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魔物使いの異世界大陸平定記〜神々や大悪魔すら配下!? 規格外のテイム能力で異世界の理をぶち壊し、気づけば大陸全土を制覇していた〜  作者: ボルトコボルト
第一章 深淵の樹海

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第71話 無能男爵の自滅と揺るぎなき覇道の誓い! 仇討ちと精霊解放を掲げる樹海王国と、圧倒的物産に震える人間諸国!

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 獣人国の愚行に対する呆れと失笑が広がる中、隠密のスパが再び影の中から進み出て、報告の継続を告げた。


「皆様、続いてガラード王国の最新状況についてご報告いたします」


 俺は腕を組み、重厚な腰掛けに背をもたせながら頷いた。


「うむ、頼む」


「ガラード王国は、我が深淵の樹海より南に位置する人間たちの国家です。皆様もご存じの通り、かつてヒロト様が最初にお立ち寄りになられたガル村や、その拠点であるガリア町が存在する領地となります。先のオーク大遠征に対し王国軍が大敗退を喫したことにより、アーシュ男爵領を中心に周辺の経済は大打撃を受けております。敗走した国軍の生き残り数千人が現在も防衛名目でガリア町に駐留し続けており、その維持費を捻出するため、ガル村をはじめとするアーシュ男爵領の各集落には理不尽な臨時重税が課され、住民の貧困化が急速に進行しております。なお、ガル村につきましては、アキード商会を経由して密かに物資の支援を継続しております」


 スパの報告を聞き、俺は深く思いを馳せた。ガル村は俺がこの異世界に降り立ち、最初に温かく迎え入れられた思い出深い場所だ。


「ふむ……ガル村に何か危機があれば、すぐにでも軍を出して助けに行こう」


 その言葉に、隣にいたアリアが身を乗り出し、花が咲くような笑みを浮かべた。


「うんうん! ガル村には私も知っている親しいおじさんやおばさんがいっぱいいるの! 困っているなら絶対に助けてあげて、ヒロトくん!」


「ああ、もちろんだよ」


 すると、商会の代表であるアキートがスッと立ち上がり、丁寧なお辞儀とともに挙手をした。


「ヒロト様、その件につきましてご相談とお申し出がございます。現在、樹海周辺の人間たちの村々と、我が樹海王国の領地間では密かに民間レベルでの交流が始まっており、住民同士による個人取引や商売が非常に頻繁に行われております。我が商会といたしましても、将来的な有力顧客の確保という意味を含め、ガル村だけでなく周辺の困窮している村々全体も支援対象として拡大したいのですが、ご許可をいただけますでしょうか?」


「ふむ、なるほど。良い提案だ、正式に試みを了承しよう。だが……一つ気になることがある。人間である村民たちは、魔物である我が国の住人に対して恐怖心や拒絶反応を示してはいないかい?」


 俺の問いかけに、アキートは自信に満ちた商人の笑みを深めた。


「ご安心ください! 当初は行商の人手が足りず、背に腹は代えられぬとコボルトやゴブリン、果ては大人しいオークまでも荷車引きや護衛として連れて行ったのが、怪しくも素晴らしい怪功を奏したようです。彼らの真面目で健気な働きぶりを見るうちに人間側の警戒心が完全に氷解いたしました。今では恐怖心どころか親近感を抱いており、自ら樹海の集落へ直接買い付けにやって来る逞しい村民も多くなっております!」


「それは素晴らしい傾向だな。……よし、この機会だからここにいる全員に俺の明確な国家方針を改めて伝えておく」


 俺は席から立ち上がり、最高幹部たち全員の顔を力強い視線で見回した。


「俺は種族による差別や偏見を一切認めない。コボルトも、ゴブリンも、オークも、人間も、すべて平等に扱う方針だ。……ただし! エルフだけは例外であり、明確な絶対の『敵』だ!」


 俺の放った強い言葉に、会場の気が引き締まる。


「何も罪のない俺たちの仲間……ゴブ4を惨殺したあの怒りと恨みは絶対に忘れはしない。そして、世界樹を私物化し、尊い精霊たちを虐待・奴隷化している奴らの傲慢さを、俺は絶対に許さない! エルフどもが改心せず精霊虐待を続ける限り、俺たちは毅然として、断固として戦い抜く!」


 俺が拳を握りしめて言い放つと、ハクやルシーをはじめ、幹部全員が立ち上がり、地響きのような歓声と誓いの言葉を上げた!


「はいっ! ヒロト様の御心のままに! あの身の程知らずのエルフどもに絶対の鉄槌を!」


 幹部たちの熱狂的な結束を確認し、スパが満足そうに頷いた。


「素晴らしい決意にございます、ヒロト様。……なお、ガラード王国は我が国の目と鼻の先にあるため重点監視対象としております。いくつか面白い念話映像が撮れておりますので、皆様にお見せいたしましょう。まずは、無能なる領主・アーシュ男爵の館の様子です」


 空間に投映されたのは、絢爛豪華だが悪趣味な装飾に彩られたアーシュ男爵領主の部屋だった。

 頭髪の薄い肥満体の男──アーシュ男爵が、額に青筋を立てて書類を机に叩きつけていた。


「何でこんなに金がないんだ!! 財務はどうなっている!!」


 頭を抱える老宰相が、深々と溜息を吐きながら答える。


「男爵様……先の戦いで樹海の冒険者ギルドが完全に崩壊したため、樹海から流れてきていた高値で売れる希少素材がまったく街に入らなくなりました。その上、オーク軍に惨敗して逃げ込んできた国軍数千人の治療費と膨大な食費が、重く圧迫して馬鹿にならないのです」


