第48話 【衝撃】敵は5万のオーク大軍勢! 結界崩壊の危機と、電撃参戦した蛇王&女王との最強連合国誕生!!
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「ヒロト様! 大変です! およそ5万という途方もない数のオークの大軍勢が出現し、エルフの集落へと怒涛の勢いで進軍しています!」
城の作戦室に飛び込んできたスパの報告に、俺は思わず耳を疑った。
「えっ……!? 5万!? 一体どこから湧いて出たんだ!?」
「エルフの集落の真北にある『トロルの集落』の方角から侵入してきました!」
「トロルの集落か……南東にいるオークの群れとは完全に別ルートだな」
あの北のトロル集落周辺は完全ノーチェックだった。魔族の国から古龍の鎮座する連峰を超えて強行突破してきたのか、あるいは俺たちの知らない裏の抜け道が存在するのか。
「スパ、すぐに小蜘蛛部隊をトロルの集落方面へ飛ばし、オーク軍の行軍ルートと補給線を洗ってくれ」
「承知いたしました!」
「うーむ、5万はあまりにも多すぎるな……。うちの部隊の出撃はひとまず保留だ。いつでも全軍突撃できる態勢だけ整えて、高みの見物……いや、状況を注視しよう」
さすがに5万の力押しはヤバすぎる。俺が警戒を強めていると、スパが目を開けて呟いた。
「ヒロト様、オーク軍が結界の基盤となる『魔道具』の破壊を開始いたしました! エルフの防衛軍と激しい交戦状態に入っています。これより、現地の小蜘蛛から送られてくる映像と音声を念話で共有いたします!」
視界に現地の臨場感あふれる光景が立体的に展開された。
エルフの射手たちから容赦ない矢の雨と爆炎の精霊魔法が乱れ飛ぶ。だが、魔道具を護るオークの重装歩兵どもは傷つきながらも一歩も退かず、頑丈な魔道具に殴りかかっている。
その時、オークの軍列が割れ、一際巨大な異形のオークがぬっと進み出た。
全身に刻まれた無数の壮絶な古傷、圧迫感あふれる凶悪な面構え──。
(……間違いない、『オークキング』だ!)
エルフたちの放つ矢も、絶大なる精霊魔法の直撃も、その分厚い皮膚と魔力障壁の前に弾かれ、かすり傷一つ与えられない。オークキングは凶悪な大剣を軽々と高々と振りかざすと、一閃! 強固な結界魔道具を一刀両断にして粉砕した!
直後、視界の映像が別のポイントへと切り替わる。
スパは数千匹もの小蜘蛛からリアルタイムで送られてくる膨大な情報量を瞬時に精査し、最も重要な戦況映像だけを俺の脳内へ流してくれているのだ。まさに生体スーパーコンピューターである。
別の映像では、2頭目のオークキングが巨大な戦斧で魔道具を叩き割り、さらに別の場所では3頭目のオークキングが鋼鉄の拳で魔道具を粉々に打ち砕いていた。
(……おいおい、結界魔道具は全部で8箇所だぞ!? それを分担して破っているということは、オークキングレベルが最低でも8頭はいるってことか!? だとしたら、奴らを束ねる総大将は──)
瞬く間に8箇所の魔道具が全滅し、エルフの誇る絶対不可侵の結界が「パリンッ!」と音を立てて霧散した。
雪崩れ込む5万のオーク軍!
その中央に、周囲のオークキングよりもさらに二回り以上巨大な、体長3メートルを超える巨躯の魔人が降り立った。
全身を黒鉄の重厚な鎧で包み、顔面は凄まじい憤怒の表情を象った鉄仮面で覆われている。仮面の両脇からは天を突く2本の凶悪な角。ただそこに立っているだけで、周囲の空間が歪むほどの禍々しい威圧感が渦巻いていた。
(間違いない……『オークエンペラー』だ!!)
直後、腹の底に響くような重低音の怒号が戦場全体に響き渡った。
『女は生かして捕縛しろ! 男は全員ブチ殺せ! 蹂躙と歓喜の時間だァァァッ!!』
『ひいいいっ! 結界が破られたあぁぁっ!』
『助けてくれぇぇっ!』
パニックに陥ったエルフたちが悲鳴を上げて逃げ惑う。
そこへ、一人の初老のエルフの幹部が果敢に立ち塞がった。
『オークごとき不浄の魔物が、我ら高貴なエルフの聖域を踏み荒らして無事で済むと思うなよ!』
エルフの召喚した極大の豪炎がオークエンペラーを飲み込む!
だが──オークエンペラーはまるで散歩でもしているかのように平然と炎を割って現れると、面倒くさそうに巨大な大剣を横一文字に振るった。
蝿でも払うかのような適当な一撃で、初老のエルフは上半身と下半身が泣き別れとなって爆散した。
『ダメだ! 敵うわけがない! 東の荒野を抜けて、精霊の森まで逃げるぞ!』
『いや、北西の妖精の集落へ逃げ延びるんだ!』
エルフたちは完全に戦意を喪失し、東と北西の二手に分かれて蜘蛛の子を散らすように逃走を開始した。
……勝負あったな。エルフの里は完全に陥落した。
(魔族がこのガリア樹海に大規模侵攻してきた狙いは、戦力の増強だ。眷属を増やし、実戦の経験値で手下のレベルを底上げする。そして完成した超大軍勢で人間の国へ侵攻するつもりだ……!)
