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魔物使いの異世界大陸平定記〜神々や大悪魔すら配下!? 規格外のテイム能力で異世界の理をぶち壊し、気づけば大陸全土を制覇していた〜  作者: ボルトコボルト
第一章 深淵の樹海

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第77話 理不尽な徴税に怒りの鉄槌! ガラード王国への宣戦布告と周辺村落電撃占領、そして開戦の火蓋を切る樹海王国!

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 翌朝、俺たちはいつものように食堂で賑やかな朝食を平らげ、城のリビングへと移動した。


 リビングは俺が心からリラックスできるよう、ギラギラとした華美な装飾や豪華すぎる調度品は一切置いていない。やはりシンプル・イズ・ベストだ。清潔感のある真っ白な壁に囲まれた空間で、俺は黒の総トップレザーで作られた最高級のソファーに深く身体を沈めた。吸い付くように腰を包み込んでくれるこの座り心地がたまらない。


 ソファーに座ると、すぐさま右側に人化状態のハクが、左側に同じく人化状態のレイがぴったりと寄り添うように腰掛けた。ほのかな甘い香りと柔らかな温もりが左右から伝わってきて、なんとも鼻の下が伸びそうになる。


 俺は咳払いを一つして、姿勢を正した。


「スパ、魔族の国とシルミル教国の情報収集についてだが、小蜘蛛スパイダーの数は足りているかね?」


 部屋の隅の影からスッと姿を現したアラクネクイーンのスパが、美しくしなやかなお辞儀をしてみせた。


「ヒロト様、全く問題ございません。我が子らはすでに両国の重要拠点および街道筋へ無数に潜伏しており、何一つ見落とすことなく情報を吸い上げております」


「よし、頼もしいな。思わぬところから不意打ちの襲撃を受けると大変危険だからね。情報網の維持は最優先で頼むよ」


「承知いたしました。……それとヒロト様、報告が一つございます。我が情報網によりますと、ガラード王国領の端にある『ガル村』に対し、王国からまたしても非道な臨時徴税の命令が下り、現地で激しい押し問答と揉め事が発生しております。ガル村は毎年の重税ですでに青息吐息……これ以上麦を搾り取られれば、村人たちはこの冬を越せずに全員餓死するしかないところまで追い詰められております」


 それを聞いた瞬間、俺はソファーから勢いよく立ち上がった。


「よし、ちょっくら行って状況を確かめてくるよ!」


 俺の言葉に、リビングにいた妻たちが一斉に立ち上がり、意気揚々と声を揃えた。


「「「私達も一緒に行くわ、ヒロト!」」」


 ハクが即座に高度な空間転移魔法を展開し、俺たちは一瞬にしてガル村の入口前へと空間を跳んだ。


 着いた途端、耳に飛び込んできたのは荒々しい怒号だった。


 ガル村の木造の防壁門前で、ド派手な衣装を着た王国の勅使と、痩せこけた老村長が激しく言い争っている。勅使の後ろには、ギラギラと尖らせた長槍や剣を構えたガラード王国軍の正規兵士が数十名、せせら笑いながら圧力をかけていた。村長の後ろには、震えながら竹やすきを手にした村の門番が二人立っているだけだ。


「つべこべつべこべうるさいんだよ! これはガラード王国本国の決定だ! 出すものを出しな、この貧乏村が!」


 ニヤニヤと意地悪く笑う勅使に対し、村長は地面に膝をつかんばかりの勢いで頭を下げて泣きついた。


「どうか……どうかお許しください勅使様! これ以上、今年の備蓄麦を持っていかれてしまっては、村人全員食べるものが無くなり、子供や年寄りから全員飢え死にしてしまいます! どうか、どうか今回の増税だけはご容赦を……!」


「ハッ! 誰が貴様ら下等な村人の事情なんて知るかよ! どけっ、邪魔だ!」


 苛立ちを露わにした勅使は、あろうことか腰の剣をガチャリと抜き放つと、そのまま容赦なく老村長の首筋に向かって刃を振り下ろした!


