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魔物使いの異世界大陸平定記〜神々や大悪魔すら配下!? 規格外のテイム能力で異世界の理をぶち壊し、気づけば大陸全土を制覇していた〜  作者: ボルトコボルト
第一章 深淵の樹海

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第385話 【偽りの聖戦と剣聖の出撃!】覚醒勇者の弱点を見抜け!本陣を圧迫するハーミアと戦場へ集う四大ヴァルキリー!

「シレオマ、急な召喚で悪いが、勇者という存在の仕様について教えてくれ」


 俺は空中を優雅に舞いながら圧倒的な聖光を撒き散らすハーミアを注視したまま、隣に立つシレオマへ問いかけた。


「確かお前は、かつてシルミル教国で召喚された勇者の魔王討伐旅に同行していたはずだ。そして……魔王を倒した直後、用済みとなった勇者を暗殺して止めを刺す密命を帯びていたんだったな?」


 シレオマは一瞬だけ遠い目をして過去の凄惨な記憶を反芻すると、静かに頭を下げて言った。


「はい、ヒロト陛下。仰る通りです。教国の教義と支配を守るため、魔王を討ち果たした直後の勇者を背後から葬り去るのが、聖騎士であった私の極秘任務でした」


「では勇者をどうやって殺す予定だったんだ? 当然、魔王を討ち倒した時点の勇者は完全に『覚醒』していたはずだろう?」


「ええ、まさに覚醒した勇者を暗殺する前提の計画でした。……勇者という存在は、魔王や魔族、アンデッドといった闇系の種族や職業、人種に対して絶大な特効を発揮します。さらに覚醒状態に至ると、闇属性のあらゆる攻撃や状態異常に対して凄まじい耐性を得るため、生半可な闇の力では傷一つ負わせることすらできません。しかし——」


 シレオマは鋭い光を宿した瞳でハーミアを凝視しながら、秘密の核心を語り継いだ。


「しかし、聖属性の攻撃や神の権能による力に対しては、勇者といえども特別な耐性を持っておらず、普通にダメージが通るのです。だからこそ、聖属性の極意を修めた聖騎士の私が止めを刺す手はずとなっておりました。……とは申しましても、正面から戦えば覚醒勇者には到底及びません。そのため、魔王との死闘によって限界まで疲弊し、消耗しきった瞬間を狙って背後から一撃で首を落とす予定だったのです」


「なるほどな……。となると、今の覚醒したばかりでピンピンしているハーミアを、今のシレオマ一人で殺すのは無理というわけか。まだ一切疲弊していない状態だからな」


 俺は顎に手を当てて思考を巡らせる。


「……そうすると、闇の魔族属性を持つ者との相性はどうなんだ? 悪魔キマリスのオニバルよりは、魔神パズズのバズの方がまだ相性が良いと思うか?」


 するとシレオマは、少し困惑したように苦笑いを浮かべながら首を横に振った。


「いえ……悪魔という存在は、種族の格で言えば魔王すら遥かに凌駕する至高の存在です。勇者の闇特効をもってしても、その圧倒的な絶対的絶対能力の差を埋められるとは到底思えません。悪魔キマリスたるオニバル将軍が遅れをとるなど、私にはどう考えてもイメージできませんね。……魔神パズズのバズ様に関しては、未知数な部分も多いですが」


「そうだよな。俺もオニバルが負ける姿なんて口が裂けても想像できん。良し、それなら取り敢えず二人にハーミアの元へ向かってもらうとしよう。今のスクルドたちだけでは少々荷が重そうだ」


 俺は即座に、前線で敵兵を散らしているオニバルとバズの二人へ念話を飛ばした。


(オニバル、バズ。聞こえるか? オーダン軍の本陣周辺に、覚醒勇者へと進化したハーミアが出現して立ちふさがっている。ヴァルキリー部隊が苦戦を強いられているから、お前たち二人であの勇者を受け持ってくれ。その間に、ヴァルキリーたちには本命の敵将オーダンを討ち取らせるように伝えるんだ)


 瞬時に、力強い二つの声が脳内に返ってくる。


((承知いたしました、ヒロト陛下!))


 すると、オニバルが念話越しに少し申し訳なさそうな、含みのある声で尋ねてきた。


(……ヒロト師匠。一つ確認させていただきたいのですが、『勇者ハーミアを必ず殺せ』とおっしゃらなかったのは、敢えての配慮という認識で宜しかったでしょうか?)


 オニバルの鋭い洞察力に俺は苦笑しつつ、念話を返す。


(ああ、察しの通りだ。だが、無理をしてまで生かさず助ける必要はないぞ。勿論、お前たちが危ない目にあうくらいなら容赦なく殺して構わない。ただ、あの正義馬鹿はオダーンの狡猾な口車にまんまと騙されているだけに見えたからな)


(承知いたしました。深謀遠慮に感謝いたします、善処して参ります)


 念話を終えた俺は、再び遠方のオーダン軍本陣の空へと視線を向けた。


 現在、オーダン軍本陣の空域では、勇者へと覚醒したハーミアが縦横無尽に暴れまわり、樹海帝国軍の追撃を一手に引き受けて翻弄していた。


 ヴァルキリーのスクルドも必死に槍を振るって善戦してはいるが、辛うじて攻撃を受け流し、持ち体勢を維持するのが精一杯という状況だ。……いや、よく観察してみると、ハーミアの方もかつて同じ陣営で戦ったスクルドに対し、手加減をして死なせない程度に寸止めで攻撃を散らしているように見受けられる。


 そして、クログルの判断によって、死霊の天敵である聖光を撒き散らすハーミアの周辺から、アンデッド軍団は速やかに後方へと撤退を完了させていた。


「くっ……! まさかハーミアにここまで歯が立たないとは……! あと少しであの人の仇であるオーダンにこの手が届くと思ったのに……ッ!」


 スクルドは悔しさに唇を噛み締め、猛烈な雷撃を刃に宿して突撃するが、ハーミアの展開する聖なる障壁にあっさりと弾き返されてしまう。さらに、隠し持つ古代兵器の小銃を引き抜いて必殺の連射を浴びせるも、弾丸は彼女の纏う聖光の波動によって到達する前に粉砕されてしまった。


 あまりの絶望的な戦力差にスクルドが息を荒げていると、上空から三つの煌めく光が降り立ち、彼女の周囲を包み込んだ。


「スクルド! 無事か!?」


「一人で無茶をしすぎだぞ、スクルド!」


「援護する! 私たちも共に戦うわ!」


 駆けつけたのは、ヴァルキリーのヒルド、スコグル、フリストの三人だった。


 ヒルドはスコグルの側近を務める熟練のヴァルキリーであり、スクルドと同じく背中に純白の翼を生やしている。


 スコグルは人魚から進化を遂げた極めて珍しいヴァルキリーだ。人間のしなやかな上半身に美しい鱗に覆われた魚の下半身を持ち、背中に生えた一枚につき二羽分に相当する大型の翼を器用に羽ばたかせて大空を優雅に飛翔する。


 そしてフリストは、狼獣人から進化を果たした野性味溢れるヴァルキリーである。顔立ちは美しい人間そのものだが、首から下には銀色に輝く狼の美しい毛並みが全身を覆っており、スコグルと同じく二羽分の強度を誇る銀色の翼を広げて空を自在に駆け巡る。


 激戦の渦中、樹海帝国が誇る四大ヴァルキリーが、覚醒勇者ハーミアの前に集結したのだった。

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