エルフの集落を攻略したオーク軍は、レベルアップと『苗床』の確保を完了した。
俺が敵の将なら、次に狙うのは……南東に存在する「野良オークの集落」だ。同じ種族を取り込んで眷属化すれば、一気に戦力は跳ね上がる。5万でも手に負えないのに、これ以上増えられたら堪ったものではない!
「オク1! ドラゴンに乗って南東のオーク集落群を大急ぎで巡り、全員俺の眷属にしてこい! できる限り穏便に説得して仲間に引き入れたいところだが、時間がない。……明確に反対し、敵対する集落があれば……容赦なく殲滅しろ!」
フォレストリザードから『ドラゴン』へと超進化を果たした個体が何匹もいる。空を使えば一瞬だ。
(オーク集落の次は、きっと周辺の種族を片っ端から平らげながら更なる戦力強化を図るはずだ。……良し、本格的な【籠城戦】の準備を整えるぞ!)
この圧倒的な戦力差で野戦を挑むのは愚の骨頂だ。
本当にヒナを仲間に引き入れられて良かった。ダンジョン機能こそ、歴史上最強の籠城要塞なのだ。大軍勢で一度に攻め込むことはできず、兵糧攻めも一切効かない。罠は作り放題で、何年でも戦い続けられる!
「ヒナ! オク1が眷属化したオーク集落を、片っ端からダンジョン領域に組み込んでくれ! 敵が攻めてきたら全員地下へ避難させる。地下の洞窟通路は縦横2メートル以下に絞り込め! オークキングやオークエンペラーが物理的に進入できない狭さにするんだ。すれ違いすら困難な一本道の先を、T字路、Y字路、クロス路に設定して、侵入してきた敵を左右や前後から集中砲火で迎撃するぞ! 他の眷属の集落も同じ仕様に改造だ。それと、この本拠地の城も丸ごと地下ダンジョン内へ移設する!」
「了解だよヒロト! 絶対に誰も通さないハイパー迷宮にしてあげる!」
5万の超大軍勢には、周辺のどの弱小種族も単独では太刀打ちできないだろう。
蛇王様とダークエルフには急ぎ対策を協議し、他の種族にも一応注意喚起だけはしておこう。
(グラビス! ドラゴンに乗って獣人と小人の集落に急行し、オーク軍の侵略とエルフ崩壊の事実を伝えてこい! 次に襲われるのはお前たちだと教え、『俺の国の傘下に入ればダンジョンで守る』とだけ告げろ。声をかけるだけでいい。傘下に加わらない種族には我が国の情報は一切開示するな。拒絶する奴らは放置だ)
◇
それから間もなく、スパから念話が入った。
「ヒロト様、蛇王軍ならびにダークエルフ軍が当拠点に到着いたしました!」
「代表者の方々をダンジョン内の応接間へ案内してくれ。兵士の皆さんはダンジョンの大規模休憩所でゆっくり休んでもらおう」
「かしこまりました」
応接間で待機していると、重厚な扉が開いた。
「婿殿ッ! 大変なことになっておるな!」
「!? 蛇王様!?」
なんと、部下ではなく蛇王本人が人化の姿で直接やってきたのだ!
さらにその隣には、息をのむほど妖艶な美女が立っていた。
「ヒロト王、初めまして。私はダークエルフの女王、グレイアと申します」
艶やかな漆黒の長い髪に、引き込まれそうな黒い瞳。浅黒い健康的な肌に、長身でグラマラスなモデル体型。黒とグレーの絢爛なドレス風甲冑を纏った、最高峰の美貌を誇る女王様だ。
「お二人とも、お忙しい中わざわざ足を運んでいただきありがとうございます!」
俺はすぐさま、小蜘蛛が捉えたオーク軍5万の現状と、今後の戦略を細かく説明した。
蛇王もグレイア女王も、既にオーク軍の不穏な動きは察知していたようだ。
当面は無駄な損害を避けるためにダンジョンへ籠城し、敵の情報を集めてから一撃必殺の反撃に出るという俺の提案に、二人は即座に深く頷いた。
聞けば、元々この二人は昔からの気心の知れた大親友であり、日常的に密な情報交換を行っていたらしい。前回のゴブリン戦でダークエルフが快く1000の兵を出してくれたのも、裏で蛇王様と話がついていたからだったのだ。
すると突然、蛇王がニヤリと不敵で凶暴な笑みを浮かべた。
「婿殿! 儂もこの千載一遇の機会に、婿殿の『眷属』になると決めたぞ!」
「ええっ!? ほ、本当ですか!? 蛇王様の領地の運営はどうされるのですか!?」
「本当だとも! 我が国ごと婿殿の傘下に入る! 領地の運営など長女にすべて丸投げすれば何の問題もない! 儂は前線で暴れまわるぞ! 儂も婿殿のチートな力で爆速レベルアップし、王種へと超進化したいのだ! そして将来……あの気取りくさった『竜王』の首を叩き落とす!!」
ガハハハと爆笑する蛇王様。
うはぁ……この人、根っからのド派手な戦闘狂だったのか……!
グレイア女王もクスッと艶やかに微笑み、俺に視線を送ってくる。
「ふふ、私もヒロト王の眷属になりたいくらいだわ〜。まあ、それが無理でも国ごと喜んで傘下に入らせてもらうわね? 自慢のダンジョンで、私たちを優しく守ってちょうだい?」
「もちろんです!」
……なんということだ。戦乱の混乱に乗じる形にはなったが、一気に二つの大国の領地と勢力が我が国に統合されてしまった!
さて……巨大化し続ける我が『新国家』の初陣だ。
押し寄せる5万のオーク大軍勢を、どうやって絶望の底へ叩き落してやろうかな!
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