↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔物使いの異世界大陸平定記〜神々や大悪魔すら配下!? 規格外のテイム能力で異世界の理をぶち壊し、気づけば大陸全土を制覇していた〜  作者: ボルトコボルト
第一章 深淵の樹海

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

86/433

第86話 王国の命運を握る塩の覇者! 決死の直訴と天才宰相の洞察が引き寄せる、アラント辺境伯領の完全電撃併合!

ブックマーク登録していただいた方、

有難うございます。


ブックマークに登録していただくと評価が上がり、モチベーションも上がりますので宜しかったらお願いします。

 香ばしい肉の串焼きを堪能した後、俺たちは活気あふれる街並みを確認しながら、悠々とガリア町の領主の館へ到着した。


 重厚な館の門前を守る二名の門番も、漆黒のフルプレートアーマーに身を包んだ精鋭のオーク兵だ。門番たちは俺の姿を認めると、甲冑を鳴らして直立不動で恭しく一礼した。


「ヒロト王様! お待ちしておりました! どうぞお通りください!」


「ご苦労様!」


 玄関の前へ足を踏み入れると、そこには新領主のコボ5、窓口役を務めていたアリア、そして肩のあたりを飛び回る雷精霊ライゾウが待っていた。ライゾウは俺たちに近づくなり、ピクピクと鼻を鳴らした。


「遅かったなーヒロト! んんっ……? くんくん、なんだか香ばしくてめちゃくちゃ良い匂いがするぞう!」


 俺はニカッと笑って答えた。


「あはは、途中の屋台で絶品の魔豚の串焼きを買って食べてきたんだよ」


 アリアは「えっ!?」と目を丸くし、少し困ったような可愛い苦笑いを浮かべた。


「ちょっとヒロト! お昼ご飯、館の食堂にバッチリ用意していたのですが……どうしますか?」


「食べる食べる! もちろん食べるよ!」


 俺が即答すると、横から人化形態のリザが黄金の瞳を輝かせて身を乗り出してきた。


「私も食べます! まだまだ全然食べ足りません!」


 リザの底なしの胃袋には本当に驚かされる。


 領主の館の食堂で豪華な昼食を心ゆくまで平らげた後、俺たちは応応接室へと移動した。アリアが淹れてくれた温かい紅茶を飲みながら、アラント辺境伯の到着を待つ。


 ちなみに今回の謁見に立ち会うのは、一緒に町を回ったメンバー以外では、コボ5、アリア、ライゾウ、外交担当のアキート、そして人身の姿へと擬態したデレイズだ。


「デレイズ、各ギルドの調整やら外交の日程調整やらで、やることが山積みで大変だと思うけれどよろしくね」


 元デルガ王国宰相にして超優秀なリッチであるデレイズは、優雅に一礼して深々と頭を下げた。


「滅相もございません。我が主ヒロト様のために腕を振るえるなど、これ以上ないやりがいに満ちた最高の仕事にございます。精一杯務めさせていただきます」


 そこへ、門番のオーク兵が重厚な足音を立てて辺境伯の到着を告げに来た。

 俺はふと思い出して、コボ5に向き直った。


「そういえばコボ5、この広い館を管理するために人間や亜人の使用人をどんどん雇っていいからね。お金ならいくらでもあるでしょ?」


 そういえば、先ほどのおいしい料理も食後の美味しい紅茶も、全部アリアが一人で作ってくれていたのだ。コボ5は耳をピンと立て、どこか硬い表情で頭を下げた。


「ハッ! 畏まりました、主様! すぐに手配いたします!」


 真面目なコボ5は相変わらず真面目で堅いなぁと苦笑しつつ、全員で重厚な謁見の間へと向かった。控えの間からアラント辺境伯を呼び出す。


 重厚な扉が開き、一人の男が入ってきた。

 短く整えられた金髪に、仕立ての良い豪奢な貴族服。体格が良く、厳しい辺境を長年修羅場としてくぐり抜けてきたことが一目でわかる厳ついおっさんだ。


 アラント辺境伯は俺たちの前に進み出ると、貴族の最高の礼を執って深々と平伏した。


「この度は、お忙しい身でありながら直々の謁見をお許しいただき、誠にありがとうございます。ガラード王国アラント辺境伯領が主、アラントと申します」


「樹海の王、ヒロトだ」


「ヒロト王様、まず本日の謁見のお礼といたしまして、ぜひとも王へ献上したい品がございます。この場にお持ちすることをお許しいただけますでしょうか?」


「許す。持ってくるといい」


「はっ! ……持ってまいれッ!」


 アラントの合図に応じ、数名の家来たちが恭しく巨大な木箱をいくつも運んできた。蓋が開けられると、中にはキラキラと輝く白い結晶──大量の『塩』がぎっしりと詰まっていた。