「くそっ! 国軍の奴らは街の外に野営駐留しているのだろう!? 宿泊代がかからなくなったというのに、まだ食費なんてかかるのか!?」


「当たり前でございます! 国からの兵糧が届くまでは我が領地で負担せざるを得ません。彼らはこの街の防衛のために駐留しているのです、無下にして腹を立てられ暴動でも起こされたら一たまりもありませんぞ!」


「チッ、使えん奴らめ!……そうだ! 寄親であるアラント辺境伯に泣きついて、緊急支援金を毟り取ってくればいい!」


 宰相は顔をしかめ、嫌そうに首を振った。


「それは……流石に難しいかと」


「何だと!? あいつは俺の寄親だぞ! 傘下の俺を助けるのが義務だろうが!」


「男爵様、よく思い出してください。その寄親からの要請や依頼を、貴方はこれまでことごとく無視して断り続けてきたのですよ? その上、強引に借り作った借金を一度だって返済したことがないではありませんか……」


「ハハハハ! 困った時に金の工面をしてくれるのが寄親という都合の良い存在だろうが! 借金という名目でいいから申し込んでこい! どうせ返すつもりなんてさらさらしねえけどな! ぶはははは!」


 反省の色ゼロで品性下劣に笑い飛ばすアーシュ男爵に、宰相は「はぁ……」と生気を失った溜息を吐いた。


「はぁ……承知いたしました。試してみます。……それと男爵様、寄り子としての借金よりも、本当のお父上であるアジューム侯爵様に直接ご支援を申し込んではいかがです?」


 するとアーシュ男爵は急に顔を真っ赤にして怒鳴り散らした!


「お前は馬鹿か!! ここで父上に『金がない』などと無能さを晒したら、一瞬で見捨てられて廃嫡されるわ! せっかく男爵の地位を得て、政敵であるアラントの寄り子に潜り込んだんだ! 父上に頼るのは最後の最後の手段だ!」


「はぁ……承知いたしました……」


 救いようのないクズ男爵の醜態に、会議室からは冷ややかな嘲笑が漏れた。


 スパが短く手を一打ちする。


「ふふ、愚者のあがきですね。では続いて、その寄親であるアラント辺境伯の館の様子をご覧ください」


 映像が切り替わり、厳かな調度品で統一された落ち着いた執務室が映し出された。


 重厚な髭を蓄えた厳格そうな男──アラント辺境伯が、提出された手紙を見て眉間にしわを寄せている。


「……またか。またあの馬鹿なアーシュ男爵から金の無心か?」


 宰相が苦笑いを浮かべながら頷いた。


「左様でございます。なんとかなりませんかと」


「無視だ、完全無視! 本当にあいつは俺の言うことや要請には一切耳を貸さないくせに、自分が困った時だけ尾を振って集かりに来やがる! 虫が良すぎるわ!」


「ですが、一応は寄親と寄り子の関係。何かしらの回答を返さねば対外的な面目が立ちません」


「ふん! ならば『過去の借金を全額利子付きで返済するならば、幾ばくかの支援をしてやらんでもない』と突っぱねておけ! まったく、政敵アジューム侯爵の嫌がらせ策略で強制的に寄り子に組み込まれたとはいえ、とんでもない疫病神を引き込んでしまったものだ……」


 アラント辺境伯は鬱陶しそうに手紙をゴミ箱へ投げ捨てると、表情を鋭く引き締めた。


「それよりもだ! オーク軍のその後の動向や、樹海内部の最新状況は把握できているのか!? 俺にとってはあの馬鹿男爵の金欠などより、そっちの方が万倍も重要だ! 一手判断を誤れば、我がアラント辺境伯領全体が崩壊しかねんのだぞ!」


 宰相は真面目な顔つきになり、懐から秘密の報告書を取り出した。


「はっ。近隣の村々に密偵を放ち調査を継続しておりますが……どうやら、樹海内部に恐るべき巨大な『国』が誕生している模様です」


「……何? 樹海の中に国だと!?」


「はい。コボルト、ゴブリン、オークといった魔物たちが手を取り合い、さらには人間までもが共存している王国です。そして驚くべきことに、その国を統べる『王』は、人間であるとのこと」


 アラント辺境伯は信じられないといった様子で目を丸くした。


「馬鹿な……人間が魔物どもを従えて国を作るなど、そんな戯言が成立すると思うか!?」


「それが……調査によれば、驚くほど高潔で極めて素晴らしい理想郷のような国とのことです。何より、我が領地で最近爆発的な評判を呼び、貴族たちの間で高値で取引されている極上の食材や至高の酒、画期的な魔法設備などは……元を辿ればすべてその樹海の国の産物なのです」


「なに!?……待てよ、まさか俺が今美味そうに嗜んでいるこの馬鹿みたいに美味い酒も、その樹海の産物だというのか!?」


 アラント辺境伯が手元のグラスを二度見して叫ぶと、宰相は静かに深く頷いた。


「その通りでございます。あの国の物産と技術力は、我が国のそれを遥かに凌駕しております」


「うぐぐ……う~む! なんという底知れぬ力だ……絶対に侮れんぞ! 密偵の調査を至急継続させろ! 決して敵対するような愚を冒すなよ!」


 冷や汗を流しながら自慢の酒を飲み干すアラント辺境伯の姿で、映像は静かに途切れた。


 人間たちの無能さと、自国が誇る圧倒的な経済力・物産の威力を突きつけられた最高幹部たちは、不敵な笑みを浮かべながら、我が樹海王国のさらなる絶対的覇道の未来を確信するのであった。

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