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魔物使いの異世界大陸平定記〜神々や大悪魔すら配下!? 規格外のテイム能力で異世界の理をぶち壊し、気づけば大陸全土を制覇していた〜  作者: ボルトコボルト
第一章 深淵の樹海

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第97話 【絶望の魔王軍5万出撃】敵の奇襲と謀略を完全見破る! 圧倒的チートな情報戦と、武道大会を裏で暴く無双の開幕!

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 翌朝。爽やかな朝日とともに始まった朝食は、いつものように目移りするほど豪華なバイキングだ。


 今日は白米の気分だな。


 ホカホカの炊き立てご飯で結んだおにぎりに、味わい深い御新香、出汁の効いた熱々のお味噌汁。おにぎりの具はもちろん、みんな大好きツナマヨだ。仕上げには淹れたてのブラックコーヒーをチョイスする。


 右隣には美味しそうに肉を頬張るハク、左隣には静かに透明な水を嗜む精霊王レイ。この定位置の安心感は異常だ。


 ちなみに……ついに完成させたのだよ、『マヨネーズ』を!


 保冷パックとセットにしたマヨネーズは、今や城下町や近隣諸国で絶賛爆売れ中だ。当然ながら、出荷元はあの24時間不眠不休で稼働するアンデッドたちのブラックスケルトン工場である。人件費ゼロ、利益率は驚異の100パーセント近く。どれだけ強気の価格設定にしても飛ぶように売れていくため、笑いが止まらないほどの巨万の富が転がり込んできている。


 そしてツナマヨの『ツナ』だが、これはダンジョンに生息する巨大な『魔マグロ』の肉を極上のオイル漬けにしたものだ。金属缶の技術はまだ途上なので缶詰としての製品化は見送っているが、代わりに頑丈な瓶詰めで売り出している。


 世間一般では魔マグロの本当の恐ろしさと美味さがまだイマイチ伝わっていないようだが、じわじわと評価を高めてそこそこ売れている。これも当然、スケルトン工場から24時間体制で出荷中だ。不平不満を一切言わず、文句も言わずに働き続けるスケルトンは、経営者にとってまさに夢のような神人材である。


 ツナマヨおにぎりを一口頬張り、至高の美味さに浸っていたその時だ。俺の背後の空間から影が揺らめき、アラクネクイーンのスパが姿を現した。


「ヒロト王様……魔王軍に大きな動きがございました」


「ん? 今度は魔族かい。……よし、ちょっと待ってくれ。相手が魔族ならあいつを呼ぼう」


 俺は速やかに召喚術を発動し、城の別室にいたはずの人物をこの食堂へ呼び寄せた。


 ポンッ!と空間が弾け、現れたのは死を統べる『不死王』ルシーだった。両手に特大のハンバーガーを抱え、口をモグモグと動かしながら、ルシーは呆れたように頬を膨らませた。


「ちょっとぉ、ヒロト! こんな目と鼻の先にいるのに召喚で呼び出さないでよぉ! ハンバーガー食べてたのにびっくりするじゃない!」


「ごめんごめん! でも魔王軍に動きがあったみたいなんだよ。ルシーにも一緒に話を聞いてほしくてね」


「もう、しょうがないわね……。あ、ブラロロ! 私に淹れたての温かいコーヒーを頂戴!」


「俺もコーヒーのおかわりをお願いするよ」


 ルシーは俺の右隣……ハクのさらにその隣の空き席へと腰を下ろした。配膳を担当していたブラックロードのブラロロが、優雅に頭を下げる。


「はいっ! 直ちにお持ちいたします!」


 ルシーはハンバーガーを一口齧ると、真剣な瞳でスパに向き直った。


「それでスパ、動きを見せた魔王軍の幹部って……まさか『豪腕のガランド』かしら?」


 スパが深々と頷く。


「ハッ、ルシー様のお察しの通りです。オーガ族を率いる魔王軍幹部『豪腕のガランド』が、5万という怒涛の大軍勢を率いて魔王軍の要塞都市より出陣いたしました」


「5万の大軍が出陣したか……。一体どこへ向かっているんだい?」


 スパは万物を見通すアイから共有された最新情報を口にした。


「進路は我が樹海方面です。どうやら北方の荒野を経由し、獣人国へと侵攻する模様です」


「ふむ……獣人国か」


「実は現在、獣人国では国を挙げた大規模な『武道大会』を開催する準備が進められており、ガランドはその開催日に狙いを定めて攻め込む手はずのようです」


「武道大会……? ああ、そう言えば前に念話でそんな話をチラッと聞いたな。マジでやるつもりだったのか、あの獣人王のおやじは……」


「ええ、崩壊しかけた自国の復興事業の一環としてのイベントです。大陸各地から名のある高名な戦士たちを招き、自国の勇士も含めた大トーナメントを開催。優勝者には莫大な賞金を出す手はずですが……主催側は大陸中から集まる観客の入市料、観戦チケット料、宿泊や飲食による巨額の経済効果を見込んでいます。すでに大陸全土の諸国へ案内状を発送し始めたため、もはや中止は不可能です。……しかし、案内状の発送とほぼ同時にガランドが出撃していることから鑑みるに、獣人国の核心部に深い密偵が紛れ込んでいますね」


