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魔物使いの異世界大陸平定記〜神々や大悪魔すら配下!? 規格外のテイム能力で異世界の理をぶち壊し、気づけば大陸全土を制覇していた〜  作者: ボルトコボルト
第一章 深淵の樹海

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第73話 伝説の『闇の王』降臨! 爆絶内政官スカウトと数百万人規模の不死軍団爆誕、そして迫り来る大国たちの足音!

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 いつもの城の豪華なリビングで、俺たちはソファーに深く腰掛け、食後の紅茶を嗜みながら穏やかな時間を楽しんでいた。


 そこへ、静かに扉が開かれ、数日間にわたって内政官のスカウト旅に出ていたルシーが姿を現した。


「ただいま帰ったわ、ヒロト」


 ルシーの帰還に、俺はパッと顔を輝かせて出迎えた。


「ルシー、お帰り! どうだった? いい人材は見つかったかい?」


「ふふ、期待して戴戴。とびっきりの超大物たちを連れて帰ってきたわよ」


「おおっ! それは楽しみだ!」


 俺が乗り出すと、ルシーは部屋の中央に一人で佇み、不敵で美しい笑みを浮かべた。その背後には誰もいない。一人で立っているだけだ。


「さっそく、私が勧誘してきた頼もしい4名をご紹介するわね。全員、先のオニバルと同様に私への直接の従属契約は結ばせていないわ。ヒロト、彼らの能力を検分して、気に入ったらその場で眷属化して戴戴」


 そう告げると、ルシーは紫の瞳を妖しく光らせた。


「まず一人目……エルダーリッチの『デルガ』よ」


 その名前を聞いた瞬間、隣にいたハクが弾かれたように立ち上がり、美しい顔を驚愕に染めた!


「デ、デルガ……!? 嘘でしょ、あの伝説の『闇の王』ですって!?」


 ハクの叫びと同時に、ルシーの右前の床面に漆黒の巨大な転移魔法陣が浮かび上がった!


 瞬間──ドサリと空間が歪むほどの、常軌を逸した不気味で濃厚な魔力が当たり一面に立ち込める! 息をするだけで胸が押し潰されそうになるほどの邪悪で圧迫的な魔力だ!


「主様、お下がりくださいッ!!」


 危機を察知したリザとコボミが、即座に俺の前に立ちはだかり臨身態勢をとった!


 リザは全身を龍の硬質な鱗で覆う半ドラゴン状態へと変貌し、鋭い牙を剥き出しにして漆黒のアダマンタイトの大盾を構える。コボミも下半身をうねる巨大な触手群へと変えたスキュラ形態となり、全触手を迎撃体制へ移した。


 ハクは腕を組み、鋭い眼光で魔法陣を睨みつける。アリアはあまりの威圧感に恐怖でガタガタと身体を震わせ、セイレーンクイーンへと姿を変えたハピにしがみついた。スパは瞬時に巨大なアラクネクイーンの姿へ変貌して天井へと跳ね上がり、毒針を向ける。膝の上にいたライゾウが低く唸りを上げ、スラオは全身に目も眩むような光魔法の魔力を纏わせた。刀の精霊ムラマサまでもが黒銀の魔力を放ち、俺の全身を防御の障壁で包み込む。


 だが……そんな一触即発の緊迫した空間の中で、一人だけ異彩を放つ者がいた。


 精霊王のレイだ。

 彼女はきょとんとした顔で、ボーッと魔法陣を見つめている。全く危機感がなく、完全に平常運転だ。流石は精霊王、この常人なら発狂するレベルの邪悪な魔力など、彼女にとっては心地よい微風程度にしかならないのだろう。


 リザがアダマンタイトの盾を一段と強く構え、俺を守るように半歩前へ出た。


「主様、少しお下がりを! この魔力、只者ではありません!」


 すると、空間を支配していたルシーが、フッと冷ややかな笑みを漏らした。


「みなさん、心配は御無用よ。ヒロト様は私の最愛の夫。害するような真似などあり得ないわ。……デルガは私ほど魔力の制御が上手くないから、漏れ出す魔力を抑えきれていないだけよ。ヒロト様の眷属になれば、ステータスが跳ね上がって魔力制御力も倍になるから綺麗に抑えられるわ。……まあ、仮にヒロト様に指一本でも傷つけようものなら、私がその瞬間に跡形もなく消し去るけれどね。……分かっているわよね?」


 ルシーの最後の一言が放たれた瞬間、背筋が凍りつくような圧倒的な殺気が魔法陣の奥へ向けて放たれた。……うん、今絶対に『殺す』って眼光で見つめていたよね!?


 不死王であるルシーも素のままだと凄まじい邪気と魔力を撒き散らすからな。強いアンデッドというのは、存在しているだけで周囲の弱い者を絶命させてしまうのだ。このデルガという奴も、相当な化け物なのだろう。


 見かねたハピが、可憐な声で『聖なる詩』を口ずさみ始めた。澄み渡る歌声が部屋に響き渡ると、禍々しい魔力が少しだけ和らいだ気がした。


 そこでようやく状況を理解したらしいレイが、ふわりと動いた。


 レイが俺の後ろから優しく抱きついてくる。次の瞬間、極上で清らかな精霊力が波のように広がり、俺と妻たち、そして仲間全体を優しく包み込んだ。


「ん……心配ないよ、ヒロト。大丈夫」


 精霊力の圧倒的な浄化作用により、あの濃厚で禍々しい魔力と圧迫感が一瞬で消え去った。ハピも安心して歌うのをやめる。


「レイ、ありがとう。みんなも守ろうとしてくれてありがとうな」


「ふふ、レイ、流石は精霊王ね。助かったわ」


 ルシーが満足そうに微笑むと、魔法陣の中央から黒い影がゆっくりと立ち上がってきた。


 漆黒のローブが頭から少しずつ現れ、やがて露出したのは凄絶な骸骨の顔──人間の頭蓋骨だ。落ち窪んだ眼球の奥には、漆黒の闇と、その中心で深紅に揺らめく鈍い光の眼光がある。


