」


「うん。お客さんは多いし、補充も大変だし……

それに、街の人たちが言ってたの。

『ダンジョンにこんな店があったら便利だよな』って」


俺は腕を組んだ。


(確かに……街の広場だけじゃなくて、ダンジョン前や森の入口でも店を出せたら……

冒険者たちの需要は高いはずだ)


リリアは続ける。


「移動できるなら、いろんな場所で店を開けるんじゃない?

でも……人手が足りないわ。私一人じゃ無理よ」


俺は頷いた。


「そうだな……人員確保も考えないといけないか」


リリアは少し笑った。


「タツオのコンビニ、異世界で本気で流行るかもしれないわよ?」


「いや、流行らんでいいんだが……」


「でも、みんな助かるわ。

冒険者も、旅人も、ダンジョン帰りの人も……

あなたのコンビニがあれば、きっと喜ぶ」


俺は照れながら頭をかいた。


「……そう言われると、悪い気はしないな」


リリアは真剣な目で言った。


「移動販売、やってみましょう。

そのためにも……仲間を増やすべきよ」


俺は深く息を吸い、決意した。


「よし……移動型コンビニ、始めるか」


朝の光がキャンピングカーを照らし、

新しい冒険の始まりを告げていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