第62話 【開拓】四聖獣の巨塔が出現! 莫大DPで創り出す神聖なる楽園と、蘇る精霊たちの歓喜!!
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蛇王国のリンダたちが晴れやかな顔で帰還した後、謁見の間に残っていた不死王ルシーが、重厚な黒鎧を身に纏ったオニバルと共に俺の前に歩み出てきた。
オニバルは元々オークエンペラーだったが、この間の合戦で猛威を振るい、最後は俺の頼もしい相棒スラオによって討伐された。だが、ルシーの死霊魔法と悪魔のアダマンタイト鎧によって、最強クラスの『アンデッドナイト』として覚醒・蘇生を果たした存在だ。
ルシーは紫色の瞳を妖しく光らせ、真剣な面持ちで口を開いた。
「ヒロト様、私はこれよりオニバルと共に魔界の魔族国へと一度戻り、私の一族──サキュバス族をはじめとする同胞たちを連れて参りますわ」
「うん、分かったよ。気をつけていっておいで。待ってるからね」
俺が笑顔で頷くと、傍らに控えていた巨漢のオニバルが、カチリと金属音を立てて深々と頭を下げた。
「ヒロト様、私めもルシー様の護衛および案内役として同行させていただきたく存じます。魔界の道中は危険も多く、我が軍略と武功が必ずやルシー様のお役に立ちましょう」
「もちろん良いよ。オニバル、ルシーのことをよろしく頼むね」
「ハッ! 温かいお言葉、誠にありがとうございます。このオニバル、命に代えましてもルシー様と一族の皆様をお守りし、無事にお連れいたします!」
重厚な仮面の奥で、オニバルの真っ赤な瞳が忠誠の炎を燃やす。
「ルシーの一族を迎える準備は、こっちでしっかり進めておくから心配しないでくれ」
「ふふ、ありがとうヒロト様。本当に頼もしいわ」
「ちなみに……連れてくる一族って、全部で何人くらいになりそうなの?」
俺が何気なく尋ねると、ルシーは指を顎に当てて少し考え込んだ。
「そうね……サキュバス族を中心に、私を慕ってくれている弱小種族を合わせると、5種族で合計500人くらいになるかしら」
「おお! 500人! 結構な大所帯だね。これは賑やかになりそうだ、楽しみに待ってるよ!」
500人規模の移住となれば、普通の街なら大騒ぎになるところだ。だが、今の俺たちには世界樹の自動DP生成機能というチートな後ろ盾がある。莫大なダンジョンポイントが毎秒ドカンと貯まり続けているのだ。文字通り『捨てるほどある』状態なので、住居や環境の用意なんて余裕のよっちゃんだ。もちろん、もったいないから捨てたりはしないけれど!
◇
ルシーとオニバルが魔界へ向けて旅立った後、俺は早速行動を開始した。
「さて! ルシーたちが戻ってくる前に、この『世界樹の里』を劇的にリフォームするとしようか!」
俺は相棒のダンジョンマスター妖精・ヒナを呼び寄せた。
「ヒナ、例の『四聖獣結界』を張るために、東西南北に『四聖獣の塔』っていう巨大な塔を建てたいんだよ」
ヒナは浮遊しながら、空中盤の操作パネルをパチパチと叩いた。
「ふーん、四聖獣の塔ねー! どのくらいの大きさにすればいいのかなー?」
「うーん、俺も詳しいサイズ感は分からないけど、とにかくデカくてド派手な方が格好いいよね! これからオークたちの住居も必要だし、ルシーが一族500人を連れてくるし、今後も眷属が増え続ける可能性が高いからさ!」
「おっけー! 豪快でいいねー! じゃあ、とびっきりでっかいのをドカンと作っちゃおー!」
世界樹を中心に据え、東西南北の4箇所へ向けてダンジョンの建築スキルを発動する。イメージするのは、天を穿つ伝説のバベルの塔。世界樹を守護する最前線の要塞なのだから、生半可な攻撃では傷一つ付かない超頑丈な仕様だ。莫大なDPを贅沢にぶち込み、一瞬で組み上げていく。
ズズズズズ……ッ! 轟音が響き渡り、大地震のような振動とともに4つの巨塔が大地から生えるように隆起した!