 首から下は、詰襟の漆黒の司祭服に身を包んでいた。首から胸にかけては、色とりどりの眩い宝玉が数珠繋ぎにかけられ、司祭服の表面には禍々しい古代の魔法陣が薄っすらと浮かび上がっている。


 手には吸い付くようにフィットした黒革の手袋。そのすべての指に、巨大な宝石が嵌め込まれた極上の指輪が装着されている。足元は艶やかな漆黒のブーツ。


 そしてその手には、漆黒の蛇が巻きついた長大なオリハルコン製の杖が握られていた。蛇の目には赤い宝石が輝き、宝玉を咥えた口からは鋭い牙が覗いている。さらに驚くべきことに、その蛇の背からは漆黒のコウモリの羽が生えていた。


 エルダーリッチ・デルガは、まるで地獄の底から響いてくるような、太く重厚な低音で静かに語り始めた。


「深淵の樹海を統べる、絶対なる樹海の王・ヒロト様。初めてお目にかかります。エルダーリッチのデルガと申します。……未熟ゆえ魔力制御が至らず、皆様にご不快とご不便をおかけしましたこと、深くお詫び申し上げます。精霊王様、格別のご配慮、痛み入ります」


 デルガは漆黒の杖を叩き、深々と頭を下げた。


「私はこの大陸の遥か地下深くにある拠点の城より参りました。千ほど前に先代の不死王様が御隠れになるまで、弟子としてお仕えしておりました。その後、愚かにも人間どもから『闇の王』などと恐怖を込めて呼ばれた時期もございますが、今の私はただのエルダーリッチに過ぎません。この度は拝謁の機会をいただき、心より感謝申し上げます。私はしがない死霊魔法の使い手に過ぎませんが……八百年ほど前に気まぐれで一つの国を建国し、治めた経験がございます。その当時の優秀な文官や人材を死霊魔法にてアンデッドとして蘇らせることができます。また、歴史上この大陸に存在した優秀な人材の魂も、同様にアンデッドとして蘇生・行使することが可能ですゆえ、必ずやヒロト様の内政と統治のお役に立てると確信しております。なお、兵力といたしましては数百万の戦力となるアンデッドの魔物を即座に使役できます。どうか、配下の末席にお加えいただきますようお願い申し上げます」


 言葉を失った。言っているスケールが桁違いすぎるだろ!


(ハク、ちょっと念話で教えてくれ……『闇の王』って一体何なんだ?)

 俺が念話で尋ねると、ハクはまだ信じられないといった様子で念話を返してきた。


(何百年か前に大陸全土を恐怖で席巻した伝説のアンデッドの絶対者よ! 闇魔法と死霊魔法を極限まで極め、数百万という地獄の軍勢を率いて数多の王国を滅ぼしたと言われているの! だけどある日突然、歴史の表舞台から消え去ったのよ……!)


(サンキュ、ハク……)


 凄すぎるだろ。一人で世界を滅ぼして好き勝手できるレベルじゃないか。


「デルガ……それほどの力がありながら、なぜ俺の配下になりたいんだ?」


 俺が尋ねると、デルガは深紅の眼光を静かに揺らした。


「……失礼を承知で申し上げますと、この三百年ほど、私はやるべきこともなく、何事にも情熱を失い、ただ不変の時を無為に存在しているだけでございました。そんな折、不死王様が私の城へお越しになり、ヒロト様のお話と新たな国造りの構想を賜りました。……胸が熱くなりました。アンデッドとなった身でありながら、忘れていた『生き甲斐』を見つけた心地がしたのです。そして何より、再び不死王様と共に新たなる覇道を歩めることが、嬉しくてならぬのです」


 あぁ……チートな力を持ちすぎて、人生(死生?)に飽きちゃっていたのか。何でも思い通りになるからこそ、情熱や生き甲斐を失っていたんだな。人ごとじゃないぞ、俺もチート能力に溺れてそうならないよう気をつけなきゃな。


「なるほど、事情は分かった。俺の眷属として、樹海王国のために力を貸してくれ」


 俺は手をかざし、テイムスキルを発動した。


「『テイム』!」


『──デルガが眷属になりました』


 その瞬間、デルガの身体から爆発的な光が溢れ出た!


「おおおッ!? これは素晴らしい……! ステータスが爆発的に増加し、溢れていた魔力を完璧に制御できますぞ!」


 デルガが歓喜の声を上げると、あの刺すような邪悪な魔力は完全に消え去り、完璧に抑え込まれた。


 ふと気づくと、レイが後ろから俺を抱きしめたままだ。柔らかな胸の感触が背中にダイレクトに当たっているのだが……めちゃくちゃ心地よくて嬉しいので、このままにしておこう。


 俺は眷属となったデルガに、妻たちを順に紹介していった。


「さて……ルシー、スカウトした優秀な人材はあと3人いるんだよな? 一体どんな凄腕が出てくるんだ?」


 俺は期待と少しの緊張を胸に、次なる転移魔法陣を見つめるのであった。

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