第66話 【爆笑】迷子の聖獣が上から目線で惨死寸前!? 絶大な圧で分からせる最強ハーレムと深淵の覇権奪還!!
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不落の地下王城に構えた豪華なプライベートルーム──広々としたリビングへ、新しく雇い入れたブラウニー3姉妹を連れて帰ってきた。
だが、何故かその背後から、紫の髪を揺らしたルシーが当たり前のような顔をしてついてくる。
まあ、これまでの戦いを共にしてきた仲間だし、特に追い出す理由もないか。
部屋の中には、すでに人化状態のハクやレイをはじめ、ヒナ、リザ、ハピ、アリア、コボミ、スパ、ライゾウ、そしてクッション状態のスラオといったいつもの面々が勢揃いしていた。
ふと視線を中央の高級ソファへ向けると、そこには一匹の小さな聖獣がちょこんと鎮座していた。
頭部に美しい額の宝石を輝かせているのは、カーバンクルのカインだ。
あれ……? なんで当たり前のようにカインがこんなプライベートルームに居座っているんだ? ここは俺や婚約者たちが寛ぐための超プライベート空間のはずなのだが。誰かが勝手に招き入れたのだろうか?
まあ、その疑問は後回しにするとして。
これから城の家事全般を担当してもらうブラウニー3姉妹のためにも、まずは婚約者や仲間たちの紹介を済ませておく必要がある。
「みんな、ブラリリ、ブラルル、ブラロロの3人の名前はさっき聞いたよね。これからここで一緒に過ごすから、みんなも自己紹介をしてあげてくれ」
俺がそう促すと、真っ先にハクが一歩前へ出て、ニッコリと誇らしげに微笑んだ。
「ヒロトの妻のハクよ」
……妻? まだ婚約者のはずなのだが。まあ、ここで野暮なツッコミを入れるのは野面目というものだろう。スルーしておくことにする。
ハクに続いて、アリアやヒナ、リザたちが次々と親しみやすい笑顔でブラウニー3姉妹へ自己紹介を交わしていく。3姉妹は「よろしくお願いします!」と髪飾りを揺らしながら嬉しそうに深々と頭を下げていた。
一通り紹介が落ち着いたところで、俺はソファの上で偉そうに腰掛け出しているカインへ向き直った。
「で……お前はなんでここにいるんだ?」
俺はジト目を向け、ギロリとカインを睨みつけた。
すると、カインを連れてきた張本人である雷獣ライゾウが、後ろで気まずそうに耳を掻いた。
「なんか『ヒロトに挨拶がしたい』ってしつこく言うから、連れてきちゃったんだぞ……」
当のカインは、ちっちゃな体でフンと胸を張り、ドヤ顔で言い放った。
「ふはは! ちゃんと挨拶をしておらんかったからな! 我はカイン……この広大なる深淵の樹海を統べる王じゃ!」
「ほほう……『王』だから、それがどうした?」
俺はさらに視線を低くし、低音で睨みつける。
「うっ……お、王じゃ……」
俺の発するあまりの威圧感に毒気を抜かれたのか、カインはあからさまにオドオドとし始め、さっきまでの威勢はどこへやら、速攻で俯いてしまった。
「王だかヘチマだか知らないが、ここは俺の私的な城なんだよ。挨拶が終わったんなら、とっとと自分の家へ帰れ」
俺は右手の甲を向けて、シッシッと追い払うように手を振る。
「と、特別に……ここに住んで……やろうかと……」
小さな声をモゴモゴと漏らし、さらに体を小さく縮こませるカイン。
「いらん! 帰れ!」
俺がバッサリと切り捨てると、横に立っていた不死王ルシーが、すっと紫の瞳を冷たく細めた。
「ヒロト様……実に失礼で不遜な害獣ですわね。ヒロト様が治めるこの地で『樹海の王』を自称するなど、ヒロト様の領地支配を認めないという反逆の意志か、あるいは暗にヒロト様より上の立場だと主張している証拠。……いっそ、ここで跡形もなく消しておきましょうか?」
ルシーの全身から、膨大な絶望の死霊魔力が静かに立ち上る。
「焦がしたら……旨そうなのに。生意気」
古龍であるエンシェントドラゴンのリザが、鋭い牙を覗かせながらジュリリと口元の涎を拭った。
「ひ、ひぃッ!?」
死の気配を察知したカインは、全身の毛を逆立ててガタガタと激しく震え出した。
「そうだね、殺っちゃおうか。最初は『配下にしてください』っていうお願いだと思って連れてきたのに、まさか『お前を配下にしてやる』なんて上から目線だったなんてな。……ヒロト、変なのを連れてきてごめんよ」
ライゾウまでもがバリバリと青白い稲妻を身体に纏わせ、鋭い爪を露わにする。
「そうそう! なんでいきなりヒロトがあんたみたいなのの配下にならなきゃいけないのよ! オーク軍に捕まって情けなく泣いていたくせに!」
ハクを筆頭に、婚約者たちの視線が一瞬にして絶対零度の氷のように冷ややかになる。
「樹海の問題すら自分じゃ解決できずに捕まって、それを全部鮮やかに解決したヒロトに向かって配下になれだなんて、頭がおかしいんじゃないのー?」
ヒナが嘲笑うように言うと、ハピも「そうそう! おかしいよー!」と同意した。
「やっぱり……こんがり焼いて食べちゃいましょう」
リザが本気で炎のブレスを吐く準備を始める。