東:青く眩い光を放つ【青龍の青き塔】。
南:赤々とした神炎の気配を纏う【朱雀の赤き塔】。
西:神聖な白銀の輝きを誇る【白虎の白き塔】。
北:漆黒の重厚な装甲に包まれた【玄武の黒き塔】。
さらに、それぞれの塔と塔を繋ぐように、高さ3メートルを超える漆黒の強固な城壁をぐるりと一周張り巡らせた。
「よし! 外郭は完璧だ! 次は里の中身、精霊たちの棲み処を作ろうか。レイが言っていた、かつての『精霊が集う神聖な楽園』をここに完全再現するんだ!」
「うんうん! それが一番いいよねー!」
「まずは、エルフたちが残していった汚い集落の残骸と、オークたちが拠点にしていた荒れ果てた建造物を綺麗に消去しよう」
「はーい! 解体消去ポチッとなー!」
ヒナが操作パネルをタップした瞬間、残されていた木造の家屋やバリケードが一瞬にして光の粒子となって消滅し、広大な平地へと早変わりした。
「次は自然豊かな環境づくりだね。どんな植物や木々を配置するのがベストなんだろう?」
「うーん、レイに直接聞いてみるのが一番じゃない?」
「確かに! レイ、ちょっと来てくれ!」
俺が左腕を伸ばすと、まばゆい緑の光とともにレイの分身体がすーっと姿を現した。
「レイ……ヒロト様……言葉、する、むずかしい……」
「あれ……? レイ、言葉遣いが元に戻ってないか?」
さっきまで流暢で知的な女神のような口調だったのに、いつもの可憐で拙い喋り方に戻っている。
「いま、レイ、ほんとうの言葉……」
ヒナが目を丸くして手を叩いた。
「あ! そっか! 今はレイ本人の意識と言葉なんだね!」
するとレイの全身が微かに光り、今度は少し落ち着いた雰囲気に変わった。
「そう……世界樹の膨大な意識言語で話し続けると、レイ本人の意識が『自分が消えてしまいそう』と寂しがってしまいましたので……通常時はレイ本来の可愛らしい口調で話すよう、意識を切り替えております」
「なるほど! その流暢な口調は世界樹の意識で、さっきの可愛い口調がレイ本人の素の言葉なんだね。気遣いありがとう、世界樹さん」
「はい。それでは精霊の楽園の環境についてですが……念話で当時の正確な情景イメージをお送りいたしますわ」
レイがそっと俺とヒナの額に指先を触れると、頭の中に鮮明な映像が流れ込んできた。
澄み切った空気、生命力に満ち溢れた美しい大自然、そして見渡す限りの花々──。
「ふむふむ! なるほどねー! こんな感じだったんだ!」
ヒナは念話で送られてきた情景を元に、パネルを操作してダンジョンスキルで植物や樹木を次々と生成していく。荒地だった大地が一瞬で一面のエメラルドグリーンの草原となり、色とりどりの幻想的な花々が一斉に咲き誇った!
「あっ! レイのイメージの真ん中に、すごく綺麗な泉があるねー! これって……前にダンジョン機能で交換した『精霊の泉』にそっくりじゃない!?」
「本当だ! ダンジョンポイントで引き換えて、地下のダンジョン内に設置してあるあの『精霊の泉』そのものだね!」
「じゃあ、地下ダンジョンにある本物の『精霊の泉』を、そのままこの地上へ移動させちゃおーよ!」
「うんうん、それがいい! 精霊たちにとっても、太陽と世界樹の光を浴びる場所にあった方が絶対に喜ぶよ!」
俺はすぐさま、傍らにいた雷獣ライゾウへ声をかけた。
「ライゾウ! 地下の『精霊の泉』にいる精霊たちに、泉を地上へ移動させることを伝えてきてくれ! それと、この場所を太古の楽園として再生させているから、みんなで地上へ上がってくるように言ってほしい!」
「ガウッ! お安い御用だぞヒロト! すぐに伝えてくるのだ!」
ライゾウは稲妻のような速度で駆け出し、地下ダンジョンへと消えていった。
「よしっ! ライゾウがみんなを連れてくる前に、泉以外の周りの環境をカンペキに仕上げちゃおう!」
「おーっ! 匠の技を見せてあげるねー!」
ヒナの素早い操作によって、世界樹の周りは瞬く間に、神話に出てくるような美しい神聖な楽園へと変貌を遂げていくのだった。
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