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魔物使いの異世界大陸平定記〜神々や大悪魔すら配下!? 規格外のテイム能力で異世界の理をぶち壊し、気づけば大陸全土を制覇していた〜  作者: ボルトコボルト
第一章 深淵の樹海

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第393話 【凶獣の落日と邪神降臨!】必殺の双撃が破る無敵障壁!暴かれた覚醒勇者の大罪と戦神シユウ覚醒の衝撃!

 激闘の渦中、熟練の領域へと達したヴァルキリー・スクルドと悪魔ベリトのヴァンスの目まぐるしい連動攻撃を見つめながら、俺はタイミングを見計らって二人に声をかけた。


「そろそろ互いの息も完璧に合ってきただろ! 一気に決め手の超必殺技を叩き込んでトドメを刺してやれッ!」


 主である俺の指示に、ヴァンスは至高の悪魔らしい凶暴な笑みを浮かべて首肯した。


「なるほど、仰る通りですね。我が眷属たちの無念、今ここで一粒子残さず晴らして差し上げましょう!」


「了解いたしました、ヒロト陛下! 我が新たな力と意地、とくとご覧くださいッ!」


 スクルドもまた気迫をみなぎらせて叫んだ。


 ヴァンスの全身からドロリとした濃密な邪気が噴出し、巨大な悪魔の威圧となって周囲の空気を歪めていく。


 一方のスクルドは手に握る聖槍『ロンギヌス』を天にかかげ、神をも殺す槍身へ凄絶な雷撃の束を収束させて付加していく。青白い火花が爆音と共に弾け飛ぶ。


「行くぞ、スクルドッ!」


「はぁぁぁぁッ!!」


 ヴァンスが悪魔の翼を羽ばたかせて大空へと跳躍し、スクルドの突撃に呼吸を合わせるように短く破壊の呪文を唱え始める。


 スクルドもまた雲を突き抜けるほど高空へと飛翔すると、聖槍の刃先を一直線に真下の『渾沌』の脳天へと向け、超神速の降下を開始した。


 重力と全神力を乗せた弾丸のごとき急降下!


「貫けッ! 『サンダーボルトロンギヌス』ッ!!」


 そして、スクルドの超突撃が『渾沌』の鼻先へ到達したコンマゼロ秒の完全同期のタイミングで、ヴァンスが放った至高の極大魔法が天から地へと叩きつけられた!


「地獄の炎よ、全てを呑み込め……ッ! 『キラーインフェルノ』ッ!!」


 ズドォォォォォンッ!!


 その瞬間、攻撃の直撃を受ける『渾沌』の周囲の空間は、瞬時に透明な薄紫色へと切り替わった。


「なるほどな……ヴァンスの極大魔法の火力を恐れて、魔法無効の障壁を選択したかッ!」


 俺の叫びと同時に、ヴァンスの漆黒の炎は魔法無効障壁に阻まれて虚しく霧散した。


 しかし——それは完全なる詰みであった!


 魔法無効を選んだことにより物理無効を失った『渾沌』の無防備な肉体へ、雷撃を纏ったスクルドの聖槍『ロンギヌス』が何の一言の抵抗も受けず、深々と突き刺さったのだ!


 ドカアァァァンッ!!


「グギャァァァァァァッ!?」


 聖槍から溢れ出した絶大な神気と雷撃が『渾沌』の体内から爆発的に解き放たれる。


 四大凶獣と謳われた巨大な肉体は、まるで薄皮がペロリと剥がれ落ちるかのように凄まじい勢いで内部から切り裂かれ、その傷口から深淵の暗黒が溢れ出していった。


 俺の脳内に、レベルアップと圧倒的な経験値獲得を告げるシステムメッセージが連続で響き渡る。


 やがて力尽きた『渾沌』の巨大な皮が、まるで脱ぎ捨てられた衣のように力なく地表へとへたり込んで広立った。


 だが——異変はそこで終わらなかった。


 打ち倒された『渾沌』の内部から溢れ出た深淵の闇が、広がる皮の上に不気味に広がり、見たこともない恐ろしい怪異の魔法陣のような模様を描き始めたのだ。


 ゴゴゴゴゴゴ……ッ!!


 直後、漆黒の光がドーム状に爆発的な勢いで膨れ上がり、空間を震わせながら激しく弾け飛んだ!


