第57話 【混沌】魔力の巨人と光の神刀! 邪悪なる不死王への変貌と、一撃必殺の「テイム」覚醒!!
ブックマーク登録していただいた方、
有難うございます。
ブックマークに登録していただくと評価が上がり、モチベーションも上がりますので宜しかったらお願いします。
魔族四天王の一角、サキュバスのルシーは、深紅の瞳を妖しく光らせながら冷ややかに俺たちを見下ろした。
「……で? 貴方たちがゴブリンキングも倒したのかしら?」
「そうです」
俺はムラマサの柄に手を置いたまま、静かに言葉を返した。
「俺たちは、貴方たちが人間と戦うことを邪魔する気はありません。ですが、俺たちは深淵の樹海に住んでいる身です。住処の魔物が襲われた以上、反撃したのは当然でしょう。人の家に土足で踏み込んできた奴を蹴飛ばして何が悪いんですか」
「あら、都合のいい言い分ね」
ルシーは薄い唇を歪め、吐き捨てるように言った。
「人間を滅ぼすために、樹海の魔物は戦力として不可欠なのよ。ゴブリンキングは私の大切な眷属。それを勝手に潰しておいて、許すわけがないでしょう?」
「……なるほど。なら、敵対はやむ無しですね」
「それに、オークエンペラーのオニバルも倒したのよね?」
「ええ、倒しました」
「あの子を育てるのに、どれだけ時間がかかったと思っているの? 秘蔵のアダマンタイトの鎧まで貸してあげたのに……倒すなんて、相当やるようねぇっ!!」
ドカンッッ!!
ルシーの叫びとともに、爆発したかのような莫大な魔力が周囲へ一気に吹き荒れた!
俺は間髪入れず、右足を半歩踏み出し、腰を落とす。いつもの必殺の抜刀姿勢だ。
「ルシーめ、調子に乗るなよッ!」
蛇王ザッハークの両肩から生えた二匹の黒蛇が、鞭のように凄まじい速度で伸び、ルシーへと襲いかかる!
だが、ルシーの周囲を覆う濃密な魔力が揺らめいたかと思うと、一瞬で「人型の巨人」へと姿を変えた!
ガシィッ!
魔力の巨人が伸びてきた二匹の黒蛇を両手でガッチリと捕まえ、そのまま力任せにぶん回して投げ飛ばす!
「ぬおおっ!?」
蛇王は激しく吹き飛ばされたが、凄まじい身こなしで空中を舞い、何事もなかったかのように着地してみせた。
「ハッ! させないわよッ!」
ハクが翼を広げて空へ舞い上がり、太い白蛇の尻尾を上空から魔力の巨人へ叩きつける!
しかし、分厚い魔力の壁に阻まれ、打撃は虚しく弾かれた。
(アイ! MP吸収はできるか!?)
俺は心の中でアイに念話を送った。
アイの瞳が怪しく輝くが、すぐに悔しそうな声が返ってくる。
(ダメ……MP吸収、できない! 強力なレジスト(耐性)に阻まれる……!)
(レジストか……! さすがに四天王クラスの相手にはMP吸収は通用しないか!)
ならば、自力で斬り伏せるまで!
俺は【神刀】へと覚醒進化を遂げたムラマサを、一閃の如く一気に抜刀!
ザシュッ!
鋭い刃が空間を断ち切り、魔力の巨人の右腕を凄まじい鋭利さで斬り飛した!
だが、斬り落とされた腕は液状化するように瞬時に再生してしまう。
「ふむ……再生は早いけど、斬れることは斬れるね。さすが神刀だ!」
俺はムラマサを八双の構えに深く構え直し、必殺の袈裟斬りの軌道を描こうとした。
その瞬間──俺の肩からスルスルと伸びたスラオが、ムラマサの白銀の刃にそっと触れた。
『光魔法付与──【聖光刃】』
キィィィィン……ッ!
黒刀ムラマサの刃が、眩いばかりの純白の聖光を纏って激しく輝き出す!
「えっ!? スラオ、そんなことまでできるようになったの!?」
「うん! 進化したから、できた!」
スラオが自慢げに胸を張る。これは頼もしい!
「よっしゃあぁぁッ! 一気に決める!!」
俺は地面を蹴り、神刀ムラマサを全力で振り下ろした!
ドオォォォンッ!!
聖光を纏ったムラマサの一撃は、魔力の巨人もろとも、後方にいたルシーの身体を一刀両断にした!
左の首元から右の脇下まで斜めに深く切り裂かれ、ルシーの上半身がずるりと滑り落ちる。
「ば……かな……ッ!? この……私が……負ける……なんて……ッ!?」
地面に崩れ落ち、血を吐きながらも、ルシーの深紅の瞳には狂気のような執念が宿っていた。
「……その刀……聖剣の類なの……!? ……ここで……私が……死ぬなんて……あり得ない……! 一族の……悲願の為に……私は……し、死なんぞぉぉぉぉッ!!!」
死に瀕したルシーは、震える右手で懐から怪しく輝く極大の魔石を取り出すと、それを強引に口の中へ放り込み、呑み込んだ!
ズズズズ……ッ!
