第75話 狩猟国家ハンテグ
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商業国家トレセル。
樹海王国を探っていた密偵が王宮に戻ってきた。
王宮の執務室では王と宰相が待っていた。
樹海王国とエルフ軍の戦争を監視していた密偵。
結界により今まで樹海王国と会話が全く出来なかった。
今回の戦争で結界の外に出ている樹海王国に、隙をみて会談出来ないか探る事も重要な任務として行動していた。
密偵「樹海王国の戦力は言語を絶します。
圧倒的な戦力です。
1万弱のエルフ軍は20人程度で殲滅されました。
その中には四霊獣、不死王、精霊王が居ました。
それらに勝るとも劣らない者達が他にも居ます。」
王「なんと言うことだ。
四霊獣の一体や不死王一人だけでも国は滅びる。」
宰相「そんな国に宣戦布告してしまったのだな。」
王「それで会談は出来そうか?
何としても和解し停戦しないと国が持たない。」
密偵「樹海の王を魔王認定する国とは会談しないとのこと。」
宰相「なるほど、先ずは魔王認定を解除する事が必要か。」
王「樹海の王は人間だったのだろう?」
密偵「はい。お借りした国宝の鑑定眼にて確認しました。」
王「おお!人間は魔王にはならない。これで我が国の言い訳も立つ。早急に魔王認定を取り消せ。」
宰相「承知しました。」
王「これで1歩前進出来るな。」
宰相「魔王認定解除後は会談の申し込みを再度行うのだ。お前は密偵を続けて、会談申し込みの機会を探れ。」
密偵「はい。承知しました。」
王「買い占めた食糧と備蓄している食糧で持たせないといけないな。質素倹約の特例措置はまだまだ続ける必要があるな。」
宰相「会談の道筋が見えただけでも、有り難いと思います。」
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ステラド帝国。
皇帝の執務室で皇帝、宰相、将軍が話をしている。
魔王討伐の連合軍は大きくその陣容を縮小し、現在は1万に減らしている。当初の十分の一だ。討伐は既に諦め監視が主な任務となっている。
その為、将軍マシランは帝都に戻っていた。
皇帝「やはり樹海王国と戦争することは無理があるのだな。」
マシラン「密偵から報告があった陣容をみると全く勝ち目は有りません。魔王認定を解除して停戦協定を結ばないと帝国は滅亡します。」
宰相「食糧危機になる前に停戦協定を結びたいところです。」
皇帝「食糧危機も樹海王国の戦略なのだろう。」
マシラン「そう考えて間違いは有りません。樹海王国では全く食糧難にはなっていないようです。」
皇帝「うむ。魔王認定は取り消そう。元々樹海の王は人間だと分かっていて魔王ではないのだからな。」
宰相「それが良いでしょう。」
マシラン「密偵からの報告によると、魔王認定中は会話も出来ないので、早急の対応が必要でしょうな。」
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いつものリビング。
いつものメンバー。
本日は宰相デレイズ、外交担当アキート、元帥リザルド、死神デステルを呼んで会議中。
「小国群で連合軍に参加していない部属や国が、食糧難になっているのは可愛そうだなーと思ってね。この会議を召集した。」
ヒナ「そうねー。この前念話で見たケンタウロス族は、魔王認定とも連合軍とも全く関係なさそうだしね。」
アリア「それらの国については、鎖国を解いて貿易再開するの?」
アキート「貿易再開は良い手では無いね。その国経由で帝国や教国に物資が流れる可能性がある。」
アリア「そっかー。難しいねー。」
「本意では無いけど、属国化若しくは眷属化して傘下に入る国について、食糧支援と貿易再開を実施する方向かな?
傘下に入ればある程度の強制力はある。
そして食糧支援、貿易再開は自国の消費量を越えない様に制御しよう。
スパ1に監視してもらって、他国へ物資を流した場合は厳罰だ。」
スパ1「承知しました。」
「傘下の国についてはサクラの結界を張って防衛に備える。」
サクラ「了解!」
「戦力放棄はそれぞれの自由意思に任せて、放棄する国には軍を派遣しようか。」
リザルド「うむ。承知した。」
「傘下に入らない国は今まで通り国交断絶だな。
アキート、やっと外交本来の仕事を任せられるよ。」
アキート「いやいや、元々しがない商人ですから、専門家では無いのですが頑張ります。」
「ケンタウロス族の狩猟国家ハンテグには俺が直接行くよ。
小国群の中では実力が高い国と聞いてるし、魔物の部族なのでいざとなったら『テイム』出来る。デステル、『闇の風』ヤグルの部隊で会談の段取りを頼む。」
デステル「承知しました。念話で早速ヤグルに伝えました。」
「他の国は全てアキートに任せる。」
アキート「承知しました。」
「後は、交渉において危険もあるし、場合によっては威圧的な交渉が必要になるかも知れないので、オニバルとオニバル軍の精鋭を同行させよう。」
アキート「それは心強い、有難う御座います。」
リザルド「オニバルに伝えておこう。」
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俺達は狩猟国家ハンテグに向かう。
いつものメンバーで訪問だ。
俺、右手ハク、左手レイ、左目アイ、
背中にスラオ、左腰にムラマサ。
俺は戦闘用の服になっている。
リザ、コボミ、ハピ、ルシー、
ヒナ、サクラ、アリア、ライゾウ。
アリアロボはハクの異次元収納ね。
どこかにスパ1がいるはず。
俺と人化してるリザは麒麟のコボミに乗って移動している。
サクラは箒に乗って・・・!
