第311話 【美食の宴と驚天動地の美貌集団】絶品海鮮料理を満喫! 妻たちの色鮮やかな水着姿と圧巻の存在感に一同騒然!
ビーチチェアに横たわり、寄せては返す波の音に耳を傾けていると、一人の美しい人魚のウェルカム給仕が、ガラスコップに注がれた色鮮やかなトロピカルドリンクをトレーに乗せて滑らかに近づいてきた。
「お客様、冷たいお飲み物をどうぞ。南国のフルーツをたっぷり絞った特製ジュースでございます」
「ありがとう」
俺はグラスを受け取り、喉を潤しながら、ふと思い立った疑問を彼女に尋ねてみた。
「ところで、この町は漁が盛んで、美味しい魚介類が豊富だと聞いていたんだけど、普段はどんな方法で漁をしているのかい?」
人魚の給仕は「ええ~と~」と首をかしげ、可愛らしく微笑んだ。
「私たちはですね、海に入って泳いで捕まえるだけです」
「なるほど、半魚人や人魚の皆さんだものね。やっぱり銛や網なんかを使って捕獲するのかな?」
「う~ん、ほとんど素手ですね。素手でサッと捕まえちゃいます。でも、かなり大物のマグロや大型魚を狙う時だけは、銛や小さなナイフを使ったりもしますよ」
「そうなんだ。君たちは普段は陸ではなく、海に住んでいるのかい?」
「そうです! 私たちは海の中がホームですので、ホテルのお仕事の時だけ魔法で人化して陸に上がってくるんですよ」
「へぇ、すごいな。……そういえば、この近海には大型で獰猛な海の魔物が回遊しているって噂を聞いたんだけど、泳いでいて遭遇したりはしないのかい?」
「あ、よく見ますよ! おっきな魔物が泳いでるのを遠くで見かけたら、すぐ全力で逃げます!」
「そうなんだ……逃げ切れるのがすごいな。泳ぐのがかなり速いんだね」
「はい! 私たちはこの辺りの海でしたら、一番泳ぐのが速いですから!」
人魚の給仕がえっへん胸を張ると、そこへ別の人魚の従業員がパタパタと駆け寄ってきた。
「お客様、申し訳ございません。もう少しでお夕食の時間となりますので、宜しければ本館の食堂へお越しくださいませ」
「お、もうそんな時間か。みんな~! ご飯の時間だよ、食堂に行くぞ~!」
俺が声をかけると、ビーチで思い思いに遊んでいた妻たちが一斉に集まってきた。
「ところで……グレイアは部屋の追加の手続き、無事に終わったのかなぁ」
俺が呟いた直後、空間がすっと歪み、俺の背後に気配もなくグレイアが出現した。
「ヒロト様、お待たせいたしました。先ほどチェックインしたヴィラのすぐお隣から、続きのヴィラを5つ追加で確保してまいりましたわ。もちろん、夕食も全員分の席と料理をしっかり手配済みです」
「うわっ……! そ、そうか、ありがとう。助かるよ」
いくら転移や隠密が得意だからって、急に背後に現れると心臓に悪いな。
それにしても、集まった妻たちの姿は壮観の一言だった。全員が売店で手に入れた鮮やかな水着に民族衣装のパレオを纏っている。赤、ピンク、水色、黄緑、オレンジ、黄色、藤色……カラフルで華やかな色合いと模様の布が、彼女たちの完璧なプロポーションを引き立てていた。
「(な、なんですかこの眼福すぎる空間はーっ!? 美女! 美女! 美女の連続ですーっ! どの角度を見ても女神様しかいませんよーっ!?)」
物陰から見ていたハーミアが、あまりの眩しさに目を手で覆いながら絶叫している。
俺たちはそのまま賑やかに本館の広々とした食堂へと移動した。
食堂へ足を踏み入れると、端の大きなテーブルでスクルド、ヒルド、ハーミア、そして見覚えのないもう一人の女性が並んで料理を食べていた。
「こんばんは。スクルド、無事に仲間と合流できたのかい?」
俺が声をかけると、スクルドたち4人は驚いたように一斉に立ち上がり、姿勢を正して礼をした。
「こんばんは、ヒロト陛下! はい、紹介させてください。かつての私の部下で、ヴァルキリーのスコグルです」
「樹海帝国皇帝のヒロトだ。よろしく頼むよ」
