第38話 ハクとの婚約宣言と魔王軍の影!一万超の大軍勢を結成し、愚かな冒険者ギルドの討伐戦を逆利用せよ!!
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リザとライゾウの背に乗り、俺たちは意気揚々と拠点へと戻ってきた。
ハクは蛇王から「湿原の城に滞在していきなさい」と言われていたはずなのだが、「戦いがあるから!」と当然のように一緒に帰ってきたのだった。
だが、本音を尋ねてみると──
「だってぇ……ヒロトと片刻も離れたくないし……それに、あのじめじめした湿原、実は大っ嫌いなのよ」
とのことだった。
(絶対に後者の理由の方が重要そうだな……)と、俺は苦笑いを漏らすしかなかった。
蛇王が手配してくれた5,000の精鋭兵たちは現在こちらに向かって行軍中だが、巨体や重装備の魔物も多いため、拠点への到着にはもう少し時間がかかるらしい。そのため、指揮を執るリガント将軍と三男のリガールだけが先行して一緒に到着していた。
事前情報の共有と作戦会議を行うため、まずは拠点で一休みすることにする。
なお、リガールは湿原を出発する前に俺の【眷属化】を完了させており、ステータスが跳ね上がって超絶なヤル気を見せている。
「さて……ハクさんや。どうして俺と『婚約してる』なんて話になってたのかな?」
俺が腕を組んでジト目で問いただすと、ハクは「あはは……ごめんなさい!」と頭を下げてペロリと舌を出した。
「本当は先にヒロトとちゃんと話すべきでした! でも……断られたら怖かったから、周りから堀を埋めちゃおうと思って……リーブルに『婚約者です』って言わせちゃいました! えへへ……♡ だって、ヒロトの周りには可愛くて強い女の子が集まりすぎなんだもん! 焦っちゃうんだよ!」
そう言われて周囲を見渡せば、確かに美少女ドラゴン、美少女吸血鬼、美女ラミア、セクシーなダークエルフに可憐なドリアード……気づけば凄まじいハーレム状態になっている。
俺はハクの頭を優しく撫でた。
「まあ、ハクみたいな可愛い子にそう言われるのは嫌じゃないし、むしろすごく嬉しいんだけどさ。次はちゃんと事前に相談してくれよな?」
「はいっ!!」
ハクはとびきりの笑顔で返事をした。
俺はすぐさま、念話で全眷属へ一斉アナウンスを飛ばす。
(眷属全員に報告! 私、ヒロトはハクと正式に婚約いたしました! 色々言いたいこともあるかもしれないが、まずは目の前のゴブリン大討伐が終わってからな! 以上!)
念話を送ったものの、ほとんどの眷属は最初から察していたのか、あるいは婚約という概念自体に疎いのか、全体的には静かな反応だった。
だが、レベルの高い幹部眷属たちからは『おめでとうございます、ヒロト様!』と温かい祝福の念話が続々と飛んでくる。
……ただ、リザ、レイ、コボミ、ハピ、そして他の眷属から話を聞いたアリアさんは、表面上は祝福の笑顔を浮かべつつも、どこか引きつった微妙な表情を浮かべていたらしい。……後でしっかりケアしておこう。
気を取り直し、俺はリガント将軍に向き直って「魔族」についての詳細を尋ねた。
「将軍、さきほど言っていた『魔族』とは一体……?」
リガント将軍は深く頷き、険しい表情で語り始めた。
「むう。単刀直入に申し上げましょう。今回のガリア樹海におけるゴブリンの激増と異常な組織行動……これは100%、魔族の計略によるものです。野生のゴブリンが自然繁殖で1万匹などという狂った大軍勢を作ることは絶対にあり得ん。動きがあまりにも計画的すぎる」
「なるほど……」
「さらに、魔王軍団が誇る幹部『四天王』の一人──【魅了のルシー】は、強力な魔物を洗脳・操る『魔物使い』の固有スキルを持っていると聞く。我が主・蛇王様も、今回の裏で手を引いているのはルシーに違いないと確信しておられるのだ」
(うーむ……これは今回のゴブリン戦だけで終わらず、いずれ魔王軍そのものと全面戦争になる展開だな……!)
