第64話 【内政】オークとサキュバスが大歓喜! 莫大DPで創る無制限ダンジョンと絶品寿司、そして不落の学園都市!!
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不落の地下王城にある自室でのんびり過ごそうとしていた矢先、俺の頭の中にオク1からの緊急念話が飛び込んできた。
(ヒロト様! 例のオーク軍兵士全員の眷属化、無事に完了いたしました! さっそく世界樹の里へ全軍を連れて到着したのですが……凄まじい神聖な結界が張られており、中に入ることができません! どちらへ連れていけば宜しいでしょうか!?)
あ……入れない?
そうか、さっき四聖獣たちが張ってくれた【四聖獣結界】か! 外敵はもちろん、許可のない者も弾く仕様になっていたのを忘れていた。
(ちょっと待ってくれ、今すぐに朱雀をそっちへ向かわせる。オーク軍は『朱雀の塔』を拠点に住むことにしよう。彼らは南からやって来たんだから、南の朱雀の塔が一番近いはずだ)
俺はすぐさま朱雀へ念話を飛ばす。
(朱雀、南からオーク軍が到着したから朱雀の塔に入れてやってくれ。具体的な居住スペースや配置は朱雀に一任するよ)
(ふふっ、承知いたしましたヒロト様! 我が朱雀の塔へ喜んでお迎えいたしましょう!)
ふぅ、危うく味方をシャットアウトするところだった。セキュリティのレベル分けを明確に考えていなかったな。
今後の運用としては、世界樹の里の敷地内は基本的に幹部と精霊以外の立ち入りを禁止にしよう。もちろん地下の王城も同様だ。
その代わり、東西南北の『四聖獣の塔』は配下の住民たちの出入りを自由とし、各塔の管理・運用はそれぞれの四聖獣に一任する。これでセキュリティ問題はバッチリだ。
四聖獣たちにこの決定を伝え、運用を開始してもらうことにした。
──さて、お次はオークたちの仕事だ。大人数を急に受け入れたからには、遊ばせておくわけにはいかない。
俺はアキート商会のショー会頭、ダンジョンマスターのヒナ、そしてオークの総指揮官であるオク1を城の会議室に呼び寄せた。この3人は重要幹部なので、問題なく地下城に入ることができる。
「みんな、集まってくれてありがとう。今回、オーク軍の兵士という超大人数を受け入れることになった。だが急には仕事がないため、彼らのために『狩り専用ダンジョン』を新設しようと思うんだ」
俺は広げた地図の上に指を立てる。
「地下50階層構成で、下へ降りるほど敵が凶悪になるダンジョンだ。ドロップ素材が高値で売れる魔物と、倒した時の獲得経験値が多い魔物を優先的に配置する。オークたちのトレーニング、レベル上げ、そして素材の仕入れが一挙に叶う一石三鳥のダンジョンだよ。幸い、世界樹をダンジョン内に置いたおかげで、DPは文字通り捨てるほど貯まっている。どんどん作っても問題ないよね、ヒナ?」
ヒナは空中盤をポチポチ叩きながら、ニシシと笑った。
「ぜ〜んぜん問題ないよー! むしろDPが溢れかえってるから、いくらでも贅沢に作っちゃってー!」
ショー会頭が目を輝かせ、興奮気味に身を乗り出してきた。
「素晴らしいアイデアですヒロト様! ぜひその素材、我がアキート商会に一括買い取りさせてください! あぁ、また商会が怒涛の勢いで儲かってしまう……!」
「ハハッ、まるで冒険者ギルドだね。買い取りの際には税金を納めてもらうシステムにしようか。……そういえばヒナ、国民からの税金って今どう納めてもらってるんだっけ?」
「うん! 収益の3割を納入してもらってるよー! ほぼ全員がヒロトの眷属だから滞納はゼロ! むしろ『ヒロト様のためなら!』って多めに納めていく奴らばっかりだよー、ニシシ!」
「おお、流石ヒナ! しっかり管理してくれて助かるよ。じゃあダンジョン素材の買い取りも税率3割で進めよう。……それからさ、やっぱり『寿司』が食べたいよね?」
「うんうんッ! 食べた〜い! お魚食べた〜い!」
ヒナが身を乗り出して大はしゃぎする。
「よし、ならダンジョンの中に『巨大な海』を作っちゃおう!」
「おおおーッ! いいねー! 海水浴とか、白い浜辺でバーベキューとかしたーい!」
「最高だね! マグロやサーモンなど、寿司ネタになる魚介類を中心にDPで交換して、ダンジョンの海に放流しよう。船を建造して漁師も必要になるな。オク1、オークたちの中で漁師に向いてそうな奴の適性を見て配置してくれるかい?」
オク1は力強く己の胸を叩いた。
「ハッ! 喜んで拝命いたします! 腕っぷしの強いオークどもに最高の漁をやらせてみせます!」
ショー会頭は感極まった様子で両手を合わせた。
「感無量でございます……! ガリア樹海周辺は海から遠く離れており、輸送の都合上、魚と言えばパサパサの干物くらいしか手に入りませんでした。まさかこの地で、とれたてピチピチの新鮮な魚介類を販売できるなんて……夢のようです!」
「ヒナ、狩り用ダンジョンも海のダンジョンも、魔物や魚は自動リスポーン(自動発生)に設定できるよね?」
