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魔物使いの異世界大陸平定記〜神々や大悪魔すら配下!? 規格外のテイム能力で異世界の理をぶち壊し、気づけば大陸全土を制覇していた〜  作者: ボルトコボルト
第一章 深淵の樹海

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第78話 地獄の公爵アスタロト召喚! 眷属化による規格外の倍化補正と、樹海王国ガリア町電撃進撃への幕開け!

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 清々しい朝日が、城の広大な食堂を鮮やかに照らし出していた。


 うちの朝食は、毎朝恒例の豪華なバイキング形式だ。


 深淵の樹海に集う幹部たちはとにかく人数が多い。それぞれが治める領地や拠点である塔へ向かう前に、こうして一堂に会して城の食堂で賑やかに朝食を囲むのが日課となっていた。


 厨房を取り仕切るのは頼もしい料理おばさんだが、最近そこに『ブラウニー三姉妹』が調理助手として加わってくれたおかげで、人手不足は完全に解消されている。それどころか、妖精ならではの魔法の隠し味や繊細な盛り付けが加わり、出てくる料理はどれも飛ぶほど美味い。


 その圧倒的なクオリティゆえに、仕事を終えた夕食時にもわざわざ城の食堂へ戻ってきて舌鼓を打つ幹部が後を絶たないのだ。


「うむ、今日の竜肉の燻製と焼き立てパンの組み合わせも最高だな!」


「念話で済む連絡も多いが、やっぱりこうやって面と向かって杯を交わしながら話すと、深まり方が違うというものだ」


 あちこちから満足気な笑い声が聞こえてくる。昨夜も盛大な宴会になったばかりだが、幹部たちの多くは夕食後もそのまま食堂に残って酒を汲み交わしている。もはや城の食堂は、毎夜のように最高級の酒場と化していた。俺としても、幹部同士の絆が深まるなら大歓迎だ。だからこそ、食堂での食事や晩酌は積極的に推奨している。


 朝食を終えた俺は、いつものリビングへと戻った。


 ここには妻たちや信頼できるパーティメンバーが集い、思い思いに寛いでいる。そして今日からは、新たに仲間となった『深淵の魔女』サクラと、彼女の使い魔である黒猫のミサキもこの憩いの場に加わっていた。ミサキはソファーのクッションの上で丸くなり、気持ちよさそうに目を細めている。


 ちなみに、今回の激戦で協力してくれた闇の王デルガ、死神デステル、吸血鬼ヴァイラ、そして真祖の従者ヴァールの4人については、ひとまず城の客室に滞在してもらっていた。いずれはどこかの塔を整備して住んでもらう予定だが、そのあたりの細かい采配は万能なヒナに一任してある。なお、吸血鬼の真祖ヴァンスだけは「我が居城のメンテナンスがある」と言い残し、自分の古城へと颯爽と帰っていった。


 俺はソファーから立ち上がり、手際よく本日の予定を伝える。


「よし、今日はガリア町へ行くよ。ヒナはサクラたちと内政要員の配置調整を進めてくれ。それが終わり次第、サクラは樹海周辺の村々に自動防衛用のガーゴイルを設置しに行ってほしい。ヒナはその後、吸血鬼たちの修行の指導かな?」


 ヒナとサクラが顔を見合わせ、元気よく返事を返した。


「「はーいっ!」」


 準備は万全だ。

 右手に寄り添う人化状態のハク。左手にはレイ。左目には万能の相棒であるスライムのアイが同化している。全身の防護として身体にスラオを纏い、腰には研ぎ澄まされた名刀ムラマサを差す。


 同行するメンバーの陣容も固まった。

 リザ、ハピ、ルシーは人間の姿へ人化。アリアはそのままの可憐な姿だ。コボミとスパは高度な『隠蔽』スキルを展開し、姿を完全に消して追従する。


 雷精霊のライゾウもまた精霊特有の隠蔽を重ねて同行するが、彼の隠蔽は非常に特殊で、味方にしか存在を感知できない絶対不可視の状態となる。アリアは一般的な兵士と比べれば遥かに強力な剣士なのだが、うちの妻たちの規格外すぎる戦闘力と比較すると、どうしても後衛寄りになってしまう。そのため、ライゾウにはアリアの周囲を旋回させ、鉄壁の護衛として立ち回ってもらうことにした。


 話は少し変わるが、四聖獣へと進化した4精霊とこのライゾウは、実は以前から進化の条件を満たしていたらしい。4精霊は俺の助言を聞いて四聖獣への進化を選んだのだが、ライゾウだけは「これだ!」と思える理想の進化先が見つからず、保留を継続しているそうだ。我が軍はすでに人数も戦力も溢れ返るほど充実しているため、眷属たちの進化については本人の自主性に任せている。焦る必要はまったくない、ライゾウの自由だ。


 さて、そろそろ出発しようかとしたその時、ルシーが「あ」と声を上げて制止してきた。


「ヒロト、ちょっと待って! ガリア町へ行く前に、もう一人あなたに紹介しておきたい者がいるのよ。内政要員とは直接関係ないけれど、万が一の事態に備えて絶対に側に置いておくべき超大物なの。ちょっと時間を頂戴できるかしら?」


「ん? いいよ、誰だい?」


 俺が首をかしげると、ルシーは妖しく微笑み、溢れんばかりの濃密な魔力を解き放った。


「来なさい──『アスタロト』召喚!」


「……え!? 今、アスタロトって言った!?」


 ルシーの詠唱とともに空間が歪み、漆黒の極大魔法陣から一人の男が静かに姿を現した。


 そこに立っていたのは、一目見て息をのむほどの完璧な執事服を纏った男だった。


 長身かつ流麗な美形。すっと一本筋の通った高い鼻梁。オールバックに美しく固められた金髪は一切の乱れがない。男盛りの色気を漂わせた、ダンディな四十代前後の容貌だ。


 その装いは、あまりにも完璧な正統派の燕尾服イブニングドレスだった。


 上質な黒のジャケットは前ボタンをかけず優雅に羽織られ、胸元には白無地のイカムネシャツ。袖口からは最高級の白真珠のカフスリンクスが覗いている。首元には寸分の狂いもなく結ばれた白い蝶ネクタイ、その下には白いシングルのウェストコート。