◇
決戦の火蓋が切って落とされる前に、俺たちは大作戦会議を執り行うことにした。
我が軍の部隊編成は以下の通りだ。
・コボルト部隊(2,000名)隊長:コボ1
・オーク部隊(100名)隊長:オク1
・スライム部隊(1,000匹)隊長:スラオ
・リザード部隊(1,000匹)隊長:リザ
・フライングアイ部隊(1,000匹)隊長:アイ
・蜘蛛部隊(200匹)隊長:スパ
・蜂部隊(300匹)隊長:ビー
・鳥部隊(200羽)隊長:ステ1
・蟷螂部隊(50匹)隊長:カマ1
・救出特別部隊(4名)隊長:ハク(メンバー:ハク、コボミ、コボ4、コボ5)
・その他混成部隊(約130名)隊長:ゴブ1(※俺が新規テイムした魔物等)
・直属本陣部隊(4名)隊長:ヒロト(メンバー:俺、レイ、ライゾウ、ムラマサ)
なお、ヒナにはダンジョン拡張という超重要任務があるため単独行動だ。心配なのでコボ2を護衛として専属で着けることにした。
さらに、外部協力勢力として──
・ダークエルフ部隊(1,000名)隊長:グレンシー
・蛇王湿原部隊(5,000名)隊長:リガント将軍
「グレンシーさん、今回はわざわざ加勢していただき本当にありがとうございます!」
俺が礼を言うと、ダークエルフの隊長グレンシーさんは爽やかに首を振った。
「いえいえ、滅そうもございません! 我がダークエルフの集落からも、幼い女性たちがゴブリンに連れ去られておりましてな……他人事ではないのです。我らだけの力では一万の大軍勢に到底太刀打ちできませんでしたので、ヒロト様のような頼もしいお方に率いていただけて、むしろ感謝しているのはこちらです!」
グレンシーさんは艶やかな黒髪、吸い込まれそうな黒目、褐色の美しい黒肌を持つ、190センチの超スタイル抜群なモデル体型のイケメン……そう、男性である。
会議室には俺の直属部隊、コボミ、ヒナ、そして各部隊長が集結した。
卓上に広げられた立体地図の上に、スパの配下である小蜘蛛たちが収集したゴブリンの配置・数を示した駒を並べていき、全員で全貌を俯瞰する。
ゴブリンキングの潜伏場所はすでに完全に特定済みで、小蜘蛛たちが24時間体制で監視を継続している。だが、四天王ルシーの姿はまだ確認されていない。
ただし、ゴブリンキングが謎の魔道具を使って頻繁に外部へ通信を行っていることが判明しており、魔王軍が絡んでいることはほぼ確定だ。
「数は揃ったが……問題はうちの新規眷属たちのレベルだ。数こそあれど、採れたてのスライム、フライングアイ、フォレストリザードたちはレベルが低すぎて、このまま激突させたら一瞬で全滅してしまう。レベルアップが必須だ」
俺の言葉に全員が深く頷く。
「そこで作戦だ。まずはダンジョン化した場所へ敵を誘導し、地形の利を生かして迎撃する。ダンジョンの狭小通路を使えば、敵の数の暴力を完全に無力化できるからな。そこで低レベル部隊に安全にトドメを刺させ、一気にレベルアップを図る!」
「そして、前線が激しい戦闘で大混乱に陥っている隙を狙い、ハクの救出部隊が隠密で侵入して囚われた女性たちを救出する!」
「最後に、俺自身が敵本陣に突入し、ゴブリンキングの首を斬る!」
大まかな必勝パターンを提示し、細部の詰めを行っていたその時──スパがスッと立ち上がった。
「ヒロト様、小蜘蛛より超緊急の連絡が入りました!」
「なに? 聞かせてくれ!」
「ガリアの冒険者ギルドが、ついにゴブリン討伐隊を出陣させる模様です! 日程は5日後。動員人数は冒険者300名。討伐隊長はあのSランク冒険者『災厄のゼータ』! 連日の被害に対してギルドも領主も国も事態を激重に捉え、国中のギルドから腕利きを集結させたとのこと。Sランク冒険者も数名エントリーしています!」
俺は耳を疑った。
「……300人!? 一万の敵に対して、たった300人だと!?」
「はい。どうやら冒険者ギルド側の事前調査では、ゴブリンの総数を『たったの500匹程度』と誤認しているようです」
俺は呆れて思わず額を押さえた。
「情報収集が杜撰すぎるだろ……! おそらく街の近くを徘徊していた本隊以外の雑魚500匹を見つけて、『これが全滅した群れの全てだ』と勘違いしたんだな。Sランク冒険者が揃っているとはいえ、一万の大軍勢に囲まれたら全滅は免れないぞ……」
だが、俺の脳内に電撃的な閃きが走った。
「……いや、待てよ? これは絶好のチャンスだぞ」
俺はニヤリと不敵な笑みを浮かべた。
「明後日には蛇王様の5,000の精鋭部隊も到着する。この愚かな冒険者たちの突撃と討伐戦をうまく巻き込んで、作戦を進めた方が圧倒的に有利になる! 冒険者どもを『最高のおとり』として利用させてもらおう。スパ、引き続きギルド側の作戦と動きを徹底的に監視してくれ!」
「畏まりました、ヒロト様!」
冒険者たちが突撃するまでの残り数日間、俺たちは準備を加速させた。
蛇王の部隊が到着するまでの間は、レベル上位の精鋭部隊とダークエルフ部隊で実戦連携を確認しつつ、百戦錬磨のリガント将軍に鬼監督となってもらい、全軍の徹底的な戦闘訓練を実施してもらうことにした。
そして蛇王の5,000の大部隊が到着し次第、全体での大連携確認と最終訓練を行う。リガント将軍のスパルタ指導により、うちの部隊長たちの指揮能力も凄まじい勢いで向上していった。
全軍にはダンジョン内で生活してもらうことで莫大なDPを自動生成させ、溜まったDPを使って、ヒナがゴブリンの集落周辺や戦場予定地を片っ端から『ダンジョン領域』へと書き換えていく。
ちなみに、キラービーの群れは爆発的な繁殖により『分蜂』を起こした。
新たに誕生した『キラービークイーン』には拠点防衛の要として残留してもらい、さらに『キラービーナイト』へと進化した50匹の精鋭はダンジョン防衛として配置。代わりに、配下を束ねるビーは普通のキラービー50匹を引き連れて前線へ赴くことになった。
新旧2匹のクイーンが狂ったように卵を産み続けるため、キラービーの兵力は今この瞬間も増え続けている。新女王の新しい巣の建設は、この大戦争が終わってからの楽しみにしてもらうことにした。
「さあ……舞台は整った! 冒険者ども、せいぜい派手に暴れて俺たちの引き立て役になってくれよな!」
一万二千を超える超巨大軍勢の頂点に立ち、俺は決戦の地を見下ろして不敵に言い放つのだった!
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