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魔物使いの異世界大陸平定記〜神々や大悪魔すら配下!? 規格外のテイム能力で異世界の理をぶち壊し、気づけば大陸全土を制覇していた〜  作者: ボルトコボルト
第一章 深淵の樹海

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第59話 【覚醒】世界樹と同化した美少女が精霊王へ! 暴かれるエルフの闇と莫大DPで始まる超絶対防御陣形!!

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 俺たちは、目の前に聳え立つ超巨大な大樹を仰ぎ見ていた。


 あまりにも圧倒的な存在感。見上げているだけで、魂の根底から神聖な力で満たされ、思わずひざまずいて拝みたくなるほどの壮大さだ。あまりの高さに天辺は雲の彼方に隠れて見えず、青々とした葉の一枚一枚から溢れ出るような生命力が伝わってくる。


 その世界樹の根本では、集落に戻ってきたダークエルフたちが地面に膝をつき、声を上げて泣き伏していた。


 彼らにとって、この場所に帰還することは一族悲願の夢だったのだ。


 かつてエルフとダークエルフは世界樹の守り人として共に生きていた。だが、歴史の陰謀によって過酷な追放を受け、数千年の年月を彷徨い続けてきた。若い世代の中には、生まれて初めて本物の世界樹を目にした者も多いのだろう。全身を激しくうち震わせ、涙を流しながら祈りを捧げている。


「ねえレイ、試しに世界樹と一体化してみてくれないかい?」


 ふと思い立ち、俺は隣に立つデメテルのレイに声をかけた。何か世界樹の特性や情報を探る手掛かりが得られるかもしれない、という軽い気持ちだった。


「はい、ヒロト様。やってみますね」


 レイもまた、いつものように可憐な微笑みを浮かべ、素直に頷く。


 ふわっと優しい緑色の光が溢れ、レイの身体が世界樹の巨木の中へとすーっと溶け込むように吸い込まれていった。


 ──次の瞬間。


『あぁぁぁぁぁぁぁッッ……!?』


 頭の中に、レイの切迫した悲鳴のような念話が炸裂した!


【告知:個体名『レイ』が『世界樹』へと進化を遂げました】

【告知:個体名『レイ』が【精霊王】の権限を獲得・就任しました】


 頭の中に、無機質かつ重厚な世界のアナウンス音覚醒メッセージが響き渡る。


「ええっ!? い、いま何て言った!?」


 あまりの急展開に俺が素で声を上げると、隣で俺の右腕を抱きしめていたハクが首を傾げた。


「どうしたのヒロト? 一人で驚いた顔をして」


「いや……レイが世界樹そのものに進化して、そのまま『精霊王』になっちゃったみたいなんだよ!」


「「精霊王!?」」


 ハクが目を見開き、ルシーが大きく目を見開いて口元を手で覆った。


「精霊王って……現在この世界で最も膨大な精霊力を有する絶対的な上位精霊だけが就く、文字通りの神の座よ!? 随分と長い間、代替わりが起きずに空位というか固定されていたはずだけど……。ふ~ん、世界樹そのものが精霊王になっちゃうなんて、規格外すぎるわね……!」


 ルシーが戦慄していると、世界樹の表面が波打ち、そこからレイがハァハァと肩で息を切りながら這い出てきた。彼女はぐったりとした様子で地面に片膝をつき、俯いて荒い吐息を吐き出している。


「レイ! 大丈夫か!?」


 俺は慌ててレイに駆け寄り、その華奢な肩に手を置いた。


「ハァ……ハァ……ごめんなさい、ヒロト様。一体化した瞬間、世界樹が何万年もの間に蓄積してきた莫大な記憶と情報が一気に脳内に流れ込んできて、少し混乱してしまいました……。ですが、完全に『世界樹』へと進化を完了させたことで、ようやく記憶の整理がつきましたわ」


「おや……? 急に話し方がもの凄く流暢で知的になったぞ?」


 先ほどまでのどこか舌足らずで可憐だった雰囲気が消え、静謐で尊厳に満ちた口調になっている。


「ええ。今の私は『世界樹』としての意識言語で話しております。もちろん、以前のレイのような幼い口調に戻すことも容易いですが」


「とりあえず世界の秘密について説明を聞きたいから、そのカッコいい口調のまま続けてくれ。あ、でも一体化は解除されたんじゃないのか?」


「『世界樹』そのものへと進化したため、概念的な意味での完全な一体化解除は不可能です。現在の私の本体はこの巨大な樹木そのもの。ですが……ヒロト様のそばに離れず側にいたいので、この身体は精霊力で構築した『分身体』となります」


 レイはゆっくりと立ち上がり、俺に微笑みかけた。分身体の姿は、進化する前のあの可憐な美少女の姿そのままだ。


「ちなみにヒロト様。分身体は以前の姿を維持することもできますが……このような真の姿になることも可能です」


 レイがそっと指先を掲げると、全身が眩いばかりのエメラルドグリーンの神光に包まれた。


 眩光が収まった時、そこに立っていたのは──息を呑むほど美しい『精霊の女王』だった。


 腰まで伸びた輝くエメラルドグリーンの豊かな髪。切れ長で知性溢れる瞳。透き通るような薄緑色の肌。かつての可憐な美少女は、見る者をひれ伏させるほどの神々しい大人の美女へと変貌を遂げていた。その身に纏う白いチュニックは、古代の神殿に描かれる女神そのものだ。


