↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔物使いの異世界大陸平定記〜神々や大悪魔すら配下!? 規格外のテイム能力で異世界の理をぶち壊し、気づけば大陸全土を制覇していた〜  作者: ボルトコボルト
第一章 深淵の樹海

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

309/433

第309話 【絶品料理と南国リゾート】港町スーオ到着! 魅惑の人魚給仕と憧れの水上コテージで優雅な寛ぎ!

 饕餮トウテツの猛威を退けた俺たちは、転移魔法の輝きと共に待機させていた馬車のもとへと戻ってきた。


 姿を現すなり、車内で待機していた龍脈の魔女ウィーラが華奢な体を寄せてきて、俺の腰に勢いよく抱きついてきた。


「ヒロト陛下! 御無事で何よりじゃ……! あのような悪神など一瞬で捻り潰したとは聞き及んでおるが、怪我はなかったかのお?」


「心配させたな、ウィーラ」


 甘えるように見上げてくるウィーラの柔らかい髪を、よしよしとなでなでしながら微笑む。すると隣から、キラーアントエンプレスのアンナが嫉妬と心配の混ざった眼差しでじっとこちらを見つめてきた。


「ヒロト様、いくらお強いからといって、どうか御身を大事にしてくださいませ。万が一のことがあれば、私は正気を保てなくなってしまいます……」


「大丈夫さ、アンナ。いつも気遣ってくれてありがとう」


 俺はアンナにも優しく声をかけると、周囲の警戒を怠らずに立ち控えていたキラーアントキングとキラーアントジェネラルたちへ視線を向けた。


「護衛ご苦労だったな。おかげで馬車も無事だったよ」


 巨躯のキラーアントキングが恭しく巨体を折り曲げ、深々と頭を下げる。


「ハッ! ヒロト陛下より与えられし大任に比べれば、このような警戒など大したことではございません!」


「アンナ、彼らを一度送還してくれ。それからすぐに出発しよう。ノガートの町から避難した大勢の人々が、続々とこの港町スーオに向かって移動し始めているはずだ。人が殺到すればスーオは大混乱になる。長居はできないぞ」


「承知いたしました、ヒロト様」


 アンナが指を鳴らすと、キラーアントたちは影の中へと静かに姿を消していった。


 ふと馬車の横を見ると、アンナ、ウィーラ、そして料理人のブラウニーであるブラリリの三人が、新しく同行することになったハーミアに対して鋭いジト目を向けていた。


「(ひぃぃぃっ!? な、なんでしょうあの猛烈なアピールと、私に向けられる氷のように冷たい視線はーっ!? 側室の方々の圧が強すぎて、息をするだけで命の危険を感じますーッ!?)」


 ハーミアは震え上がりながら、必死にスクルドの背中に隠れている。場を和ませるように、俺は手を叩いた。


「さあ、出発するぞ!」


 俺たちは再び馬車に乗り込み、潮風が薫る港町スーオへと向かって街道を走り出した。


 道中は実に快適だった。道端で野営をするたび、ブラリリが腕によりをかけた絶品料理の数々を全員で堪能した。最高級の肉料理や香ばしいスープ、焼きたてのパンに一同は大絶賛だ。


 野宿は二日間に及んだが、俺たちは夜になると密かにスラオの転移魔法で自分たちの豪華な城へ戻り、ふかふかのベッドで熟睡していた。もちろん外には影武者代わりの虚影を残してある。


 ハーミアはというと、道中でスクルドに「お願いです! 私を置いていかないでくださいーッ!」と必死に懇願し、ヴァルキリーたちのテントに寝泊まりしながら同行させてもらうことになったようだ。


 夜の野営地の護衛は、召喚したキラーアントたちとヘルハウンドたちに一任。夜間の焚き火の火勢管理は、不死鳥フェニックスのフェンにお任せという完璧な防衛体制である。


 そうして旅を進めること二日——俺たちはついに目的地である港町スーオに到着した。


「わあぁぁっ! すごい! 海ですよ海ーッ!」


 馬車の窓から顔を出したハーミアが、目を輝かせて歓声を与える。


 町を囲む巨大な城壁もなければ、厳重な門番すら存在しない素朴で開放的な港町だ。澄み渡る青空の下、心地よい潮の香りが風に乗って漂ってくる。立ち並ぶ建物は美しく磨かれた白い石造りの平屋ばかりで、白い塀と綺麗に石を敷き詰めた道がどこまでも続いていた。


