↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔物使いの異世界大陸平定記〜神々や大悪魔すら配下!? 規格外のテイム能力で異世界の理をぶち壊し、気づけば大陸全土を制覇していた〜  作者: ボルトコボルト
第一章 深淵の樹海

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

348/433

第348話 【強権振るう愚鈍な領主!】アキルイ拘束の危機と理不尽な勧誘! 静かに滾る皇帝ヒロトの怒り!

 商人のアキルイが覚悟を決めて個室を立ち去り、1階の酒場へと向かっていく。


 俺たちは部屋に残ったまま、キラーアントエンプレスのアンナが共有してくれた視覚と念話の映像を通して、酒場の状況を静かに観察していた。


 酒場の中央では、この街の領主であるラバガル子爵と、その娘であるラブリルが堂々と椅子に腰掛け、その左右をガッチリと武装した高圧的な騎士二名が固めている。


「……ヒロト様、宿の外に騎士が20名ほど集結しており、この宿全体を隙なく取り囲んでいますわ」


 アンナが冷ややかな声で念話を送ってくる。


「なるほどね……アキルイさんを逃がさないように完全に包囲しているわけだ」


 その時、酒場に響き渡るラバガル子爵の横暴な声が念話越しに届いた。


「アキルイ! 貴様には『千尋の洞窟』における悪質な密漁者を密かに匿い、その盗品を横流ししていた重罪の容疑がかかっている! 弁明は詰所で聞く、大人しく同行してもらおうか!」


 事実無根の罪を着せられたアキルイだったが、下手に反抗して商会に迷惑がかかるのを避けるため、静かに頷いた。


「……はい。分かりました、従いましょう」


 アキルイは大人しくラバガル子爵の方へと歩き出し、自ら縄につこうとする。


(……いやいや、これって完全に俺たちのせいだよな……)


 俺がダンジョンで規格外の超高級素材を山ほど持ち込み、アキルイに買い取ってもらったから、利権に目がくらんだ領主から目を付けられてしまったのだ。

 このままアキルイが領主の詰所に連れていかれれば、俺の居場所や情報を吐かせるために壮絶な拷問が待っているのは火を見るより明らかである。


 恩人であり信頼できる取引相手を、俺の都合で見殺しにするわけにはいかない。


「……しょうがない。行くぞ!」


「待て!」


 俺は大声で制止しながら個室の扉を勢いよく開け、仲間たちと共に1階の酒場へと躍り出た。


  ◇


 迷宮都市ラビリスの誇る老舗宿屋『小鳥の宿』、その1階にある広い酒場。


 普段は冒険者や商人たちで賑わうはずのその場所は、重苦しくピリついた緊張感に包まれていた。


 領主ラバガル子爵と娘のラブリルが中央の特等席に鎮座し、その両脇には威圧感を放つ近衛騎士が立っている。

 その向かい側で、無実の罪で囚われようとしていたのが商人のアキルイだ。


 ラバガル子爵は、迷宮都市の絶対権力者としての立場を笠に着て、アキルイを「密漁者の幇助者」として強引に逮捕・連行しようとしていた。


 バタンッ!


 酒場へと続く扉が大きく開かれ、俺たちが室内へと踏み込む。


 アキルイがまさに騎士の手によって拘束されようとしていたその瞬間、俺は前に立ちはだかり、その連行をキッパリと遮った。


 俺の姿——樹海帝国の皇帝であるヒロトの姿がそこにあった。


 一見するとどこにでもいる人間族の青年であり、職業もただの「魔物使い」に過ぎない。


 だが、その身に宿す戦力は世界を滅ぼしうるほどの規格外だ。


 左目には万物を見通す神眼のアイ。左腰には神を切り裂く神刀ムラマサ。左手には緑に輝く手甲として一体化している精霊王にして世界樹のレイ。世界樹本体は動かせないため、これは彼女の分身体である。


 そして着ている頑丈な鎧の下には、スライムから進化した亜神バアルゼブルにして大悪魔ベルゼブブのスラオが同化して潜んでいる。


 俺自身はぶっちゃけ大して強くない普通の人間に過ぎないが、アイ、ムラマサ、スラオ、レイという神級の眷属たちが俺を鉄壁の守りで支えているのだ。


 さらに俺の背後には、美しくも圧倒的な圧力を纏うダークハイエルフのグレイア。艶やかな笑みを浮かべる龍脈の魔女ウィーラ。


 そして、元は異世界『日本』からの転移者であり、勇者にしてエルダーリッチという無敵の存在であるユイがズラリと控えている。


 俺たちの登場に、領主の娘であるラブリルがパッと顔を輝かせ、歓喜の声をあげた。


「ああ……ヒロト! やっぱりここにいたのですね! さあ、遠慮なさらずこちらへいらっしゃい! あの危険なダンジョンで私を助けていただいたお礼をしたいのです。今すぐ我が豪奢な館へお越しください、極上の宴でおもてなしいたしますわ!」


 自分を「救ってくれた英雄」として身勝手な好意を寄せてくるラブリルに対し、俺は心底不愉快そうな冷めた表情を浮かべ、きっぱりと言い放った。


「……お断りします」


「……え? 何とおっしゃいましたの……?」


 ラブリルは自分の耳を疑うように固まり、事態を全く理解できない様子で呆然とした。この街で領主の娘の誘いを断る人間など、ただの一人も存在しなかったからだ。


 主君の娘を蔑ろにされた左右の騎士たちが、激怒して剣の柄に手をかけた。


「貴様ぁッ! 断ることなど出来るわけがないだろうがッ! 領主様のお嬢様が直々にお与えくださった破格の慈悲だぞ!? 礼儀を知らぬ無礼者め、まずはその場にひざまずけッ!」


 騎士たちの怒号が響く中、父親である領主ラバガル子爵は、すべてを自分の思い通りに支配できていると確信したようにニヤリと下品な笑みを浮かべた。


「フン……礼儀も弁えぬ辺境の冒険者どもめ。よい、寛大なるこの私が特別に教えてやろう。お前たちが犯した『ダンジョンでの無許可の密漁』については、今回特別に不問にして許してやる。それどころか……お前ほどの腕立つ者ならば、我がラビリス領の騎士団長として取り立ててやってもよいぞ?」


 ラバガル子爵は、自分がいかに寛大で魅力的な領主であるかを誇示するように、胸を張って俺へと語りかけてくる。


 だが次の瞬間、彼は冷酷な蛇のような猛毒の眼光でアキルイを激しく睨みつけた。


「……だが! そこの商人アキルイだけは絶対に許さん! 領主であるこの私に無断で、貴様らのような規格外の素材を持つ者を隠し立てし、利権を独占しようとした罪は重い! 到底見過ごせるものではないわ! おい騎士ども、アキルイを今すぐ引っ捕らえろッ!」


『騎士団長に任ずる』という唐突すぎる条件に一瞬戸惑っていた騎士たちだったが、商人逮捕の明確な命令が下るや否や、勢いよく威勢の良い返事を返した。


「「ハッ! 畏まりましたッ!!」」


 ギラついた殺気を放ちながら、二人の騎士がアキルイに向かってガシガシと足音を立てて歩み寄っていく。


 自分たちの権力と暴力を疑わない愚かな領主たちの前で、俺は静かに溜息をつき、腰のムラマサの柄にゆっくりと手をかけたのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。