第49話 【5万の軍勢迫る!】 眷属化されたオーク集落と、猫人・狼人・猿人を傘下に収めし怒濤の絶対防御陣形!!
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いつもの城のリビングにて。
俺はふかふかの3人掛けレザーソファーの真ん中に腰を下ろしていた。
右隣には絶世の美女へ人化したハクがぴったりと寄り添い、左隣には可憐な人化姿のレイが甘えるように身体を預けている。
ふと足元を見れば、30センチほどの愛らしいサイズに縮んだ鵺のライゾウが、クッションの上でゴロゴロと転がっていた。
ヌエは本来、狒々(ひひ)の顔、狸の胴体、虎の手足、蛇の尻尾を持つ伝説の魔獣だ。だが、この30センチサイズになると、どこからどう見ても極上の高級ぬいぐるみにしか見えない。
すっかりヒナのモフモフ癒やし要員として定着しており、ヒナの膝の上で丸くなっていることも多い。
向かって右側の一人掛けソファーにはアリアが上品に腰掛け、左側の一人掛けソファーにはヒナが座って書類に目を通している。
俺の背後には、人化状態のリザがまるで最強のボディガードのごとく静かに佇んでいた。姿は見えないが、影の中にはスパとコボミが控え、呼べば一瞬で出現する体制だ。足元ではマジックスライムキングのスラオが、ポヨポヨと気持ちよさそうに揺れている。
「ヒロト様、温かい珈琲が入りましたわ」
アリアが淹れてくれた淹れたての珈琲が、テーブルの上の美しい陶器カップから芳醇な香りを漂わせる。
珈琲豆は我がダンジョン農場産の至高の逸品で、カップはアキート商会で厳選して買い求めた代物だ。そのうち食器や家具なんかも、全部我が国の特産品として自前で製造してみたいものだな。
珈琲を一口含み、俺はクッションで転がるライゾウに問いかけた。
「ライゾウ、崩壊したエルフの集落に取り残された精霊たちって、今どうなっていると思う?」
ライゾウは仰向けのままニャンと短い声を漏らしてから答えた。
「精霊の腕輪に封印されたまま放置されているか、戦火で腕輪が壊れていれば、行き場を失って周辺の森をウロウロ彷徨っているかでしょうな」
「よし……フェンリルとイフリート、それにコボミと一緒に、オーク大軍勢に見つからないよう潜入してくれ。精霊たちの保護と、精霊の腕輪の回収をお願いできるか?」
「承知いたしました。精霊の救出、このライゾウにお任せあれ!」
ライゾウは跳ね起きると、影から現れたコボミをその背に走らせ、そのまま精霊の泉へと勢いよく飛び出していった。
◇
間もなく、南東部へ出撃していたオク1から念話で朗報が入った。
南東エリアに点在していたすべての野良オーク集落が我が国の傘下に下り、無事にオク1の眷属となったという。
「……ん? オク1のやつ、拒否した集落は一つもなかったのか?」
俺が疑問を呟くと、俺の影からスパがスッと妖艶に姿を現し、クスッと微笑んだ。
「ふふ、実は……明確に拒否しようとした強固な集落につきましては、オク1様が力づくで物理的にねじ伏せ、無理やり眷族化させておりましたわ」
「あらー……やっぱりそうなっちゃうか」
やっぱりスパに隠し事はできないな。それにしてもオク1、なかなか強引な手を使ったらしい。
「ですがヒロト様、お許しになってあげてくださいませ。オク1様は5万のオーク大軍勢から同胞たちの命を守るため、必死だったのでございます」
「ああ、分かっているさ。結果的に全員を救出できるんだ、文句はないよ」
こうして確保したオーク集落をはじめ、各重要拠点の防衛策を急速に固めていく。
ダークエルフの集落は完全にダンジョン領域へ組み込み、防衛体制は完璧。
蛇王様の湿原については、攻めてこられた瞬間に即座にダンジョン化できるよう、集落の直前まで地下トンネルを延伸させた。
一方、オーク5万の侵入経路となった北のトロル集落は、既にほぼ壊滅状態だった。
だが、オーク軍の残虐な蹂躙から逃れ、物陰に隠れていた生存者のトロルたちを多数保護することに成功した。オーク軍との全面戦争が終わったら、真っ先に復興支援をしてやるとしよう。
小人と獣人の本隊集落については、俺たちの警告に対しても「ハッ、人間のハラガケが何を言っておるか」と聞く耳を持たなかったため、ひとまず放置することにした。危機感がなさすぎる連中を無理に助ける義理もない。
ただし、獣人勢力の中でも危機察知能力の高い一部の種族──ケットシー、ウェアウルフ、猿人の集落は、エルフの集落に近く危機感が非常に高かったため、自ら我が国への助けを求めて下ってきた。
ケットシーは、見た目は愛くるしい猫そのものだ。黒猫、白猫、トラ猫、ブチ猫、三毛猫などバリエーション豊かで、サイズも普通の猫と同等。しかし二本足で立ち、人語を滑らかに話し、器用な手で武器や道具を使いこなす。
ウェアウルフはいわゆる人狼だ。人の姿、狼の姿、そしてその中間の二足歩行の狼人姿という三つの形態を自在に変えることができる。素早さと腕力は人間を遥かに凌駕し、毛色も黒や銀、茶褐色など実に多彩だ。
猿人は華奢なタイプではなく、ガッシリとした頑丈な体躯を誇る。体長は140センチほどだが、全身が濃い茶褐色の体毛に覆われ、強靭な顎と分厚い側頭筋、太い頬骨を持つ力持ちの種族だ。
「よし、我が傘下に入ったケットシー、ウェアウルフ、猿人の集落も速やかにダンジョン化完了だ! これで防衛準備は完璧だな!」
ふと思ったのだが、ケットシーやウェアウルフ、猿人というのは、厳密には世間で言われる『ケモ耳モフモフの獣人』のカテゴリーとは少し違う気がする。
いわゆる人間ベースの身体に動物の耳と尻尾が生えた萌え要素満載の獣人も、もちろんこの世界には多数存在するのだ。というか、そっちのタイプの方が圧倒的に大半を占めている。
ちなみに本家の獣人たちは独自の大帝国を建国しており、その頂点に立つ国王はライオンの獣人らしい。
「ヒロト様、お茶のおかわりはいかがですか?」
「ああ、ありがとうアリア」
冷めない珈琲を味わいながら、俺は目を細めた。
5万のオーク大軍勢は、着々とガリア樹海を侵食している。だが、我が陣営は蛇王軍、ダークエルフ軍、そして新しく加わった各種族をダンジョンの絶対防壁の中に完全隔離し、隙のない要塞網を完成させた。
傲慢なエルフを食い散らかし、調子に乗っているオークエンペラーよ。
我が絶対不可侵の迷宮に足を踏み入れた瞬間が、お前たちの命日だぞ!
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