「……すごく、綺麗だ……」


 俺が思わず見惚れて呟くと、レイは悪戯っぽく微笑んだ。


「ヒロト様は、どちらの私が好みかしら?」


「んー……前の可憐で可愛いレイの方が好きかな。今の姿は神々しすぎて、なんだか恐れ多いくて緊張しちゃうよ」


「ふふ、分かりましたわ」


 レイが小さく笑うと、一瞬でまばゆい光が弾け、見慣れた可愛い美少女の姿へと戻った。


「さて、ヒロト様。世界樹と一体化したことで、エルフと精霊、そしてこの世界樹に纏わる哀しい真実が全て判明いたしました」


 レイは真剣な表情を浮かべ、語り始めた。


 ──太古の昔、このガリア樹海は無数の精霊たちが集う、平和で神聖な楽園だった。世界樹は精霊たちに無限の安らぎと魔力を与え、精霊たちもまた世界樹を愛していた。


 そこへ現れたのが、かつてのエルフ族だった。

 最初の頃、エルフたちは世界樹と精霊たちを神として崇め、素晴らしい共存関係を築いていた。


 しかし……ある時、事件が起きる。『精霊王』の代替わりだ。


 新たに就任した悪意ある新・精霊王は、己が王の座から引きずり下ろされることを極度に恐れた。この世界では、最も精霊力(レベルと進化)が高い者が自動的に精霊王となるルールが存在する。新王は、他の精霊たちが成長して自分を超えるのではないかと恐怖し、狂気に狂っていった。


 そこで新・精霊王は、恐ろしい法令を全精霊に発令した。


 精霊王の絶対命令権を利用し、エルフ族と秘密の悪魔の契りを交わしたのだ。


『エルフが精霊を使役・契約し、精霊が得るはずの経験値を全てエルフ側へ吸い上げさせる』


 精霊たちが二度とレベルアップも進化もできないよう、成長の芽を完全に摘み取ったのだ。


 さらに精霊王は、精霊たちが逃亡できないよう拘束具である『精霊の腕輪』を生成してエルフに与えた。


 こうして、神聖なる楽園は、エルフによる『精霊狩り場』へと成り下がった。


 エルフとその盟友である妖精たちは、世界樹の周りに押し寄せ、幼い精霊たちを片っ端から捕獲し、奴隷として奴隷化していった。世界樹はその惨状を、ただ涙を流しながら見ていることしかできなかったのだ。


 それだけに留まらず、強欲なエルフたちは世界樹そのものの莫大な薬効に目をつけた。


 世界樹の葉、枝、そして湧き出る雫。それらは超高濃度の万能薬の素材となり、あらゆる病や欠損すら治す究極の回復薬が作れることが分かると、エルフたちはそれを独占し、他種族へ高値で売りさばいて巨万の富を得たのだった──。


 語り終えたレイの瞳には、静かな怒りの炎が揺らめいていた。


「……なるほどな。どこまでも腐りきった奴らだ。やっぱりエルフどもは万死に値するな」


 俺が拳を強く握り締めると、レイは俺の手をぎゅっと両手で包み込んできた。


「ヒロト様、お願いです。不当な奴隷契約と腕輪によって縛り付けられている哀れな精霊たちを、どうか解放するのを手伝ってください……!」


「勿論だよ! エルフたちに捕らえられている精霊は全員助け出す。俺たちで汚いエルフどもを叩きのめして、ここをもう一度、精霊たちが笑顔で暮らせる本当の憩いの場に戻そう!」


「ありがとうございます、ヒロト様……! 私も世界樹の力、そして精霊王の権限を全て使って、ヒロト様のために共に戦います!」


「それと──俺たちの拠点もここに決めよう。レイがここにいるなら、ここが俺たちの本当のホームタウンだ!」


 俺が笑いかけると、レイは感極まった様子で俺の胸に飛び込んできた。


「嬉しい……! ヒロト様、大好きです……!」


 すると横から、ヒナが計算機のような画面を叩きながらニッシシと下種な笑みを浮かべて割り込んできた。


「ヒヒヒ、世界樹のおかげで秒単位でDPがガッポリ貰い放題だしね~! ここを拠点にするのは大賛成だよ!」


 レイは顔を赤くしながらも、嬉しそうに頷く。

「分身体でいつでもヒロト様の傍にいられますけれど、やっぱり皆様がこの場所に居てくださるのが一番嬉しいですわ」


「よし、方針は決まったな。……ただ、そうなると魔王軍の残党だけじゃなく、今後は本気になったエルフの主力軍勢もここに攻め込んでくるはずだ。俺たちがいる時は返り討ちにできるけど、留守にしている時が心配だな。エルフの結界なんかよりも遥かに強固で、絶対に破られない超強力な結界は作れないかな?」


 俺の問いかけに、元・四天王であるルシーが顎に指を当てて答えた。


「それなら……古の時代から伝わる『四聖獣結界』が間違いなくこの世で最も強力よ。神獣である四聖獣の力を借りる結界だけど……当の四聖獣を探し出すか、召喚して契約を結ぶのが至難の業なのよね」


「四聖獣結界か……最高じゃないか! よし、次は四聖獣を探すとしよう!」


 新たな目標を前に、俺たちの胸は高鳴っていた。

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