第96話 【無双の守護神】サクラ特製の狛犬&狐ガーゴイル降臨! 神級の瞬間殺戮性能と屋根の悪衛軍団に驚愕!
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村の入口に聳え立つ、圧倒的な威圧感を放つ二体の重厚な石像。俺はそれらをまじまじと見上げ、感嘆の息を吐き出した。
「すごいな……! 日本の神社にある本物の狛犬とそっくりじゃないか」
魔法の箒に乗ったサクラが、誇らしげに胸を張ってニンマリと笑う。
「ふふん、そうでしょ! 私の自信作なんだから!」
「配置もちゃんと口を開けた『阿』と、口を閉じた『吽』の『阿吽』になっているね」
「デザインも拘ったのよ! かわいいでしょ?」
「いや、可愛くはないでしょ! むしろ禍々しくてめちゃくちゃかっこいいよ」
「えぇ~? このずんぐりした愛嬌のあるフォルム、絶対ブサ可愛いじゃない!」
サクラとそんな軽口を叩き交わしながら、俺は左側の像の頭部へ視線を向けた。
「よく見ると、吽形の頭にだけ鋭い一本角が生えているんだな」
「そうなの! 日本の狛犬像って実は色々なバリエーションがあってね。両方とも角が無いパターンも多いんだけど、古来の伝統的なこの角ありパターンも再現してみたのよ。阿形の方は口を大きく開けているでしょ?」
「そうだね。鋭い牙が見えているな」
「阿形は開いた大きな口で敵に一撃で噛みつけるようにしたんだけど、吽形は固く口を閉じているから、代わりに頭の角で敵を貫く仕様にしたのよ。ちなみに日本だと、このスタイルの時は口を開けた阿形を『獅子像』、角があって口を閉じた吽形を『狛犬像』って区別して呼ぶらしいわ」
「へぇー! サクラは相変わらず物知りだなあ」
俺たちが感心していると、横からヒナが好奇心満々の目で狛犬像へ近づき、その重厚な石の脚をペタペタと撫で始めた。
「ねえねえサクラ、これって飾りじゃなくて実際に動くんでしょー?」
「もちろん! 基本機能はゴーレムと同じ自律思考型よ」
すると次の瞬間──重厚な石の軋む音が響いた!
「お任せください。我らは村を守護する存在、当然動きますよ」
「「うおっ!?」」
なんと右側の阿形が重厚な声で滑らかに喋り、ドスンッ!と音を立てて高い台座から地面へと飛び降りてきたのだ!
さらに左側の吽形も身をブルッと震わせ、驚いてサクラの陰へサッと手を引っ込めたヒナの目の前へとダイナミックに躍り出た。ドッシリと腰を下ろし、頭を垂れる。
「我が国に敵対する見知らぬ不審者が立ち入れば、即座に門番として撃滅いたします」
「喋る上に自我までしっかりあるのか! すごいね……ちなみに戦闘力はどのくらいなんだい?」
俺の問いかけに、ヒナが不敵な笑みを浮かべて前に躍り出た。
「ヒロト! 実戦性能を試すために、お昼ごはんの材料も兼ねてダンジョンの『エリュマントス』を出してみようよ!」
「お、いいね! サクラ、いきなり実戦テストをやっても大丈夫かい?」
「全く問題ないよ! むしろ壊せるものなら壊してみてって感じね!」
ヒナがダンジョンスキルを発動させると、空間が歪み、二体の狛犬の目の前に巨体と巨大な牙を持つ魔猪『エリュマントス』が突如出現した!
出現したエリュマントスは、眼前の不気味な石像二体に向かって激しい敵意を剥き出しにし、前足で猛烈に地面を削って突撃の姿勢をとる。
──ズドンッッ!!
エリュマントスが踏み込むよりも早く、吽形が目にも留まらぬ速度で正面から一閃! 頭部の超硬度オリハルコン角を真下からエリュマントスの喉元へと一刺しに穿ち抜いた!
同時に、右側へ疾風のごとくひとっ飛びした阿形が空中から旋回! エリュマントスの左側から巨大な口をガバッと開き、その極太の首筋へと容赦なく噛みついた!
──メリメリッ……ドカァンッ!
一瞬だった。
吽形の角が下から突き上げると同時に、阿形の顎が喉ごと肉と骨を力任せに喰いちぎる!