 デレイズが「ほう……これはこれは」と目を細め、木箱へ近づくと指先で塩を掬い、一舐めして感嘆の笑みを浮かべた。


 実は、我が樹海王国では各種食材や技術は急速に発展しているものの、未だに塩の精製や塩田の確保には目処が立っていなかったのだ。塩は樹海で採取できないため、全量を他国からの輸入に頼っている貴重品である。だから献成品として嬉しいことは嬉しいのだが……一国の王への献上品としては些か地味ではないか?


 しかし、あの天才宰相デレイズがここまで露骨に満足げな表情を見せているということは、単なる塩ではない何か重大な価値があるのだろう。


 アラント辺境伯は力強い声で説明を始めた。


「ヒロト王様、この塩は我がアラント辺境伯領の広大な塩鉱から採取される、最高品質の岩塩から精製したものでございます。我が領地には良質な岩塩が無尽蔵に採掘できる巨大な塩鉱が存在し、実にガラード王国内で流通している塩の【80%】を我が領地が一手に供給しております」


 なるほど! 国内の塩の大部分を握る塩の覇者というわけか。それはとんでもない強みだ。


 アラント辺境伯は表情を引き締め、まっすぐに俺の目を見つめた。


「ヒロト王様、回りくどい前置きは無しとさせていただきます。本日は王へ二つの重要なお願いがございます。お話しさせていただいてもよろしいでしょうか?」


「話すだけなら一構わん。許す」


「感謝いたします!……一つ目は【交易】に関する件でございます。このガリア町一帯がヒロト王様の領地となって以降、我が領地との直接の流通が途絶えております。現在、ヒロト王様の国からは、見たこともない素晴らしい魔物素材や最高級の農産物がアキート商会を通じて流れてきておりますが、我が領内でも空前の大人気となっております。ですが現在は他国や他領地を迂回した遠回りの商売となっており、互いに大きな損失と不便が生じております。何卒、我が領地と樹海王国が直接商売できるよう、特別な便宜を図っていただけないでしょうか?」


「うーむ……」


 俺は腕を組み、いかにも難しそうに考えているフリをした。


(アキート、どう思う……?)と心の中で念話を送ろうとして、ハッと気づいた。そうだ、アキートは眷属化していない優秀な協力者だから『念話』が通じないんだった! 地味に不便だな。


 まあしかし、純粋な商売の拡大なら我が国にとってもメリットしかない。この大量の極上塩を持ってきたのは、「直接取引してくれれば、この膨大な塩を格安で安定供給するぞ。迂回されたら塩の価格も高騰するぞ」という強力な提示だったわけだ。


「良いだろう、許す! 交易の詳細な条件については、そこにいるアキートおよびアキート商会会頭のショーと念入りに詰めるがいい」


 アラント辺境伯の顔が一気に明るくなった。


「お聞き届けいただき、有り難き幸せにございます! ……そして、二つ目のお願いでございますが……」


 アラント辺境伯は大きく息を吸い込むと、意を決したようにその場に両膝をつき、床に深く頭を擦り付けた!