ルシーの身体が気味の悪い音を立てて這いずり動く。
切断された断面が磁石のように引き合って接合し、元通りにくっついていく。
だが、飲み込んだ魔石の力が強大すぎたのだろう。ルシーの全身が激しい光を放ち始めたかと思うと、そのまま光が急速に失われ、完全な静寂が訪れた。
頭の中に、クリアなシステム音が流れる。
『経験値が一定に達しました』
『進化・レベルアップの処理が完了しました』
ヒナが死体を指差し、首を傾げた。
「ねーヒナちゃん疑問なんだけど、本当に死んじゃったのかなー?」
「ちょっと止めてよ! それ完全にフラグになっちゃうから! メッセージが流れたんだから、死んだのは間違いないはずだよ!」
「助けてくれ〜っ! 誰かワシをこの檻から出してくれ〜いっ!」
カーバンクルの情けない叫び声を聞きつけ、ヒナが「あ、そうだった!」と檻へ駆け寄り、カチャカチャと解除を試み始めた。ハクとレイも「可愛い〜」「モフモフしたい!」と目を輝かせて手伝い始めている。
そこへ、巨大な身体を揺らしながら蛇王が歩み寄ってきた。
「婿殿、心より感謝するぞ。お主のおかげで、儂も『ザッハーク』へと正当な進化を果たすことができた」
「いえいえ、こちらこそ助かりましたよ。蛇王様の突撃がなかったら苦戦してました」
他の眷属たちも凄まじい進化を遂げているはずだ。後でじっくりステータスを確認しなければ。
そう思っていた矢先──ハクたちの手によって、ようやく檻の扉が開け放たれた。
外へ這い出してきたカーバングルが、額の赤い宝石を激しく点滅させながら悲鳴のような怒号を上げた!
「油断するなァァッ! 何かがおかしいのじゃ! 凄まじい邪気が……来るぞッ!!」
「え……!?」
慌てて周囲を見渡すが、目に入るのはルシーの静まり返った死体だけだ。
……いや、違う!
ルシーの死体の周囲の空間が、まるで全ての光を吸い込むかのように、みるみるうちに暗黒へと染まっていく!
暗く、黒く、漆黒、暗黒──!
「ブワッ」と、膨れ上がった黒い靄が爆発的に広がり、直前まで死体だったルシーの身体が、傀儡のようにバサッと跳ね起きた!
「……なっ!?」
俺は絶句した。
かつての絶世の美貌は見る影もない。薄紫色だった肌は死人のように青白く退色し、美しい顔立ちの奥には、禍々しい「ドクロの影」が不気味に透けて見えている。
そしてその右手には、いつの間にか異形の宝珠が嵌め込まれた奇妙な骨の杖が握られていた。
ルシーが無言でその杖をひと振りする。
ドゴォォォンッ!!
何もない空間から発生した不可視の衝撃波が、俺たち全員を容赦なく吹き飛ばした!
「ぐわっ!?」
カーバングルが額の宝石を眩しく発光させ、必死に叫ぶ。
「邪気じゃ! 万物を腐死させる極大の邪気! かなり強力……怨霊へと変貌したというのか!?」
カーバンクルの額の宝石から、真っ赤なレーザービームのような閃光が放たれ、ルシーの胸を正確に貫く!
しかし──ルシーは死んだ魚のような目で嘲笑った。
「フハハハハハハッ! 無駄だぁッ!」
ルシーが左手を軽やかに振るうと、カーバンクルの放った極大レーザーは、まるでただの煙のように虚しく散り散りになって消え去った。
「私は……手に入れたのだ! 万物を統べる強大な力を! 死を超越した……『不死王』となったのだぁぁぁッッ!!」
ルシーの身体から、世界を破滅に導くほどの莫大な魔力と邪気が津波のように溢れ出す!
同時に周囲へ広がった極毒の邪気によって、強力な耐性を持つはずの俺の眷属たちが、立っていることすらできず次々と倒れ伏していった。
「くっ……やばい! 存在するだけで周囲を破壊する攻撃になっているのか!?」
あの頑強な蛇王すらも、膝を地面について苦しそうに呼吸を荒らげている。
「ぐ、ぬぅ……! そうだな婿殿……奴はとんでもないバケモノになりやがったぞ……! アンデッドの最高位『エルダーリッチ』すら遥かに凌駕する……魔王や竜王すら凌ぐと言われる……この世界最凶最悪の魔物……『不死王』だぁッ!!」
「えっ……? 魔物……?」
俺は一瞬、耳を疑った。
魔王や竜王を凌ぐ世界最強?
……いやいや、待てよ?
『魔物』ってことは……もしかして、テイムできちゃうんじゃないか……?
俺は絶望に包まれる現場の中、ズイッと一歩前に出ると、両手を広げて高らかに叫んだ!
「──【テイム】ッッ!!!!」
ピキーンッ!!
刹那、ルシーの狂乱した動きがピタリと停止した。
「……え?」
ルシーの顔が、凄まじい驚愕と動揺で固まる。
・
・
・
・
『──【不死王】のテイムに成功しました』
(……あ、本当にテイムできちゃったよ。不死王が眷属化しちゃった)
俺はポンと手を叩くと、固まっているルシーへ優しく語りかけた。
「ルシー、周りのみんなが苦しんでいるから、その魔力と邪気の放出を止めてくれないかな?」
ルシーは深紅の瞳を丸くしたまま、深々と頭を下げた。
「……はい。かしこまりました、ご主人様」
ピタリと邪気が収まり、静寂が訪れた。
いつも読んでいただきありがとうございます。
評価ポイントを登録していただいた方はありがとうございました!
まだ登録いただいていない方、気が向いたら登録していただくと嬉しいです。
気が向いた方は、
下段ポイント評価を選択後、
ポイントを選んで「評価する」ボタンを
押してください。
宜しくお願い致します。