「できるできるー! 無限湧きだよー!」
「素晴らしい。……待てよ、海が作れるということは、海水から『塩』も作れるのでは?」
ショー会頭がハッと目を見開いた。
「おお! さすがはショー会頭、素晴らしい着眼点だ! よし、塩作りにも挑戦してみよう。領内に製塩の経験者がいるか探し、いなければ外から超一流の職人を招聘する方向で頼むよ」
「承知いたしました! すぐに腕利きの職人を手配いたします!」
「あとは……現在、集まった税金の使い道って軍備くらいだよね? 公共事業は全部ダンジョンスキルで賄えてるし」
ヒナが「う〜ん」と首をひねる。
「そうだねー。ポイントで何でも作れちゃうから、お金が余りまくってるよー」
「なら、『学校』を作りたいと思っているんだ。今後、人間たちと共存していくことを考えると、足し算引き算などの計算や、文字の読み書きくらいはみんなが出来た方が絶対にいい」
「学校かー! 校舎はダンジョンスキルで一瞬で作れるけど……一番大事な『先生役』が必要だねー」
「そうそう。そこで相談なんだけど、ホムンクルスに先生をお願いできるかな? 最初は知識の正確なホムンクルスに先生をやってもらって、後々は教育を受けた知識人の中から先生が育っていくと理想的だ」
「ホムンクルスなら知識も完璧だし、優しく教えられるから先生にピッタリだよー! 基礎的な四則演算と読み書きくらいなら楽勝楽勝!」
「よし、その方針で進めよう!」
方向性がバチッと決まったその時、俺の頭の中にルシーからの念話が滑り込んできた。
(ヒロト様、ただいま戻りましたわ! ですが……世界樹の里の周囲が恐ろしい巨大な壁と塔で囲まれていて、私の一族が入ることができませんの。これって、もしかして噂に聞く四聖獣結界かしら……?)
(ルシー、おかえり! そうなんだ、完璧な結界を張ったばかりでね。一族の人たちは北側にいるのかな?)
(ええ、目の前に真っ黒で不気味な巨塔が聳え立っているわ)
(その塔は『玄武の塔』という名前なんだ。一族の人たちは全員、その玄武の塔に住んでもらってね。出入りは自由だから中に入れるはずだよ。屋上に玄武がいるから、念話で挨拶して住居の詳細を詰めてくれ。落ち着いたら城へおいで)
(ふふ、分かったわ。また後でね、ヒロト様)
俺は会議室の3人へ向けて手を叩いた。
「ヒナ、ショー、オク1、今日の会議はこれにて終了だ! 各自、決まった事案を迅速に実行に移してくれ!」
「「「ははっ!!」」」
◇
会議を終え、俺は地下城の豪華なリビングでのんびりと寛いでいた。
リビングには婚約者たちが勢揃いしており、アリアが淹れてくれた香ばしい最高級のお茶の香りが漂っている。
俺の右手側には人化して美しい銀髪を揺らすハク。左手側には愛らしい笑顔で甘えてくる人化のレイ。
そして、俺が腰掛けているソファのクッションとして敷かれているのは──相棒のスラオだ。
決して無理やりやらせている訳ではない。本人の強い希望である。だが、このスラオクッションは低反発どころの騒ぎではない。全身で均等に体重を分散してくれるため、一度座ったら二度と立ち上がれなくなるほどの最高すぎる座り心地なのだ。
その他にも部屋には、ヒナ、リザ、コボミ、ハピ、ライゾウが思い思いにくつろいでいる。
影の忍・スパも部屋のどこかに潜んでいるはずだ。姿は見えないが、呼べば「シュタッ」と即座に参上してくれる安心感がある。
そんな至福の時間を楽しんでいると、ルシーから再び念話が入った。
(ヒロト様、こちらも無事に落ち着きましたわ。つきましては、私の一族の代表数名を連れてヒロト様へご挨拶をさせていただきたいのですが……お城の中へ入れていただくことはできますかしら?)
(う〜ん……ちょっと待ってね)
俺は隣でジュースを飲んでいたヒナに声をかけた。
「ヒナ、玄武の塔の中に『謁見の間』を作ってくれるかい?」
「はいよー! 謁見の間ポチッとな!」
「あ、今後のこともあるから、他の3つの塔にも同じように謁見の間を作っておこうか」
「オーケーオーケー!」
「あ、作る前に念のため、それぞれの四聖獣に断りを入れてからにしてね?」
「あ……もう作っちゃった。えへッ☆」
「事後報告すぎるだろ!」
「あいッ☆」
ヒナはちゃっかり空中盤を操作し、四聖獣たちへ念話を送っているようだ。
「へいきへいき! 報告完了したよー! 全員『使い道が増えて嬉しい』って言ってるから問題なしー!」
「了解、なら良かったよ」
俺は意識を切り替え、ルシーへ念話を返す。
(ルシー、玄武の塔の中に専用の『謁見の間』を作ったから、そこで一族の代表と謁見しよう。準備が整ったら呼ぶから、少し待っていてね)
(あら、臨機応変なご対応ありがとうございます。楽しみにしておりますわ、ヒロト様)
サキュバス族をはじめとする魔界の同胞たちとの対面を想像しながら、俺は極上のスラオクッションに深く身体を沈めるのだった。
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