「この広大な塩鉱ごと我がアラント辺境伯領、そして私を含めた全領民を……ヒロト王様の【配下】として組み込んでいただけないでしょうかッ!!」


「「「なに……!?」」」


 周囲にどよめきが走る。アラント辺境伯は必死の様相で叫び続けた。


「ガラード王家はすでにヒロト王様の圧倒的威光の前に風前の灯火! もはや未来などございません! 対してヒロト王様の治める樹海王国には、誰も見たことのない眩しい未来と繁栄が待っております! 是非とも我らを配下としてお召し抱えいただき、共に繁栄の道を歩ませていただきたいのですッ!」


「ふむ……。アラント辺境伯、先ほど町を見て回ったなら分かっていると思うが、我が国は人間も魔物も、亜人も一切の差別なく平等に生活する方針だ。お前の領地でそれが受け入れられるか?」


「全く問題ございません! もし配下としてお認めいただけるのであれば、ただちに領内の奴隷制度を完全廃止し、虐げられている亜人たちの解放と保護に全力を尽くすことをお約束いたします!」


「うむ。……ではもう一つ。今回の戦争の引き金となったのは、お前の寄子よりこであったアーシュ男爵の横暴だ。その点について、お前はどう考えている?」


 アラント辺境伯は痛恨の表情を浮かべ、深く頭を垂れた。


「その件につきましては、万死に値するお詫びのしようもございません……! 誠に申し訳ございませんでした! しかし、恥を忍んで内情をお話しさせていただけるなら……あのアーシュ男爵は、ガラード王族から無理矢理我が領の寄子として押し付けられた男であり、王族の威光を盾に我が言を聞かず、大変手を焼いていた毒虫でございました。ヒロト王様が奴を排除してくださったことに対し、私としてはむしろ心から感謝しているのが本心でございます……!」


 俺は隣に立つデレイズへ視線を向けた。


「デレイズ、お前はどう見る?」


 デレイズは静かに進み出ると、深謀遠慮に満ちた笑みを浮かべて分析を披露した。


「ヒロト様、アラント辺境伯殿の仰っているお言葉に、何一つ偽りはございません。そして今回献上されたこの塩……これはアラント辺境伯領で採掘される中でも最高品質の最上級品。しかもこの膨大な量です。辺境伯は現在手持ちで出せる最大最高の誠意を、背水の陣で持ってきておられます」


 デレイズの言葉に、アラント辺境伯がハッと息を呑む。デレイズは淡々と続けた。


「アラント辺境伯は、聡明なる我が主ヒロト様が、いずれ魔法や技術によって独自に塩を精製されるであろう未来を完全に見抜いております。だからこそ、価値が暴落する前に塩鉱という巨大な利権ごと我が国へ献上し、生存を図られたのでしょう。また、本日辺境伯がガリア町へ訪れたことはすでに王国内で周知の事実。この会談が物別れに終われば、辺境伯はガラード王国から『裏切り者』として真っ先に粛清され、非常に危うい立場となります。ヒロト様がさらなる領地の拡大をお望みであれば、これ以上ない願ってもない好機。……ですが、ヒロト様は元より無用な領地拡大をお望みではないお方。すべてはヒロト様のお考え次第にございます」


 アラント辺境伯は目を見開き、愕然と呟いた。


「お、おおお……デレイズ様は、私の状況と意図をそこまで見抜いておられたか……!」


(うわぁ、デレイズ凄すぎるだろ! 昨日会談への参加を伝えてから、一夜でそこまで完璧に相手の状況と心理を調べ上げたのか!? 一体いつ寝てるんだ……いや、アンデッドだから睡眠なんて最初から不要なのか!?)


 俺は心の中でデレイズの有能さに戦慄しつつ、不敵に口元を歪めた。


 よし、決めた!


「アラント辺境伯よ、申し出を許す! お前とアラント辺境伯領を我が樹海王国の傘下として受け入れよう! 実務的な併合の時期と具体的な手段については、デレイズと密に詰めるがいい!」


 アラント辺境伯の目に歓喜の涙が溢れ出た。


「あ、有り難き幸せにございますぅぅっ!! ヒロト王様万歳ッ! 樹海王国万歳ッ!」


 床に何度も頭を擦り付け、歓喜に震えるアラント辺境伯。こうして、ガラード王国の塩の大部分を握る巨大な辺境伯領は、何の一戦も交えることなく、樹海王国の完全なる絶対領土へと組み込まれるのであった。

いつも読んでいただきありがとうございます。


評価ポイントを登録していただいた方はありがとうございました!


まだ登録いただいていない方、気が向いたら登録していただくと嬉しいです。


気が向いた方は、

下段ポイント評価を選択後、

ポイントを選んで「評価する」ボタンを

押してください。


宜しくお願い致します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。