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魔物使いの異世界大陸平定記〜神々や大悪魔すら配下!? 規格外のテイム能力で異世界の理をぶち壊し、気づけば大陸全土を制覇していた〜  作者: ボルトコボルト
第一章 深淵の樹海

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第362話 【覚醒の剣聖!】四凶・饕餮を圧倒する漆黒の斬撃!悪魔キマリスへと進化を遂げたオニバルの一刀両断!(

 暗雲が立ち込め、禍々しい気が充満する戦場。その只中に、空間を割って圧倒的な威容を誇る二人の男が姿を現した。


 八本足を持つ不気味な黒い巨大馬スレイプニルに跨がり、身の丈を超える漆黒の甲冑を纏った悪魔キマリスのオニバル。そして、莫大な魔力を揺らめかせる魔神パズズのバズだ。


 バズは一瞬で周囲の戦況を把握すると、鋭い眼光で総大将を見やった。


「ヴァンス、どうする? このままここで全軍を挙げて戦うか?」


 ヴァンスは手にしたワイングラスを投げ捨て、赤い双眸を険しく光らせて即座に判断を下した。


「いや、樹海帝国軍は全員、即座にダンジョン内へ転移で撤退させる。ヒポリュテ、ウィグル、貴様たちもだ。今すぐ退避しろ!」


 突如出現した古代の凶獣・饕餮の放つあまりのプレッシャーに、顔色を蒼白にしていたヒポリュテは、半ば涙目になりながら叫んだ。


「あ、ああ……すぐに転移で送ってくれ! 正直、今の私たちでは勝てる気がしない……!」


 有翼人の将軍ウィグルも、膝をガクガクと震わせながら情けない声を上げる。


「は、早く! 早く転移で送ってください! 喰われてたまるか!」


 二人とも普段の威厳はどこへやら、完全に泣き顔になってすがりつく有り様だ。


「了解した。全軍、緊急空間転移!」


 バズが掲げた手から眩い光が放たれ、国境線に展開していたヒポリュテやウィグル、そして数万の樹海帝国軍の兵士たちが、一瞬にしてダンジョンの安全圏へと姿を消した。


 静まり返った戦場に残されたのは、荒々しい吐息を漏らす饕餮と、それに対峙するヴァンス、オニバル、バズの三人だけとなった。


 獲物を突如として奪われた饕餮は、両脇の下にある不気味な巨大な目を激しく見開き、虎の牙が生えた大口から憤怒の声を撒き散らした。


「チッ! 忌々しい……予定が完全に狂ったぞ! この場にいるモリー公爵軍の兵どもと樹海帝国軍をまとめて喰らい尽くし、その肉と魂を我が血肉として吸収するはずだったのに! 貴様ら、一体何者だ!」


 饕餮の体表を覆う白い縮れ毛が、生き物のようにグネグネと蠢き、無数の凶悪な触手となって一斉に伸びた。その超スピードの触手が、一瞬でヴァンスの身体を捉えて硬く締め上げる。


 流石のヴァンスも、その予想を超えた速度を完全に避けることができない。


「ガハハハッ! まずは貴様から喰らってくれるわ!」


 饕餮は捕らえたヴァンスを大きな口へ運ぼうと引き寄せた。しかし次の瞬間、ヴァンスの身体が不気味な黒い霧となって弾け、触手の隙間からすり抜けて遥か後方へと再構築された。


 実体を取り戻したヴァンスが、冷や汗を流しながら苦笑いを浮かべる。


「ふぅ……全く、一瞬たりとも油断できないバケモノだな」


 その時、空間がぐにゃりと歪み、念話で報告を受けていた俺たちが満を持して転移で戦場へと登場した。


「——饕餮、今度こそ逃がさんぞ。ここで引導を渡してやる!」


 俺は右目に秘められた神眼のアイを限界まで発動させ、左手には精霊王たる世界樹のレイの力を宿す。さらに全身に大悪魔ベルゼブブのスラオの威圧を纏い、左腰には神刀ムラマサを携えていた。


 俺の後ろには、頼もしい仲間たちがずらりと控えている。


 魔法国の女王である魔女のウィーラ。

 勇者であり異世界転移者でもあるエルダーリッチのユイ。

 ダークエルフ国を統べる女王、ダークハイエルフのグレイア。

 将軍を務める亜神ペナンガルのビー。

 そして砂漠地域を治めるキラーアントエンプレスのアンナだ。


 グレイアが鋭い観察眼で饕餮の醸し出す神気を見抜き、知的な声で口を開いた。


「亜神の領域に達しているあの饕餮に有効な攻撃を通せそうなのは……ヒロト様が纏う悪魔ベルゼブブのスラオの力と神刀ムラマサ、亜神ペナンガルのビー、悪魔キマリスのオニバル、そして魔神パズズのバズ、このあたりですね」


 すると、スレイプニルの上で静かに佇んでいたオニバルが、重厚な甲冑の響きとともに歩み出てきた。


「師匠、どうか私にお任せください。この日のため……古の脅威を討ち払う圧倒的な力を得るために、私は悪魔キマリスへと進化を遂げたのです」


 オニバルはかつてオークエンペラーであり、俺の剣の弟子でもある。彼の瞳に宿る並々ならぬ覚悟を感じ取り、俺は大きく頷いた。


「……なるほど、そうか。分かった、オニバル。お前に任せる!」


 そのやり取りを聞いていた饕餮が、虎の牙を剥き出して嘲笑した。


「ハッ! 悪魔に進化した程度で調子に乗るなよ、トカゲどもが! 誰だろうと関係ない、全員まとめてかかってきやがれ!」


 オニバルは饕餮の挑発を完全に無視し、静かに吐き捨てた。


「——問答無用」


 カチャリ、と重厚な金属音が響く。オニバルが腰の鞘からゆっくりと日本刀を抜刀した。

 現れたのは、あらゆる光を吸い込むどす黒い魔力を纏った漆黒の刃——黒刀だ。

 通常の日本刀の刃長が二尺(約六十センチメートル)程度であるのに対し、オニバルの持つ黒刀はなんと倍の四尺(約百二十センチメートル)。刀身の太さも倍以上あり、まさに規格外の業物であった。


 オニバルは愛馬スレイプニルから静かに下馬すると、巨躯を低く沈め、巨大な黒刀を頭上高く上段に構えた。


 悪魔キマリスへと進化を遂げた最高峰の剣聖オニバルと、古より恐れられる四凶の一柱・饕餮。


 二者の間には、まだかなりの距離がある。どう見ても、あと三歩は踏み込まなければ刀の間合いには届かない絶対的な距離だ。


 饕餮が不敵な笑みを深めた、まさにその時であった。


「しゃあああああああッ!!!!」


 空気を一瞬で叩き割るような、オニバルの裂帛の気合が戦場に轟いた。


 ——誰も、彼がいつ刀を振り下ろしたのか視認すらできなかった。


 気づいた時には、オニバルの掲げていた黒刀はすでに下段へと振り抜かれていたのだ。


 絶対に届くはずのない遠距離。だが次の瞬間、間合いを無視した不可視の超絶絶技が空間を断ち切っていた。


 危機感を察知した饕餮が、本能的にわずかに左へ身を躍らせて回避を試みていた。


 もしその回避がなければ、全身が縦真っ二つに叩き斬られていただろう。


 バツンッ! と、肉を断つ不快な凄絶な音が響き渡る。


「ガアアッ!? ぐ、あああぁぁぁっ!?」


 間合いの外にいたはずの饕餮の右肩から腕にかけてが、上下左右へと鮮血とともに激しく斬り落とされ、ドサリと大地に転がり落ちていた。

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