↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔物使いの異世界大陸平定記〜神々や大悪魔すら配下!? 規格外のテイム能力で異世界の理をぶち壊し、気づけば大陸全土を制覇していた〜  作者: ボルトコボルト
第一章 深淵の樹海

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

297/433

第297話 【異世界の正義と帝国の流儀】念話映像に映る熱き戦乙女! 青臭い正義感を一蹴する圧倒的絶対者の理!

 大食堂に隣接する広大なリビングの壁面に、大悪魔バエル・スパの極限索敵スキルによる『遠視念話映像』が鮮明に投映された。


 そこに映し出されていたのは、ノガート城館の重厚な客間におり、険しい表情を浮かべる二人の美しい女性の姿だった。


 一人は、ヴァルキリーのスクルド。

 短い金髪に、吸い込まれるような澄んだ青い目。細く長い眉の下には、固い意志と戦気が宿る強い瞳がある。全身を白銀の鎧で重装したまさに戦乙女で、長身でスリムでありながら引き締まった筋肉質の美しい体躯。その背中からは、神聖な白い翼が生えていた。


 もう一人は、部下のヒルド。

 腰まで伸びた綺麗な長い金髪に、穏やかな琥珀色の瞳。身長はスクルドより少し低いが、それでもかなりの長身だ。スクルドと同じく全身を鎧で固めているが、彼女の背中に翼は生えていない。


 映像の中で、スクルドが焦燥感を隠しきれない様子で拳を固く握りしめた。


「ヒルド、オーチ伯爵からの進軍の返答はまだ無いのか!?」


 部下のヒルドは身体の前で両手を合わせ、申し訳なさそうに視線を落とす。


「……申し訳ありません、スクルド様。まだ届いておりません」


 ドンッッッ!


 激しい音を立てて、スクルドの右拳が木製の重厚なテーブルを打ち叩いた。仕込まれた力にテーブルが大きく揺れる。


「くっ……いつになったら我らはオーダンへ攻め入るのだ! 王子を裏切った反逆者オーダンなど、断じて許せん!」


 バシィッ! とスクルドは右の拳を左手の掌に叩きつけ、歯噛みした。


「なぜ我らヴァルキリーが、このような後方の港町で燻っていなければならないのだ! 前線に立ち、最前線で血を流して戦うことこそがヴァルキリーの本分!」


 スクルドは両手の掌をテーブルにつき、悔しげに俯いた。


「これでは……散っていった仲間たちに合わせる顔が無いではないか……ッ!」


 ノガートの客間で繰り広げられる熱いやり取りを見つめながら、こちらの豪華なリビングではハーミアが言葉を失って感動に震えていた。


「す、凄すぎます……ッ! 念話魔法でこんなに遠くの様子が、まるで目の前にあるかのようにハッキリ見えるなんてッ! 魔法技術すら規格外ですッ!」


 大興奮のハーミアに対し、俺はソファの背もたれに深く体重を預けながら呟いた。


「うーん……なんか知らないけど、随分と勢いがあって熱い人だなあ」


 右隣の応龍・ハクがクスクスと微笑む。


「そうねぇ。うちの配下にはあまりいないタイプ熱血タイプかしら」


 悪魔ベルフェゴルのサクラが、意地悪く目を細めて俺を見た。


「ふふ、要するにヒロトが一番苦手なタイプでしょう?」


「そだね。俺は面倒くさがりだし、あんな風に熱苦しいのは自分と正反対だからね」


 すると、映像に触発されたハーミアが拳を握りしめ、目を輝かせて俺に懇願してきた。


「ヒロト様ッ! スクルド様はあんなにも苦しんでおられます! ぜひスクルド様の力になってあげてくださいッ!」


 だが、俺は首を横に振った。


「南の王国の内戦に首を突っ込む気はないよ」


「ええぇぇッ!? なぜですかぁぁッ!? このお城にはこれほどまでに圧倒的な戦力があるのですよ!?」


 ハーミアはあまりの答えに目を見開き、信じられないというように叫んだ。


「ん? どういう意味だい?」


「悪い奴らを一網打尽に倒して、民のために平和な世の中にしてあげないのですか!?」


「全然興味はないな」


 ハーミアはガバッと身を乗り出し、食ってかかった。


「力というものは、弱い人たちを救うために使うべきですッ!」


 俺はハーミアを静かに見つめ返し、はっきりと告げた。


「他人の喧嘩に勝手に割り込んで、俺の大切な仲間たちや妻たちを傷つける気は一切ないよ。それに、無駄にたくさんの人間を殺す気も毛頭ない」


「そんな……ッ!?」


 絶句するハーミアに対し、ハクが静かな、だが重みのある声で助け舟を出した。


「ハーミア、大体『誰が悪い人』で『誰が弱い人』だというの? 戦争なんてものはね、どちらの側にもそれぞれの正義や主張がある場合がほとんどなのよ。そして身勝手な正義感で介入して戦うのは現場の兵士たちであり、真っ先に死んでいくのも弱い人たちなのよ」


「だ、ですがっ! ヒロト様たちは四罪や四凶といった邪悪な存在を、世界の平和のために倒してこられたのでしょう!?」


 食い下がるハーミアに、俺は苦笑いを浮かべた。


「いや、俺たちはただ降りかかる火の粉を払っているだけだよ。向こうから襲ってきたから返り討ちにしただけで、正義の味方ごっこをやっているつもりは全くない」


「そう……なのですか……?」


 ハーミアは衝撃を受けたように周囲を見渡した。


「ええ、そうよ」とハクが頷き、不死王のルシーも「概ねそんな感じね」と妖艶に微笑む。


「俺の領地や大切な家族に攻めてくるなら容赦なく叩き潰すけどね。自分から他国の戦争に乗り込んで荒らす気はないよ」


「なにか話が根本的に噛み合わないわね」


 ハクが呆れたように息を吐くと、サクラが足を組み替えながらハーミアに問いかけた。


「ハーミア、あなたはスクルドが『正義』で、オーダンが『悪者』だと決めつけているけれど、本当にそうなのかしら?」


「そ、そうだと思います! 王子様を裏切ったのですから!」


「ふうん。ただ『思った』というだけの理由で、上の命令に従って戦っているだけの罪もない兵士たちを何十万人も殺すのが、あなたの言う『正義』なの? 殺された兵士たちの家族から見れば、首を突っ込んで殺戮を行った私たちが一番の『絶対悪』になるわね」


「えっ……な、なんで何十万人も殺すなんて恐ろしい話になるのですか……!?」


 ハーミアが顔を青くして狼狽する。


 俺はあきらめたように吐息を漏らし、ハーミアに問いかけた。


「俺が内戦に加わって南の王国を武力で支配して、強引に平和にする話じゃないの? ハーミアは一体、俺にどうして欲しいと思っているんだい?」


 ハーミアはごくりと唾を呑み込み、意を決したように声を張り上げた。


「オーダンとタキーダを倒して、モリー様が南の王国を統一する手助けをしてほしいのですッ!」


 自分たちの『都合の良い正義』を押し付けてくるハーミアの青臭い訴えに対し、リビングに集う圧倒的な強者である妻たちは、冷ややかで興味深そうな視線を注ぐのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。