第373話 【反撃の極致!】超豪華オールスター集結!樹海帝国の全精鋭召喚とヴァルキリースクルドの熱き誓い!
「……スクルドか!」
大災厄ベヒーモスの破滅的な侵攻によって崩壊しかけていたステラド防衛線のただ中に、颯爽と舞い降る優美で雄々しい戦士たちの姿があった。
ヴァルキリーへと昇華を遂げたスクルドを筆頭に、その妹分であるヒルド、スコグル、そしてフリストの姿だ。
彼女たちだけではない。背から輝く白銀の翼を広げ、上空を縦横無尽に飛び回る無数のヴァルキリーの女戦士たちが、死力を尽くして圧倒的な魔獣の大群を押し留め、壊滅寸前だった戦線の維持に命懸けで奮闘していた。
スクルドは元々、南の王国における元国王親衛隊隊長であり、悲運の死を遂げた第2王子の婚約者でもあった人物だ。
かつて有翼人として生きていた彼女は、苦難を経て神聖なるヴァルキリーへと進化を果たした。俺が南の王国を巡っていた頃に出会った一人である。
俺の隣で腕を組み、空中の激戦を見上げていた大悪魔バエルのスパが、安堵と感心の混じった吐息を漏らした。
「スクルド様たちが絶妙なタイミングで参戦してくださったおかげで、何とか戦線の完全崩壊だけは食い止められていたようですね」
「ああ。だが、圧倒的に押されているのは紛れもない事実だ。このまま魔獣の怒濤の力押しが続けば、いずれ遠からず防衛線は決壊してしまうだろう」
「仰る通りです。相手の数が多すぎますわ」
俺は覚悟を決め、拳を力強く握り締めた。
「全軍による総力戦だな。今回は、この規模のキメラや魔獣の大群と対等以上に戦える、俺の眷属の精鋭たち全員に助けてもらうとしよう!」
俺は直ちに広域念話の回路を開き、各地域を守護する凄まじい眷属たちへ次々と緊急打診を飛ばした。本人の快諾を得るや否や、空間転移の術式を極限まで展開し、彼らをこのステラドの戦場へ次々と召喚していく!
光の柱が戦場へ幾重にも立ち昇り、そこに樹海帝国の誇るそうそうたる超豪華メンバーが集結した!
まず樹海地域からは——
背に不吉な漆黒の翼を広げる堕天使サリエルのデステル伯爵。
禍々しい魔気を放つ悪魔ゼパルのリガント将軍。
強固な鱗と圧巻の槍術を誇るリザードマンエンパーの副将軍リガール。
小柄ながら絶大な指揮権を執るゴブリンエンペラーへ進化したゴブ2副将軍。
圧倒的な雷撃の威容を纏う雷神トールのライゾウ。
威風堂々たる風格を漂わせるコボルトエンペラーのコボ1。
漆黒の威圧感を解き放つゴブリンエンペラーのゴブ1。
巨躯を揺らすオークエンペラーのオク1。
山のごとき体躯を誇るトロルエンペラーのトロボ。
太古の威厳を漂わせる古竜ドライマ。
そして神聖なる気を放つ四聖獣の白虎、青龍、玄武の三柱!
続いてガラード地域からは——
凛々しい雄姿を見せるライオン獣人・ライゴー副将軍。
その妹であり鋭い爪を光らせるライカ。
獰猛な笑みを浮かべるオークエンペラーのオク2。
巨木のごとき腕を持つトロルエンペラーのトロガス。
疾風のごとき気配を打診させるコボルトエンペラーのコボ5!
北西地域からは——
角を研ぎ澄ませたオーガエンペラーのオガ1副将軍。
無数の蛇の髪を揺らすゴーゴンエンプレスの蛇王国女王リンダ!
南西地域からは——
深遠なる悪魔の力を漂わせる悪魔ビフロンスのデルガ侯爵。
戦場の覇気を全身から放つ悪魔エリゴスのグレンシー将軍。
妖艶な眼差しを向けるゴーゴンエンプレスのリリア副将軍。
しなやかな蛇身をくねらせるラミアエンプレスのリーネット副将軍。
武人の気風を纏うリザードマンキングのリガリア副将軍!
さらには荒野地域から、九つの頭部を揺らし巨大な巨体を叩きつけるヒュドラのヒュウ。
そして俺の身の回りを完璧にサポートする執事の悪魔アスタロトと、愛らしい光を身に纏うカーバンクルアカインまでが勢揃いした!
ステラド地域へ怒濤の侵攻を見せるオダーン軍と、それを迎え撃つ樹海帝国軍の真の全面対決。
その中央では、無敵の威容を誇る大災厄ベヒーモスに対し、マシラン将軍、四聖獣の朱雀、そしてヴァルキリーのスクルドたちが死闘を繰り広げていた。
マシラン将軍が駆る最新鋭の魔導ロボットは、かつて天使アリアが搭乗していた機体をベースに構築された最高峰の決戦兵器だ。胸部のコクピット頭上にはマシラン自身が直接立ち、全系を直接制御している。全身を覆うのは、漆黒に輝く最高級金属アダマンタイト製のフルプレートアーマー。その手には、自身の背丈をも超える巨大な黒いアダマンタイト製の大剣が握られ、流線型のスマートなフォルムと怪しく光るサイバーゴーグルが圧倒的な威圧感を解き放っていた。
機体の大きさは四本足で踏み張るベヒーモスよりわずかに小さい程度だが、その出力は凄まじい。
魔導ロボットはアダマンタイトの大剣を脇に抱え、ベヒーモスの角を両手で正面から激しく押し返し、その凶悪な進行を力任せに阻止しようと試みていた。しかし、ベヒーモスの底知れぬ馬力に押され、少しずつ後ろへ押し込まれていく。
その絶妙な拮抗の合間を縫って、上空から朱雀が極大の灼熱炎を浴びせかけ、スクルドが閃光のごとき雷撃をベヒーモスの頭部へ直撃させる!
ドカァァァンッ!
激しい爆炎と雷鳴が戦場を揺るがすが……煙が晴れた後、ベヒーモスの硬質な皮膚にはかすり傷一つついていなかった。
「あの異次元の防御力と質量……ベヒーモスの撃破が最優先だな。デステル、リガント、リガール、ゴブ2! お前たち四人はベヒーモスの抑えと討伐を頼む!」
指示を受けたデステル伯爵が、漆黒の翼を大きく広げて叫んだ。
「ハッ、かしこまりましたヒロト様! 行くぞお前たち、あの巨大な豚を叩き潰すぞ!」
デステルの頼もしい掛け声を合図に、リガント将軍、リガール副将軍、ゴブ2副将軍の四人が一斉にベヒーモスへ向けて跳躍した!
「そして残りのみんなは、押し寄せるキメラや他の魔獣どもを一撃のもとに撃滅してくれ!」
「「「おおおぉぉぉッ!!!」」」
地鳴りのような咆哮を上げ、樹海帝国が誇る究極の精鋭たちが、オダーン軍の魔獣の大群へ向けて一斉に突撃を開始する!
無数のキメラやマンティコアが、一瞬にして超巨大な魔力の渦と鉄槌によって砕かれ散っていく。
激戦の渦中、俺は上空で翼を休めようとしていたスクルドのすぐ側へと転移した。
「スクルド! 駆けつけてくれて本当にありがとう、助かったよ!」
突如として現れた俺の姿を目にし、スクルドは驚きに一瞬目を見張った後、どこか愛おしそうに、そして誇らしげに凛とした笑顔を浮かべたのだった。




