第415話 【無敵の国家総力戦陣形!】樹海帝国の最強英傑結集!難民大救済と魔界化する南の王国を討つ絶対防衛線!
南の王国からの難民流入、そして最南端から拡大しつつある魑魅魍魎の波。
これらを完全に封じ込め、防衛と救済を完璧に両立させるため、俺は樹海帝国が誇る英傑たちの全軍配置図を頭の中で一気に構築し始めた。
まず、かつてモリー公爵軍を撃滅した戦場跡地の迷宮には、難民対応の指揮を執るダンジョンマスター・魔神パズズのバズがいる。さらにそこには、最強の剣士たるオニバル将軍の率いる精鋭部隊が駐留しており、目と鼻の先には悪魔ベリトたるヴァンスの治める国が存在する。安全保障上の観点からも、この地域は万全であり一切の隙がない。
小国群西部に陣取る防衛戦力は、まさに鉄壁というほかない破格の陣容となった。
ダンジョンマスター・バズ(魔神パズズ)。
ヴァンス伯爵(悪魔ベリト)。
オニバル将軍(悪魔キマリス)。
そのオニバル軍の傘下には、頼もしい配下たちがズラリと顔を揃えている。
副将軍ライゴー(悪魔サブナック)、ライカ(悪魔ヴィネ)。
そして、かつて敵として交戦し、いまや心強い仲間となった勇者タクミと勇者ハーミアの二人。
さらには、巨躯を誇る副将軍オク2(オークエンペラー)、副将軍トロガス(トロルエンペラー)。
一国を数時間で滅ぼせるほどの暴虐な武力が、西部の第一線を完璧に固めている。
「問題は……南の王国中央部から真っ直ぐ侵撃してくるであろう、オーダン侯爵軍の旧進軍ルートだな」
俺は顎に手を当てて深く思案する。
このルートは、魑魅魍魎の湧き出し口である最南端の龍脈に距離的に最も近い。つまり、敵の本隊や凶悪な化け物どもが真っ先に大挙して押し寄せてくる最激戦区になるはずだ。
「ここには、圧倒的な個の武力と、群がる敵を一網打尽にできる範囲殲滅力を持つメンツをぶつけるか」
俺は即座に指示を飛ばした。
まず抜擢したのは、いまや樹海帝国最強の一角へと登り詰めた精霊代表ライゾウ——雷神トールである。
そして、湧き出る無数の魑魅魍魎という「数」の暴力に対抗するため、闇の軍勢を無限に統べる闇の王、デルガ侯爵(悪魔ビフロンス)。
さらに、天空より飛来し戦場を神聖なる刃で切り裂くヴァルキリーのスクルド、ヒルド、スコグル、フリストたち戦乙女隊。
軍団の主力として組み込んだのは、デルガの信任厚いグレンシー将軍(悪魔エリゴス)率いる大軍団だ。
その配下には、副将軍リリア(悪魔アンドロマリウス)、副将軍リーネット(悪魔リリス)、そして副将軍リガリア(リザードマンエンペラー)といった強力な悪魔と将が名を連ねている。
そ
「よし、これで中央の防衛線は神雷と闇の軍勢によって絶対不可侵の要塞と化したな」
最後に残るは、かつてタキーダ辺境伯軍が進撃してきた大自然南部のルートだ。
そこは元々、ミノタウロスの族長ミロイド(悪魔ハーゲンティ)が南部領主として守っているが、押し寄せる難民の保護と不測の事態に備えるには、流石に戦力不足と言わざるを得ない。確実な増援が必要だ。
ヴァンス、デルガが前線に出たとなれば、樹海帝国の三大貴族で残る最後の重鎮——デステル伯爵(堕天使サリエル)の出番である。
そして何より、戦いと聞けば血を滾らせずにはいられない我が義理の父、究極の戦闘狂・リザルド元帥(悪魔ボティス)。
さらに、空を舞い無数の眷属を操って圧倒的な面制圧力を誇るビー将軍(亜神ペナンガル)を投入する。
大自然南部の布陣は以下の通りだ。
