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魔物使いの異世界大陸平定記〜神々や大悪魔すら配下!? 規格外のテイム能力で異世界の理をぶち壊し、気づけば大陸全土を制覇していた〜  作者: ボルトコボルト
第一章 深淵の樹海

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第423話 【窮地のヴァルキリーと勇者たち!】牙を剥く『竜生九子』の圧倒的絶望!戦況を覆す樹海帝国最強幹部陣の降臨!

 全開の神気を放つ太古の神獣『竜生九子』の猛威は、戦場全体を容赦なく呑み込みつつあった。


 同じく元有翼人であるヒルドは、背中の白い翼を力強く羽ばたかせ、赤々とした炎を全身から噴き上げる獅子の形をした龍・狻猊(さんげい)へ猛然と肉薄する。両手から解き放った紫電の雷撃を浴びせ、間髪入れずに光を纏わせた魔槍を突き刺した。


 しかし、狻猊(さんげい)は攻撃を受ける直前、その巨体をゆらりと実体のない純粋な激炎へと変化させた。


 雷撃も魔槍の繰り出す鋭い一撃も、まるで幻影を穿つかのように虚しく空間を擦り抜けるだけ。それどころか、攻撃をかわした狻猊(さんげい)が邪悪に口元を歪めた瞬間、巨大な炎の渦が爆発的に広がり、ヒルドの身体を容赦なく呑み込んで燃え上がらせる。


「くっ……あぁぁぁっ!?」


 業火に焼かれ、悲鳴を上げながら後方へ吹き飛ぶヒルド。


 一方、元人魚であるスコグルは、両手から極大の水撃や渦巻く水流等の強力な水魔法を叩きつけ、巨大な両生類の龍・蚣蝮(はか)を激しく攻撃していた。だが、生粋の水を司る属性を持つ蚣蝮(はか)に対し、水魔法は一切のダメージを与えることができない。


 蚣蝮(はか)はスコグルの放った濁流を優然と泳ぎ渡り、超高速度で眼前へと肉迫。その顎をガバッと開き、凄まじい圧力を秘めた巨大な牙で噛み付いてきた。


 スコグルは寸前で身体を捻り、その凶悪な牙を辛うじて躱す。しかし、追撃としてしなった蚣蝮(はか)の巨大で強靭な尻尾が、逃げ場を失ったスコグルの側腹を豪快に撥ね飛ばした。


 ズドォォンッ!


「がはっ……!?」


 痛烈な衝撃音が響き、スコグルは荒野の地面を何重にもバウンドしながら転がっていく。


 元獣人のフリストもまた、絶望的な近接格闘戦を強いられていた。野生の爪と尖り切った牙を剥き出しにし、虎の形態をした獰猛な龍・狻猊(さんげい)に負けじと、同様に虎の形をした凶暴な龍・狴犴(へいかん)へ激しく攻撃を仕掛ける。


 だが、地上の捕食者としてのスペック、そして牙と爪の次元があまりにも違っていた。


 狴犴(へいかん)の振り下ろした鋭利な爪がフリストの防御を易々と打ち砕き、肩から胸元にかけて深い傷を刻み込む。さらに怒涛の追撃として繰り出された鋭い牙が、フリストの肉体を容赦なく食い千切らんと襲いかかった。


「きゃあぁぁぁっ!」


 鮮血が激しく散り、ヴァルキリーたちは壊滅の危機へと追いやられていく。


 一方、前線の別エリアで激戦を繰り広げている勇者タクミと勇者ハーミアもまた、極めて酷い苦戦を強いられていた。


 勇者タクミは、凶暴極まりない刀身のような爪を持つ四つ足の獣・睚眦(がいさい)の繰り出す爆発的なスピードと圧倒的なパワーに、完全に後手へ回されて圧倒されまくりだ。聖剣の腹でかろうじて連撃を防ぐものの、その凄まじい衝撃波で全身の骨が悲鳴を上げている。


 勇者ハーミアも、黄色い牛の龍である囚牛(しゅうぎゅう)に翻弄され続けていた。囚牛(しゅうぎゅう)がその身から発する悲しくも美しい不気味な旋律——奏でる曲が空間を震わせ、ハーミアの精神を侵食して身の結界を狂わせ、思考と動きを極限まで鈍くさせているのだ。


「体が……重い……!? くっ、聖剣の光が……!」


 ハーミアは大剣を構え直そうとするが、足元が千鳥足のようにふらついてしまう。


 対照的に、他の戦域では一進一退の激闘が続いていた。


 火の鳥フェン、エルダーリッチの勇者ユイ、そしてダークハイエルフのグレイアは、敵の神獣相手に互角の戦いを繰り広げている。


 火の鳥フェンと鳥の龍である嘲風(ちょうふう)は、相変わらず大空を舞台に雲を切り裂く超高速の飛行戦を展開。旋回と急降下を繰り返し、互いの致死的な攻撃を間一髪で避けては反撃の炎と暴風をぶつけ合っていた。