 戦場一帯を包み込む、今まで体感したこともないほどの圧倒的で大いなる闇。


 その渦巻く暗黒の真ん中から、何者かの恐ろしい気配が解き放たれ、光を越えるような速度で上空高くへとあっという間に飛び去り、雲の彼方へと消え去っていった。


 何かが……生まれて飛び去ったのだ。


 静寂が訪れた戦場。『渾沌』の残骸たる皮の上に、ポツンと異形のひとつの人影が残されていた。


「ふははは……我は『風伯』、名は『飛廉』と申す」


 自らを『風伯・飛廉』と名乗ったその者は、まさに異形の怪異であった。


 胴体は鹿のように長く美しい豹柄の毛皮に覆われ、頭部は色彩豊かな孔雀そのもの。その頭頂部には奇妙で鋭利な二本の角が天を突き、後ろには長い蛇の尻尾が気味悪く蠢いている。


 身には黒い道士の服である道袍を纏い、頭には伝統的な道士の帽子と古代の冠巾を頂いていた。そして左手にはカラカラと回る小さな車輪、右手には優雅に広げられた扇を携えている。


 風伯は高らかに笑い声を上げながら、両腕を広げた。


「我らの永き悲願は、今ここに果たされた! この『渾沌』が死することによって最後の大切なピースが埋まり……『渾沌』の体内に蓄えられていた百万人もの魂を無事に貰い受けることで、我らが神はついにこの世へと完全降臨されたのだ! くくく……礼を言うぞ、そこに転がる愚かな勇者ハーミアよ。この瞬間より、我らが神の軍勢がこの大陸の全てを蹂躙し、席巻する。ここからは我が神の大陸となるのだッ!」


 へたり込んでいた勇者ハーミアが、顔を蒼白にさせながら震える声で叫び返した。


「ど……どういうことだッ!? 百万の魂だと……!? 一体何を言っている!?」


 風伯は孔雀の顔を歪め、嘲笑うかのように扇をパタパタと仰いだ。


「ククク……貴様が一人前の『勇者』として覚醒するために虐殺して回った、あの南の王国で平和に暮らしていた百万人の善良なる民の魂……その膨大な犠牲によって、我が神である古の最強最大の戦神『蚩尤しゆう』様が甦られたのだよ!」


「ぜ……善良なる民だと……!? 嘘だ……嘘だぁぁぁッ! あ、あの民たちは魔王の先導者であり、滅ぼすべき邪悪の根源だとオーダン侯爵は言っていたではないかぁぁぁッ!?」


 ハーミアの悲鳴のような叫びを聞いて、俺は思わず絶句した。


(し、蚩尤だってぇぇぇッ!? おいおい嘘だろ、四凶の次はよりによって古代中国神話最強の戦神『蚩尤』が復活したっていうのかよ……!?)


 俺が内心で激しく吐露する横で、風伯は心底おかしそうに扇で口元を覆った。


「くくく……『渾沌』の手先として踊らされていた愚鈍なオーダンが、貴様を唆すためにその様な嘘を吹き込んでいたのだよ。だが悲しいかな、どれほど血を流そうとただの人間が魔王になど成れるはずもないのだ」


「え……?」


「貴様は『渾沌』とオーダンにまんまと騙され、正義の使者気取りで無辜の民を百万人も虐殺したのだよ! ククク……どうだ? 絶望の味は美味いか? 己の掲げた『正義』の刃で、何の罪もない無抵抗の民たちを殺して回っていたのだからな。……どうだハーミア、このまま哀れに絶望し、美しく闇へと堕ちてしまえば楽になれるぞ? さすれば我が神の配下として仲間に加えてやってもよいが?」


「う、嘘だ……嘘だ嘘だ嘘だぁぁぁぁぁぁッ!! うるさぁぁぁぁぁぁいッ!!」


 自分の行ってきた『正義』が、ただの無差別な殺戮であったという残酷すぎる真実を突きつけられたハーミアは、頭を抱えて地べたに伏し、発狂したように泣き崩れた。自業自得とはいえ、哀れなまでに利用された哀れな道化の末路であった。


 ハーミアから興味を失った風伯は、静かに視線を俺へと向けた。


「さて……樹海帝国皇帝・ヒロトよ。我は貴様らへ正式な宣戦布告を果たすため、敢えてここに留まった。今この瞬間より、我が神『蚩尤』様がこの大陸の全てを貰い受ける。首を洗って待っているが良い」


 そう言い放つと、風伯は黒い道砲の裾を翻し、くるりとその場で一回転した。


 その瞬間——!


 ゴォォォォォォッ!!


 空間を押し潰すような凄まじい暴風が、風伯を中心に爆発的に吹き荒れた!


 風は瞬く間に暴風雨のような激しさを増し、周囲の大地を削り取り、巨大な草木や岩石すらも軽々と空中へ吹き飛ばしていく。


 俺、悪魔ベリトのヴァンス、聖槍を抱くスクルド、オニバル将軍、そして魔神バズの面々は、押し寄せる風圧の中で踏ん張り、静かに立ち尽くしていた。


 その足元で、完全に精神を崩壊させて泣き崩れ続ける勇者ハーミア。


 長きにわたるオーダン侯爵軍との死闘、そして突如現れた凶獣『渾沌』を見事に撃破した俺たちの前に、新たに立ちはだかった謎の怪異・風伯。


 戦神『蚩尤』の完全復活という最悪の宣戦布告を残し、風伯は暴風と共にいずこかへと姿を消すのだった。

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