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魔物使いの異世界大陸平定記〜神々や大悪魔すら配下!? 規格外のテイム能力で異世界の理をぶち壊し、気づけば大陸全土を制覇していた〜  作者: ボルトコボルト
第一章 深淵の樹海

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第406話 【冥府の王デルガの死霊覚醒と老将アレオンの進化!】雲使いのアンデット化と悪魔フルカス爆誕生!激震する竜王山!

「電母様! 今です、お逃げくださいッ!」


 忠義に狂う二柱の雲使い達が声を張り上げ、魔法の鞭を狂ったように振り回した。彼らの手から溢れ出た黒い雷雲が渦を巻き、激しい砂嵐の中でも電母の姿を完全に覆い隠していく。


 電母の気配が薄れるのを感じ取った一柱の雲使いは、不気味な悲鳴を上げながら、ライゾウ目掛けて伸縮自在の雲の鞭を怒涛の勢いで繰り出した。


 ドスバキィィンッ!


「ハッ! 誰に口を利いてると思ってやがるッ!」


 ライゾウは全身をプラズマ状の雷霆へと変化させ、空中を不規則に滑空することで鞭の軌道を容易く回避する。


「おのれ、逃がさんッ!」


 手応えを失った雲使いは、逃走する電母の時間を一秒でも稼ぐべく、すぐさま鞭を垂直に振り下ろして天からの追撃を試みた。


 だが——ライゾウが手を掲げるよりも早く、周囲を埋め尽くしていた宝貝『息壌』が意思を持ったように猛然と蠢いた。


 ズバァァァンッ!!


 砂嵐の一部が硬質化し、鋭利で巨大な土の槍へと姿を変え、空中で鞭を構えていた雲使いの胸を容赦なく穿ち貫いた!


「ガハッ……!? 身体が……動か……」


 胸を貫かれ、動きの止まった雲使いへ、雷神の絶大な影が覆いかぶさる。


「主人の庇い合いは美しいがな……俺様の邪魔をした罪は重いぜッ!」


 ライゾウの手に握られた『真っ赤なミョルニル』が、至近距離から雲使いの頭部へ向けて豪快に振り下ろされた!


 ドゴォォォォンッ!!


「ぎゃああああああッ!!」


 落雷を遥かに超える破壊的な衝撃波が爆発し、雲使いの身体は肉塊どころか灰すら残さず完膚なまでに叩き潰された。


 ライゾウは即座に目を凝らし、残るもう一柱の雲使いと電母の気配を探した。しかし、残された最後の雲使いが自らの命と引き換えに膨らませた巨大な雷雲の残骸だけが残されており、電母はすでに龍脈の深部へと逃げ延びた後だった。


「チッ……逃げ足の速い女だぜ」


 ライゾウが舌打ちをしながら、竜人族が撤退を完了した血煙漂う戦場へと着地する。すると、彼のすぐ隣の空間が歪み、邪悪で重厚な漆黒の気配と共に悪魔ビフロンス——デルガ侯爵が姿を現した。


 デルガは周囲の凄惨な光景を見渡し、低く掠れた声で呟く。


「……なるほど。電母に逃げられたか、ライゾウ」


 ライゾウはミョルニルを肩に担ぎ直し、不機嫌そうに鼻を鳴らした。


「うむ。変な手下が数匹いてな、命がけで庇いに入られちまった。あの土壇場での執念は見事だったが、取り逃がしたのは不覚だ」


 いま二人が立つ戦場には、無念の死を遂げた竜人戦士たちの無数の骸と、それを喰らい尽くそうと蠢く凄まじい数の魑魅魍魎たちが立ち込めていた。勝者なき血の海の中、意志を持たぬ妖怪どもが再び蠢き、樹海帝国軍の残光を消し去ろうと不気味な咆哮を上げて進軍を再開する。


「……愚かな死者どもめ。我らの前で数を誇るとはな」


 デルガは両手を広げると、全身から底知れぬ圧倒的な邪気と濃密な悪魔の魔力を解き放った!


 ズゥゥゥゥンッ!!


 戦場全体を押し潰すような凄まじい圧迫感が駆け巡る。進軍していた大量の魑魅魍魎たちは、そのあまりの恐怖と重圧に耐えきれず、次々とその場にひざまずき、地面へ這いつくばって苦悶の声を上げた。


 逃げることすら許されぬ絶望の金縛りの中、デルガは深く禍々しい死霊魔法の呪文を吟唱し始める。


「——冥界に行きし死者の魂たちよ。闇の王たる我が求めに応じ、巡りし因果を断ち切りて、いま一度この世に姿を現せ……ッ!」


 ドガァァァァンッ!!


 戦場の地表全体を覆い尽くすほどの極大の漆黒の魔法陣が浮かび上がり、怪しい紫光を放った。


 次の瞬間、死した者たちが次々とその瞳に不気味な紅蓮の炎を宿し、アンデッドとして立ち上がり始めた!