エリュマントスの巨体は、一瞬にして首から上が綺麗に爆砕・千切れ飛び、血飛沫を上げながら激しく地面へ倒れ伏したのだった。
「おぉーっ!? 強っ!!」
一瞬で終わった殺戮ショーに俺が歓声を上げると、死体をすかさず異次元空間へ収納する。サクラは「ふふん!」と自慢げに鼻を高くした。
「でしょう! 装甲も攻撃力も神級モンスターレベルに調整してあるんだから!」
「さて、それじゃあ村の中に入るよ」
俺が狛犬たちに告げると、二体は「御意」と一礼し、軽やかな跳躍で再び元の台座へと戻り、完璧な石像のフリをして座した。
「どうぞお通りください、偉大なる我が王様」
「ありがとう。……そういえばサクラ、狐型のガーゴイルも村のどこかに配置されているのかな?」
「いるよー! 狐は村長さんの家の敷地に配備してあるわ!」
俺たちはそのままガル村の中へと足を進めた。
整然と区画整理された村の通りを歩いていると、作業中のコボルトやゴブリンたちの姿が数多く見受けられる。彼らは俺たちの姿を認めると、すぐさま作業を止めて嬉しそうに深々と頭を下げて敬意を表してくれた。
「随分と村の魔物たちも増えて、賑やかになったね」
アリアが隣で嬉しそうに微笑む。
「ええ。ガリア町から移住してきて、このガル村に定住しているコボルトやゴブリンもたくさんいますからね。みんなヒロト様の治世の下で、本当に幸せそうに暮らしていますよ」
「平和でとても良いことだね」
やがて村長の邸宅に到着すると、その門の両脇に設置された台座の上に、二体の美しい狐の像が鎮座していた。
こちらも見事な石造りだが、先ほどの重厚な狛犬に比べて全体的にスリムでスタイリッシュ。身長もやや高く、すらりとした狐が後ろ足を綺麗に折って座っていた。
「ほう……狐の吽形像の方は、口に綺麗な透明の玉をくわえているんだね」
「そうなの! 狐には角が無いからね。そのくわえている宝玉から極大威力の攻撃魔法を放つように設計したのよ! 日本の稲荷神社にいる狐像も色々なくわえものがあってね、玉の他にも稲穂や巻物、鍵なんかをくわえている像があるの。戦闘力は狛犬とほぼ変わらないわ。しかもこっちは高い知能で索敵や情報収集もこなすハイスペック仕様よ!」
「なるほど、万能型か……素晴らしいな。サクラ、ガーゴイルは他にどれくらい設置したんだい?」
「このガル村全体で、あと10体くらいかな!」
「そんなに配置したのかい!?」
「当たり前じゃない! 私たちが助けに来るまでの間、どんな大軍勢が攻めてきても完璧に防衛できるようにしておかないとね!」
「頼もしすぎるな……一体どこに隠れているんだい?」
サクラは不敵に笑うと、近くの民家の屋根の上を指さした。
「あそこ! 屋根の上を見てごらん!」
「ん……? あ、本当だーっ!」
視線を向けると、民家の屋根の角に、悪魔の翼と角を持つ禍々しい石像がポツンと座っていた。それこそまさに、西洋の怪異譚に出てくる伝統的な『ガーゴイル』そのものの姿だ。
座っているので正確な全貌は分からないが、立ち上がれば人間の大人ほど……恐らく体長150センチほどのガーゴイルがあちこちの屋根の上に不気味に佇んでいる。
「これぞガーゴイルって感じのデザインだな! 翼があるけれど、空も飛ぶのかい?」
サクラが口笛を吹くように指を鳴らした。
「もちろん飛ぶわよ! おいでー!」
サクラの呼びかけに応じ、屋根の上にいたガーゴイルがふわりと宙に浮き上がり、滑らかに俺たちの目の前へと飛来した。羽ばたく動作は一切無く、魔法による完璧な浮遊と飛行を発動させているようだ。
「おおっ! 近くで見ると結構な迫力と大きさだね」
「立ち上がると160センチくらいかな!」
「どんな機能が搭載されているんだい?」
「そんなに複雑なのは載せてないわよ? 自動追尾型の『ファイアボール』と、あとはオリハルコン並の強度を持つ牙と爪による物理攻撃くらいね!」
「いやいや、空からその威力の魔法と物理攻撃を自動で叩き込まれるだけで、襲撃者にとっては絶望的なアドバンテージだよ……! ちなみに素材は普通の石かい?」
「大部分は特殊な魔石を含んだ強化石だけど、核になる最重要な魔石の周囲だけは、絶対に破壊されないように最高級の『オリハルコン』で二重に補強してあるわ!」
俺はサクラの完璧すぎる防衛システムに深く感心し、膝を打った。
「素晴らしい出来映えだ! この飛行タイプのガーゴイル、樹海にある他の全ての集落や拠点にも防衛用として配備しようかな。これってサクラ以外の者でも作れるかい?」
サクラは魔法の箒の上でニンマリと胸を張った。
「今私が工房で教えている優秀なダークエルフの子たちなら、私が設計図と魔石を用意してあげればバッチリ量産できると思うわよ!」
「よしっ! 決まりだ! 早速全集落へ配備を進めよう!」
サクラの生み出した最強の守護神たちによって、我が樹海王国の防衛網はまさに『絶対不可侵の鉄壁』へと進化を果たすのであった!
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