俺が挨拶すると、青い髪と青い瞳を持った小柄な女性……スコグルが、緊張した面持ちで深々と頭を下げた。
「スコグルと申します! スクルド様から、陛下に絶大なご恩を受けたと伺っております。命を救っていただき、誠にありがとうございました!」
『鑑定』で見ると、彼女は人魚から進化したヴァルキリーのようだ。ハーミアと同じくらいの背丈で、彼女もまた美しいパレオを身に纏っている。
スクルドが俺の後ろにズラリと並ぶ美女軍団を見上げ、目を丸くした。
「それにしても……陛下の随行の皆様も大勢集まられて、一気に賑やかになりましたね」
「ははは! いやぁ、想像以上に素晴らしいリゾートホテルだったからね。城にいた妻たちも呼んだんだよ」
すると、俺の隣に並んだ応龍のハクが、品格ある微笑みを浮かべて一歩前に出た。
「スクルドさん、初めまして。ヒロトの妻で、第一皇后のハクですわ」
ハクに続いて、世界樹のレイ、吸血鬼真祖のヒナ、天使のアリア、悪魔ベルフェゴルのサクラたちも次々と挨拶を交わしていく。
だが、妻たちのうち何人かは、スクルドの隣で怯えているハーミアに対して冷ややかなジト目を向けていた。……一度目をつけられると、なかなか厳しいな。
「(ひぃぃぃっ!? ぜ、絶対目が笑っていませんーっ! 私、何か悪いことしましたかーっ!? 助けてスクルド様ぁーっ!)」
ハーミアは蛇に睨まれた蛙のように縮こまり、頭を抱えて項垂れていた。
挨拶を終え、俺たちは4人掛けの大きめのローテーブルに分かれて腰を下ろした。俺のテーブルは、俺の右側にハク、左側にレイ、そして正面には料理人のブラウニーであるブラリリが座る。
しばらくすると、湯気を立てる美味しそうな料理が次々と運ばれてきた。
まずは、カツオの切り身が贅沢に入った透明な塩味のスープだ。一口飲むと、カツオの濃密な出汁と絶妙な塩気が口いっぱいに広がる。薬味として揚げ唐辛子、薄切り玉ねぎ、香ばしいココナッツスライスが添えられており、味の変化も楽しめそうだ。
「うむ……シンプルながら深い塩味が素晴らしいです! カツオの旨味が最大限に引き出されていますね!」
ブラリリが料理人としての鋭い視点で感嘆の声を上げる。
ハクも嬉しそうにスープを味わった。
「これ、後でご飯にかけて出汁茶漬けみたいにしても絶対に美味しいわね!」
「……美味しいです」
レイがポツリと呟き、コクコクと頷いた。普段は水くらいしか口にしない精霊王のレイが、こうして料理を口にしているのはかなり珍しい。レイは自分のスープに入っていた大きなカツオの切り身を、そっと俺のお椀へと移してくれた。
「俺にくれるのかい? ありがとう、レイ」
続いて運ばれてきたのは、丸く成形された魚のすり身の揚げ物だ。ココナッツの甘い香りが漂い、外はカリッと香ばしい。
「これは、魚のすり身にみじん切りの玉ねぎとココナッツフレークが練り込まれていますね。揚げ加減も完璧です」
ブラリリが解説すると、ハクがサくっと音を立てて口に運んだ。
「本当ね! スパイシーだけどほのかに甘くて、なんだかお菓子みたいでバクバク食べられちゃうわ!」
次に、綺麗に三角形に整えられた魚のすり身の揚げ物が登場した。中にはカツオと玉ねぎの具材がぎっしり詰まっており、シナモンの甘くスパイシーな香りが鼻をくすぐる。
「これもまたお菓子みたいで面白いわね!」
「スパイスとピリッとした辛味がしっかり効いていて、お酒のつまみにも最高ですね」
さらに、クレープ状の薄い生地にマグロのフレークと玉ねぎを包み、表面をこんがりと焼き上げたパンのような料理が出された。
「う〜ん! マグロのフレークがすごく香ばしくて美味しい!」
「この生地は、先ほどのカツオ出汁のスープに浸して食べても絶対に絶品ですよ!」
その他にも、メインディッシュとしてド迫力の蒸し焼きロブスターや、鮮やかな南国フルーツ、シャキシャキの野菜がテーブル狭しと並べられた。
さすがは海辺の高級リゾート。至高の海鮮料理の数々を、俺たちは心ゆくまで堪能したのだった。




