第56話 【進化】魔族四天王ルシー降臨! 凄絶なる一括進化と、真祖・神刀・巨竜を従えし最凶の陣容!!
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ガリア樹海の深部。先ほどまで猛威を振るっていたオーク軍の3万の追撃隊が、突如としてピタリと足を止めた。
「ぐ……っ!? な、なんだ……この胸の喪失感は……!?」
「精神の奥底にあった絆が……消えた……!?」
オークエンペラー・オニバルの命が潰えた瞬間、眷属としての精神的束縛が一気に霧散。オークたちは主の死を即座に察知し、極度の混乱と茫然自失の波に呑まれたのだった。
そのため、オーク軍による容赦のない追撃は唐突に終わりを迎えた。
敗走を続けていたガラード王国軍は、奇跡的に全滅こそ免れたものの、まさに『ほうほうの体』で樹海の浅瀬を脱出。ボロボロになりながら最寄りの拠点である『ガリア町』へと逃げ込むこととなった。
生きて辿り着けた兵は、出撃時の半数にあたるわずか1万人。
まさに歴史的な大敗北であった。
生還した者たちも無事では済んでいない。全身が炎で爛れ、斧で斬り裂かれ、手足や指を失った欠損兵が路上に溢れかえっている。もはや集団としての戦闘継続など到底不可能な、凄惨を極める惨状であった。
ガリア町を治めるアーシュ男爵は、城門に押し寄せた1万もの敗残兵の群れを見て、顔を苦々しく歪めた。
「ひ、1万人だと……!? 治療薬に包帯、食事にベッド……! 一体この莫大な費用をどこから出すと思っているのだッ! ガリア男爵領が破産してしまうぞ……!!」
重傷者の絶叫とアーシュ男爵の悲痛な叫びが、ガリア町に重く響き渡っていた。
◇
一方、オーク軍の本拠地(旧エルフ集落)周辺。
主を失い、眷属の絆が切れたことで戦意を完全に喪失した数万のオーク兵たち。
その様子を察したリガント将軍、コボ1、ゴブ1、オク1といった我が軍の指揮官たちは、すぐさま戦闘の終結を宣言。無用な殺戮を止め、傷ついたオークたちの治療、敗残兵の保護、そして俺の配下へ引き入れるための『眷属化』の手続きを速やかに開始していた。
そして──肝心の俺たちはといえば。
ズシン……と世界を圧迫する圧巻の魔力を前に、ただただ息を呑んで固まっていた。
空間を切り裂いて現れた『魔族四天王ルシー』が、転がったオークエンペラーの巨大な死体へチラリと視線を送る。
「……あらあら。オークエンペラーのオニバルは、どうやら死んじゃったようね」
その姿は、どこからどう見ても生粋の『サキュバス』そのものだった。
薄い黒の布地で仕立てられた、胸元が大胆に開き極限まで露出度の高い妖艶なドレス。
滑らかな薄紫色の肌に、突き出た豊満な胸と引き締まった腰つきのグラマラスな肉体。細身でありながら出るべき部分は主張し、長い手足がすらりと伸びている。全身から溢れ出すのは、直視することすらためらわれる濃密で下品な色気だ。
身長は170センチほど。背中まで波打つ紫色の艶やかなロングヘアに、頭の両脇からは羊のような可愛らしい巻き角が二本。耳の先端は尖り、切れ長の目には長い睫毛と、吸い込まれそうな深紅の瞳が怪しく輝いていた。背中からは薄い蝙蝠の羽がそっと広がっている。
ルシーは深紅の瞳を妖しく光らせ、俺たちを舐めまわすように見回した。
「で? 貴方たちは一体何者かしら? ……ふぅん? 人間が一人に、エキドナのレア種、吸血鬼は……真祖? エンシェントドラゴンに、セイレーン、アラクネ、スキュラは上位種かしら。それに精霊のヌエ、イフリート、フェンリル、ネレイス、レイア、デメテル……あら、あっちの巨漢はザッハーク?」
ルシーの言葉を聞きながら、俺は心の中で大きく頷いていた。
そう……オークエンペラーを撃破し、莫大な経験値を得たことで、俺の愛する眷属たちは一気に凄まじい『大進化』を遂げていたのだ!
【眷属たちの進化状況】
■サトウ ヒロト
種族:人間(変わらず)
■ハク
種族:ホワイトゴーゴン(レア)
→【ホワイトエキドナ(レア)】へ進化!
※通常のエキドナは黒基調で禍々しいが、ハクは次元白蛇からの進化で神々しいレア種! 白を基調にマリンブルーの美しい模様が走り、白蛇の髪はマリンブルーの可憐なロングヘアに戻った。両こめかみには羊の巻き角、下半身は美しい白蛇、背中には天使のような一対の白い翼を生やし、可憐な色白美少女から少し大人びた美貌へと脱皮した!
■スラオ
種族:マジックスライムキング
→【マジックスライムエンペラー】へ進化!
■レイ
種族:ドリアード(精霊種)
→【デメテル(精霊)】へ進化!
※エメラルドグリーンの美しい髪と切れ長の目を持つ人形。薄黄緑色の肌に白い透け感のある布を纏い、鮮やかな蔦と植物が体を覆う。少女の面影を残しつつ、妖艶な大人の女性へと成長を遂げた!
■リザ
種族:エルダードラゴン
→【エンシェントドラゴン】へ進化!
■アイ
種族:魔眼
→【邪眼】へ進化!
■ライゾウ
種族:ヌエ(精霊種)
※変化なし。
■ムラマサ
種族:魔刀
→【神刀】へ進化!
■ハピ
種族:セイレーン
→【セイレーンクイーン】へ進化!
■スパ
種族:アラクネ
→【アラクネクイーン】へ進化!
■ヒナ
種族:吸血鬼(2世代)
→【吸血鬼(真祖)】へ進化!
■コボミ
種族:スキュラ
→【スキュラクイーン】へ進化!
■蛇王リザルト
種族:バジリスク
→【ザッハーク】へ進化!
■契約精霊4体(イフリート、フェンリル、ネレイス、レイア)
※変化なし。
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息を呑むような仲間たちの激変に胸を躍らせつつ、俺はルシーの問いに平然と答えた。
「俺ですか? ご覧の通り、ただの人間ですが」
「あら、貴方はそうなのね……」
ルシーはクスクスと笑うと、俺の隣に立つ巨大な男へと視線を移した。
「そっちのザッハーク……って、まさか蛇王かしら? 魔力の質が完全に蛇王のそれだわ」
「クッカッカ! いかにも、儂が蛇王リザルトだ。ルシー、久しいな」
豪快に笑った蛇王の姿は、以前の『バジリスク』から人間型の【ザッハーク】へと変貌を遂げていた。
身長は実に3メートル。全身の肌は深緑色の龍の鱗に覆われ、太く長い尾が地面を叩く。がっしりとした肉体には人間と同じ二本の手足、5本の指には鋭いドラゴンの爪。そして最大の特徴は──両肩から生えた、赤く光る目を持つ二匹の黒蛇だ。口を開けるたびに鋭い毒牙が覗く。燃えるような赤い長髪をなびかせた姿は、まさに怪物の中の王であった。
ルシーは驚いたように細い眉を上げた。
「あら……いつの間にそんな姿へ進化したのかしら?」
ザッハーク(蛇王)は太い腕を組み、不敵な笑みを浮かべた。
「ハッ、たった今さ! 君の不甲斐ない部下を、みんなで叩き潰したばかりでな!」
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