第376話 【雷神&四聖獣降臨!】無双の神威と古の絶技!オダーン軍魔獣大群を粉砕する樹海帝国最強の精鋭陣!
「ハハハハッ! この程度の雷で、雷神たるこのワシに挑もうなど百万年早いわッ!」
戦場の上空で神の怒号を轟かせたのは、雷神トールへと覚醒を遂げたライゾウだ。
かつて亜神をも討ち果たしたその圧倒的な神威の前には、立ち塞がる者など一人として存在しない。右手で構えた神の槌『真っ赤な槌』から解き放たれる極大の神雷が、空間を焼き切りながら群がる鵺の大群を次々と呑み込んでいく。
「グギャァァァッ!?」
激しい雷鳴とともに叩き折られる鵺たちの首筋。自身の属性であるはずの雷撃すらライゾウの『真っ赤な槌』によって容易く上書きされ、異形の魔獣たちは爆炎を上げて大地へと墜落していった。
その直下では、コボルトエンペラーのコボ1が雄々しく陣頭に立っていた。
コボ2、コボミ、コボ4、コボ5ら兄弟の長男であり、俺の最初期からの頼もしい眷属だ。もはや元々のコボルトの面影はなく、オーガの巨漢をも凌駕する圧巻の体格を誇っている。全身を覆うのは、光を吸い込む漆黒のアダマンタイト製フルプレートアーマー。その手には、巨木のごとき強靭な黒いアダマンタイトの大剣が握られていた。
さらに、神眼アイ1が憑依したことで、背に翼がなくとも宙を自在に滑空する力を得ている。
「ヒロト様のために! 雑兵ども、失せよッ!」
コボ1が滑空しながら黒き大剣を水平に一閃すると、凄まじい剣風が巻き起こり、群がる魔獣たちの身体が上下真っ二つに断ち切られて血の雨が舞った。
その両脇を固めるのは、同じく至高の鎧を纏ったゴブリンエンペラーのゴブ1と、オークエンペラーのオク1だ。
二人とも黒いアダマンタイトのフルプレートアーマーに身を包み、国王として久しく実戦の最前線から遠ざかっていたものの、その体に刻まれたエンペラー種としての圧倒的な実力と闘志は少しも衰えていない。
「フン、体を動かすには絶好の機会だ!」
「我が槍の錆にしてくれるわ!」
ゴブ1がアダマンタイトの大剣を荒々しく振り回して魔獣の群れをなぎ倒せば、オク1はアダマンタイトの巨大な長槍を電光石火の勢いで繰り出し、迫るスフィンクスやマンティコアの胸腔を正確に穿ち抜いていく。
そして、その背後から地鳴りのような踏み込みとともに現れたのは、トロル国国王であるトロルエンペラーのトロボだ。
ヒロトの眷属となって以来、いつか主の力となって戦場で役に立つ時を信じ、狩りの迷宮でひたすらにレベル上げに勤しみ、その爪と牙を研ぎ澄ませてきた男である。
満を持して解き放たれたその実力は、まさに圧巻の一言だった。
「ワシの修練の成果、とくと味わうがいいッ!」
エンペラー種が誇る凄まじい超再生能力を頼みに、敵の爪や牙の反撃を完全に無視して前進。重厚極まるアダマンタイトの巨大棍棒を全開で振り回し、迫り来る鵺やキメラの頭部を豆腐のように叩き潰して一瞬で殲滅していく。
上空からは、太古の威厳を撒き散らす古竜ドライマが巨大な翼を広げて舞い降りた。
かつて古竜山脈の主として、気の遠くなるような長きにわたり魔族の進攻を一人で食い止めてきた伝説の実力者だ。かつての魔王軍すらも、ドライマの存在を恐れて山脈を大きく迂回していたほどである。
「愚かなる獣どもよ、竜の威光の前に平伏せよ」
ドライマの口から放たれた極大の竜熱ブレスが、群がる鵺の群れを呑み込む。
ゴーッ……!!
一瞬のうちに白熱する炎によって焼き尽くされ、灰すら残さず消滅していく魔獣たち。鵺たちが放つ絶望的な雷撃の嵐も、ドライマの分厚い竜鱗の前には傷一つ付けることすらできない。
ドライマは巨躯を激しく揺らすと、鋭い竜爪で空を切り裂き、巨大な牙でマンティコアの首を丸ごと噛み千切った。
さらに、世界樹の里を守護する四聖獣の精鋭たちも破滅的な神威を発揮していた。
結界の西を守る白虎。白いしなやかな肉体に漆黒の美しい縞模様を刻んだその巨獣は、いかなる強硬な装甲をも容易く切り裂く神聖なる爪と牙を有している。鵺たちが放つ雷撃を全身で受け止めながらも全く微動だにせず、影のごとき速度で滑空しては、次々と鵺の肉体を細切れに切り刻んでいく。
結界の東を守る青龍は、東洋の龍特有の長大な体躯を優雅にくねらせながら空中を自在に泳ぐ。鋭く研ぎ澄まされた四本の爪で鵺の頭部を鷲掴みにすると、力任せにそのまま引き千切り、地表へ向けて投げ捨てた。
そして、結界の北を守る玄武。
長い足を持つ巨大な亀の姿をし、その尾は意思を持つ漆黒の蛇となっている。蛇は巨体に複雑に巻き付き、甲羅は黒みがかった深緑色を呈していた。亀本体と蛇は漆黒とグレーの禍々しい色彩を放ち、亀の口内には岩盤をも噛み砕く鋭い牙がズラリと並んでいる。
「シャーッ!」
尾の蛇が目にも留まらぬ速度で伸ばされ、空中を跳ぶ鵺の胴体に巻き付くと、凄まじい締め上げの力で骨ごと絞め潰す。堅牢極まる甲羅は鵺の雷撃も爪も一切通さず、亀本体の鋭い牙が迫る魔獣たちに喰らい付き、豪快に食い散らかしていった。
その惨状の背後で、異様な不気味さを放っているのがスフィンクスの大群だ。
古代エジプトの頭巾を着用した不気味な人間の顔に、額には毒々しいコブラ。首から下はライオンの胴体と鷲の翼、そして蛇の尾を持つあの怪物。
かつて魔神の遺跡で戦った際、悪魔ボティスのリザルドが圧倒的な力で粉砕した敵だ。あの時は魔神セトを守護する個体として一匹のみの出現だったが、今回のオダーン軍には恐ろしい数が配備されている。
だが——圧倒的な強さを誇る樹海帝国の精鋭たちが勢揃いした今、どれほど数が多かろうと、もはや何の心配もいらなかったのである。