 ユイは巨大な亀の龍である贔屓(ひき)に対し、空中から途切れることなく様々な属性の広域魔法や聖魔法を放ち続ける。だが、贔屓(ひき)はその山のように強固な漆黒の甲羅を閉じることで、あらゆる魔法攻撃を完全に防ぎ切っていた。もっとも、贔屓(ひき)の移動速度は極めて遅いため、空中に漂うユイにその攻撃が届くこともない。


 グレイアは鯱の形態をした龍・螭吻(ちふん)に向け、伸縮自在の闇の触手を無数に伸ばして突き刺そうと試みる。だが、螭吻(ちふん)が瞬時に展開する巨大な激流の水壁がそれをことごとく拒絶。さらに間髪入れずに繰り出される螭吻(ちふん)の強力な高圧水魔法を、グレイアは影転移を駆使して間一髪で躱し続けていた。


 俺は神眼アイのスキル『鳥瞰』を研ぎ澄まし、上空から戦場全体を見渡し終えた。各エリアの戦況把握と状況の確認は完璧だ。


 風伯と戦うライゾウ、雨師と戦うアンナ、そしてユイやグレイア、フェンはそれぞれ持ちこたえている。だが、押されているポイントは明確だ。


 勇者タクミと勇者ハーミアのところに一人、そして限界を迎えているヴァルキリーたちのところに三人、強力な応援が必要だな。


「よし……そろそろ『真の主戦力』を投入するとしようか」


 俺は不敵に口元を歪めると、体内から溢れ出る神気を一気に昂ぶらせ、空間を切り裂くようにして樹海帝国屈指の最強眷属である仲間四人を召喚した。


 空間に漆黒と黄金の魔法陣が同時に展開し、圧倒的な圧迫感とともに頼もしすぎる四人の影が地表へと降り立つ。


 召喚したのは、申し分のない最高戦力のメンバーたちだ。


 一人目は、元蛇王バジリスクから進化を果たした悪魔ボティスのリザルド元帥。帝国軍を率いる重鎮であり、戦闘狂の義理の親父だ。こういうビッグマッチに呼ばないと、後で「なぜ儂を外した!」と拗ねられそうだからな。


 二人目は、元死神の領域から進化を遂げた堕天使サリエルのデステル伯爵。不気味な黒翼と神聖にして禍々しいオーラを漂わせている。


 三人目は、かつて闇の王と恐れられたエルダーリッチから進化した悪魔ビフロンスのデルガ侯爵。圧倒的な魔力を身に纏う智将だ。


 四人目は、元吸血鬼真祖の血筋から激的な変化を遂げた悪魔ベリトのヴァンス伯爵。洗練された身ごなしの中に凄惨な殺気を秘めている。


 風伯や雨師、そして雨師によって召喚された凶絶なる神獣『竜生九子』との過酷な戦い。頼もしい仲間たちが『竜生九子』の特異な能力の前に劣勢に立たされたため、俺は満を持してこの四人の強力な助っ人を召喚したのだ。


 召喚の光が収まるや否や、巨大な両刃斧を担いだ悪魔ボティスのリザルド元帥が、血に飢えた狂暴な笑みを浮かべて豪快に吼えた。


「ハッハッハ! 素晴らしい凄気の戦場ではないか! ヒロト殿、儂の相手は一体どいつだ! あのデカイ牛か、それともあのトカゲか!?」


 俺は苦笑交じりに指をさしながら指示を出す。


「リザルドは、あっちで押し込まれている勇者タクミと勇者ハーミアを助けてやってくれ」


「ふむ、あの若造たちか! 承知した、任せておけ! どきな勇者ども、そのバケモノの首は儂が叩き切る!」


 リザルドは大地を爆破するように蹴りつけ、睚眦(がいさい)囚牛(しゅうぎゅう)の猛攻に晒されていたタクミたちの元へ弾丸のように跳んでいった。


 続けて俺は、背後に控える残りの三人に視線を向ける。


「デステル、デルガ、ヴァンス。お前たち三人は、倒れかけているヴァルキリーたちを頼む。あの怪物どもを徹底的に叩きのめしてやってくれ」


 俺の言葉を受け、堕天使サリエルのデステル伯爵、悪魔ビフロンスのデルガ侯爵、そして悪魔ベリトのヴァンス伯爵は、揃って優雅に一礼してみせた。


「「「御意にございます、ヒロト陛下。あのような蜥蜴の残党ども、一瞬で片付けてご覧に入れましょう」」」


 樹海帝国が誇る最強の悪魔と堕天使たちが、いま絶望の戦場へと一斉に解き放たれた。

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