「なっ──!?」


 俺は地面を強く蹴り込み、瞬時に『縮地』並みの速度で村長と勅使の間へ割り込んだ。

 そして、今まさに振り下ろされようとしていた勅使の右腕を、ガシッと素手で掴み取って固定する。


「……たかだか税の話し合いだろ。命まで奪うことはないじゃないか」


 突然割り込まれた勅使は目を見開き、金切り声を上げた。


「き、貴様ッ! 誰だァッ!?」


「ヒ、ヒロトさん……!?」


 村長が驚愕の声を上げる。

 勅使は顔を真っ赤に怒らせると、力任せに腕を振って俺の手を払い、ギラついた刃を俺に向けて睨みつけてきた。


「誰だか知らんが、ガラード王国の勅使であるこの俺に立ち塞がるとはいい度胸だ! 邪魔をするなら貴様もタダじゃ置かんぞ!」


 その時、俺の後ろから静かな、しかし氷のように冷たい足音が近づいてきた。


 白銀の髪をなびかせたハクが、勅使に向かってゆっくりと歩いてくる。その後ろには、威風堂々とした足取りで妻たちが続いた。レイ、リザ、アリア、コボミ、ハピ、スパ、ヒナ、ルシー、そして新しく加わったサクラ。今日は全員、威圧感を抑えた人化状態で揃っている。


 勅使はその美貌と極上のスタイルを持つ妻たちを目にした瞬間、下卑た笑みを浮かべて鼻の下を伸ばした。


「ほほーう……! これはたまらん、とびっきりの極上な女たちじゃないか! ほうら、麦の代わりに、その女たちを差し出すってんなら税を免除してやってもいいぞ?」


 粘つくような厭らしい視線で、妻たちの身体を品定めするように見つめる勅使。


 ハクは一切の感情を消した冷徹な瞳のまま、勅使の目の前まで歩み寄り、ピタリと足を止めた。勅使はハクのつややかな髪から、豊かな胸元、引き締まった腰、伸びやかな脚へと、舐め回すように視線を上から下へと動かしていく。


「ヒヒッ、良い女だ。よし、今日からお前を俺の第一の女にしてやる!」


 そう言って調子に乗った勅使は、持っていた剣の(ひら)の部分で、ポンポンとハクの柔らかい頬を二度叩いた。


 次の瞬間──空間が爆ぜた。


 ドカアァァァンッ!!


 目にも留まらぬ超高速の平手打ちが、勅使の顔面に炸裂した!

 凄まじい衝撃波とともに、勅使の身体が独楽のように回転しながら吹き飛び、地面を数メートルゴロゴロと転がっていく。


「……気持ち悪い」


 ハクが心底嫌そうに手を振って吐き捨てると、隣のヒナも蔑むような目で吐き捨てた。


「キモい! 衛生的に無理!」


 地面に倒れ伏していた勅使は、赤黒く膨れ上がった自分の頬を押さえ、血と折れた歯を吐き出しながら狂ったように叫び散らした。


「ガッ……!? ぎ、貴様らッ! このガラード王国勅使である俺を殴ったなッ!? タダで済むと思うなよ! 男は即座に叩き殺せ! 女は全員叩きのめして捕らえろッ! 俺の奴隷にしてやるッ!」


 勅使の狂乱した怒号を受け、背後に控えていた数十名の王国軍兵士たちが、一斉に殺気立ち武器を構えて押し寄せてきた。


 俺は静かに意識を研ぎ澄まし、妻たち全員へ念話を飛ばす。


(みんな、やりすぎて死なせないようにね)


(((はーい♪)))


 兵士たちが雄叫びを上げ、武器を振りかざして俺へと襲いかかってくる。


 俺は腰の銘刀ムラマサを鞘から一気に引き抜き、刃を返して峰打ちの体勢をとった。超高速の踏み込みから、迫り来る兵士たちの手首、膝、みぞおちへと正確無比な峰打ちを叩き込んでいく!


『グハッ!?』『ギャッ!?』


 一方、妻たちの戦闘はもはや虐殺に近い惨状だった。


 ハクの目にも留まらぬ裏拳、リザの人間を軽々と吹き飛ばす前蹴り、コボミの可憐な見た目からは想像もつかない手刀、アリアの剣の平での叩き伏せ……!


 ものの十数秒もしないうちに、襲いかかってきた数十名の王国軍正規兵は、全員が骨を折られ、地面に這いつくばって苦痛の呻き声を上げる肉の塊と化していた。


 あまりの惨状に、勅使は開いた口が塞がらず、顔を蒼白にして茫然自失となっていた。だが、すぐに怒りで顔を血走らせ、捨て台詞を吐く。


「ひ、ひぃぃっ! 貴様ら、調子に乗るなよ! 王国に牙を向けて無事で済むと思っているのか! 男は全員処刑、女は──」


「もういいよ」


 俺は言葉の途中で踏み込み、勅使の顔面の真ん中に思い切り拳を叩き込んだ。


 バゴォッ!!