「ひ、今回は助けてくれたのじゃから……ほ、褒めて使わす……!」
極限の恐怖に晒されながらも、プライドだけは捨てきれないカインが、震える声で必死に俯きながら呟いた。
「そうか。分かったならさっさと帰れ」
俺はさらに冷たくシッシッと手を振る。
「が、我はこれでも樹海で最上位に位置する聖獣じゃぞッ!?」
カインは必死の形相でキリッと俺を見つめ返してきた。
「ねえレイ、実際どうなの?」
俺は隣で静かに佇んでいたレイを見つめて尋ねた。
レイは首を少し傾げ、淡々と宣告した。
「聖獣……中の上」
「まあ、聖獣としては中の上程度ってことみたいね」
ハクがくすりと鼻で笑う。
「ぐぬぬぬーッ! お主に何が分かるというのじゃーッ! 我は誇り高き聖獣ぞ!?」
カインが怒りに任せて叫ぶと、俺は呆れて溜息をついた。
「え……? レイは世界樹そのもので、精霊王だよ? 分かるに決まってるだろ」
「せ、世界樹……!? せ、精霊王ぉぉッ!?」
レイはその瞬間、ふわっと全身を眩い光に包ませ、神々しい『精霊王形態』へと変化してみせた。女神の如き圧倒的なオーラが部屋を満たす。
カインは目を見開き、驚愕の表情のまま固まった。口をぽかんと開けたまま、もはや声すら出ないようだ。
レイは淡々とした口調で追撃を打つ。
「ちなみに……聖獣としての格なら、ライゾウや外にいる四聖獣の方が遥かに上」
「えっ……し、四聖獣……!?」
「ふ〜ん。せっかくだから本人たちに聞いてみようか。──【四聖獣召喚】!」
空間が歪み、リビングの中にミニサイズの四聖獣たちが一斉に姿を現した。
「ヒロト様、お呼びでしょうか?」
朱雀が炎を揺らめかせながら尋ねてくる。
「いやね、こいつが『自分は樹海で最上位の聖獣だ』って威張っていて、俺に『配下にしてやる』なんて言い出したからさ。四聖獣とどっちが格上か確認したくてさ」
俺がそう説明した瞬間、青龍の鋭い瞳が猛烈な怒りに染まった。
「……なんと不遜で失礼な奴だ。我ら四聖獣の方が遥かに上に決まっておろうが!」
白虎が獰猛な牙を剥き出しにする。
「殺りますか、ヒロト様?」
「殺りましょう」
玄武が即答し、その尻尾の黒蛇がシャアアッと威嚇音を立ててカインの身体へ締め付けるように巻き付いた。
「焼いて……食べましょう!」
リザもノリノリで口から炎を漏らしている。
「ひ、ひぃぃぃぃぃぃッッ!? 不死王に精霊王、四聖獣にヌエ、果ては古龍までぇぇぇッ!? 怖すぎるのじゃあぁぁぁッ! 謝る! 謝るから許してほしいのじゃぁぁぁッ! 喜んで眷属になる! 眷属にしてくださいぃぃッ! 樹海の王の称号も全部ヒロト様に譲るから許してたもうぉぉぉッ!」
カインは涙と鼻水を撒き散らしながら、床に頭を擦り付けて激しく絶叫した。
「まあ、眷属になるのは別にいいけど……ここはプライベートな部屋だから早く出て行ってくれ。家族以外はあまり入れない場所にしたいんだ」
俺が呆れながら言うと、カインは顔を上げて泣きべそをかいた。
「か、帰りたいのは山々なのじゃが……我が家はオークどもに破壊されて、もう無いのじゃ……」
「はぁ……。ライゾウ、精霊の泉へ案内してやってくれ」
「がうっ! 任せるのだ!」
俺が素早く【テイム】を発動してカインを正式に眷属化すると、ライゾウは首根っこをガブッと口でくわえ、哀れなカインを精霊の泉へ向けて連れ去っていった。
「朱雀、青龍、白虎、玄武、みんなありがとうね」
「「「「お役に立てて光栄です、ヒロト様!」」」」
お礼を言い、四聖獣たちをそれぞれの塔へと送還したのだった。
……というわけで、何故かいつの間にか俺のステータスに【樹海の王】という大層な称号が追加されていた。
ルシーやレイ、四聖獣、ライゾウ、リザのあまりの恐怖に怯えてカインが一方的に謝り倒しただけのような気がして釈然としないが……俺自身が怖いと思われたわけじゃないから、まあ良しとしよう。
ふと我に返り、俺は部屋の隅で一連の惨劇を満足そうに眺めていたルシーへ視線を向けた。
「ところで……ルシーさんは何で当たり前のようにここにいるんですか?」
俺が尋ねると、ルシーはあでやかな笑みを浮かべ、その場に淑やかに正座した。そして三つ指をつき、深々と頭を下げてお願いしてきたのだ。
「あはっ☆ ぜひ私めも、ヒロト様の婚約者の末席に加えていただきたく、伏してお願い申し上げますわ」
「ふむ……」
俺は隣に立つ正妻(?)のハクをはじめ、婚約者のみんなへ視線を送った。
ハクは腕を組み、ふーっと可愛らしく溜息をついた。
「まあ……『末席』と自分で言っていることですし、受け入れてあげても良しとしましょうか」
アリアや他の婚約者たちも嬉しそうに頷いてくれたため、無事にルシーの婚約者入りを許可することになったのだった。
「よし! 色々あったけど、今夜はみんなでゆっくり寝ようか!」
賑やかな一日が終わり、俺たちは温かな温もりに包まれながら静かに眠りにつくのだった。
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