第359話 【開戦前夜!異世界最強軍団が集結】モリー公爵軍を迎撃せよ!迷宮展開とダンジョンポイント強奪作戦!
樹海帝国の厳かな雰囲気を漂わせる広大な皇帝の城。その最奥に位置する大会議室には、今回の非常事態に際して緊急招集された面々が続々と集結し、重厚な椅子を埋め尽くしていた。
いつものメンバーである俺、樹海帝国皇帝のヒロトと、その傍らで圧倒的な存在感を放つ皇后にして応龍のハク。さらに、俺を支える十四人の皇妃たち——霊亀のリザ、麒麟のコボミ、世界樹の分身体である精霊王のレイ、気高い天使のアリア、神々しい鳳凰のハピ、大悪魔バエルのスパ、不死王のルシー。
加えて、同じく日本からこの世界へと転移してきた強力な仲間たちも顔を揃えている。吸血鬼真祖でありダンジョンマスターのヒナ、同じく悪魔ベルフェゴルの力を宿すダンジョンマスターの魔女サクラ、魔法国の女王でもある魔女のウィーラ、エルダーリッチへと進化した勇者のユイ、ダークエルフ国を統べるダークハイエルフのグレイア、将軍を務める亜神ペナンガルのビー、そして砂漠地域の広大な領土を治めるキラーアントエンプレスのアンナだ。
さらに、今回の防衛戦における重要関係者である五名の精鋭たちも馳せ参じていた。
南の小国群最西部を統治する吸血鬼真祖のヴァンス。
そのヴァンスの国と国境を接する東隣の領域を治める、誇り高きアマゾネス国の女王ヒポリュテ。
ヴァンスの領地とアマゾネス国の間に位置する重要拠点、迷宮都市の領主である三つ目族のアキルイ。
その迷宮の管理を任されているダンジョンマスターの魔神パズズのバズ。
そして、迷宮内で効率よくダンジョンポイントを獲得・収集させるため、現地に常駐させていた樹海帝国将軍にして剣聖のオニバルだ。
オニバルはかつて希少種であるアンデッドナイトマスター侍だったが、数々の修羅場を潜り抜けるうちにさらなる進化を遂げ、現在は凄まじい威容を誇る悪魔キマリスへと変貌を遂げていた。
全身を漆黒の鎧で包み込み、その姿自体は以前と大きく変わらないものの、一歩歩くだけで周囲の空気を震わせるほどの絶大な迫力と、底知れぬ圧倒的な魔力をその身に秘めている。腰には切れ味鋭い真っ黒な日本刀を携え、普段は八本足を持つ神話級の巨大な黒馬の魔物スレイプニルに騎乗して戦場を駆け巡っている。
流石に城内の厳粛な会議室にまで巨体を乗り入れるわけにはいかないため、城門前で下馬して徒歩で出席していた。オニバルは部屋に入るなり、俺に向かって一切の無駄のない最上級の敬礼を捧げ、指定された席へと静かに腰を下ろした。
広大な会議室の席がすべて埋まると、室内の空気がぴんと張り詰め、全員が無言のまま俺の言葉を待ち構えた。
「この度は急な呼び出しにもかかわらず集まってくれて本当に有難う。すでにみんなも耳にしていると思うが、南の王国の三つの勢力がそれぞれ我が樹海帝国へ向けて進軍を開始した。その中でも、西から北上してこちらへ迫りつつあるモリー公爵軍の迎撃方針を固めるため、こうして全員に集まってもらったわけだ」
俺が切り出すと、吸血鬼真祖のヒナが不敵な笑みを浮かべながら片手を軽く振ってみせた。
「オニバルが現地へささっと単騎で突撃して、敵軍を丸ごと綺麗に殲滅しちゃえば秒で終わる話なんじゃないのー?」
グレイアも美しく整った眉をわずかにひそめ、冷徹な分析を口にする。
「通常の戦力差を考えれば彼女の言う通りですが……私が出向いて一網打尽にしてきましょうか?」
二人の頼もしい提案に、俺は軽くかぶりを振った。
「気持ちは嬉しいけれど、通常なら確かにそうだな。だが、モリー公爵ほどの立場の人間が、我が樹海帝国の底知れぬ戦力を知らないはずがないんだ。その上であえて我が国へ攻め込んできている以上、向こうには何か周到な裏の狙いや秘策があるはずだ。それに、せっかくここまで遠くの迷宮や領地から移動してもらったのだから、どうせなら迷宮の広大な大地の上で真正面から戦闘を行い、ガッツリとダンジョンポイントも稼ぎたいところなんだけどね」
樹海帝国の深部にある、ヒナが管理・統括しているダンジョンに関しては、世界樹の本体を取り込んで以来、ダンジョンポイントなどどれだけ使っても使っても溢れるように増え続ける一方だから特に心配はいらない。だが、バズが管理している前線の迷宮は、通常のシステムに基づいて運営されているものだ。
経験値の膨大なオニバルの軍隊を日頃から常駐させているとはいえ、いつでも潤沢にポイントが余っているわけではない。だからこそ、この千載一遇の侵略の機会を利用して、敵兵をまとめて飲み込み、大量のダンジョンポイントをごっそり回収しておきたいという算段だった。
俺の言葉を聞き、吸血鬼真祖のヴァンスが鋭い双眸を光らせて自信満々に頷いたよし、それなら話は早い。俺の軍勢とヒポリュテのアマゾネス軍を、南の王国とヴァンダール、そしてアマゾネス国の国境線沿いにズラリと展開して、進撃してくる奴らを文字通りフルボッコにして迎え撃とうじゃないか。バズ、そこまでうまくダンジョンの領域を前方に延長展開することはできるか?
ヴァンスの問いかけに、ダンジョンマスターのバズは不敵な笑みを浮かべて胸を叩いた。
「オニバル将軍の精強な軍隊をこれまで常駐させてもらっていたおかげで、予備のダンジョンポイントは十分に蓄えられております。それに領地全体の魔力濃度も高まっていますので、前線への迷宮エリアの拡張など容易いことです。問題なく展開できます!」
バズの力強い返答に、俺は大きく頷いて見せた。
「よし、それが現時点での最善手だな。国境一帯にあらかじめダンジョンを展開しておけば、いざという土壇場になったときにもオニバル軍や迷宮の凶悪な魔物たちを自在に出撃させられるし、敵を迷宮の罠に誘い込むこともできる」
全員がそれぞれの役割と作戦を完璧に理解し、会議室の温度が一気に戦闘モードへと切り替わった。南の王国が仕掛けた愚かな侵略戦争を、我が樹海帝国の圧倒的な力と迷宮の肥やしにしてやるための反撃の狼煙が、今まさに上がろうとしていた。