 黒いハイウェストのスラックスは裾が美しいモーニングカットに仕立てられ、手には白革のドレスグローブ、胸ポケットには洗練された白いシルクのチーフ。足元は鏡のように磨き上げられた黒のエナメルシューズだ。


 間違いなくジャケットの下には白いサスペンダーを仕込み、ポケットにはアンティークの銀製懐中時計を忍ばせているに違いない──そんな完璧な気品を纏う執事である。


 男は優雅な動作で胸に手を当て、深く完璧なお辞儀をしてみせた。


「お初にお目にかかります、主(主)よ。アスタロトと申します。この度はルシー様のご依頼を受け、召喚に応じ参上いたしました。普段は執事として身の回りのお世話をさせていただき、有事の際にはどのような命であれ即座に果たしてみせます。どうか、この私を末永く配下にお加えいただけますよう、謹んでお願い申し上げます」


 あまりの洗練された立ち振る舞いに圧倒されつつも、俺は思わず青ざめてルシーを振り返った。


「おいおいルシー……! アスタロトって言ったら、ルシフェルやベルゼブブと並び称される地獄の大公爵にして、元・大天使の超大物悪魔じゃないか!?」


 ルシーは「ふふん」と自慢げに胸を張った。


「あら、よく知っているわねヒロト! そうよ、大悪魔アスタロトよ。これから先、我が樹海王国は人類だけでなく、天界の天使や魔界の悪魔と全面戦争になる可能性だってゼロじゃないわ。万が一の時にヒロトを守る護衛として、今のうちに最強の配下として側に置いておきたかったの」


「いや、言いたいことはわかるけどさ……! 悪魔との契約って、死んだ後に魂を差し出すのが相場だろ!? 契約の条件はどうなってるんだ!?」


 俺が焦って確認すると、アスタロトは柔和な笑みを崩さずに滑らかな声で答えた。


「ご安心くださいませ、我が主。契約はすでに完了しております。私はすでに前払いとして、この上なく極上で甘美な魂を、こちらの不死王ルシー様よりたっぷりと頂戴しております。何一つご心配なさらず、私を眷属としてお受け入れください」


 前払いで大悪魔が満足するほどの極上魂をポンと支払っているって……不死王ルシー、怖すぎるだろ!


「ふ、ふーむ……本当に大丈夫なのか……?」


 俺がなおも絶句していると、ルシーがポンと俺の肩を叩いて明るく笑い飛ばした。


「大丈夫よー! 心配しないでヒロト! 万が一何か問題が起きたら、すべての責任は私が取るわ! 私、こう見えても不死王だしねー!」


 念のため、俺は左目に同化しているアイのスキルを起動し、アスタロトを極限まで鑑定してみた。


 ──しかし、レンズ状の視界に表示された種族名は、なんと『人間』の一文字。


 俺の鑑定スキルは、これまであらゆる神級の魔物の偽装を見破ってきたはずなのに……。


「……なぁアスタロト。今のその姿って、やっぱり人化なんだよな?」


「もちろんでございます。本来の大悪魔としての姿は、戦況に応じてお見せすることもあるかと存じますが、できればこのエレガントな執事の姿のままでお仕えできることを願っております。なお、ステータス上は『人間』と完璧に偽装しておりますので、いかなる高レベルな鑑定持ちであろうと見破ることは不可能です」


 うわあ……ということは、これから先、どれだけ鑑定で『種族:人間』と出ようが、まったく安心できないってことじゃないか! 異世界の鑑定偽蔽技術、恐るべしである。


「……分かった。凄まじい頼もしさだ。これからよろしく頼むよ、アスタロト」


 俺は覚悟を決め、アスタロトへ眷属化の波動を送り込んだ。


「おお……! なんという温かく力強い御力……! 誠にありがとうございました、ヒロト様。これよりは我が身と魂の全てを捧げ、忠義を尽くしましょう」


 眷属化の光が収まった瞬間、アスタロトとルシーが同時に目を見開き、信じられないといった様子で叫んだ。


「やっぱり……! 本人が心から望んで同意すれば、地獄の大悪魔であっても問題なくヒロトの眷属になれるのね!」


 ルシーが興奮気味にアスタロトへ問いかける。


「アスタロト、ステータスはどうなったの!? やっぱり一気に跳ね上がった!?」


 アスタロトは白革の手袋をはめた自分の手をじっと見つめ、溢れ出す圧倒的な全能感に身を震わせた。


「……驚愕です。ステータス表示そのものは『人間』として偽装し続けておりますが、内なる本来のステータス値が……なんと『2倍』へと跳ね上がりました! 地獄の大公爵であるこの私の力がさらに倍化するなど……素晴らしい、あまりにも素晴らしい主にお会いできた!」


 歓喜に震える大悪魔の姿を見ながら、俺は冷や汗をダラダラと流していた。


(おいおい……試してみたかっただけかよ! とんでもない化け物をさらにバカ強くしちゃったじゃないか……!)


 だが、これで我が樹海王国の防衛網と護衛陣は、まさに神をも殺しかねない領域へと到達した。

 俺たちは大悪魔アスタロトという規格外の執事を従え、次なる目的地であるガリア町へと向け、いよいよ電撃進撃を開始するのだった。

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