「ぐえっ!?」


「貴様らの宣戦布告は、確かにこの俺が受け取った。……ハク、こいつは重大な『エビディンス(証拠)』だ。異次元空間にしまっておいてくれ」


「はい、ヒロト様」


 ハクが手をかざすと、黒い空間の亀裂が現れ、気絶した勅使をズボッと異次元へ収納した。


 俺はゆっくりと振り向き、呆然と立ち尽くしていた老村長を見つめた。


「村長さん、俺は深淵の樹海を統べる『樹海王国』の王、ヒロトだ。そして彼女は俺の妻であり王妃のハクだ。……詳しい事情はわからないが、俺たちはこの争いを止めようとしただけだ。しかしガラード王国の勅使は我が王妃に剣を向け、卑猥な言葉で侮辱し、挙げ句の果てに宣戦布告をしてきた。だから俺はその挑戦を受けた。……ここまではいいかな?」


 村長は震えながらも、コクコクと激しく首を縦に振った。


「よし。よって我が樹海王国は、ただいまを以てこのガル村へ攻め入り、占領して我が国の領地と定める! 領地となった以上、我が国が食料と資材を全面的に支援し、村人全員を救済する!」


「おお……おおおっ! ありがとうございます、ヒロト様! 感謝いたします!」


 村長が涙を流して地面に伏せた。俺はすかさず、自身のスキルで召喚を行った。


「出よ、オニバル! オーク兵100名!」


 空間が歪み、漆黒に輝く最高級金属アダマンタイト(並びにミスリル)の重厚なフルプレートアーマーに身を包んだ、凶悪な威圧感を放つ巨大なオーク兵100名と、その長であるオニバルが姿を現した!


「オニバル、初仕事だ。暫定措置としてこのガル村の防衛を任せる。兵100名を率いて、村を鉄壁の守りで防衛せよ!」


 オニバルは重厚な兜を下げ、深々と叩頭した。


「ハッ! ヒロト様の仰せのままに! この命に代えてもガル村を守り抜いてみせます!」


 俺は地面でうめいていたガラード王国の生き残り兵士たちへ向かって、朗々と声を張り上げた。


「お前たち! 今の会話を聞いていたな!? さっさと命からがら逃げ帰り、上官と王に報告しろ!『樹海王国がガル村を占領した。文句があるなら全軍を率いて来い』とな!」


 漆黒のフルプレートアーマーを着込んだ無敵のオーク兵100名の圧迫感に完全に怯えた兵士たちは、激痛に耐えながら命からがら立ち上がり、蜘蛛の子を散らすように脱兎のごとく逃げ帰っていった。


 ◇


 城へ戻った俺は、すぐさま幹部たちを集めて状況を説明した。


 そしてオニバルにはその後、内政官のアキートやショーと連携し、樹海周辺に点在するガラード王国領の村々を素早く周り、圧政に苦しむ村々を穏やかに「占領」という体裁で解放・保護し、護衛を配置するよう指示を出した。


「オニバル、アキート、ショー、頼んだぞ」


「「「ははっ! 謹んでお引き受けいたします!」」」


 頼もしい三人が頭を下げて退出していくと、俺は横にいたサクラへ向き直った。


「サクラ、頼みがあるんだ。今、樹海周辺の村々を占領して護衛を置いているんだが、生身の兵士をずっと常駐させておくわけにもいかなくてね。サクラの作るゴーレムやガーゴイルを現地に配置して、有事の際だけ自動で動く防衛システムを作れないかい?」


 サクラは真鍮の歯車をクルクルと回しながら、不敵にニヤリと笑った。


「お安い御用よ! オニバルと連携して、各村に最強のガーゴイル防衛網を敷いておくわ! ……ところでヒロト、このままガラード王国本国へ本格的に侵略を開始する気なの?」


「いや、本格的な戦争をこちらから仕掛ける気はないよ。取り敢えず自衛のために樹海周辺の村や町を手に入れ、領民の安全を確保する。……その先ガラード王国がどうでるかは、向こうの出方次第だな」


 すると、漆黒のローブを纏った死神デステルが、顎をカタカタと鳴らしながらオニバルの背中を見送っていた。


「ほう……それにしてもあのオニバルという男、『アンデッドナイト』か。極めて珍しいな。まさかリビングアーマーからの特殊進化かい?」


 ルシーが自慢げに胸を張って答えた。


「いいえ、あれは私の極大死霊魔法よ。アダマンタイトのフルプレートアーマーと、かつて討伐した『オークエンペラー』の最上級の魂を融合させて生み出したの」


 デステルは感心したように深紅の眼光を揺らした。


「元がエンペラー階級の魂か……クックック、不死王よ、相変わらずとんでもなく強烈な化け物を生み出したものだな」


 いよいよ始まったガラード王国との全面衝突。俺たち樹海王国の圧倒的な力と団結が、異世界全土を揺るがす大事件へと発展していくのであった。

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