 馬車でゆっくりと石畳を進んでいくと、町の中でもひと際大きな屋敷の前に到着した。


 スクルドが馬車を降り、屋敷を見上げて俺たちに案内してくれた。


「ヒロト陛下、この宿が一番のお奨めです。このスーオの町で最も高級で、設備の整った宿になります」


「ほう、素晴らしいな。ありがとうスクルド。……さて、スクルド達とはここでお別れだな」


 俺が言うと、スクルドは凛とした表情の中に一抹の寂しさを滲ませてお辞儀をした。


「はい。私もこの宿に宿泊いたしますので、館内でまたお会いすることもあるかと思いますが……ここまで送り届けていただき、本当に色々とありがとうございました」


 横にいたヒルドも、感極まった様子で深く頭を下げる。


「ヒロト陛下、誠にありがとうございました!……うう、明日からブラリリ様の作ってくださるあの絶品のお料理が食べられなくなると思うと、胸が張り裂けそうです……胃袋を完全に掴まれてしまいました……!」


「ありがとうございましたーっ! 命を救っていただいたこと、一生忘れませんーッ!」


 ハーミアも深々と頭を下げた。どうやら道中でスクルドとすっかり意気投合したらしく、このままヴァルキリーの部隊に同行させてもらう流れになったようだ。


 二人に別れを告げ、俺たちは宿の敷地内へと足を踏み入れた。


 一歩足を踏み入れると、そこにはまるで前世の高級南国リゾートホテルのような、天窓から光が差し込む広々とした開放的なロビーが広がっていた。


 ダークハイエルフのグレイアが「手続きは私にお任せください」とフロントへ向かい、チェックインの交渉を始める。その間、俺たちはロビーの中央に置かれたフカフカの白い高級ソファに腰を下ろし、ゆったりと寛ぐことにした。


「(な、なんですかこの建物はーっ!? 柱も床もピカピカで、お城より豪華じゃないですかーっ!?)」


 少し離れたところでロビーを見回していたハーミアが、口をぐうの音も出ないほど開けて驚いている。


 ふと周囲を観察すると、このホテルのフロント対応、館内清掃、案内を行っている従業員は全員が若く美しい女性ばかりだった。


 しばらくすると、透き通るような肌をした美しい女性従業員が、南国の新鮮なフルーツをぎゅっと絞った色鮮やかなジュースをトレイに乗せて運んできてくれた。いわゆるウェルカムドリンクというやつだ。


 気になって密かに『鑑定』のスキルを発動してみる。……なるほど、種族欄には『人魚』と表示されていた。


「ユイ、あの従業員さんたち、実は全員『人魚』だぞ」


「えっ!? 人魚!?」


 俺の囁きを聞いたユイが、驚いて従業員の足元を二度見した。


「だってヒロト、普通に二本の足で歩いてるわよ? 尾ヒレじゃないじゃない!」


「人化の魔法を使っているのじゃろ」


 ウィーラが優雅にジュースを一口含みながら、当然のように頷いた。人魚が地上で働くために人化しているとは、なかなか洒落たリゾートホテルじゃないか。


 そこへ、フロントで手続きを終えたグレイアが軽やかな足取りで戻ってきた。


「ヒロト様、お待たせいたしました。馬車は宿の専用厩舎でお預かりしていただけることになりましたわ」


「ご苦労様、グレイア。……ところで、俺たち全員でこの屋敷に泊まるのかい? 綺麗だけど、全員が入るには少し小さく見えないか?」


 俺の疑問に、グレイアはクスクスと愉しそうに微笑んだ。


「ふふ、この本館はフロントやレストラン、従業員たちの控室がある棟なんですの。宿泊客のお部屋は、ここから奥へ進んだ場所にある『コテージ』になるそうですわ」


「コテージじゃと?」


 ウィーラが首をかしげると、グレイアが説明を重ねる。


「一戸建ての離れがそのままひとつの客室になっている形式のことよ」


「ほほう! 一軒家を丸ごと貸し切りとは、それは豪勢な趣向じゃな!」


 ユイも瞳を輝かせて喜びの声を上げた。


「わあぁ、素敵! 本当に前世で憧れた異国のリゾートホテルそのままじゃない! テンション上がっちゃうわ!」


「なるほどね。……ちなみにグレイア、海の上に直接建てられている『水上コテージ』なんてものもあったりするのかい?」


 俺が期待を込めて尋ねると、グレイアは「あら」と驚いたように目を丸くした。


「あらあら、ヒロト様は本当に何でもご存知なのですわね。もちろんありましたわ! せっかくですもの、4部屋ほど借り切って、すべて海に浮かぶ最高級の水上コテージを指定させていただきました!」


「やったーッ! 憧れの水上コテージだわーっ! 海の上に泊まれるなんて夢みたい!」


 ユイが万歳をして大喜びする。


「(す、水上コテージぇぇーっ!? 海の上に家を建てるなんて正気ですかーっ!? 波で流されたりしないんですかーっ!? どこまで規格外なんですかこのホテルはーっ!?)」


 ハーミアが顔を蒼白にして心の中で絶叫し、一人でパニックを起こしていた。


 そんな賑やかな俺たちの元へ、先ほどジュースを運んできてくれた美しい人魚の従業員が、滑らかな足取りで恭しく歩み寄ってきたのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。