ヒナもサクラの箒に乗ってる。
箒がいつの間にか二人乗りになってた。
ヒナ「いいでしょー。」
アリアはヌエのライゾウに乗ってるが、
ルシーもライゾウに乗ってた。
鳳凰のハピは低空飛行。
樹海から湿原に転移。
湿原から亀人のクルーマ族と蛙人のヴォジャノーイ族の集落を経由して小国群に入った。
飛んで行かなかった理由は、連合軍に見つからない様にしたかった事と新規傘下のクルーマ族、ヴォジャノーイ族と会っておきたかったから。
クルーマ族とヴォジャノーイ族では大歓迎だった。
両種族の族長がどうしてもと懇願して来たので眷属とした。
事前に『闇の風』による会談の事前交渉をしているので、直接ケンタウロス族の族長が住む集落に向かう。
草原だ。ケンタウロスは遊牧民。
狩猟と鹿や羊の牧畜を生業とする。
狩猟の獲物は極端に減り、牧畜も減っているが、
残った牧畜により生計を立てていた。
住まいはゲルと呼ばれる円形の大型のテント。
木組みの骨格に羊毛のフェルトを被せている。
草原を進むと百を越えるゲルの集落が見えてきた。
その中央に一際大きいゲルが見える。
集落から数人のケンタウロスの衛兵が向かってきた。
俺達を見て驚いてる。
まあ、麒麟やヌエ、箒に乗ってる奴らと鳳凰がいたら驚くよね。
衛兵「樹海の王様の御一行ですね。」
「樹海の王ヒロトだ。」
衛兵「御待ちしておりました。族長のゲルにご案内致します。」
衛兵達に案内されて、族長のゲルに入る。
ケラノス「ようこそハンテグへ、族長のケラノスです。」
「樹海の王ヒロトだ。この度は樹海王国と連合軍の戦争に巻き込む形となり迷惑をかけた事をお詫びする。」
ハクの異次元収納からお詫びの品として物資や食糧を出して、ケラノスに渡す。
ケラノス「いやいや、有無を言わさず攻め込んでも良いところを、お詫びの品までいただき有難う御座います。樹海の王のお供のもの達は、魔力などを隠しているようですが、魔眼がなくてもその実力は分かります。この中の一人でも我々には太刀打ち出来ないでしょう。」
ケラノスは俺達をゆっくりと見回す。
俺はケラノスと向かい合い、マットの上に胡座をかいているが、その周りにルシーとアリア、ヒナ、サクラ、リザが座ってる。
後ろに麒麟のコボミ、ヌエのライゾウが人間と同じ大きさになり寝そべっていて、鳳凰のハピが150cmくらいの大きさになってその横に立っている。
「今後の事だが、我が国の傘下に入っていただきたい。
その場合、牧畜は今まで通りとして貰うが、牧畜の数が減少していると聞いているので補填しよう。
次に狩猟用としてここにダンジョンを構築する。
今まで以上に狩りが行えるはずだ。
また、我が国と交易を再開しよう。
そして貴国は商業国家トレセルに借金があるようなので、借金は我が国で肩替わりしよう。
その代わりと言うわけでも無いが、戦争中故に敵国とは一切の交流を禁止する。現在周辺の国や部族と取引していると思うが、敵国であればその一切の取引を禁止する。替わりに我が国がそれ以上の取引を行う。
どうだろうか?」
ケラノス「実は高圧的な態度で来られたら、我々にも意地はあるので、滅亡覚悟で一戦する事も考えていたのです。
しかし其処までの実力がありながら、尚、対等に扱っていただくとは思っても見ませんでした。
私も部族の長をしている身。
部族を幸せにしたいと思っています。
なので、樹海の王に従います。」
「それは良かった。我が国の傘下に入ったことにより、他国から要らぬちょっかいを出されると迷惑なので、結界を張らせて貰うよ。」
ケラノス「有難う御座います。」
「他の傘下の国は兵士を我が国の軍に入れる事で、軍事費を経済政策に回しているが、狩猟国家の貴国はその必要が無いと考えている。良いかな。」
ケラノス「仰る通りです。狩猟隊がそのまま兵士になるので、樹海の王の軍に組み込まれると大変困ります。」
「分かった。だが、いずれ連係の必要な時も有ろうと思うので、連係の確認や訓練は必要だ。後日我が軍の誰かを派遣する。その辺りは相談してくれ。」
ケラノス「承知しました。」
「牧畜と牧場で共通することもあると思う。うちの牧場の者が補填する牧畜を連れて来るので、情報交換してくれ。」
ケラノス「ほほー。それは楽しみです。」
「細かい話は宰相デレイスを後日派遣するので詰めてくれ。
今回は結界の設置とダンジョン構築は実施していこう。」
「サクラ、ケラノスに領地の範囲を聞いて結界の設置を頼む。」
サクラ「了解。」
「ヒナ、ダンジョン構築を頼む。」
ヒナ「はーい。」
こうして狩猟国家ハンテグが樹海王国の傘下に入った。
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