総指揮を執るリザルド元帥(悪魔ボティス)。
デステル伯爵(堕天使サリエル)。
リガント将軍(悪魔ゼパル)。
その傘下に副将軍リガール(悪魔エリゴス)、副将軍ゴブ2(ゴブリンエンペラー)。
空中からの無慈悲な殲滅を担うビー将軍(亜神ペナンガル)。
そして現地の地理を熟知したミノタウロス族長ミロイド(悪魔ハーゲンティ)。
「ふう……こうして並べてみると、本当に恐ろしい布陣だな」
俺は手元にまとめた陣形図を見て、思わず苦笑いを漏らした。
なにしろ、樹海帝国が誇る3大貴族——デルガ侯爵、デステル伯爵、ヴァンス伯爵の全員が出陣。
5大将軍のうち、オニバル将軍、グレンシー将軍、リガント将軍、ビー将軍の4人が前線へ。
さらには2大戦闘狂として恐れられるリザルド元帥と雷神ライゾウまでを前線へ配置したのだ。まさに帝国の社運を賭けた、最大規模の「国家総力戦」である。
ちなみに、今回姿がない最後の5大将軍——コボ2(悪魔ナベリウス)は、帝国内部の警備と治安維持を一手に担う重要任務があるため、敢えて前線には配置せず帝都に留めてある。留守を守る存在も絶対に不可欠だからな。
こうして完璧な迎撃陣形と並行して進められた南の王国からの難民受け入れ作戦は、サクラ、ヒナ、バズの3人が展開したダンジョン機能によって、恐ろしいほどのスピードで成果を上げ始めていた。
3つの巨大なダンジョンを活用することで、地下深くにはまさに「3つの広大な地下国家」とも呼べる壮大なインフラが一瞬にして出来上がったのだ。
と言っても、整ったのはあくまで住居や道路といった建築のハード面だけである。
サクラたちの魔法のようなダンジョン機能によって、地下空間には整然とした街並みと幾つもの広大な都市が完成したものの、そこにはまだ自治を行う為政者もおらず、雑多で混沌とした熱気が満ちていた。
身にまとう服すら汚れ破れ、家財道具も持たず、着の身着のままで命からがら逃げてきた難民たち。
何日も食べる物すら持たず、ただ飢えを凌ぎながら、死の恐怖に怯えて何とかこの地へ辿り着いた人々に、帝国は温かい湯気の立つ豊かな食事と、雨風を完全に防ぐ清潔な住居を即座に提供した。
「まずは、温かい飯と温かいベッドだ。命さえあればやり直せるからな」
居場所と食料を確保され、絶望の淵から生還して心が落ち着いた難民たちには、すぐさま次なるステップとして「仕事」が準備された。
ただ支援を受け続けるだけでは人は腐ってしまう。早く自分の足で立ち、働いて労働力として帝国に貢献してもらうことが、お互いにとって一番の救いになるのだ。
自立の準備が整い、他国や別地域へ行っても良いと判断された人々から順番に、樹海帝国を構成する各属国や開拓地へと順次案内し、分散移住を進めていく。難民キャンプにいつまでも大勢を滞留させておくわけにはいかないからだ。
しかし、帝国側の超絶的な救済スピードを嘲笑うかのように、南から流れてくる難民の数は日々爆発的に膨れ上がっていった。
そして……難民を吐き出し続ける南の王国は、時間が経つごとに見る影もなく凄惨な「魔界」へと変貌を遂げていた。
天を覆うどす黒い魔気。
大地から留まることなく溢れ出す凶暴な魑魅魍魎たちの群れ。
住人を失い、妖怪どもの巣窟となって無残に荒れ果てていく都市群。
絶望が支配する崩壊した南の王国と、無限の包容力で全てを受け入れ迎撃の爪を研ぐ樹海帝国。
大陸の運命をかけた決戦の時は、刻一刻と迫っていた。