 無念の死を遂げた竜人たち、屠られた魑魅魍魎、そして——先ほどライゾウによって粉砕されたはずの二柱の雲使いまでもが、元の姿を取り戻しながらアンデッドとして蘇生を果たしたのだ。


 デルガは足元に這い伏す雲使いの亡霊たちを見下ろし、冷徹に口を開く。


「フン……ライゾウの邪魔をしたのは、どうやら低級な亜神の類であったようだな」


 漆黒のアンデッドへと変貌を遂げた雲使い達は、狂信的な眼光を輝かせながら、デルガの前へと深く膝を折った。


「お命じください、我が主……。私の名前はユントアと申します」


「私はユントウ……あなた様に永遠の忠誠を捧げます」


 デルガは顎をしゃくると、冷酷な命令を下した。


「ユントア、ユントウよ。蘇ったアンデッドの軍勢を率い、目の前で蠢く魑魅魍魎どもを骨の一片まで完全に殲滅せよ」


「「御意にございます……! 我らが絶対の主よ!」」


 ユントアとユントウは即座に立ち上がると、黒い雷雲と鞭を構え、無数のアンデッド大軍勢を指揮して逃げ惑う魑魅魍魎の群れへと容赦なく襲いかかり始めた!


 自身の手下が敵を食い荒らしていく光景を確認し、デルガは満足そうに頷いた。


「よし、この戦域はこれで問題あるまい。我らは次の苦戦している戦場へ向かうぞ」


「分かった。これで心置きなく移動できるな」


 ライゾウが頷くと、広域に拡散していた宝貝『息壌』の土粒子が収束し、ライゾウの腰にある布袋へと吸い込まれるように戻っていった。


 ◇


 一方その頃——大自然の北部から救援のために進軍していたアレオン軍もまた、過酷な激戦の渦中にあった。


 アレオン率いる軍勢は、スペクター、レイス、ファントムといった実体を持たないゴースト系のアンデッドたちで構成されている。


 元より物理攻撃を一切受け付けない精神体であるため、開戦直後は圧倒的な優位に立って魑魅魍魎たちを一方的に切り刻んでいた。


 しかし、知能を持つ魑魅魍魎たちも次第に対策を講じ始めた。物理攻撃が効かないと悟るや否や、邪悪な魔力による魔法攻撃へと一斉に切り替え、アレオン軍のアンデッドたちへ着実にダメージを与え始めたのだ。


 個々の戦闘力や武技のレベルではアレオン軍が遥かに凌駕しているものの、龍脈から果てしなく生み出される魑魅魍魎の無尽蔵の数の前に、徐々に押し込まれ、戦況は膠着状態に陥っていた。


 しかも時間が経てば経つほど敵の数は増え続け、アンデッドたちの魔力は削られていく。


「くそっ……! 押し切りたかったが、これほど湧き出てくるとはな。時間が経てば経つほど、こちらがジリ貧になっていくぞ……!」


 戦況の破滅を察知したアレオンは、手にした槍を地面に突き立て、覚悟の叫びを上げた。


「背に腹は代えられん……俺も真の力を解き放ち、進化を果たすッ!!」


 ドガァァァンッ!!


 アレオンの全身から溢れ出た深紅と漆黒の魔力が暴風となって巻き起こる! 繭のような光が弾けたとき、そこに立っていたのは悪魔フルカスへと超進化を果たしたアレオンの威風堂々たる姿であった!


 悪魔フルカス。

 純白の髪と、胸元まで長く伸びた立派な顎髭。全身を頑強で美しい闇の鎧で固め、手に握られた魔槍は圧倒的な魔力を帯びて不気味に煌めいている。そしてその巨躯が跨るのは、青い炎の鬣を揺らめかせる不気味なアンデッドホースであった。


「……ふっ、思えば俺も昔はガラード王国の将軍で、ただの人間だったのだがな。ヒロト陛下に一度殺されてアンデッドとして命を拾われ……まさか、とうとう悪魔にまでなっちまうとは人生分からんものだ」


 自嘲気味に呟くアレオンの顔立ちは人間の頃と変わらないが、伸びた顎髭と全身から漂う悪魔の圧迫感が、百戦錬磨の老将としての風格を何倍にも引き立てていた。


「全軍、俺に続けッ! 敵の波を叩き潰すぞッ!」


 アレオンは愛馬の手綱を引くと、豪快に魔槍を振り回し、旗下に控えるスペクターキングたちと共に魑魅魍魎の大群の真っただ中へと突撃を開始した!


 ドカァァンッ! ズバァァンッ!


 手にした魔槍が一閃するたび、何十匹もの妖怪が貫かれ、豪快に空へと突き飛ばされて散っていく。


 その圧巻の無双ぶりの真横へ、空間を破ってオーク軍団を率いるオク1がド派手に躍り出てきた!


「ガハハハッ! ようアレオン! えらく派手に暴れてるじゃねえか、苦戦してるって聞いて助けに来たぜッ!」

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