 俺は冷たい笑みを浮かべ、コーヒーカップを指で弄んだ。


「そうだな。案内状が各地に届くよりも前に大軍が動いている。情報が伝わる速度が早すぎるし、何より武道大会の準備段階で5万の軍編成を完了させていたということは……獣人国の上層部近くに裏切り者がいる。念話で見た、あの胡散臭い羊獣人のクロニスあたりがすこぶる怪しいな」


 絶妙なタイミングでブラロロが、俺とルシーの前に香ばしいコーヒーを差し出してくれた。ありがとう、と礼を言って一口含む。


「そもそも武道大会なんて開催したら、外部の人間や怪しい奴らが武器を持ったまま街中に溢れかえるだろ。そんな状態で奇襲されたら、籠城しようにも街の中で工作員が暴れまくって内部から崩壊する。籠城すらさせない……それが魔王軍の狙いか」


 ルシーも同意するように頷いた。


「ええ、間違いないわね。実に古典的だけど凶悪な手口だわ」


「今のボロボロな獣人国に、魔王軍5万の精鋭と真っ向から戦って勝てる見込みは万に一つも無いな。仮に前回みたいにゲリラ戦で粘ろうとしても、敵の本隊が街の中に居座られるんだ。まともなゲリラ戦すら成立しない。しかも、あの貧しい土地に5万もの大軍が長期間留まれば、食べ物なんて根こそぎ奪われて飢死するぞ」


「凌げたとしても、その後に後が無いわね……」


「まあ、俺の領地じゃないからな。基本的には獣人対魔族の戦いは静かん……高みの見物といきたいところだが、巻き込まれるのは困る。ケットシー、ウェアウルフ、猿人、そしてガネーシャの領地周辺には、重点的に防衛用のガーゴイルを配備して警戒を強めよう」


 俺は向かいの席でトーストを食べていたサクラへ視線を向けた。


「サクラ、前に妖精族の集落を覆っていたあの『絶対結界』を、俺たちの同盟領域にも張ることはできるかい?」


「ええ、もちろん張れるわよ! で、どこに張るの?」


「まずはガネーシャの領地だな。戦争が始まった瞬間に敵から離反させて、結界を張って完全に籠城させる。魔族が痺れを切らして結界に攻め込んできたところを、後ろから俺たちが急襲して一網打尽に挟み撃ちにする流れだ」


「ふふ、完璧な作戦ね! 全く問題なく実行できるわ!」


「よし。スパ、今の作戦プランを将軍たちへ連絡して詳細を詰めさせてくれ。根本的な戦略変更が必要だと判断されたらすぐ報告を頼む。それと、ガネーシャ、キャル、ウルズ、モンタの各首長には、魔王軍が出陣して獣人領に向かっているという情報だけ先行して伝えておいてくれ。ガランドの軍勢が荒野に差し掛かったタイミングで本格的な戦略会議を開く」


「ハッ! 承知いたしました!」


 スパが影の中へと消えていくのを見送りながら、俺は呆れたように肩をすくめた。


「しかし武道大会か……。こんな戦争前夜の非常時に、よくもまあ意味の無い愚行をやらかすものだな」


 サクラがケラケラと笑う。


「えーっ!? でも異世界ファンタジーの定番じゃない! 面白そうだからいいじゃない!」


 そこへ、目をこすりながらヒナが食堂へと入ってきた。


「そそ! 絶対面白そうじゃん!」


「ヒナ、おはよう。今日は随分と早起きじゃないか」


「おはよー! たった今起きたところ! ねぇねぇヒロト、武道大会観に行きたいなーっ!」


「おいおい、現場は戦争真っ只中になるかもしれないんだぞ?」


「その時はヒナの転移魔法でパパッと逃げればいいでしょー? あそこだってすでにダンジョン領域にしてるんだから余裕余裕!」


 俺は呆れて溜め息をついた。


「あのね、ヒナ。武道大会なんてものは、命の危険がない『平和な世の中』だからこそ成り立つ娯楽なんだよ」


「えー? なんでなんで?」


「考えてもみなよ。お互いに生死を懸けて殺し合っている乱世で、自分の切り札や技を不特定多数の観客の前で見せびらかしてみな。それを見て対策を練った敵と戦ったら、圧倒的に不利になるだろう? 負けたら待っているのは『死』だぞ」


 ヒナはふんっと胸を張った。


「それでも自分の圧倒的な技でなぎ倒して勝つのが『チート』ってやつでしょ!」


「命が懸かっている以上、まともな人間は少しでも勝率を上げたいんだよ。例え1パーセントでもな。自分の手の内や切り札は絶対に隠し通し、逆に相手の情報だけは徹底的に引き出したい……死にたくない戦士なら誰もがそう考える。だから本当に強い奴や生き残る奴は、そんな手の内を晒す大会になんて絶対に出ないんだ。大会に出てキャーキャー言われて喜んでいる奴なんてただの愚か者さ。死んでもいいと思っている命知らずしか出場しないよ」


 ヒナはニシシと意地悪く微笑んだ。


「へぇ~? じゃあヒロトは武道大会を見に行かないのー?」


「もちろん、安全な特等席から高みの見物で見に行くに決まってるだろ! 愚か者たちの技や手の内をノーリスクで観察できる絶好のチャンスだからな! ただし、俺自身は絶対に出場なんてしないがね!」


「あははっ! でしょー! 出なくていいから、みんなで見に行こうね!」


 魔王軍5万の大軍勢が迫る中、俺たちは冷徹かつ狡猾に、来たる惨劇と巨大な好機を見据えて不敵に笑いあうのだった!

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